カスタリアの戦いに大勝を飾った六界連合軍は、その戦果をもってローヴァー国へ降伏の使者を送った。
使者に選ばれたのはエリシアであったが、ローヴァー国は国王ファンデルスから、臣下、民衆に至るまで、侵略者である六界連合軍に怨嗟の目を向けていた。エリシアは、説得術として、ハイネスブルの戦いにおいてローヴァー国軍が積極性を欠いていたことを指摘、将来を見据えてわざと連合軍を逃がしたとその行為を賞賛した。その言葉の意味がわからないファンデルスであったが、「ベレル国、スパルス国は、ハイネスブルの戦い後、連合軍に敗れたローヴァー国を救援する、という口実により実質上ローヴァー国を侵略していた。特にスパルス国は土地が痩せていて、このローヴァーの領土を手に入れる口実をずっと捜し求めていた筈」とエリシアに指摘されると、長年の仇敵だったスパルスとベレル国が簡単に共同作戦に応じたのも不自然だと考え始める。一度疑心を持ってしまえば、あとはエリシアの舌戦によって、ファンデルスの心は、連合軍側に傾き始めていた。
しかし、3年前、サルディーシャ国に敗れたローヴァー国に、疎遠と思われていたラスブロスはローヴァー国救援の軍勢を送っている。それを恩に感じていた将軍はファンデルスを説得した。
再び揺れ動くファンデルスだが、そこに六界連合軍がスパルス国の首都を陥落させたという報告が届き、これに完全に心の折れたファンデルスは、降伏を決意する。
だが、一部の将軍が独断で動き出し、エリシア暗殺を企む。
間一髪で生還を果たしたエリシアは、これがファンデルスの意思ではなく、暴走した一部の将軍の独断ということを考え、交渉の再開を考えるが、ストライアは、独断でカオス、ジュディスたちを動かし、ローヴァー国首都へ軍勢を差し向けた。
命令違反を犯し、何も知らない仲間の部隊を利用してまで出陣したストライア。
彼がそこまでこの国に拘ったのは、ローヴァー国が持つ他国を遥かに凌駕する規模と設備を誇る「港」に原因があった。
このまま遠征軍が進軍を進めた場合、ベレル国からローヴァー国を経由して背後を襲われる可能性を完全に潰す為、また、場合によってはこちらからベレル国へ進軍可能とする為、更には、将来的に連合軍の遠征が成功を重ね、シャクティアナ帝国にまで軍勢が進めば、伸びきった補給路を解決するために、ローヴァー港から直接シャクティアナ帝国へ向かう海路の確保も必要であった。
そして、サルファーたち本陣も、そのことを知っていながら、外交戦略に拘っていた為、ストライアは電光石火の独断専行で出陣を決意した。
完全な命令違反でありながら、連合軍本陣が彼に対して一切の処罰を行わなかったのは、自分たちがやりたくても、建前上できなかった事を、ストライアが独断で行った為、見て見ぬふりを貫いた為である。
再三の停戦の使者をストライアは無視、これに対してファンデルスは、エリシア暗殺を実行した将を捕らえて処刑して、降伏の意思を見せるが、その使者すらもクリスアーノが秘密裏に処理、他の将には使者の存在すら知らせなかった。
これは、ストライアとクリスアーノにとって、先のダルスバード艦隊消失で失墜させた信頼を回復させるため、とにかく戦果が必要だったためである。
ローヴァー国軍は、あらかじめ軍勢の一部を外に伏せて挟撃を仕掛けようとするが、ストライアに策を読まれ、逆に誘い出された所を攻撃され壊滅、そのまま首都決戦へと突入するが、ファンデルスは降伏を決意した配下の将によって討たれ、ローヴァー国は完全な六界連合軍支配下となった。
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