| 美穂 「ふあ〜…。 今日は天気がいいなあ。 なんだか眠くなっちゃうや…。」 |
| 肇 「あれ…? 美穂さん、お疲れ様です。 おひとりですか?」 |
| 美穂 「あ…肇ちゃんっ、お疲れさま! そうなの、撮影帰りで。」 |
| 肇 「美穂さんも、撮影だったんですね。」 |
| 美穂 「ってことは肇ちゃんも? ふふっ、奇遇だね♪……ってことは その服って衣装だったり?」 |
| 肇 「はい…、素敵なお洋服だったので 買い取らせていただいて…。私には 大人っぽいでしょうか…?」 |
| 美穂 「ううんっ、とっても似合ってるよ! フランスの女優さんみたいで、 ドキドキしちゃった。」 |
| 肇 「ありがとうございます。 美穂さんのお洋服も素敵です…♪」 |
| 美穂 「えへへ、嬉しいですっ。 実は私も、今日の撮影用衣装を 買い取ってきちゃったんだ。」 |
| 肇 「あら、そうだったんですね。 とってもお似合いだから、私服かと 思いました。」 |
| 美穂 「ありがとうございますっ。 んー…たしかに昔の私だったら、 縁のないファッションかも。」 |
| 美穂 「はじめの頃は、お仕事で着るのも 緊張しちゃって。でも今は前より 自信が持てるようになったかな。」 |
| 肇 「ああ…わかります。 私も、自分で選ぶ服が、以前よりも 少しばかり華やかになりました。」 |
| 美穂 「可愛い服をたくさん着せてもらって… 『可愛い』がわかるようになった。 なーんてっ、言いすぎかな?」 |
| 肇 「ふふっ♪ センスが洗練されてきた、ということ でしょうか。」 |
| 美穂 「ま、まだそこまではっ…! でも、都会っぽいオシャレに 近づいてきてる気がするのっ。」 |
| 肇 「私も、こちらに来るまで オシャレは縁遠いものでした……。」 |
| 肇 「陶芸に打ちこんでいたためか、 お恥ずかしながら、スカートを履いた 記憶もあまりなく…。」 |
| 美穂 「そっかぁ。スカートで陶芸って ちょっとやりづらそうだもんね。 でも憧れてたりはしなかった?」 |
| 肇 「スカート自体が、記号というか…。 何かしら意味があるような…、そんな 気持ちがあったのかもしれませんね。」 |
| 美穂 「記号?」 |
| 肇 「いつもより少し余所行きの服装、と 言いますか…普段の印象にない 服装をすると学校で騒がれたり…。」 |
| 美穂 「あ〜……私、その経験あるかも…。」 |
| 肇 「えっ。 何があったんですか…?」 |
| 美穂 「中学生の頃にね、すごく勇気を出して 市内のオシャレなお店に行ったんだ。 そこで可愛いスカートを買ったの。」 |
| 美穂 「すっごく嬉しかったから、ちょっぴり おめかしして、お散歩に行ったんだ。 そしたら……もう大変っ!」 |
| 肇 「ご近所で、何かトラブルでも?」 |
| 美穂 「『美穂ちゃん、デートと!?』って ご近所中でウワサになっちゃって! あの時は恥ずかしかった〜っ。」 |
| 肇 「大変でしたね…。 もしかして、ご家族やお友達にも ウワサになったり…?」 |
| 美穂 「そうなの〜っ! いつの間にか、家族とか友達にも 広まってるんだもん!」 |
| 肇 「田舎は、横の繋がりが厚いですから。 私も、似たような覚えがあります…。」 |
| 美穂 「肇ちゃんはどんなことがあったの?」 |
| 肇 「大した話ではないのですが… 書店で、流行のファッション雑誌を 見ていたところを…祖父に。」 |
| 美穂 「それは、気恥ずかしいかも…!」 |
| 肇 「はい…。 幸い、何も言われませんでしたが… あの時は顔が熱くなりました。」 |
| 美穂 「昔は、都会的なものに憧れる自分が 恥ずかしくて誰かに見られてないか こそこそしてたんだよね。でも……」 |
| 肇 「でも…?」 |
| 美穂 「今の私たちって、誰かに見られても いいんだよね。 むしろ見てもらいたい…というかっ。」 |
| 肇 「…そうですね。 アイドルだから、でしょうか。」 |
| 美穂 「うんっ。 私たち、アイドルだもん♪」 |
| 肇 「もう、雑誌やテレビで、憧れるだけの 存在じゃない… 私たちが、憧れそのもの…。」 |
| 美穂 「いつ声をかけられても、自信を持って 笑えるように…。 なりたい自分で、いなくちゃね。」 |
| 肇 「はい。オシャレも、お忍びコーデも、 堂々と…ですね!」 |
| 美穂 「お忍びコーデ! 肇ちゃん、もしかして……これだと ちょっと目立ちすぎ、かな?」 |
| 肇 「私も…目立っているでしょうか?」 |
| 美穂・肇 「ふふっ…♪」 |
| 美穂 「今日は、堂々と可愛くしちゃお! もし誰かに見つかっちゃったら… 自信をもって笑顔で♪」 |
| 肇 「ええ…! 堂々と胸を張って歩きましょう。」 |
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