創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

否定論・陰謀論を信じる理由, インテリジェントデザイン概説>連鎖するアンチサイエンス

連鎖するアンチサイエンス


一つのアンチサイエンスを信じると、次から次へと他のアンチサイエンスも信じるようになる連鎖が見られる。これには、「補強しあう陰謀論・否定論」といった「論理的」な理由あることもある。しかし、それ以外の理由は色々ある...
幸福を求める心理

現在の自分たちが生きている社会・文明が間違っていて、この地上のどこかに、あるいは過去に、あるいは未来に、もっと"幸福"な世界があるのではないかという思いは、古来より存在している。その思いは、少し形式を変えれば「完璧な幸せを手に入れる方法がどこかにあるにちがいない」という思いにもなる。
ちまたに出まわる幸福の処方箋は、なにも書物にかぎりません。ありとあらゆる療法(セラピー)、ハーブ製品、スピリチュアル技法の数々。くわえて、宣伝広告のたぐいが描く、新商品を幸せそうに使う幸せそうな人々----。ほとんどはその効果が実証されていない、もしくは検証不可能であるにもかかわらず、これらの商品はおそろしくよく売れています。... こういったセラピーや技法をいとも簡単に信じてしまうのは、完璧な幸せを手に入れる方法がどこかにあるにちがいないと思っているからです。(pp.164-165)

[Daniel Nettle (山岡万里子 訳): Happiness - The Science behind your Smile (目からウロコの幸福学)]

次から次へと買ってしまう新商品の主張は、類似しているかもしれず、互いに矛盾しているかもしれない。いずれにせよ、怪しいネタに次から次へと手を出してしまう理由の一つは、幸福の追求のようである。

矛盾する陰謀論を信じる心理

University of Kentの心理学者Karen Douglasたちが、「権力が邪悪な目的を推進するために、巨大な欺瞞を行っている」という中心的な考えによって、陰謀論者が互いに矛盾する個々の陰謀論を支持する傾向があることを示した。学生を対象にした実験では...
  • ダイアナ妃が暗殺されたというい考えを支持する学生ほど、ダイアナ妃が生きているという説を支持する傾向が見られた。
  • ビンラディンは襲撃前に死亡していた」を支持する学生ほど「ビンラディンは生きている」を支持する傾向が見られた。

別に個々の陰謀論が互いに補強しあっていなくても、陰謀論者たちは「ひとつの陰謀論を信じる」と「次から次へと新たな陰謀論を信じる」ことになる。

聖書

聖書を論拠とする否定論には、創造論と気候変動否定論がある。創造論はまさしく創世記の記述を論拠とするが、気候変動否定論も同じく創世記を論拠とすることがある。たとえば、共和党John Simkus連邦下院議員や共和党Mike Bearミネソタ州下院議員は創世記8章21-22節, 9章8-16節などを挙げて、気候変動、特に海面上昇を否定する

主は宥めの香りをかいで、御心に言われた。「人に対して大地を呪うことは二度とすまい。人が心に思うことは、幼いときから悪いのだ。わたしは、この度したように生き物をことごとく打つことは、二度とすまい。地の続くかぎり、種蒔きも刈り入れも/寒さも暑さも、夏も冬も/昼も夜も、やむことはない。」 (創世記8章21-22節)

さらに、レビ記20章13節にからんで、HIV否定論(HIVはAIDSの原因ではないという主張)に連鎖することがある。インテリジェントデザインの父たるPhillip Johnsonや、アンチゲイでも有名なAmerican Family AssociationのBryan Ficherはその例。
女と寝るように男と寝る者は、両者共にいとうべきことをしたのであり、必ず死刑に処せられる。彼らの行為は死罪に当たる。(レビ記20章13節)

科学のレイヤーでは何の関係もない、創造論と気候変動否定論とHIV否定論が、聖書を介して連鎖する。








コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Menu

サブメニュー

kumicit Transact


管理人/副管理人のみ編集できます