六界連合軍の目的そのものは、前述した通り
シャクティアナ帝国の
ラスブロスを討伐することである。
これは、当時「
ラスブロスのみが、
六界を行き来できる
転移ゲートの存在を知っていたため、彼は
六界の完全なる支配を目論んで、部下を様々な星に派遣していた」と信じられていたため、積極的防衛のための出陣であった。
後世になって、
ラスブロスが残した書物、彼に近かった者の発言から、彼にその意思はなく、単に時代の流れ(自分自身を倒すための軍勢が派遣されたことすらも含めて)を見続けていたかったということが発覚する。
これによって
六界連合軍こそが真の侵略者と呼べる状況となるが、だからといって彼らが後世糾弾されることはあまりなかった。
その理由として、いくら
ラスブロス本人がその意思を持っていても、それを口にすることがなければ伝わることはなく、事実彼が派遣した
三魔王が、それぞれの国を支配していたことがあげられる。
また、彼個人は
ルーイガルドの周辺諸国を同格と思っていたが、組織の末端までその意思が伝わる訳がなく、実際に
シャクティアナ帝国の傘下同然の同盟を結ばされた国々は、派遣された将軍や役人による傲慢な態度、私財を蓄えるための搾取などによって事実上の支配下状態となっていたため、
六界連合軍が提示した「自分達に協力すれば
シャクティアナ色を排除する」という条件を好意的に受け止め、積極的に協力した国があったことも事実である。
強すぎる存在が、本人の意思とは関係なく周囲の国を威圧、事実上の支配下におき、水面下で反抗心を育てていたというこの状況は、皮肉にも彼が派遣した
三魔王が支配していた
フェローラ国、
リヴォル帝国、
アトレティア国とまったく同じものあった。
これらのことから、
ラスブロス個人の意思と、
シャクティアナ帝国が行った統制は必ずしも同じ方向を向いていたわけではなく、
六界連合軍の積極的防衛は、後世において疑問を持たれることはあっても、「当時の彼らがそう思っても仕方がない」と解釈された。
この好意的解釈は、
六界連合軍が、戦後
シャクティアナ帝国を支配せず、
転移ゲートを封鎖して速やかに撤退したことも当時と後世の人々の判断材料に大きな意味をもたらした。
だがその一方で、早々に
ルーイガルドから撤退したことにより、前述の協力した国への約束はほとんど反故にされ、そして巨大なカリスマであった
ラスブロスを失ったことで
ルーイガルドは大きな混乱を起こしたため、その点に関しては「
六界連合軍の罪」と明確に糾弾する識者は多い。