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吉澤さんのいつもの気まぐれにより突如休みになった本日なんの変哲もないフッツーの平日リビングにて。
れいなは賭けにでた。

「10分以内に返信が来なかったら誘わない10分以内に返信が来なかったら誘わない」

部屋中の全ての酸素を肺に送り込み一拍置いてから一気にそれを吐き出す。
よし。

『やっぴぃ絵里ノ 先日はゴメン。さゆから伝言聞いたっちゃよ。れいなが一方的に悪かった話やのに気ぃ遣ってくれてありがとう。
 それでな。今日は仕事あると?それとも暇しとぅ?暇だったら返信ください』

送信。
時間内に返信が来なかったら・・・嫌いだけど酒でも飲んで忘れて、また3日後ぐらいに挑戦しよう。
何度もやりすぎはよくない。うざい男とでも思われたらもう終わりだ。

「暇ですなあ田中さ〜ん。ところで小春はお腹が減りましたよ田中さ〜ん」
「れいなは減っとらん」
「そんな殺生な〜」

じゃあいいですよー自分で買ってきますから、なんてコンビニにでも行くのかジャンパーを着て出かける準備をする小春。
自分で作るという選択肢は無いのだろうか?
アフリカの先住民が狩猟の儀式の際に合唱してそうな奇怪なメロディの鼻歌を歌いながら出て行った。
と、同時に鳴るメールの受信音。まさか。

『いいよ^-^絵里も言い過ぎたからごめんね^-^今日は午前中だけお仕事だったから午後は暇してるよ^-^』

よっしゃ。
こんな良い機会。遊びに誘わない方がどうかしてる。

『じゃあれいなん家来ん?あれからちょっと料理してまぁまぁ上手くなったけん唐揚げとか。絵里に食べさせとぉ』
『2人?^-^』
『2人じゃダメ?』
『うーん・・・^-^;』

ほぼ笑顔固定の絵里ちゃんマークの顔文字に汗浮かばせるほど嫌なのか。
ショックで海底2万マイルまで沈んで溺れ死にそうなのだが、そういえばそうだったと思い出す。
2人きりじゃなかった。あいつがいる。

『実はもう一人れいなの同居人がおるけん』


*****


「あ、あと肉まんくださーい」

たらこスパゲティーとサラダ。飲み物にウーロン茶を買って帰り際にファッション雑誌を立ち読みしていこうと雑誌コーナーに回る。
平日の昼間なので立ち読み客はいなかった。自分一人だけだと途端に貧乏臭く感じるのはなんでなんだろう?これが群集心理ってやつ?
道重さんも今日はお休みみたいだしやっぱりもう帰ろう。

「・・・お」

少し暗めの茶髪にパーマがかったセミロングで小柄な可愛い子がコンビニ前の駐車場で地図を広げていた。
しきりにうんうん一人で頷いては、また地図を見て首を傾げる動作を繰り返している。
私、道がわからない人ですと宣伝しているのかそれとも天然か。
どちらにしろ可愛い女の子、とくれば声をかけない理由がなかった。

「すみませーん。ちょっとよろしいですかね?」

女の子が顔をあげる。ナンパと勘違いされてもおかしくないような状況なのにまるで警戒心がない。
あまり経験がないのかな。だとしたらやりやすい。

「あ、突然すいませんね。怪しい者じゃないですよ久住小春といいます。困ってる人を放っておけないナイスガイなんです。うふふ!
 ところであなたもしかして道に迷ってます?」

その子はコクリ、と頷いてから、

「この場所に行きたいんですけど」

と言って赤丸印のついた地図を見せてきた。


*****


ここが正念場だ。
両手で頬を2、3回打って気合を入れる。さて、彼女が来たらまず何をする?
まぁまずはリビングに案内して、さゆの家からパクってきた高そうなお茶を入れてあげて、それからこの前のこと謝って。
で、いい雰囲気になるだろうから、2人でご飯作りよぅよなんて誘って。
そっから抱きしめてキスしてベッド直行。・・・したい。
それは完全無理だとしてもご飯作るまではなんとか実現できそうなので、そこまで持っていくのに邪魔な障害をまずは消す。
さっきは勢いで同居人がいるからと伝えてしまったがその同居人には最初だけいてもらって、早々にご退場願おう。
あいつがいたらまず間違いなく雰囲気ぶち壊しでれいなが絵里に集中できんし最悪、絵里を口説こうとするかもしれん。
災害は未然に防いでおくのが吉だ。

・・・まだ1時間もあるなぁ。

ただ待つだけってのが苦手なれいなはさっきからリビングを左右に行ったり来たりしているのだがこれは余計に時間の進行が遅く感じる。
絵里が来るまでの間、さゆの家にちょっかいかけにでも行こうかな。
そういえばと、ニンニクがきれそうだったことを唐突に思い出す。。唐揚げにはこいつが必要不可欠なのだ。
時間もあるしちょいと一っ走りスーパーに行って買い物でもしてくるか。
豹柄のジャケットを着て、買ったばかりのラバーソールを履いて近所のスーパーへ向かった。


*****


「あ!」
「え?」

でかい声が自分の方に向かって放たれたのに反応し振り返るとなんとそこには、

「れいなだ」

絵里がいた。
仕事帰りのようで手には書類やらファイルやらが入った仕事用鞄を持っている。
もう片手には買い物籠を持っていて、中には玉子、鶏肉、ニンニク、片栗粉が入っていた。
ここで会えたのはタイミング的にちょうどいい。どうせこれかられいなの家に招待するのだからせっかくだから一緒に行きたい。

「偶然っちゃね絵里。なんで買い物しとぅ?もしかしてれいなん家で作る唐揚げの材料?」
「そだよ。ちょうど今メールして足りない物聞こうと思ってたトコ。ラッキーな偶然だね♪」

ニコ〜っと微笑む。ああ、可愛い。
こうして2人で買い物をしながら会話していると・・・新婚夫婦みたいだ。
その時れいなの頭の中にある風景が思い浮かんだ。
庭付き二階建ての白いでっかい家にゴールデンレトリバーと戯れる小さい双子のガキとそれを優しそうな微笑で眺めるイケメンパパ。
そしてキッチンには長いおさげ髪を肩にかけた、うなじが綺麗な料理上手の美人ママ。
『ご飯できたわよ〜』
『は〜いママ〜』
『いや〜ママの作る唐揚げは世界一っちゃね〜京香より美味しいけんれいなは幸せ者った〜い』
『もうパパったら〜そんなこと言っても何も出ませんよ?』
あははははは・・・

「れいな?おーい」

目の前には料理上手な美人ママが・・・、じゃなく。絵里がれいなの顔の前で手を振っていた。

「・・・最近欲求不満のせいかすぐ妄想の世界に入ってしまうと」
「?」
「こっちの話。ところで、だったらニンニクも買ってほしいっちゃけど。今きらしとるけん。あ、金は全部れいなが払うとよ」
「割り勘でいいよ」
「これでも結構稼いどる方やし遠慮せんでもよか。だいたいれいなが誘ったけん、ここは甲斐性見させてほしいと」
「おぉ〜。じゃ遠慮なく」

そうしてお菓子もついでに奢っちゃれーと絵里の大好きな梅干しのお菓子も買って2人で店を出た。
荷物はれいなが持ち、先導して歩いていく。
先ほどの買い物の時と違って雰囲気があまりよろしくない。
絵里はれいなの新しい住居のことを知っていたし、さゆと同じマンションなのでもちろん場所もわかっていたが並んで歩こうとはしなかった。
もちろん昔みたいに手を繋いだりすることもなく会話もそこまであるわけではない。
ぎこちないというよりはただただ気まずかった。
例えるなら、美容院で口下手な美容師に当たってしまった時のようなお互いに相手を探りあう気持ち悪い感じ。
『お、お客さん、景気はどうです?』
『はぁ。ぼちぼちでんな』
『そうですか。そいつはよかったです』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
会話終了。みたいな。
友達ってもうちょっとなんかこう、弾むと思うのだが。

「同居人さんはもう部屋にいるの?」
「ん、ああ。いるっちゃよーうるっさいのがな」

大方、向かった先はさゆビニあたりだろう。近場ですぐご飯を買える場所と言ったらあそこしかない。
ちなみにさゆビニとは、さゆのコンビニを略したものである。さゆが所有するコンビニというわけでもないのに。
同マンションにあるのだからいくら小春がどんくさいウスノロでもそこまで時間はかからないだろう。もう部屋にいるはずだ。
まぁ、途中で追い出すけど。

「11階の5号室がれいなが住んどぅとこよ」

エレベーターに乗り込もうとすると、

「ねえ、階段で行かない?」
「へ?」
「ダイエットになるし。ね!」
「え?」

あのこっち荷物持ってんですけど・・・鬼か?
・・・ハテ。でもなぜわざわざ階段?
もしかして狭い箱の中に2人きりで閉じ込められるのが嫌だった、とか?
11階って結構遠いし・・・。

「・・・・・・」

第12R残り数秒ってところで絵里の右ストレートがれいなの鳩尾に綺麗に決まった。
そんなに2人きりが嫌か?
いやでも、ほんとにダイエット目的なのかもしれないし。絵里めっちゃ細いけど。
ネガティブに考えたら11階まで辿り着くことなくKOしてしまうのでポジティブに考えていこう。
絵里は今ダイエット中なんだ。昇降運動ならぬ昇昇運動ってやつだ。
・・・と、考えてる間にもれいなを置いてどんどん先を行く絵里。どこまでも容赦のないやつだった。


*****


精神的苦痛を負いながらも地獄の階段ゾーンを根性で抜け、死に体でようやく11階に辿り着けば、
先に行っていた絵里が5号室の前でドアを背にして待っていた。
遅いよーなんて頬を膨らませながらこっちこっちと手招き。
はいはい、と小走りでそこに向かいドアを開けて中に入れてやる。

「おじゃましまーす」
「おかえりなさーい」

小春はやっぱりもう帰って来ていたか。

「客来たけんお茶入れてやってー」

靴を脱ぎながらそう言うと小春は、

「ちょっとーなんで私がお茶汲みなのよ。この家の主はあなたなんだから普通田中っちがやるもんでしょーが」

・・・・・・。
え?
思わず靴を脱がす手が止まった。

「は?」
「ん?あ。お客さん無視とかいきなり失礼すぎだったね。まずは挨拶からだよね。コホン。
 えー、新垣里沙と申します初めまして。好きなものはお酒で、田中っちとの関係は・・・あははは。なにこの挨拶。おもしろいね〜」

一人で言って一人でウケてるこの人は・・・。

「が、ガキさん!?」
「ん?何?」
「いや、なんで!?なんでここにおると!?!」
「なんでって、いちゃいけないの?」
「いやいやいやいや・・・」

そうじゃなくて。
小春は?小春はどこ行った。まさか、え?小春がガキさんに変身したの?
だってガキさんがここにいるって有り得ない事だ。
なぜならガキさんは・・・

「ポリネシアにいるはず・・・」
「長旅だったよー。飛行機で10時間以上かかったからね。もう肩凝っちゃって。そのままここ来たからさぁ」
「・・・ま、マジデ?」

なんでまた日本に来ようなんて思ったんだ・・・?
いや、まぁそれは後で聞けばいい。その前に。

「えーっと、絵里。あのー、あの人は・・・」
「誰なの?」
「えっと新垣里沙さんと言って、れいなの、」
「一緒に暮らしてるの?」
「え?いや、ちg」
「正確には"暮らしてた"が正しいね。まぁまた一緒に暮らすんだけどさ〜」

あっはっはっは、って・・・ちょっとガキさん静かにしててくれ頼むから。後生だから。
まだ玄関で2人とも靴を脱いですらいないこの状況。下手すりゃ絵里がそのまま帰りかねん。それだけは阻止せねばならない。

「絵里、真面目に話すから真面目に聞いてほしいっちゃけど、実はぶっちゃけガキさんちょっと頭がアレやけんたまにおかしいこと話すんよ。
 だからあんまりあの人の話すこと真に受けんでね」
「ちょっと失礼ねぇ。私は普通よ」
「ガキさん!今かられいなは絵里と真面目な話するけん黙っといてねホントに!」

なんでよーという外野の声は無視して絵里に向き直る。
が、なぜか目を合わそうとしてくれない。あからさまに斜め下の方に視線を向けている。
確認しなくても機嫌が悪いってわかるな。

「間違いなく誤解しとぅよ絵里は。今かられいなが説明するから。まずあの人、ガキさんはれいなと同居しとらん。
 久住小春っていうアホな男と一緒に暮らしてるかられいなは。なぜか今おらんっちゃけど」
「ふーん・・・」
「で、じゃあなんでガキさんここにおるの?って思うやろ?れいなもわからん。なんでここにおるとガキさん!」
「だから迎えに来たのよ。ポリネシアに帰るよ田中っちー」
「えぇ!?」

いや帰らんしそもそもれいなの故郷は日本であってポリネシアではないのだから帰るって表現はおかしいだろう。
というか、ガキさんも日本からあっちに留学してたんだからこっちが故郷だろうが。

「また一緒に暮らそう田中っち。私どうも田中っちがいないとダメみたいなのよね。田中っちの居ないあの家は寂しいものよ?」
「誤解を与えるような言い方せんでよ!2人で暮らしてたわけじゃなか!もう一人おったやろフランス人の人が!」
「そうだったっけ?あははは」

ガキさんはれいなに嫌がらせをしたくてわざわざ日本に来たのか?
真冬で、しかも滅多に汗をかかない体質だというのにさっきから冷や汗が止まらないので袖で汗を拭っていると絵里がやっぱり目を合わせないまま、

「れいなは向こうで新垣さんと一緒に暮らしてたの?」
「2人で暮らしとったわけじゃなかよ?もう一人フランスから来た人がおってな。3人でルームシェアしてた」
「でもまぁほぼ2人暮らしみたいなものだったじゃない。あの人いっつも夜は飽きもせず彼女と砂浜デートしてたし」
「ガキさんは黙っとり!絵里?違うっちゃよ。確かに2人の時は多かったっちゃけどやましいこととか何もしてないけんね。
 れいなは真面目に彫りの勉強してたけんね」
「そうだねー。やましいことは何もなかったよ。田中っちは勉強ばっかしてたし、たまに2人でプロレスごっこするぐらい」
「うるさいうるさーい!絵里?違うっちゃよ?やましくない方のプロレスごっこよ?」
「・・・・・・」

汗が止まらん。
なんでこの最悪のタイミングで、よりによってガキさんと絵里がハチ会わせしてしまうんだ。
どんだけ運に見放されているんだれいなは。
絵里が片手で髪を耳にかけてからぼそっと一言。

「・・・絵里、帰るね」

あっ、と反応するのも間に合わず早々と部屋から退散していった。
慌てて追いかけようと脱ぎかけの靴を急いで履きなおすと再びドアが開いた。

「絵里!?」
「うおっと。なんですか田中さーん血相変えて。顔めっちゃ怖いですよ?どっか出かけるんですか?」
「・・・お、おまえこのタイミングでよくもノコノコと・・・」
「ん?何かあったんですか?あ、田中さんに用があるってお客さんいたんで部屋に上げましたよ。
 新垣さんとどんな関係なんですか?田中さんも隅に置けない人ですね〜」
「このヤロ・・・」
「それはそうと今、超レベルの高い美女が泣きながら走ってったの見たんすけど、」
「っ!」

ドアを破壊する勢いで飛び出して追いかけた。


*****


なんでいつもこうなるんだ。
なんでこう上手くいかないんだ。



「絵里ぃぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」

ただでさえ足の速い絵里が全速力で走るもんだから男のれいなでも結構な距離を走らないと追いつけない。
それに運動は得意な方ではないので、いつの間にかマンションからかなり遠いところまで来てしまった。
絵里に追いついた時には呼吸で自分が死ぬかもと錯覚するほど肩で息をしていた。
おかげで真冬だというのに上着がいらないくらい暑い。

「やぁ・・・っと、追いついた、っちゃん・・・はぁ、絵里、足、速すぎ・・・」
「・・・はぁ、はぁ」
「こっち、向きよぅ」
「・・・っ、」

パァンッ、と。
乾いた音が響き渡ってようやく自分が殴られたことに気付いた。
これで2度目か。1度目は身構えていたからまだマシだったけど突然くると痛みよりもショックの方が大きいな。

「・・・え、」
「ばかばかばかばかばかばかばかっ!なんで追いかけてくるの・・・」
「そりゃ、追いかけるやろ・・・」
「友達なんだから、ほっとけばいいじゃん・・・」
「・・・、友達、なら・・・、なんで泣いとぅ・・・」

ビンタもショックだったが、何よりもれいなのせいで絵里が泣いてることの方がショックだった。
何回、好きな子泣かせる気だよ・・・。

「っ、ぅぅっ、悔しい・・・。もうれいなのことで泣きたくなんてなかったのに・・・。
 れいなはっ、れいなは、絵里が待ってる間、あの人と・・・」
「それは誤解っちゃ!仲良くって・・・友達以上の付き合いはしとらんって!」
「でも夜は2人きりだって!・・・絵里は、そんなこと知らずに、ずっと・・・」
「・・・た、確かに夜は2人だったっちゃけど、それでも!神に誓ってガキさんにはそういうことは何もしとらん!」
「・・・絵里はっ、絵里はぁ・・・ぁぅうっ」

どんな言い訳弁明しても絵里が泣き止むことはなくて。
両手で隠しても手の隙間から止まることなく涙がポロポロと漏れ出ている。
どうすれば泣き止む?どうすればわかってもらえる?なんて説明すればいい?

「ああああーーーーもう!!」
「!」

もう友達とかどうでもいい。

「れ、いな・・・」

ここで抱きしめなきゃどうしろっていうんだ。
れいなは頭が良いわけじゃないから、こういうことでしか気持ちを伝えられないんだよ。

「だかられいなは絵里が好きなんだって!」
「・・・」
「恥ずかしいけんこんなこと外で言わせるなよ・・・」

しかもここ住宅街だ。
大好きな昼ドラ代わりに主婦たちがれいなたちの会話に聞き耳をそばだてていることだろう。
もう少し先の広い道路に出るとオフィス街が。
いずれここを通るであろうリーマンが飲み会での話題探しにれいなたちの会話に聞き耳をそばだてることだろう。
恥ずかしすぎて最悪だ。れいなは。
でも絵里は。
絵里の顔は見えなかったが、たぶん、泣き止んだ。と思う。
絵里が泣き止んだのなら、いいか。恥ずかしいとか、どうでも。

「・・・ほんとにほんと?」
「ほんとよ」
「新垣さんとは、何も、してないの?」
「・・・」

応える代わりに抱きしめる力を強くしてやった。

「く、苦しいよれいな・・・」
「わかった!?」
「わ、かったよ」

そうか。わかったんならよかった。ゆるめてあげよう。
でもまだ離したくなかったので、もう少しこのままでいさせてほしい。
離したらちゃんと"友達"に戻るから。
もう少しこのまま・・・、

「あ、っ!」
「ん?」
「た、・・・」
「ぁあ?」
「たか、はし・・・さん・・・」

振り返って見るとそこにはいつかのスーツ男がれいな達を見ていて・・・





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