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風が吹き抜ける屋上で、れいなはぼんやりと青空を見上げていた。
冬の空は空気が澄んでいるせいか、何処までも青くて高い。

「サボり発見なのー」

後ろの扉が開いたかと思えば、そこにはクラスメートのさゆみが笑顔で手を振っていた。
れいなは彼女を認めると、「よっ」と手を上げて応えた。

「さゆがサボりなんて珍しいっちゃね」
「亀井先生から頼まれたの。れいながサボってたら連れ戻してねって」

そうやってさゆみはニコッと笑うので、れいなは大袈裟に肩を竦めた。
さゆみはれいなの隣に並んで空を見上げた。白い雲がちぎれてポツンと寂しそうに浮かんでいる。

「最近はサボってなかったのになんかあったと?」
「なにその博多弁」

れいなが苦笑して話をそらそうとするが、さゆみは動じずにその瞳を見つめてくる。
彼女を誤魔化すのはどうも無理なんだろうなということは自覚していたが、
どう答えるか悩んでいると、さゆみが「ねぇ」と言った。
うん?と振り向くと、れいなの唇はそのまま、さゆみに吸い込まれた。
あ、キスされとーなんて間抜けに理解したのも束の間、そのままさゆみは歯列をなぞり、口内に割って入ろうとする。

「んっ…」

突然のことに、抵抗する間もなく、れいなはその舌を絡め取られた。
さゆみの舌はれいなを蹂躙し、れいなはその心地良さに膝が震え出し、そのまま力なく座りこんでしまった。
さゆみはふっと微笑んだままれいなを見つめるが、れいなは急にされたキスに動揺し、少し怯えたようにさゆみを見つめる。

「やっぱりさゆみには分かんないの」
「は?」
「キスをすればなんでも分かるって言ってた人がいたなあと思って」
「……だれよ、それ」

正座を崩したように座り込んだれいなに視線を合わせるように、さゆみもしゃがみ込んだ。
さらさらの髪を撫で、指で漉いてそこにキスを落とすと、れいなはその手を取った。

「…どしたと、さゆ?」

怯えながらも真っ直ぐに聞いてくるれいなに、さゆみはわざとらしくため息をつき、「それはこっちのセリフなの」と返した。

「悩んでるなら相談してほしいんですけど」
「別にれなは悩んでなんか…」

そう言いかけるが、さゆみの真っ直ぐで大きな瞳に見つめられてはなにも答えられなくなる。
なんだ、キスをして、実際に分かってしまったじゃないかと思うが、
れいなはそれには触れず、座ったまま空を見上げた。
さゆみはひと息ついてれいなに言葉をかけた。

「亀井先生となんかあった?」
「まあ、いろいろ…」

ふと思えば、さゆみは何処まで知っているのだろう?
あの夜、絵里に「大人になる」と宣言をしたこととか、
光井先生という強力なライバルが出現したこととか、ちゃんと説明はしたことはない。
イチイチ話すのもなんだか恥ずかしいし、そもそも絵里が嬉々として語っていそうな気もして、れいなは頭をかいた。
ただ、あの日からずっと引っかかっていることをれいなは呟いた。

「れなはどうしたらいーっちゃろうなと思って」

簡単に「大人になる」とか「光井先生には渡せません」とか宣言したものの、
だからと言ってなにをどうすれば良いのかなんて分からない。
時々バイトをしたり、がんばって成績を上げようと努力したりしているが、本当にそれで良いのかも分からない。
正解があるのならだれかに教えてほしかったのだが、そんなこと、だれが知っているのだろうと、
我ながらくさいセリフを思ってれいなはぼんやり空を見た。

「そのままで良いんじゃない?」

そのとき、れいなの思考を停止させるような言葉が横から降って来た。

「先生はそのままのれいなを好きになったんだし、れいながれいならしくいることが、なによりの正解だと思うの」

そう言うとさゆみは、後ろからそっとれいなを抱きしめた。
柔らかくて優しい温もりに包まれ、れいなは自然と落ち着いていくのが分かった。
なんの気なしに呟いた言葉をさゆみは掬いとり、れいなの想いを汲み取って優しさをくれる。
この空間が心地良くて、温かくて、自然とれいなは微笑んで、さゆみに顔を向けた。
柔らかい表情のさゆみに誘われたように、れいなはすっと首を伸ばし、そこに口付けた。

「んっ…れいなぁ…」
「さゆ…さゆ…」

結局はなにも分からないんだけど、どうにかして、なにかを分かりたかった。
此処に確かに在る温もりとか、絵里を好きだと想う気持ちとか、さゆみのくれる優しさとか、そこに落ちてる些細なシアワセとか。
一個ずつ分かっていって、日々を積み重ねていくことでしか、たぶん、前には進めないんだから。

「れいな…もっと…」

甘い声に誘われて、れいなは少し強めにさゆみにキスを落とす。
角度を変えていくことで、キスはどんどん深くなっていき、互いの舌が口内を行ったり来たりする。
絡まった舌が奏でる音がふたりを刺激し、さゆみはれいなを軽く押すと、れいなは抵抗することなく、床に背中をつけた。
光を浴びてれいなを見下ろしているさゆみが、今日はいつもより綺麗に見えた。

「いいの?」

さゆみが嬉しそうに、だけど何処か切なそうに聞くので、れいなはその手を握って自分の頬へと導く。
白い肌をさゆみの細い指がなぞり、そっと唇に辿り着いたので、れいなは軽く口を開けてその指を舐めた。

「さゆもサボらせてしまったけん…お詫び?」

れいなが本心を隠してとぼけるように言うと、さゆみは優しく微笑んだ。

「なにそれ」

そうしてふたりは互いに笑った。なんだかこの空間が結局は好きだなと思ってしまう。
さゆみの長い髪が風に靡く。
さゆみはそっとれいなにキスを落とすと、れいなも応えるように首に腕を回した。


「さゆぅ…」

甘く鳴くれいなの声が愛しくて、自分の持ってる理性とかは呆気なく何処かに飛んで行ってしまう。
ああ、さゆみってこんなにえっちな生徒じゃなかったはずなんだけどなと思いながら、さゆみは右手をれいなの制服の中に入れる。

「ふっ…」

冷たい手がれいなのわき腹に触れると、れいなはビクッと反応する。
普段は強気な態度で目つきも悪くて、クラスメートにも怖がられているれいなのこんなに可愛い姿を見れるのは、自分と亀井先生だけの特権だった。
最近でこそれいなは優しくなったものの、最初のころは話しかけることなんてできなかった。
こうやって優しく笑って、クラスにも溶け込めるようになったのは、やっぱり亀井先生のおかげなのかなと思うと、妙な嫉妬が浮かぶ。

「ふぁっ!」

わき腹から胸へと手を伸ばすと、れいなは素直に声を上げた。
さゆみはふっと笑ってれいなの耳朶を甘噛みすると、れいなはよりいっそう高く喘ぐ。

「やっ…あっ…あ…」

器用に手を動かしてブラジャーのホックを外し、れいなの胸に直接触れた。
れいなの肌は柔らかく、何処までも白いから、同じ女性として憧れる要素はたくさんあった。
まあ、胸の大きさではさゆみの方が勝ってますけど?
唇を首筋に移動させ、細い指がれいなの胸の突起に軽く触れると、れいなはビクッと体を反らせた。

「れいな、ここが気持ちいいの?」

少しだけ意地悪くそう聞いて、さゆみは突起に触れるか触れないかの位置で指を動かす。

「あっ!あっ…さ、さゆぅ…」

切なそうな声を上げて泣くれいなにさゆみはぞくぞくした。
ああ、なんかもう可愛すぎてどうしていいのか分かんないのと、れいなの涙を軽く舐めると、指を動かして突起を弾いた。
甘い声が屋上に響き、授業中になんて厭らしいことをしているんだろうろ自覚するが、もう止められないし、止める気もない。
さゆみはぐいと制服を捲ると、控えめな胸が露わになり、迷うことなくそこにしゃぶりついた。

「はぁっ!あぁ…あん!」

れいなの胸は柔らかい。たとえさほど大きくなくとも、それが逆に愛しくて堪らなくなる。
さゆみはれいなの突起を舐め、もう片方を手で揉み、摘まみ、弾く。
その度にれいなの体に快感が走り、ただ甘い声を上げてしまう。

「れいな、下いくよ?」

さゆみは一度顔を上げてからそう言うと、するすると手をスカートの方へと下ろしていく。
スカートの中に入った手は膝から太股をなぞるように上っていき、れいなの中心に触れた。

「ひぅっ!」
「もう濡れてるよれいな?」
「はぅ…だって…んっ!」

甘い声を塞ぐように、さゆみはれいなにキスをした。
合わせた唇から漏れるくぐもった声がさゆみを刺激し、余裕をなくしていく。
そのまま下着をするりと脱がし、既に熱を帯びて濡れているれいなのそこに指を這わせた。
くちゅっという音がれいなの耳にも届き、恥ずかしくなるが、れいなはどうすることもできず、たださゆみのキスに応えた。

「はぁ…れいな、入れるね?」
「やっ…まだぁ…あぁっ!」

れいなの声を無視し、さゆみはそこに指を入れた。
彼女の意志とは裏腹に、れいなのそこはさゆみをあっさりと受け入れ、もっと欲しそうに愛液を垂れ流す。

「すっごい濡れてるの」

さゆみは嬉しそうに微笑んで、れいなの胸に噛みついた。

「はぁっ!さゆ…さゆぅ!」
「どうしたの、れいな?」

さゆみはそう言いつつ、れいなの中で暴れた。

「もっと欲しいの?」
「ちがっ…ふぁっ!あっ……はぁっ…あぁ!」

またもれいなの声を聞かないまま、さゆみは2本目の指を挿入した。
充分に濡れているはずなのに、れいなの中はキツく、温かい愛液がさゆみの指に絡み付いてくる。
厭らしい音を奏でながら出し入れされるさゆみの指は、的確にれいなを責め立て、れいなを絶頂へと導いていく。

「は、やっ……さゆ、さゆ!」

涙を流して喘ぎ声を上げ、彼女の名を呼んだ。
甘い声がさゆみを刺激し、その指の動きは止まることなくよりいっそう加速する。

「ふうっ、ん!はぁ……あん!」

髪を振り乱して悶えるれいなが可愛くて仕方がない。
れいなごめんね。さゆみ、れいなのこと、こんなに好きだなんて知らなかったの。

「あっ…ん、さゆぅ…さゆ!れな、もう…ひぁっ!」
「イきそう?」

さゆみは優しく微笑んでれいなを責め立てた。
さゆみの細い2本の指がれいなの下腹部に挿入され、れいなの弱い箇所を容赦なく突いていく。
厭らしい音、甘い声、震える吐息、さゆみの指、さゆみの舌、さゆみの唇、さゆみのくれるすべてがれいなを震えさせた。

「さゆっ!もう、れ…れな、あぁっ!イ…イっちゃ…ああぁっ!」

ビクッと体が跳ねたかと思うと、両脚と下腹部が痙攣した。
れいなは精一杯に腕を伸ばしてさゆみの体に抱きついてきたので、さゆみも優しく微笑んで、れいなを抱きしめた。




れいなは安らかな顔をして夢の中にいる。
さゆみは苦笑しながら彼女の制服を整えてやり、膝枕をして眠っているれいなを見つめた。

「可愛いなあ、れいな…」

さらさらの髪を撫でてやると、れいなは一瞬だけピクッと反応するが、それでも起きることなく眠り続けた。
さゆみはクスッと笑うと、撫でる手を止めてれいなを見る。

たぶん、こんな気持ちになるのは初めてで、だけど止めることはできなくて。
いつからとか、なんでかとかは分からないけど、この気持ちは本物なんだろうなとさゆみは思う。
さゆみはそっと眠るれいなにキスを落とした。
いまだけは、いまのこの瞬間だけは、こうしてふたりでいたかった。

「れいなぁ……」

甘い甘い声がただひとつ、屋上に響いた。

「好き…」

ちぎれた白い雲が浮かぶ青い空の下、小さく囁かれた想いは、風に乗って空気に溶けていった。





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