肩甲骨の使い方を昨日今日と少し研究してみました。
まだまだ考えが足らない点も多いので、あくまで参考程度に捉えてください。



説明文を冗長にしないため、キックは右の蹴り、パンチでは右ストレートを放つことを前提としています。ちなみに軸足が左足、蹴り足が右足になります。


考えの結論から言うと
・パンチでは腕を放るに従って左の肩甲骨を広げる(外旋させる)
・キックでは左の肩甲骨を一度閉めてから(内旋させる)広げる(外旋させる)

ちなみに実際に肩甲骨を動かす必要はなく、動作を行うことで自動的に肩甲骨が外旋・内旋することになりますが、肩甲骨の動きが一連の動作に大きな影響を及ぼすことに注目しました。

肩甲骨は腕(上腕骨)・胸と連動して動きます。例えば腕を外側に出せば胸が張り、肩甲骨が内旋して背中が閉じます。逆に腕を内側に出せば胸が閉じ、肩甲骨が外旋して背中が張ります。
それだけでなく手首を内側に返せば肩甲骨が外旋し(背中が張る)、手首を外側に返せば肩甲骨が内旋します(背中が閉じる)。

パンチ(右ストレートと仮定)を打つとき、左の肩甲骨を外旋させて背中が張るとどうなるでしょうか。
この時左の上体が右半身の回転に抗うブレーキをして作用します。すると関節を通して先端部に回転力が生じる唐竿効果が発生します。
それにより先端部が効率よく運動し、パンチのキレや重さが外観として現れます。

そして肩甲骨を外旋させる方法は左のガードが鍵になると考えています。
先ほど「腕を外側に出す」「手首を外側に返す」ことで肩甲骨が外旋すると書いたように、左のガードをアゴの前に置くとき、左の手首を内側に返しつつ、顔面の中央に寄せるように位置取らせることで、自動的に肩甲骨が外旋します。

これによりブレーキ作用が生まれ、唐竿効果が発生することにより、右ストレートをより強く打つことができます。

ちなみに違うアプローチですが、同じ趣旨のことが野木トレーナー著の「まったく新しいボクシングの教科書」に書いてあります(書評はコチラ)


では次に蹴りについて。

蹴り(右の蹴りと仮定)の場合、左の肩甲骨を外旋させっぱなしにすると動きの制約が大きくなってしまいます。
なぜなら右半身に左回りの回転を生み出したとき、背中が張った状態では左回りの回転を妨害する"つっかえ棒"になってしまい、十分なうねり動作が生み出されず、それゆえ蹴りの威力やスピードに支障が出てしまうからです。

そこでつっかえ棒を外しておく必要があり、そのため左腕を下向きに外側へ切ることになります。
左腕を外側に出せば肩甲骨が内旋し、背中が閉じます。するとつっかえ棒がなくなり、右半身を十分に回転させることが可能になります。
さらに左腕を下におろすと肩甲骨も下がり、そこに右半身を回転させると、肩甲骨のラインと共に体軸が左斜め下方に傾きます。

つまり「左腕を下向きに外側へ切る」ことで、肩甲骨の動きを介して右半身の十分な回転と体軸を斜めに傾けることができます。

右半身の十分な回転により、うねり動作が生まれますが、一度内旋しておいた左の肩甲骨を再び外旋させる必要があります。
その理由はパンチの時と同じで、ブレーキ作用のためです。また、これはパンチの時も同様ですが、左半身の後傾を防ぐことができるので必然的に攻撃の間合いが5〜10センチほど伸びます。
すると要素はこれだけではないにしろ、この動作を行うことで蹴り足を足の甲ではなく、スネでしっかり当てられる要因になります。
なお左の肩甲骨を外旋させるためには、ガードを上げるときに手首を内側に返しつつ、こめかみよりもやや内側に位置取らせることが効果的です。
一般的なセオリーではこめかみに置きますが、こめかみの位置では肩甲骨が十分に外旋せずにブレーキ作用が不十分になる可能性があります。

さらに体軸を左斜め下方に傾けた上で、右半身を回転させると体軸に沿った軌道で収束していきます
それにより股関節の屈曲により摺りあげられた足が、徐々に体軸の傾き方向に向かうことになり、蹴り上げ動作を防ぐとともに、ローキックの際に必要な「打ちおろし動作」の基盤にもなります。

まとめると左腕の動きによって肩甲骨を内旋し下げておくことで、右半身の自由な回転をもたらし、蹴り上げを防ぐ体軸が作られます。そこから肩甲骨を外旋することで、ブレーキ作用をもたらし強い蹴りになる、ということです。

無駄な説明口調で理解するのが凄く難しいかもしれませんし、私自身の知識不足で至らない点も多いと思いますので、あくまで参考程度に捉えていただけると嬉しいです。

このページへのコメント

いえ、まずはruslanさんの記事で「こうすれば有効では」という指標ができるので練習にメリハリができています。ゆっくりだけど上達していく楽しみもありますので、がんばって見ます。

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Posted by 半々人前 2011年01月22日(土) 20:55:13 返信

ですから理屈で公式さえ理解出来れば、必ずある程度のレベルまでは達するはずです。
そしてなにより、上達するほど自分自身で応用する手段を見つけられるようになるので、キックボクシングが楽しくなると思います。

個人的事情を含んだ上に、上から目線で申し訳ございませんでした。

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Posted by ruslan 2011年01月20日(木) 00:18:01 返信

やはり上達したキッカケは理屈で「公式」を作り始めたからです。頭で理解してそれを実践すれば、ジムで5時間練習するよりも、家で10分シャドーした方がはるかに効率的でした。
(実際、身近な人にも練習しなくなって急に上達したと言われています)

これはあくまで自分のイデオロギーですが、周りの人間にも理屈で教えたほうが遥かに上達が早いですし、どうすれば上達するのかというイメージを抱いてもらえるようになりました。

といってもまだまだ僕の知識は、算数で言えば四則演算を理解しはじめた程度のもので、これからもどんどん吸収していかなければならないと痛感しています。

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Posted by ruslan 2011年01月20日(木) 00:05:18 返信

>半々人前さん

僕は才能のかけらもなく、当初はパワーがない、スピードがない、身体能力がない、などと言われて毎日サンドバックを何千発も叩いていましたが、見事なまでに上達せず心のなかで毎日挫折していました。

ジムが変わった今では、昔自分がどれだけロクでもなかったか力説しても、到底信用してもらえないほどです(笑)

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Posted by ruslan 2011年01月20日(木) 00:01:04 返信

正直なところ自分の練習しているところも直感的な説明以外、もらったことはありません。
選手や候補以外はこれといって対応はなしです。
直感で理解できる人は別ですが回り道をしても理解することが難しい凡人にはつらいところです。

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Posted by 半々人前 2011年01月19日(水) 23:22:01 返信

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