「よーし とりあえず一仕事終えましたよ!」
「えり・・・」
「なぁに? れーな?」
「・・・れーなも・・・///」
「あはっw 後で“えりちゃんフルコース”って言ったのになぁ・・・」
「今がいい」
「うーん えりもシてあげたいのはやまやまなんだけどw
 れーなはさゆみたいに我慢できないからなぁw」
「が、我慢するけん!」
「うーん・・・やっぱダーメっ れーなはまた後でw それまで我慢して?w」
「そんなぁ・・・」
「うへへw 同じ我慢でもれーなはこっちの方が面白いですよw」
「くうぅん・・・・」
「よし、じゃぁ えりもさゆもビショビショなっちゃったから れーながえり達の服買ってきて」
「え? で、でもれーなも服ないけん・・・えりに取られて」
「ほら、そこにあんじゃんw もうお会計済ませてるからw」
「こ、これ!?」

指差されたとこにあったのは、えりが更衣室に侵入してきたときに持ってたやつだ。
隅っこに置いてたから、さゆの満(マン)潮の被害は免れている。
が・・・明らかに女モノ・・・
頭のぼやけが一瞬で吹き飛んだ。

「こ、こんなん着れるわけないやろ!!」
「えぇ!? せっかく買ってきたのにぃ!!」
「無理無理無理!! だいたいえりがこれ着て買ってくればいいやん!!」
「だってこれれーなのサイズだから えりが着るとパンツ見えてワカメちゃんみたいになっちゃうんだもん
 あっ今ノーパンだからダイレクトで見えちゃうねw うへへw」

なぜそこで笑うのかはわからなかったが、スカートを持ち上げてみると確かに超ミニだ。
でも、これって れーなが履いた方がヤバいんじゃ・・・

「れーなだって えりの大事なところ他人に見られたくないでしょ?」

それはそーだけど・・・///

「れーながもらったパンツ、えりに返すけん それ履いて行けばいいやん」
「パンツ見られてもいいの?」
「・・・パンツぐらいなら・・・」
「ひっどーい!! えりだってそーとーデリケートなんだからっ そんなん恥ずかしい!」
「・・・だいたい この店、女性専用やん 見られてもいいやろ」
「ワカメちゃんって思われたくないっ」
「・・・じゃぁ えりはれーなが女装してるとこ他人に見られてもいいん!?///」
「はっ? むしろ見せたいんですけどw だからこーして・・・」
「う・・・(そーだった)」

結局、女装するしかなくなった。

我ながら鏡を見てビックリ。
可愛い・・・ってダメダメ! れーなは絶対にそーゆー趣味は持たん!!

「れーな可愛いっ!」
「え? そ、そう?///」

もう一度鏡をチラッと見てしまう。

「・・・た、確かにギリ見えとらんけど ノーパンはヤバすぎるやろ・・・」
「そんなことないってぇ! あ、でも じゃぁ えりのパンツ履いてけば?」
「・・・・・・」

究極の選択だ・・・
プライドを捨て、安全策をとるか。
どんなことがあろうとも信念を貫くか。

「履かないの?」
「・・・・・・・」

うん・・・れーなは男・・・九州男児・・・ここで負けてはだめだ!
男なら死ぬときは前のめりでっ!!

そっと更衣室の扉を開け、1歩踏み出す。

バッ!
「きゃぁ!!」

2歩目を踏み出そうとした瞬間、えりにスカートをめくられる。
ちびれいな君おはようございます!
慌てて試着室に駆け戻る。

「バカっ!! えりのバカっ!!///」
「ぶひゃひゃひゃひゃひゃw」

「お客様、どうかされましたか?」

扉の外で店員の声がする。

「なななんでもありません!!」
「そうですか・・・お洋服の方、試着されてどうですか?」
「かか可愛いと思いましゅ」

う・・・噛んだ・・・

「そうですか よかったです よろしければ一度見せていただけませんか?」
「(やばい・・・今扉開けたら・・・)あ、あの もうお会計済ませちゃったんで大丈夫ですっ」
「・・・そうですか」

耳を澄まして、足音が離れていくのを確認する。

「あ 危なかったと・・・(下手したら補導されるところやった)」
「はいっ じゃぁ気を取り直してっ あ、床拭くタオルも買ってきてね」

額から流れる冷や汗を拭い、えりと店員と客に注意しながら試着室から出る。
試着室から出ると、普段通りの雑然とした空気が流れていて、
試着室の中で起こった出来事は夢の中の物語のように思えた。



「はぁぁ やっとスピーチ終わったの ったく、
 親衛隊だかなんだか知らないけどキャーキャーうるさかったの」
「お疲れ様でした。 若。」
「じゃっ、これからさゆみはお買いもの行ってくるから」
「あぁ! お待ちくださいませ、若ぁ!」

若こと道重さゆみ♂は雑踏の中に消えて行った。





つづく
 

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