むかしなつかし「人形劇三国志」各話へのツッコミネタバレあり

あらすじ

玄徳の行方を知つた関羽は曹操のもとを辞し、玄徳の母と淑玲を連れて河北へと向かふ。
手形を持たぬ関羽一行は、行く先々の関所で足止めをくらふが、そのたびに関羽が関所の兵をしりぞけて先に進む。
夏侯淵と郭嘉はなんとか関羽を阻みたいと思つてゐるが、曹操に止められ、関羽に手形を渡すやう命じられる。夏侯淵は紳々竜々にこの手形を託し、以て手形の届く前に関羽を亡き者にしやうとはかる。
関羽一行は黄河の渡し場に着いたところで紳々竜々が追ひつく。手形を手にした一行は、無事河を渡る。
玄徳と再開したときにそなへて古城をのつとり兵を養つてゐた張飛は、趙雲から関羽が曹操に投降したことを知り、裏切り者とくつてかかるも、関羽、玄徳の母、淑玲から話を聞いて関羽との再会を喜ぶ。
一方、趙雲に呼ばれた玄徳も関羽・張飛の喜び合ふ場にやつてきて、つひに三兄弟はふたたび集ふのであつた。

一言

この回、ちよつと好き過ぎて書き過ぎてしまふかもしれない。
演義でいふと、第27回の途中から第28回まで。演義に出てくる張遼とか夏侯惇とかは出て来ない。廖化、周倉、裴元紹も然り。
また、演義では関羽は各関所でひとり乃至ふたりは殺してゐるのだが、人形劇ではたれ一人殺さずに関所を通りぬけてゐる。

趙雲も演義では裴元紹の砦をひとりで襲ふのだが、ここでは張飛の古城を襲ふことになつてゐる。
城を守るだけでなく、道の普請なんかもしてる張飛のところに、城を守つてゐた部下が「二百名で守つてゐた城がたつた一人の人間に奪はれた」と報告に来る。
いきり立つ張飛は、部下の乗つてきた馬にまたがつて城に向かふ。
ここの馬のやりとりがちよつとおもしろい。
張飛が「その馬よこせ」といふと、部下は「へい」つて返事してるのに、張飛つてば、部下を馬から払ひ落とすやうにして奪つてるし。短気だなあ。

ここの趙雲がすてきでねえ。
張飛が「出てこーい」と呼ばはると、「あひかはらず早とちりだなあ、張飛翼徳」と、聲だけがする。
このセリフがまづすばらしい。
赤子の手をひねるやうに二百の兵をあしらつて城を奪ひ、さて、一休みでもするか、と、横になつてゐたところに張飛がやつてきて、「やれやれ」といふ感じで身を起こした。
聲だけで、そんな感じがする。
このあとの、「だいたい兵の訓練もなつちやゐないぞ」とか、「よせよ、おい、俺を殺すつもりではないだらうな」と、常の趙雲にはない皮肉な物云ひが、たまらない。
この場面だけで何度見返してゐることか……

この回の冒頭に戻ると、関羽は玄徳の母と淑玲を連れ、赤兎に乗つて玄徳のゐる河北へと急いでゐる。
早速、東嶺関、洛陽関のふたつの関所を破つて先に進む。

一方、許昌では、夏侯淵と郭嘉が関羽を殺さうとはかつてゐるわけだけど、そこに曹操があらはれて、「儂の邪魔をするか」と叱責する。
ここの曹操もすてきでねえ。
勝つためにはなりふりかまはず天下を奪ふためには罪も無き人々の命をも平然と奪つてきたこの儂だが」つて正直なところもいいし、でも丞相となつた今、みづからの寛容さを世に知らしめる必要がある、したがつて、関羽に急ぎ手形を届けよと命じるときに、「わかつたな」といふやうに、夏侯淵と郭嘉にむかつてくいつとわづかに顎をあげて見せる、このやうすが何度見てもイカしてるんだなあ。
この回の曹操は、別段関羽に惚れてゐるから関羽を逃がす、といふ感じではない。あくまでも、丞相としての格を重んじるといふ風。

夏侯淵と郭嘉もいい。特に郭嘉。
曹操に「即刻使者を立てて手形を送れ」と云はれて、「しかし……」と抗弁しやうとする夏侯淵の背をそつと抑へるあたりもいいし、なにより、曹操が云ひたい邦題云つて去つたあと、「寛容さで戦に勝てるのなら……参謀の儂とて苦労はせぬわ」と無念さうに目を閉ざす郭嘉には、「ああ、苦労してるんだなあ、郭嘉も」と、その労が忍ばれてならない。なにより、孔明だつたらそんなこと云はないもんね。いいなあ、郭嘉。
あとその前に関羽が二つの関所を突破したと云つて「しぶとい奴」とか云ふて「ちっ」つて感じで手を振るところも好き。ちよつとお茶目だぞ、郭嘉。

このあと、大嵐の中先を急ぐ関羽一行の場面がつづく。
馬車の中で、「雨風が弱まつたのか知らん」といふやうなことを云ふ淑玲に、「それはね、関羽さんが大きい躯でふせいでくれてゐるからよ」とかいふやうなことを答へる玄徳の母。
関羽さん、どれだけデカいねん! 風雨もふせげるなんて!

この後汜水関では酔つたふりをする関羽の芝居が見られるぞ。
ここでは胡華が関羽一行を館に泊めて歓待するふりをしつつ、関羽にしびれ薬入りの酒を飲ませやうとする。演義では胡華は単なる関羽ファンつて感じだけどな。人形劇では、滎陽関で働く息子・胡班のことで脅されてゐる、といふことになつてゐる。
関羽は計略に気づき、胡華は正直に全部話す。
さうすると、関羽は「正直に全部話してくれた胡華に迷惑はかけられない」とか云ふんだなあ。自分が来なかつたらこんなことにならなかつたのに、とかつて謝つたり。そんなことされたら、胡華でなくたつて、関羽大好きになつちやふぞ!

酔つた芝居をする関羽もいいぞ。
演義にはない、サービスシーンだな。
汜水関の大守(人形劇では各関の大守の名前は出て来ない。演義では卞喜)の流星鎚に「目が回るー」とか云つてみたりとか。
あとで淑玲や玄徳の母に芝居のことを言及されて、「穴があつたら入りたい」といふ関羽だが、関羽の入るやうな穴つてどんだけデカいんだが。

ここで、古城の張飛と趙雲の話が入る。
趙雲はなぜか事情通で、玄徳が袁紹のところにゐること、そして、関羽が曹操に降つたことを張飛に告げる。
趙雲からその話を聞くと、張飛は関羽は曹操に寝返つたと勘違ひ。関羽打倒を口にする。

関羽一行は滎陽につき、胡班と会ふ。胡班はみづから大守に関羽一行を倒すことを提案。
胡華の息子といふことで、関羽も玄徳の母も淑玲も、すつかり胡班のことを信じてしまひ、夜半、火攻めにあふ。
今はこれまで、といふところで、関羽のカシラが特殊なカシラなんだよね。眉が動くやうになつてゐて、これが眉間に皺を寄せてゐるやうに見える。眉の形も困つたやうな感じ。口もかなり開いてゐる。
関羽の場合、このあと第58回関羽の死でもちがふカシラを使つてゐる。

胡華から託されたといふ手紙を見て、胡班は危機一髪のところで関羽たちを助ける。
胡班、これも第58回でまた登場するんだが、人形があつたから、といふのが大きいんだらうな。

黄河のほとりにたどりついた一行。ここで関羽が「さあ、一気に黄河を!」つて云ふんだけど、これがやうすがよくてなあ。そんな、一気に渡れるやうな河ぢやないと思ふんだけどー。

ここに紳々竜々がやつてきて、手形を関羽に渡す。
紳々竜々、任務完遂、はじめてなんだつけか? ま、いつか。
かくして、関羽一行は無事黄河を渡るのだつた。

許昌に戻つた紳々竜々は、曹操には褒められるものの、夏侯淵と郭嘉からは当然罵られるわけで。
曹操には「褒美を取らせてやれ」つて云はれたのに、郭嘉には牢に入れと暗に云はれる始末。

一方、袁紹のもとにゐる玄徳のところに趙雲があらはれる。
玄徳のゐる部屋にかかつてゐる軸が、胡華の屋敷にあつた軸と同じなのは偶然? なあんてね、ふふ。

趙雲は、張飛が関羽の首をはねるつもりだ、と玄徳に告げる。
……それは、お前のせゐなんぢやないか、趙雲?

関羽一行の前にあらはれる張飛。関羽は再会を喜ぶが、張飛はいきなり関羽に打つてかかる。
関羽、玄徳の母、淑玲にさとされて、勘違ひしてゐたことを知つた張飛は、己が不明を詫び、泣きながら関羽に抱きつくんだけど、ここが、なあ。またいいんだなあ。
そのちよつと手前で、「わかつてくれたか、張飛」つて云ふ関羽のセリフがまづいい。落ち着いててね、しみじみしてゐていいんだー。
張飛に抱きつかれて、「こ、これ、おい、でかい図体で、みんなに笑はれるぞ」つて云ひながらも、うれしさうな感じとかねー。

演義だと、張飛はなかなか関羽のことを信じないんだけどね。

「関羽、張飛、喧嘩はやめろ」つて云ひながらあらはれる玄徳。喧嘩ぢやないだろ、この規模だと。関羽と張飛の喧嘩なんて常人の喧嘩ではすまないぞ。

張飛に「趙雲、お主が知らせてくれたのか」と聞かれて、「うん、噂は噂として、関羽殿が裏切るとは信じられなかつたのでな」つて、趙雲、かうなる前に云つてやれよ、張飛に。
まあ、張飛はきかないだらうけどさ。

「張飛はあひかはらずの粗忽者です。どうぞ叱つてくだされ」と云ふ張飛に、「よし、落ち着いたらうんと叱らう」つて笑ひながら答へる玄徳がやさしげでいいんだなあ。「兄者」の風格たつぷりだ。
このあと、玄徳は母親と淑玲に聲をかけ、最後に関羽に「御苦労だつた、関羽」と云ふ。関羽は感極まつた感じで「兄者」とだけ云ひ、ふたり、手を取る。目を閉じてうつむく関羽。ここの情感溢れる感じがまたすてきでねえ。
ここに「兄者、兄貴」つて張飛が入つてくるんだけど、残念ながらちよつと邪魔。ま、そこが張飛のいいところなんだけどー。

関羽大活躍の巻だが、趙雲とか郭嘉とか、それぞれに見どころも多くて楽しい回である。

脚本

小川英
四十物光男

初回登録日

2012/11/3

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