モザイク架空国家

扶桑帝（ふそうてい）は、 扶桑国の初代天皇である。扶桑天皇とも。諱は是良（これなが、これよし）。日本の室町時代中期よりイタリア国サルディーニャ島に転移し、転移した公家たちに擁立された。公武合体後は扶桑国初代天皇として国家祭祀と儀礼を行った。

　元々は日本の歴史の室町時代、南朝（大覚寺統）の後亀山天皇の嫡流である小倉宮家に嫡男として紀伊国熊野に生まれた。しかし当時の南朝は北朝および幕府と敵対しかなり落ちぶれており、両親も早くに病死するなど、不遇な幼少期を過ごした。またこの頃、室町幕府は「応仁・文明の乱」が起きるなどかなり混乱しており、その混乱に乗じて彼は紀伊国の反幕府勢力に神輿として担がれ、自身の意思もないまま「南帝」を称して即位、文明2年（1470年）2月、紀伊国有田郡で挙兵。3月には同国海草郡から大和国吉野に入った。
　応仁・文明の乱で「東軍」細川勝元と戦っていた「西軍」山名宗全は、東軍が北朝の天皇を後ろ盾としていたことに対抗するため、南帝を京に迎え入れようと吉野の南朝方に接触、工作をした。またしても南帝は自身の意思のないまま、半ば無理やり「神輿」として担がれ、翌文明3年8月には上洛して北野天満宮の松梅院に入った。
　しかし、西軍から「天皇」として崇められていた南帝であるが、西軍も一枚岩ではなかった。文明5年3月に宗全が病死すると、南朝を排除したい西軍諸将によって、突如として南帝と南朝勢力は京から放逐され、各地を流浪することとなる。京から東へ進み、文明11年（1479年）7月19日に越後から越中を経て一旦越前の北ノ庄に到着し、再起を図ろうとしたものの、ここでも追われたため関東へ赴く。しかしここでも「享徳の乱」、上杉氏の内訌などがあり関東は揉めに揉めていた…。なおこの頃、古河公方足利成氏の元に身を寄せ、生涯の伴侶となる上杉涼子（後の）と出会い結婚している。
　このように、南帝は自身の出自が原因で様々な人物に神輿として無理やり担がれては切り捨てられる、ということを繰り返しており、権力というものに嫌悪感すら感じていたのである。

　30代で妻と共にモザイク地球のイタリア国サルディーニャ島に転移。蓬莱島の公家衆たちに我々の帝となるよう懇願される。最初は固辞したものの、「政治に一切関わらない」ことを条件として了承した。また天皇親政を目指す北畠顕久ら一部の公家が謀反を起こそうとしたが、その計画は露見し逮捕された。
　その頃、イタリア半島では足利氏を中心とした室町幕府が興り、公家衆らは朝廷の庇護を条件に征夷大将軍の自称を追認し、その後は関わることはなかった。朝廷と幕府が合流し「公武合体」を宣言すると、帝は改めて「扶桑国」の帝として即位した。三種の神器がない異例ずくめの即位であった。

　扶桑国建国後は、自身の仕事を「国家の祭祀」と「国家と天皇家の諸儀礼の継承」と定め、ひたすらこれに務めた。また「国民の象徴」として国内を巡幸したり、外交を結んだ他国の君主と会うことも忘れなかった。
　しかし転移前に様々な苦しみを受けてきた帝は心身ともに疲弊しており、扶桑国建国10年後の1月より病に臥せるようになる。そして皇太子、皇后、扶桑国首脳陣の見守る中、6月15日に崩御した。宝算55。安らかな最期であった。
崩御したその日は一日中雨が降り、「天も悲しんだ」と言われた。なお崩御前日に出家しており法名を浄聖と称し、また「扶桑天皇」と諡された。
　また今際の際、以下のような遺言を残している。

• 1.遺体は火葬とし、華美な墓を作らぬこと
• 2.御霊は室町京から北に祀ること
• 3.皇家は倹約を旨とし、只管「国家の祭祀」「国家・天皇家の諸儀礼の継承」「国民の象徴」の職務に励むこと
• 4.扶桑国は領土拡大を求めず、無益な戦を起こさぬこと

　果たして遺言通り、扶桑帝の「御霊」は室町京の真北、御寺藩の「扶桑神宮」に祀られた。また分霊は清涼殿の一角に皇霊殿が建てられ、そこで祀られている。

• 非常に温厚な人物であったと言われるが、自らには厳しく、常に自己を律していた。また教育熱心でもあり皇太子たちを厳しく養育した。
• 政争と戦争に翻弄された前半生であったことから、政治・戦争アレルギーとも言うべき精神的な苦しみがあった。扶桑国建国後も弓道や剣道などには当初嫌悪感を覚えていた、と後に語っている。

扶桑皇家も参照のこと。

• 皇后…上杉涼子（龍樹皇后）
• 一宮…寛也(扶桑国二代天皇)
• 二宮… 吉野宮尊良親王
• 三宮…一乗院宮憲良親王