寝室の窓に打ちつけられる激しい雨音と、サッシがガタガタと揺れる音で夢の世界から現実へと強制的に引き戻された。

(もっと寝たいのに…)

天気、いや地球に大事な睡眠の邪魔をされて「もぉ…」と力なくつぶやくさゆみ。
こっちは雨が降ろうが槍が降ろうが、隣で眠るれいなの腕枕の心地良さをまだまだ手放すつもりはないんですけど。
大好きな人と一枚のタオルケットを分けあって、裸の肌と肌を擦り合わせながら眠る幸せな時間は何事にも変えがたい。
さゆみの白ピンク肌とれいなの真っ白肌をピッタリ密着させて、耳に届くれいなの規則正しい呼吸と心音が子守唄代わりになって…このまま気持ちよく二度寝できそう…


…とはいえ、だ。

いくらくっついて寝るのが好きなさゆみでもシングルサイズの安物ベッドではやっぱり狭くて、いつも壁側に寝るさゆみと違ってれいなは寝てる間にベッドから落ちてしまうこともしばしば。
同棲を始める前にさゆみが使っていたベッドを隣に並べていたこともあったけど数日でスプリングと足が壊れしてしまった。理由はあえて言わない。
あー誰か。二人で寝てもフッカフカで、いくら動いてもギシギシ言わない大きな高級ベッドくれないかな。

…と、いくら願ってもそんなベッドはどこからか降ってくるわけもなく。現実は長引く梅雨の激しい雨粒ばかり。
そして他力本願な物欲よりも今のさゆみは自分でどうに出来る食欲が勝るみたいで、お腹がグーグー悲鳴をあげている。
お腹の音をれいなに聞かれたくないし何だかんだ目も覚めちゃったから二度寝は諦めて起きるとしよう。
出会ったばかりの頃と変わらない子供みたいな寝顔のれいなの可愛いおでこにキスをしてから、起こさないように跨いでベッドから降りた。

寝室の扉を開けてリビングを裸足でペタペタ歩くさゆみの視界に入ってくるのはフロアマットやフローリングの床に散乱する二人の衣服。
そして今朝浴びたシャワーのお湯なのか、二人の汗なのかもしくはアレやコレやなのか分からない大小の水溜まり、そしてショッキングピンクの使用済み水風船。
もちろんそれらは全てさゆみとれいなが生み出したもので、昨日も結局仕事から帰宅して即えっちして、ご飯を食べてお風呂に入りながらえっちして、就寝前にえっちして、今朝起きて簡単な朝食とシャワーを済ませてからえっちして、疲れて昼寝して…そして今が15時前。
それもこれも性欲旺盛なれいなに仕方なく付き合ってるだけ…と言いたいところだけど、どうやら二十数年間さゆみの中のパンドラの箱に封印されていた欲求が溢れだし大爆発してる真っ最中らしい。
自覚はないけどこの前仕事場の休憩時間に同僚のおばさま方にそそのかされて日々のえっちの時間と回数を言ってしまったらドン引きされた。
まぁ『さゆちゃん若くて可愛いもんねー』って言われて悪い気はしなかったけど、『まぁ今だけよ』とも言われた。
いつかはさゆみにもそんな日が来てしまうのかな…飽きられるのだけは嫌。

………

お手洗いで小さい方を済ませた(大きい方は4714)さゆみはお腹の悲鳴を静めるためにキッチンへ。
もう時間的には昼食というよりおやつの時間だけど何を食べようか冷蔵庫の中を物色する。
昨日のお夕飯にれいなが作ってくれてとっても美味しかった肉詰めピーマンの残りは大きなタッパーの中に。
その奥には二日前にさゆみが作ってそれなりに美味しかったセロリチャーハンのお皿。
まだ認めたくないけど付き合い始めて自炊するようになってからのれーなの料理の腕はビックリするぐらい上がっていて少し危機感。
元々、切る・焼く・煮る・混ぜるで済む料理しかしたことがないさゆみがれいなに抜かれるのは時間の問題かも。
料理以外の家事も全般的に得意じゃないし…

「わっ!」

冷蔵庫を覗き込むさゆみの背後で人の気配がしたと思った瞬間、振り向く間もなく後ろから抱きしめられた。
全身にゾワッと寒気が走って鳥肌が立ちそうになったけど、正体がれいなと分かったら大きなため息が出た。

「もぉ〜脅かさないでよ…あぁビックリした…」
「ニシシッw さゆ冷蔵庫に夢中で全然気付かんのやもん。」
「ねぇ本当そういうの苦手だからやめて?」
「でもれーな以外おらんやろ?」
「でも…もしかしたら泥棒とかいるかもしれないでしょ?恐いの…」
「…そうやね、ごめんもうしないけん許して。」
「うん、許す………でも、」
「でも?」
「パンツぐらい穿いたら?」

お尻にツンツン当たってくすぐったいシメジの感触で今れいなが全裸なことは姿を見なくても分かる。

「いやそれはさゆもやろw」

あっそうだった。さゆみも着てないんだった。

「はぁ〜〜〜…ふわふわしとう…」

裸のさゆみを背中からぎゅ〜っと抱きしめて密着してくるれいな。
ひんやりスベスベの肌やヒゲなんて1本も生えてないモチモチのほっぺたで背中をスリスリされると気持ちよくてつい受け入れてしまう。
それを良いことにれいなの手はさゆみの二の腕やお腹、太ももを優しく撫でたり揉んだりつまんだり。肩やうなじにはついばむようなキスを何度もしてくる。
静かなキッチンに『ちゅっ…ちゅっ…』というキス音と身体をまさぐるサラサラした音が耳に響く。
無意識に「んふっ…」と漏れたさゆみの吐息を聞いて嬉しそうに微笑んだれいなの左手は胸の方へ、右手はお股の方へ…

「…はいっストップ!」
「えー!」

自制心が崩れかかる寸前にギリギリ踏みとどまった。ふー危ない。

「なんでよ〜いいカンジやったやん。」
「さっき寝る前にしたばっかりでしょ?それにキッチンはお料理を作る場所であってそういうことをする場所じゃないの。」
「んじゃあアレは?」

れいなが指差す先、キッチンの床に落ちているフリルのついたピンクのエプロンを見て(そうだった…)と昨夜の戯れを思い出し、後悔した。

「裸エプロン…興奮したっちゃね…w」
「とにかく!れーなはあっち行ってて!」
「へいへいw」

赤面するさゆみを見れて嬉しそうなれいなはキッチンからリビングのソファーに腰かけた。

「ねぇ!そこ、ソファーの下に落ちてるTシャツ取って?」
「投げるよ?」
「うん。」

れいなに投げてもらったやっとこハム二郎のTシャツを着て晴れてさゆみは裸族を卒業する。

「うわっえっろ…」

上はTシャツ下は裸のさゆみを見てれいなはつぶやいた。
れいな曰く大事なトコロがシャツの裾で見えそうで見えないのが男のスケベ心をくすぐってたまらないらしい。
でもそれって裸より隠れてる方が良いってこと?なんだが複雑ね…

「ねーいつものゼリーで良い?」

結局冷蔵庫の中をいくら見渡しても今すぐ簡単に食べられるのは栄養補給系のパウチゼリーだけだった。

「うん。マスカット味がいいー。」
「おっけー。」

ゼリーを2つ持ってソファーへ行くとれいなも落ちていたTシャツを拾って着ていた。
水色のTシャツの裾からスネ毛ゼロの女の子みたいに白くて綺麗な細い脚が生えていて…うん、これは確かにえっちかも。

「よいしょ。」

さゆみは座っているれいなの太ももの上に向かい合う形で女の子座りした。
さも当然のように座ったもんだから、『えっ?お互い下裸なのに?』みたいな顔でれいなが見つめてくる。

「なんつーか…大胆すぎん?」
「そうかな?」
「人って半年ちょっとでこうも変わるかね?」
「じゃあ全部れーなのせいだね。はい。」

れいなの口にマスカット味ゼリーの飲み口を咥えさせて、さゆみもピーチ味のゼリーに吸い付く。

「れーなっていつもマスカット選ぶよね。」
「うん。でもレモンとかリンゴも食べたことあるよ。」
「そうやっけ?」
「あっそのピーチ味は無いかも。」
「いる?」
「うん。」

お互い咥えていたゼリーを交換する。
あっマスカットもおいしいかも。

「ごちそうさん。」
「ごちそうさま。」

空になった容器をソファー横のゴミ箱に投げ捨てる。
パウチゼリーの良いところは三つあって、一つは飲み口がついてるから食べやすいところ。
そして二つ目は食べ終わったらすぐ捨てられるところ。
さらに三つ目がクッキーやビスケットと違って食べカスが残らないから…

チュゥ………

ほらね、すぐにキスできる。これが一番の利点。
最初はあれだけ緊張して恐かったキスだけど、今はすっぴんを間近で見られても気にならないし、自然に舌を差し出す余裕も、嬉しそうに絡ませてくるれいなの反応も楽しむことが出来る。
でも心のドキドキは今も変わらない。さゆみの唾液をれいなに吸われて体内に飲み込まれるなんていまだに変な気分だし。

「ニシシwピーチ味した?」
「ふふっw マスカット味とミックスやった…w」

二人で見つめあって、笑いあって、少し恥ずかしくて胸がときめく。

「なぁこの後どうするー?」

調子に乗ったれいなが、さゆみを抱き寄せながらさりげなくお尻を撫でてきたので手の甲をつねって撃退した。

「いてっ…」
「うーん…どうしよう…」

そう言いながらさゆみは腰を前後に動かして、お尻の下にある分身を刺激してやった。

「いやどっちなん?w」
「どっちだろうね…w」

年頃の男女が下半身裸で重なっていたらこの後の予定なんて一つに決まってるのに素直じゃないさゆみ。

「ん?…結局脱がすの?」
「さっきからハム二郎がこっち睨みよって目障りやけん。」

れいなはさゆみのTシャツを鎖骨の辺りまでめくって落ちてこないように裾を丸める。

「…好きだよねぇ。」
「うん好きよ?」

何を当たり前のことを、と言わんばかりに即答で言い放つれいなの目は両胸に釘付け。
色艶形に自信はあれどボリュームは物足りない小さめおっぱいがれーなは大層お気に入りで、今もショーウインドウに並ぶトランペットを眺める少年のように目をキラキラさせてる。

「食後はこれに限ると♪」

どうやられいなにとってゼリーが主食でおっぱいがデザートらしい。
下から浅い膨らみを優しく持ち上げられ、れいなの小さな手の中でふにゅふにゅと形を変えながら揉みしだがれる。
柔らかい感触と息を漏らすさゆみの反応を楽しむれいなは、青い血管が見える白い肌に何度も口付けていくつもの花びらを散らす。
真ん中に寄せた胸の頂点に舌を伸ばして、さくら色の乳輪を焦らすようにネットリとなぞられる。
れいなはそのツルツルの舌触りが癖になるようでザラつく舌先が何度も何度も円を描いてねちっこく愛撫されると、まだ触れてもいない先っぽがムクムクと顔を出し始めた。
早く先っぽを咥えて欲しいと思ってしまったさゆみの身体が無意識に動くけどれいなはあえて避けて触れようとしない。

『いじわる…』

そう目で伝えたられいなはイタズラっ子のような笑顔で微笑んでから今度は素直にハプッと先っぽに吸い付いた。
待ちに待った刺激と快感に「あぁんっ」とだらしない声をあげて天を仰いじゃったさゆみ。
れいなの可愛い唇に咥えられ、吸われ、舌で舐め回されるたびに小さな豆粒は芯が通ったように固くなってきて、口内で限界まで膨らんだ乳首をコリッと甘噛みされると高く甘い喘ぎ声をれいなに聞かせてしまう。

「感じとうと?」

両乳首を両手の指で同時にコネコネ、コリコリされて余裕のないさゆみに分かり切ったことを聞いてくるれいな。

「うるさいの…っ!」
「素直じゃなかとねw こっちの方はバリ素直やのに…w」

今度は先っぽをくすぐるように指先でさすさす撫でられる。

「んんっ…!」
「まぁそんなところも可愛いし、フワモチおっぱいも、カチコチなミニミニ乳首も、綺麗なピンク色の乳輪も全部可愛いすぎやけど…ハプッ」
「んはぁっ…!」

さゆみが恥ずかしがると思ってわざとえっちな言葉で責めてくる…悔しいけど効果テキメン。
しがみつきたい衝動に駆られ愛撫を続けるれいなの頭を抱きしめて、金髪頭をいくら掻き乱してもゾクゾクが止まらない。
そのことが分かっているれいなは舌先でレロレロと先っぽを転がしながら、弱い背中や腰やお尻を両手を使って撫でてくる。
こんなにされたらそりゃ我慢しようがない切羽詰まった甘ったるい声も出ますって。
付き合う前はオナニーすらしなかったさゆみがれいなの手によって細胞ごと作り替えられてるんじゃないかと思うほど日に日に感じやすくなっている。
それだけれいながさゆみに夢中になってくれてる証拠なんだろうし嬉しいんだけど、まさかこんなになるなんて半年前までは思いもしなかった。

( あっ、そうだ… )

ふと。
こんな時にというのか、こんな時だからこそ、どうしても聞きたかった事を思い出した。

「ねぇ…」

チュパチュパと音を立てて吸い付いて離してを繰り返していたれいなが目線だけをこっちに向けてくる。
舌先でコロコロ転がしながらさゆみを見上げるれいなの顔はほぼ子猫。
さゆみの目には本来無いはずの猫耳が見えてしまうほど…あぁヤバい、ぶち可愛い………いやそれはそれとして。

「なんでれーなはさ…」
「うん?」
「…さゆみを、選んだの?」

その言葉を聞いて、ピタッ…とれいなの時が止まって、たっぷり唾液を塗り込んださくら色の突起を口から離した。

「うーん…」
「ふぅ………あんまり言いたくない感じ?」
「いやそんなことはなかよ。ただ『選んだ』ってゆー言い方は、ちょっとなぁって。」

困ったな…と言わんばかりに八の字眉毛で苦笑いするれいな。
その表情を見て(あぁそういうことか)と慌てて訂正する。

「あっ、ごめん…聞き方が悪かったの…」
「うん。」
「…じゃあ…何でさゆみと付き合おうと思ったの?」

さゆみの疑問のパスを受け取ったれいなは少しの間考えて、

「れーなが『さゆと恋人になりたい』って思ったキッカケとかでもよか?」
「うん全然いい。」

れいなの口から『恋人』って言葉を改めて言われると気恥ずかしいのは何でだろう。
こんだけ毎日のようにヤリまくっといて今さらなんだけど。


「やっぱり『身体』かな…」


「………は?」

まさかの言葉に変な声が出て時が止まり、即自分の耳を疑った。でも。

「か、身体目的だったの?!」
「ん?あっ!いやそういう意味やないよ?」

慌てて否定するれいな、ムッとするさゆみ。
でも間違いなくれいなは言った『身体』って。

「どういう意味なの?」
「怒らんでって。ちゃんと説明するけん。」
「分かった聞く…」
「うん。でもさゆにとっては思い出したくない話になるかもしれんけど…」

れいなは少し寂しそうな顔をした。

「良い。聞きたい。」
「分かった。………れーなが刺された時さ。」
「うん…」

ある程度予想はついた。
二人共通の思い出の中で思い出したくないことってあれだけだもの。

「あの時は無我夢中でさゆに覆い被さって、れーな必死やったけん。何とかさゆを守らんといけん!って一心で他に何も考えとらんかったんよ。」
「……」
「そしたら背中がジワジワ熱くなって力が抜けて来て、さゆの泣き叫ぶ声聞きながら気絶して…気付いたら病院のベッドやったんやけど。」
「……」
「んで背中の傷が塞がって無事退院できてその後も色々あってさゆと二人で遊園地デートしたやろ?」

それがさゆみにとって、初恋を諦めるための最初で最後のデート…になるはずだった。

「そんで色々あってさゆが先に帰りよって、れーなはその帰り道に雨ん中、傘も持っとらんからずぶ濡れで寂しく歩いとったと。」

そして自分の手を見つめるれいな。

「でも頭ん中はデート中楽しそうやったさゆの顔とか握った手のことばっか浮かんどって……そしたら『ふっ…』と、ただ守りたい一心で必死に抱きしめたさゆの身体の感触を思い出したんよ。」
「……」
「れーなは男やけどモヤシやろ?でもそんときのさゆの身体はストレスで限界な状態で、比べ物にならんくらい細くて小さくて、筋肉も脂肪もなくて…アイツよく生きよるなって。」
「……」
「今考えたら不思議やけど、急にれーなん中に使命感?みたいなんが沸き上がって、これからもさゆをれーなが盾になって守ってやらんといかんくない?って思ったと。」

もうとっくに涙がこぼれてるさゆみの背中を擦りながら言葉を続けるれいな。

「そしたら自然とれーなん家からさゆん家に足が向かって走りだしとったと。『今すぐさゆをこの手で抱きたい』ってその一心で。」
「……」
「きっかけは偶然やったかもしれんと。でもその偶然が起きとらんで今の幸せがなかったとしたら、れーなは偶然やなくて必然やったと思うと。」
「……」
「…まぁその勢い余っていきなり初えっちしちゃったのは今でも申し訳ないと思っとるっちゃけど…w」
「………スンッ…スンッ…」
「……以上が、さゆと恋人になりたいと思った理由ったい。ちょっと意味合いが違うかもしれんけどれーなの本当のキモチ。」

満足した?って優しく微笑むれいな。

「ひっぐ…」

いくら抑えようとしても何度ぬぐっても涙が止まらないさゆみ。
なんなら鼻水まで出てきた。きっと今れーな以外の誰にも見せたくないぐらい酷い顔してる。

「にひひっw 誕生日なんやから号泣せんでよw可愛いお顔が台無しよ?」
「ふぇっ…おぼえてたの?」

そう。今日は7月13日。れいなと二人きりで過ごす初めてのお誕生日。

「当たり前やろw 今日雨やなかったらデートの予定やったし。この天気のせいでバリ綺麗な夜景が見えるレストランの高級ディナーがパーよw」

全然そんな素振りも見せないしさゆみの誕生日なんて忘れてると思ってた。でも違った。
ちゃんと覚えてくれていてサプライズまで用意してくれてた。
(あっ、さゆみ、れーなに愛されてる…)って改めて感じたら胸がキュンキュン鳴って、いつまでも止まない外の豪雨と余計に止まらなくなった涙がシンクロした。

「じゃあ…早く言ってょ…」
「言われるの待ってた?」
「ぅん…」

涙をめくられていたTシャツでぬぐってれいなを見つめると、この世で一番優しい笑顔で。

「お誕生日おめでとう、さゆ。」
「!!!………ありがとう。」

感謝の言葉を伝えてれいなに優しく抱きしめられて、れいなの愛情を身体全体で感じる。

「さゆの身体……柔らかくて、いい匂いして、ばり暖かいっちゃん…」
「ううん、れーなもだよぉ…」

潤んだ瞳で見つめたら何も言わずにれいなは唇を奪ってくれた。
その甘いキスは今まで貰ったどんな誕生日プレゼントより嬉しくて豪華で幸せで。
何度も角度を変えながら『もっとちょうだい』って我儘に求めた。



…そのまま何分が経ったろう。3分のような気もするし10分な気もする。
脳が溶けちゃいそうなぐらい気持ちいいキスだったからずっと離れたくなかったけど、流石に呼吸が続かなくなった。

「…………回らないお寿司。」
「は?」
「夜景が見える高級レストランが無理なら回らないお寿司屋さんがいいなって。お祝いしてくれるんでしょ?」
「そうやけど高いんやない?予約もしとらんし。」
「それはれーなが意地悪してなかなか祝ってくれたかった罰で何とかして?」
「むぅ…でもれーな回らん寿司屋なんて行ったことないし全然知らんっちゃけど。」
「そこは困ったときのよしざーさんなの♪」



〜〜〜〜〜

同時刻某所。ソファーで膝枕をしてもらってる女と、してあげている女。

「ぶぇっくしょE!」
「ちょっとひーちゃん。くしゃみがおじさんみたいだよ。」
「めんごめんごだYO。誰かに噂されたかな。」
「…他の女じゃないでしょうねぇ?」
「無い無い!よしざーはりかちゃん一筋だYO!」
「怪しい…」
「信じてYO〜!」

泣き真似をしながら小麦色の太ももにキスを何度も落とした。

〜〜〜〜〜



「確かによしざーさんなら顔も広いしいい店知っとるか…よし、聞いてみると。」
「ありがとう!れーな大好き!!」
「いや現金すぎやろw 演技下手かw」
「あっ分かった?w わざとやってみたw」

笑ってる。れいなもさゆみも。
ついさっきまでボロボロに泣いてたのが嘘みたいに心から笑ってる。

「はぁーおもしろw ……んじゃ、回らないお寿司まではどうするー?w」

さっきみたいにまたれいなの手がさゆみのお尻をサラサラと撫でる。
れいなの顔を見れば答えは一つ。『えっちしたい』ってバカ正直に書いてある。

でも…今度はつねない。
さゆみは何も言わずに腰を浮かせて、5割ぐらいの大きさに膨らんでいるれいなの分身を下の口にあてがった。

「えっ?あっ!いきなり?!」

さゆみの予想外の行動に慌てふためくれいなの顔を抱いて胸に押し付けながら分身を中へ飲み込んでいく。
アソコは十分すぎるほど濡れていて感情が高まって多分さっきの涙と一緒に溢れたんだと思う。
れいなの身体に不釣り合いなそのカタチを確かめ合うように、ゆっくり、じっくり、時間をかけて。
ジュプッ、ジュプッてやらしい音をさせながら狭い道を奥へ進んでいくごとにれいなの分身は更にメキメキと大きさと硬さを増してく。
おかげでさゆみの気持ちいいトコが遠慮なく引っ掻かれて、中がアツーくなって、ビリビリ甘く痺れてる。

「あぁっん!!」

そして限界まで膨らんだ分身の先っぽが一番奥を『コツン…』と小突かれて、外の雷雨同様小さな雷がさゆみの体を巡って全身がプルプル震えた。
「だいじょぶ?!」と心配してくれるれいなを手のひらを見せて制して身体を落ち着かせながら下腹部に手を当てるさゆみ。

(この中にれいながいるんだ…さゆみの中に…)

おへその辺りまで届いてそうなソレが、お互いが深く呼吸するたびに奥…子宮をツプツプ押し上げてくる。

「一人で無理せんでよかよ?」
「うん…いいの。」

もう人生何度目のえっちかなんて数えるのはとっくの昔にやめてる。けど、何度回数を重ねようとこの刺激や体験は特別。
そして今日はさらに、初めてさゆみ一人の力でれいなの全てを包み込めた。これも達成感、っていうのかな。

「それにまだゴムしとらんし…」
「だから、いいのっ!」

あのね、さゆみの方からゴムをしないで入れたってことはもう、『そーゆー』意味でしょうに。
肝心な時だけ異常なぐらい鈍いんだから。

「…ごめんさゆ、さっきの撤回…」
「ん?」
「こっちの意味の『身体』も…さゆん中、キモチヨスギ…w」

れいなの顔を見ると普段の青白い肌がピンク色に染まっていて、片目を瞑り切なそうな表情から余裕の無さが伝わってくる。
さゆみのカラダでそんな顔になっちゃうぐらい感じてくれてることが素直に嬉しいしゾクゾクするほど興奮する。

「ふふっ…ばか。」

真っ白で筋肉ゼロで乳首も綺麗で小っちゃくて、ホント女の子みたいに華奢だけど…今までもこれからもさゆみを守ってくれるれいなの身体。
だからさゆみはそれにめいっぱいの力と愛を込めて抱きついて。

「もっと愛して…」

れいなにしか聞かせられない言葉を耳元で囁きながらお腹の中のれいなをキューっと締め付け、唇を奪った。
そして同時に心の中で。

『ねぇ…赤ちゃん、つくろ…?』

そう、れいなに、今一番欲しいプレゼントのおねだりをした。


………


そんな思い出の誕生日からそこそこの長い年月が経ち。季節は夏から秋が顔を見せ始めたある日のこと。
あの日おねだりしたプレゼントは、今年からエメグリカラーのランドセルを背負って毎朝元気に登校している。
ただ数ヶ月前まで幼稚園児だったからまだまだお子ちゃまなのは当たり前。甘えん坊だし、ワガママだし、イタズラっ子だし。
でも中身に変化はなくとも身長は日増しにニョキニョキチャンピオンになっていて、最近は少しだけ夜ふかしも覚えたり。
明日も学校だから早く寝るように言ってブーブー文句を言われながらも夢の中へ旅立させた後の深夜、ようやく夫婦だけの時間が始まる。

「どっ、毒グモのお仕事?!」
「なに言ってんの。『毒グモ』じゃなくて『読モ』。今までもやってたでしょ?」
「あ、そうやったね。一瞬さゆが毒グモ女になるんか!と思って焦ったとw」
「いやなれる方法があるんだったら教えてよw」

あの時と同じソファーにあの時と同じ体勢で過ごしている今年31歳のさゆみとれいなのお風呂上がりパジャマトークは今日も盛り上がる。
優樹のこと、職場のこと、友達のこと、欲しいもの、食べたいもの、楽しいこと、イライラしたこと、とにかく何でもいい。れいなと話が出来れば。
そして話をしながら身体に触れあって、キスしたくなったらキスして、またトークが弾んでをひたすら繰り返す。それが楽しい。

「それでね、また今月も『美人千華』って女性ファッション誌からお誘いを受けたんやけど。」
「あぁいつもさゆがお世話になってるとこ。」
「そう。それでその担当編集者さんから連絡が来て、今回から読モじゃなくて正式にモデルとしてやってみないかって。」
「えースゴッ!もちろん受けたんやろ?」
「断ったの。」
「へ?どゆこと?」

予想通り分かりやすくズッコケるれいなが可愛い。

「だってコンビニのお仕事は続けたいし、お休みは減らしたくないし…ゆくゆくは店長の座を狙ってるし。」
「野心家やね…」
「でもね、そしたら担当者の人が『副業で構わない』って言ってくれたの。可能な限り無理のないスケジュールにしてくれるって約束してくれたし。」
「へー理解ある人で良かったやん。…その人、女よね?」
「もちろん。」
「一安心w」

余計な心配しなくていいのに。

「それでお願いなんだけど…『ピラティス』に通いたいな〜って。」
「それなんやっけ?」
「うーん、ヨガみたいなものかな。」
「えっじゃあ手足が伸びたり口から火が出たり?!」
「ヨガへの偏見が凄いの…凄ーく分かりやすく言うとストレッチとかエクササイズの教室みたいな感じ。この際気になるお肉とか落としたいんだよね…」
「さゆのカラダに気になるお肉とかないやんw ぜーんぶサイコーよ?」
「頭の中ぜーんぶスケベでいっぱいなれーなからしたらね。でもさゆみからしたらそうじゃないの。……ねぇ、試しに通っちゃダメかな…?」
「んー。」
「もっと綺麗になりたいし…可愛くなりたいな…」
「よかよ。」

まさかの即答。あっさり承諾に今度はさゆみがズッコケる。

「い、いいの?」
「だって通いたいんやろ?」
「うん…でも正直安くはないよ?お仕事が増えたら家事も…」
「そこは二人でやりくりしたらよかろ?優樹も昔ほど手がかからんくなってきとうし何とかなるやろ♪」
「ありがとうっ!」

嬉しくて思わず飛び付くようにハグしちゃった。
一瞬びっくりしてたけどすぐにれいなは優しく抱きしめてくれて。

「それによく考えてみーよ?」
「ん?」
「さゆがもっと綺麗になってもっと可愛くなって、この世でイッッチバン得するのは誰よ?…れーなやろw」
「………そうやねw それは言えちょる…ンフフッw」

モデルのお仕事を口実にしてるけど本当はれいなに褒めて欲しくて綺麗になりたい、可愛くなりたいさゆみ。
そんなことれいなにはお見通しだったみたい。

それから二人で笑いあって、やがてキスして。もっとキスして、キスしまくっちゃって、やっぱりえっちしちゃって…w
大好きな旦那サマとかけがえのない娘に囲まれてとっくにぶち幸せなんだけど、31歳の誕生日を迎えて更に欲張りになったさゆみ。

だからまた改めて、おねだりするね?


『 もっと もっと もーーーっと

    れーなに 愛されたーーーい!!! 』





田中家になる前の日常 おねだり上手な愛されボディ編 おわり





お久しぶりになってしまいました。れいな生誕作以来です…(^ω^;)
というのも去年から自分や家族の事情で家にいる時間も多忙になってじっくり書く余裕が本当になくなってしまい、7月アップ予定のつもりが気付けば11月になってしまいました。
本当は田中家に限らずもっと色んなお話を書いてスレを盛り上げたいのですが…どうにも難しいというのが現状です。(無駄に多趣味なのも悪い…)

そしてまたワンパターンな内容になってしまった感がありますが、原作で語られなかったれいなクンがさゆみさんと付き合いたいと思った理由を書けて良かったです。
スケベなだけじゃない男前なれいなクンを意識して、いつもよりイケメン度増してみたつもりですが…やっぱり『カッコいい』より『カワイイ』が勝っちゃったかw
そしてあんなに可愛くて綺麗なリアルさゆれなが31歳だなんて。やはり最強6期は奇跡の二人ですね。これからもずっとずっと大好きです!!

以上、次はJKDKなちびまーどぅーが書きたい気分な日常でした。
 

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