作成者:ruslan

近年のK-1ではフィジカルが非常に重視されています。
ボブ・サップがアーネスト・ホーストを2度破ったことが象徴的であるように、体のサイズ・パワーは最も重要な要素といっても過言ではありません。

本項ではなぜウエイトトレーニングが必要なのか、私なりの考えを書かせていただきます。



そもそもウエイトトレーニングの定義ですが、広くとると自重トレーニングも含まれるようですが、ここではダンベル・バーベル・マシンによる「外的な負荷を用いた筋力トレーニング」として話を進めます。

さらに前提確認をすると、ウエイトトレーニングはベンチプレスのようにストリクトな動作で筋肉に刺激を与える種目だけでなく、オリンピックリフティングやプライオメトリクスのように意図的に反動動作を用いたものも含みます。

ウエイトトレーニングのメリットは目的に合わせて負荷を自由に変えられることです。
自重トレの多くは、自分の体にかかる重力を負荷として行いますが、それでは一定の負荷しかもたらせません。

例えば、ウエイトトレーニングでの最頻な目的として筋肥大があります。
筋肥大の原因として、筋損傷を起こすような「物理的なストレス」と、乳酸や水素イオンを蓄積させるような「化学的なストレス」がありますが、ウエイトトレーニングにより一度に大きな物理的ストレスを加えることができます。
ここで重要なのは「軽い負荷で100回」よりも「重い負荷で10回」の方が遥かに筋肥大が起こりやすいということです。

ボディビルダーなど筋肉の力発揮の熟練度が非常に高い者を除き、ほぼ全ての人間が「サイズの原理」に当てはまります。
サイズの原理とは「軽い負荷の時には遅筋を使い、重い負荷の時には速筋も含めて多くの筋肉を使う」という一般原則です。仮にマラソンをしている時に速筋ばかり使われてしまってはエネルギー代謝の点で不利になってしまうので、サイズの原理から、この時には遅筋が使われます。

つまり「軽い負荷で100回」パターンでは速筋がほとんど動員されず、「重い負荷で10回」パターンでは速筋もある程度動員されることになります。
そして遅筋よりも速筋の方が遥かに筋肥大しやすいため、自ずと筋肥大の効果に差が生じることになります。
以上のことから自重トレでは一度にかけられないような高い負荷をウエイトトレーニングではかけられるため、ウエイトトレーニングの方が筋肥大をもたらしやすいと言えます。
(ちなみに遅筋や速筋の中でも何種類かに分類され、その種類ごとの変化は起こりえます。ここでは割と大雑把な説明になっているので、詳しく知りたい方は専門書などの購入をオススメします。)

さらにウエイトトレーニングの利点は、筋肥大だけでなく筋持久力にも同じことが言えます。
自重トレと言えども、腕立て伏せをストリクトなフォームで行えば20回でも相当な負担になります。しかしウエイトトレーニングならば自重トレよりも軽い負荷にもできるので、低重量高回数によって持久力に特化させられます。

神経機能を高めたい時には低回数、筋肥大させたい時には中回数、筋持久力を高めたい時には高回数、と目的に応じて重量をカスタマイズできるのがウエイトトレーニングの利点です。
(ただK-1やキックボクシングの場合、筋持久力はほとんど必要とされないでしょう。筋持久力を意識してあえて遅筋の割合を高めるよりは、速筋の遅筋機能を高める方が効率的だと考えられます。)



ちなみにストリクトなウエイトトレーニングは反動動作を使わないために、全身の連動をフルに生かすような動作スキルを失わせる恐れがあります。
(そもそも自重トレでもストリクトなフォームで行えば同じことが言えます)


しかし逆に全身の連動や反動をフルに使って爆発的な力を引き出すメニューもあるので、一概にウエイトトレーニングをすると動作スキルを失うと言い切ることはできません。
チーティングテクニックやオリンピックリフティング、プライオメトリクスのような種目を効果的に取り入れることで、むしろ動作スキルを上げることも可能でしょう。

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