概要

スレイヴギアウィルス事件とは、レイトンビバスク大陸で当時おこなわれていた世界大戦の最中、9555年2月に突如としてスレイヴギアが一斉に暴走をはじめ、敵味方関係なくあらゆる人間を無差別に攻撃し、以後130年に及び大陸の文明を壊滅的なまで後退させた一連の時代の総称である。

顛末


▲9555年における勢力図

スレイヴギアの開発に成功したパラスティア国は、周辺諸国に対して圧倒的な優位性を保っていた、戦争を長引かせることで自らを潤していた軍需企業マクセスオルトリンデ2社は、それまで両陣営に均衡に売っていた武器を、連合軍陣営に絞り戦局の長期化を狙うが、スレイヴギアの性能は両社の武器をはるかに凌駕していた上に、鹵獲されると自爆するシステムもあり、その技術を手に入れることもできなかった。

そんな情勢下の中、パラスティア国の一人の天才技術士が動き出していた。
この男は、後に自らのデータをすべて削除しているため、一切記録が残っておらず、当時の研究員の日記からしかその姿を想像することはできないが、とにかく寡黙で、天才によくいる狂人タイプでもあった。
自らの出自を偽装して(その為本当の出身地は現在も不明)、パラスティア国で技術者として士官、ラストジャッジメントをはじめとする、数々の新型にして多少独創的なスレイヴギアを生み出す傍ら、それらを効率的に動かすメンテナンスソフトの開発にも着手。
しかし、そのメンテナンスソフトこそ彼が作り出したウィルスソフトであり、このソフトを使ったスレイヴギアには、ウィルスが仕込まれた。
他のソフトを圧倒する性能で信頼を勝ち取っていき、複数のソフトがつかわれていたメンテナンスの一本化に成功させると、9555年1月に行われた定期メンテナンスで、全スレイヴギアに密かにウィルスを注入。
2月のあらかじめセットされていた日に、スレイヴギア内に仕込まれていたウィルスは一斉に発症し、すべてのスレイヴギアが発狂状態となる。
スレイヴギアには脳波で操作する装備もあったため、そのシステムを利用することでコアユニットにも一種の幻覚症状を与えた。
その為、ウィルス発症時にスレイヴギアを装備していなかったコアユニットも同じく発狂し、自らの装備を身に着けて攻撃を開始、装備前に取り押さえられた者も獣の様に暴れたという。

装備者の目には、「同じウィルスを宿していない人間はすべて敵」に見え、「仲間や故郷を守るため、それらの敵を一掃しなければならない」という思想にとりつかれ、ひたすら無差別攻撃をはじめることとなる。
その為、外部からは発狂している様に見えるが、装備者本人は「みんなを守るために私が頑張らないと」という、一種の脅迫概念に支配されていたという。
更に、コアユニットとして肉体的な限界を感じ始めると、同じ波長のルーナを持つ後継者を探し出して無理やりスレイヴギアを装備させ、継承を続けていった。
その際、自身も「用済みとなった部品」とみなし、放置する。

こうして、「汚染機」と呼ばれるスレイヴギアは、ビバスク大陸のあらゆる国と都市を徹底的に破壊しながら徘徊。
人類の夢をかなえる筈だった「太陽光による半永久充電エネルギー」が、皮肉にも終わることのない攻撃を生み出すこととなり、人類はここから130年に及ぶ「瓦礫の中で、スレイヴギアに発見されない様に怯える生活」がはじまった。
文明はほぼ初期化され、破壊された都市や森といった、上空から見つかりにくい場所に人々は集落をつくり、スレイヴギアを「悪魔」、「破戒の血族」と忌み嫌いながら、狩猟や他の集落との物々交換などで細々と生きていく。
クロスクリムゾンをはじめとする、いくつかの対抗組織が汚染機に挑んだが、スレイヴギアに対抗する武器を作ろうにも、大掛かりな工房はすぐに発見され攻撃をうけたため、小さな武器と、大戦中に各地の地下工場に密かに送り込まれていた新型兵器シューティオンリベレイターシリーズを使うのが精一杯であったこともあり、そのほとんどは一方的に壊滅させられた。

しかし、9683年にコールドスリープから目覚めたホワイトフォックス隊が、汚染機との戦いに身を投じる。
最初は誤解により敵対していたクロスクリムゾンとも協力体制を敷き、霧の箱舟作戦において汚染機の主力部隊を壊滅させ、更に汚染機を無力化するウィルスにより、9688年には大陸からすべての汚染機の機能停止に成功、一連の戦いは終わりを告げた。

ホワイトフォックス隊は、結成が決定した時点で、新システムを試すモルモット部隊も兼ねていた。
その為、ウィルスを内包したメンテナンスソフトではなく、独自のメンテナンスを行っていたため、ウィルス汚染から免れていた。
だが、当時はそのことを知らなかったため、「自分たちもいつ発狂するかわからない」という恐慌状況であり、仲間を攻撃するわけにはいかないと、コールドスリープの道を選んだ。
この時彼女たちが大量の汚染機に戦いを挑んだとしてもすぐに全滅していた為、結果論となるがこの選択は正しかったこととなる。

汚染機の行動パターン

  • 自分と同じウィルスを宿していない者をすべて敵とみなして無差別に攻撃する。動物には反応しないため、あくまでも人間のみが対象。
  • 数機で編隊を組んで行動するが、はぐれた場合は仲間の探索などはせず、そのまま別行動をとる。
  • 会話をすることはできないが、単語をうわごとの様に呟くことがある。
  • 移動は主に飛行状態で行い、空から人間を探す、その際スレイヴギアに搭載されている探知系の機器をつかうことはできないのか、肉眼での発見でしか反応しない。
  • 索敵は、何かしらのパターンがあるわけではなく完全ランダムに徘徊する、その為汚染機の目を逃れて物資や兵器を輸送する場合は完全に運に任せるしかないが、前述通り相手は肉眼で索敵していることもあり、ただの輸送なら意外と成功率は高かった。
  • 戦艦や本拠地と言った大型充電施設をもっているわけではないので、時々人目のつかない場所で密かにクレイドエネルギーを太陽光で補充する、兵器を持たない人間が唯一勝利できるのはこの時であるが、偶然遭遇する確率は限りなく低い。
  • AI型スレイヴギアにウィルスは効果なかったが、当初はウィルスが原因ということ自体が判らなかったため、その事実に気付く者はほとんどいなかった。

憶測

当初このウィルスは、製作者の思惑を越えて暴走したものと思われていた。
しかし、開発者はウィルス発症の当日、その結果を見ることなく自殺している。
遅かれ早かれ正体が判明し、逃げ場がないことからの自殺だと思われていたが、後世において「これは暴走ではなく、最初から彼の計算通りであったのでは」という仮説がたてられた。
当時の同僚の日記においても、彼の狂人ぶりとある種の思想的な発言がかいまみれたため、意図的に世界を終わらせたがっていたのではないか、そして自らのウィルスに絶対の自信があったため、その結末を見ることなく自殺したのではないか、というものである。
前述の通り索敵を肉眼に限定させるなど、意図的に何かしらの逃げ道を作っていたことがその根拠とされているが、裏付ける証拠は一切存在せず、あくまでも憶測の類である。

また、彼は長い間「連合国のどこかの国、もしくはマクセスオルトリンデ社のどちらかが送り込んだ工作員」と信じられていたが(その為、ウィルスはあくまでも暴走と思われていた)、近年になって「そもそも最初からパラスティア国の人間だったのでは」という説もある。
自身に対するあらゆるデータを消去していたにも関わらず、9541年に自らが士官した記録だけは残されていたが、これも後世への何らかのメッセージとして意図的に残したのか、単に消去から洩れただけなのか、永遠の謎となっている。


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