バーチャルキャストから生まれた、創作系 RPG シェアワールド

おしお 作





「なんですか、これ」
周辺では有数の規模の病院。
一応VIP扱いということで私は隔離された場所に入院していたがここは私とは逆方向に隔離された場所だった。
病院の個室の中には獣人の少女が一人。その体は大量のベルトが付いた服で拘束されていた。
拘束着の中の身体はどうなってるか確認できない。しかし、外にさらされている顔は傷だらけで右目はガーゼをかぶせている。
一緒に病室に入った叔父はひそひそと声を潜めながら答えた。
「まずは出るぞ。」
そう言うと片足が動かない私を引きずりながら病室の外へ出た。

叔父の手を借りながら廊下に置いてあった簡素な椅子に私は座った。
私から解放された叔父は姿勢を正しながら言う。
「医者も言ってたろ、彼女を起こしたくないのでな。」
「では改めて、さっきのは何ですか?」
少々強くいった。叔父も雰囲気を読み取る。
「誤解するなよ。あれは虐待を目的としたものではない。とりあえず医者を呼ぼう。」
叔父は待機していた医者を呼んだ。
「彼女の状況について教えてくれ。」
「はい、まず当日の状況は彼女がここに運ばれて来たとき右手軽傷、両目に何かしらの異変がありました。
これは後になって投薬で目が夜に慣れている時に強い光を受けたことで視力を失っているとわかったのですが」
「目は私、右手は警備隊の人が武器を奪った時ですね。」
「まぁ、そうだろうな。」
叔父が口をはさんだ。私と叔父の間で医者がちょっと肩身狭そうに口を開く。
「あと、腕に古い傷が少々…」
「古い傷?」
「はい、元々自分の身体を引っ掻く癖があったんだと思います。目が覚めてからも酷く暴れまわって自分の身体を引っ掻いていたので怪我のほとんどはその時に…」
喋り方に少々歯切れのない医者に対し予測される次の言葉を続ける。
「それで拘束したと」
「はい、人力で抑え込むのは難しく目の周囲に爪を立てた時は流石に手段を選んでいられないと思いまして…」
シリアスな顔で話をしていただけのつもりだが肩書が上だと怖がられてしまうのは少々息苦しい。軽くため息が出た。
「はぁ、ありがとう。えっと、別にあなたに対しては怒っていないから落ち着いて。説明ありがとう仕事に戻って」
「あっ、はい」
返事をすると彼はそそくさと仕事に戻った。








《ヒストリー》
・2020/07/12 投稿

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