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19年3月9日 第3分科会 議事録7

議事録1         10 11 12 13 14 15


 それから、講座制の核となる構造というのは学部まで達しておりまして、学生は学部教育後半にゼミあるいは卒論のために、あるいは卒研のために専攻分野の指導を受けるということになっております。一方、大学院入試の制度的な位置付けが明確でないこともありまして、学生は早くから囲い込まれておりまして、人文社会系の5割、理工系に至っては、実に8割以上の修士課程入学者が自校出身者で占められるということになっています。私は、感受性の高い多くの青年たちが流動することなく、同じ環境で6年とか8年、9年も過ごすというのは、大変不健全な状況にあると思っております。そして、大学院の入学試験に関しましても、我が国の大学院は他大学の学生あるいは社会人あるいは留学生を含めて、国の内外に広く公正に門戸が開かれているとは到底言えないと思っております。むしろ非常に不公正・不公平な状況にあると思っております。

 確かに、近年国の取り組みによりまして、講座制は制度の上から任意となっておりますし、各大学院における教育目的の明記あるいは各種の支援プログラムの整備等がなされてきております。しかし、実際には多くの事柄が各大学の判断に任せられておりまして、現状では本格的な向上が見られていないと思っております。

 そこで、大学院教育改革の近世でございますけれども、先ほど申し上げました時代は知識基盤社会に突入しておるわけでありまして、このままでは大学院生の知はますます細っていく、あるいは断片化していくと言っていいかと思います。そして、性別、国籍を問わず、すぐれた頭脳の獲得競争が激化する中で、このままでは大学院はこの人材の流動の潮流から孤立化を深めていく一方であると思っております。

 確かに、研究室中心の教員組織というのは、研究ユニットとして研究業績を上げるためにはすぐれた面もありますけれども、大学の予算や定員、ポスト等が絡み、変化に応じた再編などができにくい状況になっておりますし、また、はっきり申し上げますと、大学院生を研究労働力として使用する傾向があるという、理工系はそういう状況にあります。教授たちの研究業績の陰で、教え子の能力開発が置き去りにされているということで、激動するグローバル社会に対応するリーダーが育たず、また、我が国の国力がそがれていることを私たちは直視しなければいけないと思っております。

 この犠牲者は学生であります。感受性豊かな青年期にある学生には、受験の失敗あるいは進路の変更があっても、大学で頑張った者には再チャレンジの機会が当然与えられるべきでありますし、国籍・性別を問わず、多様な価値観・考えを持った者との共同・交流によって、お互いに刺激し合って成長する機会に恵まれることが何よりも大切であると思っております。大学は学生本位の立場に立って、学生の多様な可能性を育てて、社会に有為な人材を育成していかなければならないと思っております。そして、そのために、プロジェクトXを設置したいということを提案してきたわけであります。

 我が国の学術研究、研究は相当に高いレベルにあると思っております。大学の総合力では東大を初めといたしまして、一定の評価が得られておるようであります。しかし、大学教育の国際競争力というものは、大変憂慮されるところであります。

 なぜ教育力かということでございますけれども、現代社会における国際競争力の源は、まさに大学院の教育の充実にあると思っております。また、私は大学の教育と研究の要に立って、そして、産業界あるいは研究社会の接点に立つ大学院の教育機能の強化が、高等教育全体の改革の突破口になると思っております。ですから、あるべき出口ということを検討したいと思っております。日本は6・3・3・4制ということで教育体制が推移してきておりますけれども、実はこの上にある大学院が大事でありまして、大学院は課程の種類あるいは分野によって、年限あるいは体制が多様、すなわちXであるべきだろうと思っております。実際アメリカの強みは、まさにこのXの強み、充実にあるわけでありまして、このため、教育再生会議のワーキングチーム、プロジェクトXを設けて、大学院を頂点とした国際競争力強化のための改革方策を集中的に検討すべきだろうと思っております。

 資料2には、6つのテーマを掲げてございますけれども、強調したいことは、分野の特性を踏まえつつ、教育組織として独立した大学院の充実、実現にあるということでございまして、このためには国の内外の公正で開かれた入学試験をやるべきで、具体的には、併設しております自校の学部からの入学の原則排除ないしは大幅な削減が、要になると信じております。これで多様な学生を確保することができるわけでありますけれども、これに伴いまして、まずは研究室での個別研究指導の前に、いわゆる修士課程の初めの1年半ぐらいは国際水準の系統的コースワークによる基礎学力の徹底が重要であろうと思います。それに次いで、実力が検証された上で、個別の高度な研究指導が行われるべきであろうと思っております。これが実社会の要請に応える大学院教育を実現することになるのではないかと思っております。


議事録1         10 11 12 13 14 15

2007年05月25日(金) 12:26:01 Modified by nipponkamoshjka




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