創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

インテリジェントデザイン概説>デザインの検出

インテリジェントデザインの源流としてのPaley

William Paleyの自然神学


1802年に、英国の護教論者で哲学者、Willam Paley((1743〜1805)は"Natural Theology"において、時計職人(Watchmaker)のアナロジーを用いて、自然の複雑さは神によるデザインを意味すると論じた。

そこには、インテリジェントデザイン(ID理論)とみまがうような文章が記されている。
Upon the whole; after all the schemes and struggles of a reluctant philosophy, the necessary resort is to a Deity. The marks of design are too strong to be gotten over. Design must have had a designer. That designer must have been a person. That person is GOD. (p.441)

概して、扱いにくい哲学の全ての体系と闘いの後、必要な手段は、万物創造主にある。デザインの形跡は、否定するにはあまりに強い。デザインは、デザイナーによるもののはずだ。そのデザイナーは位格を持つはずだ。そしてその位格とは神だ。

論証過程もまたインテリジェントデザインを思わせる。
In comparing the bones of different animals, we are struck, in the bones of birds, with a propriety, which could only proceed from the wisdom of an intelligent and designing Creator. In the bones of an animal which is to fly, the two qualities required are strength and lightness. Wherein, therefore, do the bones of birds (I speak of the cylindrical bones) differ, in these respects, from the bones of quadrupeds? In three properties: first, their cavities are much larger in proportion to the weight of the bone, than in those of quadrupeds; secondly, these cavities are empty; thirdly, the shell is of a firmer texture, than is the substance of other bones. (p.230)

異なる動物の骨を比較するとき、鳥の骨格の適切さに我々は衝撃を受ける。これはインテリジェントで、デザインをする創造主の英知によって推進されたものだ。空を飛ぶ動物の骨に必要とされる2つのものは、強さと軽さだ。従って、鳥の骨(円筒形の骨についてのこと)は、この観点で、四足獣のものと違っている。3つの適切性: 第1に、骨の重さに比べて、四足獣よりもはるかに空洞が大きい。第2に、これらの空洞はまったく空っぽだ。第3に、その殻は同じ密度の他の骨より堅い構造をしている。
まさにインテリジェントデザインである。

なお、一方で、Paleyの論は進化論へもつながっていく。
There is another answer which has the same effect as the resolving of things into chance; which answer would persuade us to believe, that the eye, the animal to which it belongs, every other animal, every plant, indeed every organized body which we see, are only so many out of the possible varieties and combinations of being, which the lapse of infinite ages has brought into existence; that the present world is the relict of that variety: millions of other bodily forms and other species having perished, being by the defect of their constitution incapable of preservation, or of continuance by generation. (p.63)

ものごとを偶然への分解するのと同じ効果を持つ別の答えがある。その答えは我々に、「眼や、眼を持つ動物や、その他のすべて動物や、すべて植物や、我々が見る実際すべての生物が、あるいる変種と組み合わせから生じた物であり、それは無限の時間の果てに存在するようになった」と信じさせるものである。現在の世界は、その多様性の残存である。存在あるいは世代を重ねるのに適さない構造の弱点によって、幾百万の他の形態や種は滅びた。

この自然神学の出版の3年後にWilliam Paleyは亡くなっている。そして、ダーウィン「種の起源」が出版されるのは1859年のこと。

源流として言及するDembski

インテリジェントデザイン理論家William Dembskiは、源流としてPaleyの自然神学に言及している。

Design arguments are old hat. Indeed, design arguments continue to be a staple of philosophy and religion courses. The most famous of the design arguments is William Paley's watchmaker argument (as in Paley's Natural Theology, published 1802). According to Paley, if we find a watch in a field, the watch's adaptation of means to ends (that is, the adaptation of its parts to telling time) ensure that it is the product of an intelligence, and not simply the output of undirected natural processes. So too, the marvelous adaptations of means to ends in organisms, whether at the level of whole organisms, or at the level of various subsystems (Paley focused especially on the mammalian eye), ensure that organisms are the product of an intelligence.

デザイン論は古くからある。実際、デザイン論は哲学と宗教の重要な要素として続いている。最も有名なデザイン論は、William Paleyの時計職人である(1802年出版のPaleyのNatural Theologyに記載)。Paleyによれば、地面に時計が落ちているのを発見したとき、手段の適用先(部品を組み合わせて時を告げる)が、時計がインテリジェンスの産物であって、単に方向性のない自然の過程によって生じたものではないことを証明している。したがって、生物における手段の素晴らしい適用は、生物器官全体であれ、多様なレベルにサブシステム(Paleyは哺乳類の眼にフォーカスした)であれ、生物器官がインテリジェンスの産物であることを示している。

Though intuitively appealing, Paley's argument had until recently fallen into disuse. This is now changing. In the last five years design has witnessed an explosive resurgence. Scientists are beginning to realize that design can be rigorously formulated as a scientific theory. What has kept design outside the scientific mainstream these last hundred and thirty years is the absence of precise methods for distinguishing intelligently caused objects from unintelligently caused ones. For design to be a fruitful scientific concept, scientists have to be sure they can reliably determine whether something is designed.

直観的には訴えかけるものがあるが、Paleyの論は最近まで使われなかった。今や、それは変わった。ここ5年で、デザインは復活を遂げた。科学者たちは、デザインを厳密に定式化できることを認識し始めている。過去130年間にわたり、デザインを科学の主流から遠ざけていたのは、インテリジェントな原因に起因するものと、アンインテリジェントな原因に起因するもの、正確に識別する方法がなかったことによる。デザインを実りある科学概念にするには、何かがデザインされたかを、信頼できる形で判断できることを確信する必要がある。

[ William Dembski:"The Intelligent Design Movement"(1998) ]

インテリジェントデザインはデザインの検出方法を確立した点で、Paleyより進展し、科学となったとDembskiは主張している。もっとも、デザインの検出方法は、「科学が説明できないことは神様のせいだ」という「God of the gaps詭弁」だったが。





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