創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

否定論・陰謀論を信じる理由

ゼロリスクバイアス


ニルヴァーナ詭弁とも絡んでいそうなバイアスに「全体的なリスクの大幅な削減より、特定リスクをゼロにすることを選好する」ゼロリスクバイアス(zero-risk bias)がある(別名:Pseudocertainty effect)。

wikipedia: Zero-risk bias

ゼロリスクバイアスとは「代替オプションが(全体的な)リスクの大幅な削減をもたらす場合であっても、あるリスクの完全な排除を好む」傾向のことである。このような意思決定への影響は、仮想シナリオや特定の現実的な政策(交通事故や銃暴力のリスクを軽減することとは対照的にテロとの戦いなど)を提示する調査で観察されている。


説明

科学者たちは「年間8名が癌になる汚染サイトXと、年間4名が癌になる汚染サイトYについての、仮想的除染シナリオについてのアンケートへの応答」によって、ゼロリスクバイアスの存在を特定した。回答者たちは3つの除染手法を評価した。それらのうち2つの手法は、癌の発症例を6件減らすことができるのに対して、3つめの手法はがんの発症例を5件減らすが、サイトYの癌の発症をゼロにする。3つめの手法は、他の手法よりも効果が小さいが、42%の回答者が最も良いオプションだと回答した。この研究結果は、「人々には、リスクを完全排除するために、高いコストを支払う意思がある」ことを見出した先行研究と類似している。[1] [2]

現実世界の複数の政策がこのバイアスの影響を受けたと言われている。米国の連邦レベルの政策では、「(実際のリスクによらず)発癌性のある添加物を禁止する」Delaney条項や、「過剰に完全除染することにフォーカスしたとされるスーオアーファンドサイト」の完全除染への欲求に見られる。技術的発展により少量の有害物質を検出できるようになるにつれて、ゼロリスク法規制を達成するために必要な努力量が増加している。限られたリソースが、より小さなリスクの問題に投入されるようになっている。[3]


原因

他のバイアスが、ゼロリスクバイアスの根底にあるかもしれない。一つは差異より比率を考える傾向である。死亡率の大きな減少の方が、実際の死亡数の削減よりも、高く評価される。ゼロリスクバイアスは、リスクに適用される量についての多様なバイアスの極端な例とみることができる。フレーミング効果により、たとえば、小さなセットでの大きな割合を強調することで、ゼロリスクバイアスを強化できる。また、全体の総量を強調することで、このバイアスを緩和できる。[4]


References

[1] Baron, Jonathan; Gowda, Rajeev; Kunreuther, Howard (1993). "Attitudes toward managing hazardous waste: What should be cleaned up and who should pay for it?". Risk Analysis. 13: 183–192. doi:10.1111/j.1539-6924.1993.tb01068.x.
[2] Viscusi, W. K.; Magat, W. A.; Huber, J. (1987). "An investigation of the rationality of consumer valuation of multiple health risks". Rand Journal of Economics. 18: 465–479. doi:10.2307/2555636.
[3] Kunreuther, Howard (1991). "Managing hazardous waste: past, present and future" (PDF). Risk Analysis. 11: 19–26. doi:10.1111/j.1539-6924.1991.tb00561.x.
[4]Baron, Jonathan (2003). "Value analysis of political behavior - self-interested : moralistic :: altruistic : moral". University of Pennsylvania Law Review. 151: 1135–1167. doi:10.2307/3312887.





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