作成者:ruslan

ボクシングでは、サウスポーの構えのセオリーは
右ガードはこめかみ付近、左ガードはアゴの前 となっています。

それは主に「対オーソドックス」において、互いのストレートが当たりやすいことが想定されています。
なぜならアゴの前に左ガードを置いておけば、中央のディフェンスが堅くなり、仮にディフェンスを誤ってもアゴに置かれたグローブがダメージを軽減してくれるからです。

またアゴの前にガードを置いておけば、自然と脇が絞られます。
その状態からストレートを放てば、(適切に腰が回転すると仮定するならば)インからストレートが繰り出され、相手にとってはディフェンスが困難になるからです。

反対にサイドのディフェンスが甘くなり、また左フックの動作が困難になるなどのデメリットもあります。
とはいえサウスポーでは【ストレートの精度・ディフェンス向上>サイドのディフェンス、左フックの緩慢化】という図式が主に成り立ち、それゆえ先述したような構えがセオリー化されています。



しかし蹴りを考慮するならば、デメリットを見直さなければなりません。

まずは蹴りの動作を制限してしまいます。
先程も記したように、左ガードをアゴの前に置くと、自然と脇が絞られます。自然と脇が絞られるということは、上体の左半身の動きを制限することになり、上体主導の蹴り動作を困難にしてしまいます。
具体的には上体のうねり動作が緩慢になり、それゆえ腰が入らない"足蹴り"になりやすくなります。

さらにサイドのディフェンスが甘くなるということから、ハイキックへの不安が残ります。
ハイキックは威力が高く、アゴやテンプルに入らずとも、側頭部であっても強引にダメージを残されます。特に側頭部を刈るようなハイキックに対しては、ガードを低く中央に固めてしまうと対応が遅れるでしょう。


このように蹴りが重要視されるほど、左ガードをアゴに置くことのデメリットが強まります。
単純に優劣をつけるならば ボクシング > K-1 > キックボクシング という順で左ガードをアゴに置くメリットがあるでしょう。

例えば山本真弘は左ガードをアゴの前に置いている一方で


ペトロシアンはこめかみ付近までサイドに高く上げています。




まとめると

【メリット】
・右ストレートのディフェンス対応に優れる
・左ストレートをインから放てる

【デメリット】
・サイドのディフェンス、特にハイキックへの不安が残る
・左フック、左の蹴りの動作が困難になる

ということになります。

一概に決めるのではなく、メリットとデメリットを比較考慮し、自身のスタイルに見合ったガードを採用するべきです。
また対戦相手や試合展開に応じて柔軟に変化させても良いでしょう。

このページへのコメント

私もペトロシアンの攻撃は一発一発に緩急・強弱がなく、総じて強・強・強と放っているように感じます。
特にペトロシアンの左ストレートは軸を完全に失いながらうつので、例えばワン・ツー・フックを打つ際には、どうしてもツーとフックの間に一呼吸あいてしまいます。

やはりオフェンス面では回転力を生かすタイプではなく、体全体の力をフルに生かして攻撃するタイプだと私も考えています。

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Posted by ruslan 2011年03月26日(土) 19:33:28 返信

これは面白いです。
ペトロシアンの左ストレートがスッドサコーンにほとんど見切られた時点で何だか問題があるなあと思いましたが、ディフェンスの比重が高いペトロシアンならではの問題があるという事ですね。最近、ペトロシアンは攻撃面では結構パワーとインサイドワーク偏重で、ハンドスピードを捨てている特殊なスタイルなのではないかという気がしてきました。多分、ボクシングを見るようになった影響だと思いますが…

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Posted by ゆずマシュマロ 2011年03月25日(金) 00:52:14 返信

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