#6 <<< prev





ぴんぽーん。
ぴんぽーん。ぴんぽーん。ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽん、
ぴんぽーん。

「うっるさっ・・・」

こんな時間に誰だよとベッドから渋々起き上がりワザと足音をたてて玄関に向かう。
時計を確認すると3、、3時!?ふざけないでよ誰なのマジで。怪しい人だったらソッコー警察呼んでやる。
覗き穴を確認。
・・・金髪に限りなく近い茶髪頭の派手なヤンキーがそこにいた。
はぁ。と大きなため息を一つついてからドアを開ける。

「こんな時間にわざわざ何の用?れいな」
「自転車貸してほしいと!」

・・・。はぁ?
ジャージ姿の、おそらくは寝起きのボサボサ頭で突然来て深夜に人を起こしておいて自転車を貸せだって?
飯をタダで食わせろの次はそれかい。
ていうか、

「自転車なんてないし」
「・・・、なんか乗り物持っとらん?」
「車しかないよ」
「じゃあそれでよか!車貸して!」
「れいな免許持ってるの?」
「・・・・・・」

高校卒業してソッコー日本出たんだから持ってるはずないよね。

「はいおやすみ」
「ちょい待ちぃ!お願いさゆ!ちょっとある所まで送ってってほしいと!」
「やだよ。眠いもんさゆみは寝る」

今何時だと思ってるんだか。
こんな時間に起こされてムカついてるってのにパシリに使われるのなんて真っ平。
どっか行きたいなら走って行け。
ドアに挟んであるれいなの足を外に追い出し玄関閉鎖ー、

「絵里!絵里の家に行きたいけん頼む!!」
「・・・・・・何しに行くの?こんな時間に」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、夜這いしに」

近所迷惑になるくらい大きい音をたてて今度こそドア閉鎖。
鍵施錠。さて警察は・・・117番だっけ。

「あー!!違う違う違うっちゃん!嘘嘘!今の無し!!お願いしますさゆみ様!!れいなを絵里の家までー!!!!」

ドンドンドン!
あーうざい。今何時だと思ってんのよーほんと他人への配慮とか0なんだから。
ドアを開けないとずっと続けそうだったので渋々開けてあげる。

「犯罪者に手貸したくない」
「さゆぅ〜」
「・・・・・・」
「頼むよさゆ・・・」

はぁ。
そりゃ大袈裟にため息もつきたくなるよ。れいなに、ではなく自分に。
こんな捨てられた子猫みたいな顔して頼まれたら断れるわけない。
なんだかんだでれいなには甘いんださゆみは。

「貸し1だからね。鍵持ってくるから待ってて」
「ありがとうさゆ〜〜〜!!」
「ほんと調子いいんだからなあ・・・」

ケンカしてたはずなのにね。


*****


「で?ほんとは何しに行くの?」

シートベルトって苦しいけん嫌い〜と乗せてもらう身でありながらブー垂れてるヤンキーに本当の目的を聞き出さない限り出発する気ナシ。
ギアをPに入れたまま腕を組んでそう意思表示をするとれいなは頬をかきながら、

「別に大したことでもないっちゃけど・・・しいて言うなら告白?するため」
「告白?なんの?」
「告白といったら好いとぅよしかないやろ」
「ぶっ」

中学生かおまえはっ
ははぁんなるほど。ちょっとわかってきた。つまり、

「フられたけど自分は諦める気は無いってこと絵里に言いたいんだ?」
「う、うん」
「れいなは絵里のこと超好きだから〜フられたとか関係ないから〜」

あっはっはっはっ。可笑しすぎてさゆみ一人で爆笑。眉間にシワを寄せるも文句が言えないれいな。
何が可笑しいってそんなことのために深夜のレム睡眠の時間帯にインターフォン押しまくって人を無理矢理起こして、
早朝からバイトがあるさゆみをタクシーに使わせることがれいならしくて可笑しい。
この後起こされるであろう絵里にも同情するよ。

「その方がれいならしいよ。ウジウジしてるれいなって気持ち悪いしね。まぁすぐにいつもの調子取り戻すんだろうなとは思ってたけど」
「あそう」
「そうそう。さて、じゃあ自分勝手な王子様をお姫様のいるお城まで送ってってあげますか」

ギアをDへ入れアクセル踏んで発進。
ペラッペラのペーパードライバーさながらのぎこちない発進の仕方で運転しているさゆみ自身が今とてつもない不安に襲われている。
いや。さながらというか、ペーパードライバーそのものなんだけどね。

「死んだらごめんね」
「・・・・・・、え?今なんか不吉なこと言っt」
「出発〜」

駐車場を出てノーブレーキで一般道に出るもののウインカーを忘れたり、そもそもライトを点けていなかったり。
ていうかさゆみの車のハンドル、教習所のより軽くて使い辛いんだけど。

「れいな出来れば五体満足のまま絵里のとこ行きたいと」
「贅沢言わないで」

そんな心配は杞憂だったようで、こんな時間帯だからか走ってる車がさゆみたちしかいないのが幸いした。
最初こそ手間取っていたもののわりとスイスイ走れるようになるのに時間はかからなかった。
話をする余裕もでてきた。

「ていうかわざわざさゆみのとこまで走って来たの?れいなの家から。結構遠くなかったっけ。そんな余裕あるなら絵里の家まで走って行きなよ」
「あれ言ってなかったと?れいな引っ越したんよ。さゆと同じマンションに今住んでる。荷物はまだ全部運んでないっちゃけど」
「聞いてないし!・・・それで今日の昼にご飯たかりに来たのね・・・。おかしいと思った。
 一緒にいたあのタレ目の男はなんなの?クスミくんだっけ」
「久住小春。一緒に住んでるとよ」
「えっ」

一緒に住んでるって・・・2人で?

「・・・大丈夫なの?」
「なにが?」
「襲われない?」
「あいつは普通に彼女もおるみたいだし大丈夫やろたぶん。
 あんま馴れ合わんようにはしとぅよ。それにそんなキモイ男そうそうおらんやろ」

それもそうかと安堵はするものの昔が酷かっただけに少し心配でもある。
ショタコンていうのかな。どうもれいなはそういう趣味の人たちにとってはドストライクな外見をしているようで中学時代は相当まいっていた。
相手が同姓というパターンが非常に多かったために男友達はほぼいないし、男とまともに喋ろうとせずつい喧嘩腰な口調になったりする。
絵里と付き合ってからそういうことが一切無くなったのでトラウマ克服したのかなと思ったんだけど昼の久住くんに対する態度を見る限りそういうわけでもないようだ。
その件も含めてあの頃のれいなは随分絵里に頼っていた。そんな情けないれいなが4年間も絵里無しで外国で生活できたのはなんでなんだろう。
なんかまだれいなはいろいろ隠してる気がする。
気になるけど、まぁ、今はいじめるのはよしておこう。

「とりあえずがんばって。はい。着いたよ」
「うん。ありがとうさゆ」
「というわけでさゆみは帰って寝るね。バァイ」
「え!?」

れいなをさっさと降ろして絵里のアパートを後にする。

「ちょっと待っ!れいなどうやって帰るん!?今日仕事あるっちゃけど!さゆ!さゆぅ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

ごめんねれいな。でもさゆみも限界なの。帰りは歩いて帰ってね。
欠伸を噛み殺しながら帰路についた。


*****


「ほんとに帰りよぅと・・・ありえん。ここから歩いて何時間かかるか知っててのあの所業・・・悪魔やろ・・・」

まぁ着いたからいいか、後のことは後になってから考えればよか。
腕を組んで絵里がグースカ眠っているであろう部屋を見つめて考える。
さて。絵里の部屋は2階。2階に行くには階段を使うのが当たり前なのだが。
・・・さゆにはああ言って誤魔化したけど実は夜這いするっていうのは結構本気なのであった。
ご丁寧に部屋のインターフォンを鳴らして『やっぴぃ絵里。夜這いしに来たけんれいなを部屋に入れて♪』なんて言う馬鹿は世の中にはいないだろう。
いたとしてもれいなはしない。なので。

「壁上るしかなか・・・」

いい具合に出っ張りやら屋根があるので手をかけてスイスイ上っていく。
運動が苦手なれいなでもわりと簡単に絵里の部屋まで到着。
ベランダに上ってふぅと一息。ここからが問題だ。
窓を開けようとする・・・が、やはり開かない。さすがの絵里も窓は施錠しているか・・・。
が、もちろんこれは想定内である。こういうケースを想像してちゃんと準備もしてきた。
ジャージのポケットからトンカチとガムテープを取り出し窓にペタペタと貼っていく。
とある漫画で見た知識なのだが窓を割るときはガムテープを貼ってから割れば音がしないらしい・・・よし、OK。
さーて割るぞーとトンカチを持ったそのとき。
カーテンが開かれた。

「・・・・・・」

あ、やばい。

「・・・・・・」

スーっと窓が開かれていく。
そこにはあひる口をへの字に曲げたジト目の亀井絵里さんが立っていた。
背中に嫌な汗が流れる。
ああまさかここでバレるとは。
計画では部屋に侵入して絵里を夜這いしてメロメロにして晴れてヨリが戻ってハッピーエンドになるはずだったのに。

「れいな・・・なにしてるの」
「やっぴぃ絵里。夜這いしに来たけんれいなを部屋に入れて♪」
「・・・・・・」
「!!! ぁ゛ぁ゛あ゛あああっっづぅぅうううぅうぅぅうう!!!!!!!!!!!!」

コテ!コテ!!絵里のやつコテをれいなの手に押し当てやがった!!

「なんでそんなにバカなのれいなは」
「コテを直で肌に当てよぅ女がどこにいるったい!!!!あっつあっつ。あー痛いよぅ・・・」
「なにかガタガタ音がするなーって思ったら・・・まさか窓割って侵入してこようとするなんて・・・」

「フーフー、・・・ちょい赤なっとぅ!」
「これ立派な犯罪だよ?れいな。警察に通報したら逮捕だよ?」
「え・・・」

こんなんで逮捕されちゃうの?マジ?
牢屋でカビの生えたパンをモソモソ食べる臭い囚人服を着た惨めな自分の姿が思い浮かぶ。

「通報しないでほしいっちゃん・・・」
「・・・しないよ。未遂で終わったし。でも次やったら超怒るからね」
「はい・・・」
「それで?なんか用なの?わざわざここまで来て」
「えーと」

ここで『夜這いしにきたっちゃん!』なんて言ったらコテで顔面パンチ喰らいかねない。

「うーと・・・」
「・・・・・・」
「えー・・・、」
「・・・・・・」
「・・・・・・絵里が好きだから別れたくない」
「へ?」

夜這い作戦は中止。もうこうなったら口説き作戦でいこう。

「れいなは絵里のことが好きっちゃん。だから別れたくない」
「・・・、だ、だめだよ。だって絵里にはもう恋人がいるんだからワガママ言わないで」
「ワガママ言う!そいつとは別れてれいなとまた付き合ってほしいと」
「無茶苦茶言わないでよ。・・・もう、無理なんだよ。絵里のことは諦めて他のいい人探したほうがいいよれいなは」
「やだ!絵里がいいけん他はやだ!!」
「だから、」
「絵里がいい絵里がいい絵里がいい〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「・・・・・・・・・、だったら、なんで・・・・・・」

急にうつむいて黙りこくる絵里に興奮してた頭が少し冷静になった。
どしたん?と声をかけると、

「なんで・・・絵里のこと・・・放っておいたの」
「・・・。ぁ」
「れいなのせいじゃん・・・ぅっ・・・」
「!!」

ヤバっ、2回も好きな女を泣かせるなんてマジで最低な男になる!

「ああ〜!すまんかったと絵里!泣かないでほしいっちゃん・・・」
「・・・・・・」
「・・・。無理言ってごめん。ワガママ言ってごめん」
「うん・・・」

指で絵里の目尻を拭ってやる。
恥ずかしいのかぷーっと頬を膨らませてからまたうつむく絵里。

「れいなの気持ちは嬉しい・・・。絵里だってれいなのこと嫌いじゃない。でも、どうにもならないことだってあるんだよ」
「うん・・・」
「この前は一方的にバイバイなんて言ってごめんね」
「うん・・・」
「・・・・・・。絵里たち、友達になろ?友達として付き合っていこうよ」
「・・・・・・」

ここでハイと応えられるほどれいなは大人ではないし空気が読めるわけでもない。
無い頭を総動員させて考えてみた。どうするのが一番正しいんだろう。
肯定したら今度こそれいなと絵里は終わり。拒否しても絵里は納得しないだろうし。
八方塞がりだ。しかもどちらを選んでも結局結末は同じ。
でも・・・

「・・・・・・わかった」
「・・・。うん。ありがとう・・・」
「新しい彼氏と、お幸せに」
「うん・・・」

右手を絵里に差し出す。

「これからは友達として・・・よろしくっちゃん、絵里」
「こちらこそ。仲良くしてね」
「もちろん。ニシシ」

笑いあって別れて、そして友達として再スタート。
これが一番正しい判断なんだ。
ずっとモヤモヤしてた気持ちがやっと晴れた気がした。

「じゃあれいなは帰るけん、こんな夜遅くにごめん。おやすみ、絵里」
「もう不法侵入してこないでよ?窓割ろうとするなんてほんとれいなは何するかわかんないんだから・・・
 あ、帰りはちゃんと玄関から帰ってね」
「遊びとか誘ってもいいと?」

ん?と部屋に戻ろうとした絵里がこちらを振り返る。

「・・・友達として、遊び。誘ってもいいかな」

絵里はフッと笑って、

「いいよ。いつでも連絡して」


*****


「な〜〜〜〜〜〜んて」

諦めるわけないやろが!!

絵里の家を後にしてマンションに帰る途中、一歩歩くごとに先ほどのやりとりへのしてやったり感が膨らみついに爆発。
こんな時間に一人でニヤニヤしながら歩いてるって完全に変人だと思いつつもニヤケが止まらない。
友達になろう?ああなってやるともさ。で?友達って何よ?どこからがどこまでが友達?恋人と友達のボーダーラインてどこよ?
そう。正しい判断とはつまり。友達としてやり直しつつも虎視眈々と元鞘に戻るタイミングを狙っていく、ということなのだ。

「・・・ふっ」

絵里のあほあほPPPめ。あそこでおとなしく『うん』なんて言っただけで騙されおってバカめ。
絵里を、顔も名前も知らないどこぞの野朗に渡すわけないやろが。
あれでれいなが諦めると思ったら大間違い。
むしろそうやって勘違いしてもらって隙だらけになってくれた方がこっちもやりやすいってもんよ。
"友達"って関係はやりようによっては大逆転のチャンスにもなりえるのだ。
思考に熱中していると頭が興奮してきて自然と早歩きになる。見上げるとともう早朝の時間帯なのか空が白んでいた。
この展開、望むところ。
こうなったら徹底抗戦だ。絶対に絵里を奪い返す。れいなの辞書に"諦める""妥協""譲る"なんて文字はないのよ。
れいなの納得のいくハッピーエンドを迎えるまでは絶対に絶対に絶対に絶対に絵里を諦めない。

「それまではおとなしく"友達"やっててあげるけんね・・・」

クックックックック・・・


*****


早朝。いつもの場所にてしつこいナンパをばっさり斬りまくりながら待つ。
その人はいつも絵里より5分ほど遅れて来る。自分でも時間にルーズだと自覚のある絵里を待たせるなんてその人も相当ルーズだ。
いや、絵里が変わっただけなのかな。その人と付き合い始めてから遅刻をしたことなんて一度もない。

「昔は待たせまくりだったんだけど・・・」

独りごちてふと思い出す。そういえばあの頃は待ち合わせ時間を決めてその通りに行くことなんて一度もなかったな。必ず待たせてた。
絵里が待ち合わせ時間より1時間遅れるのがデフォルトだと知ってもそいつは時間通りにやってきて絵里をずっと待ってくれていたんだ。
うん。待たせているってわかってても1度も改善しなかったなんてどんだけ気遣ってなかったんだよっていう。
そいつもさ、早く来るように催促しないもんだから。絵里もつい甘えちゃってたんだよね。
だって普通は1時間も待たされたらメールなりなんなり寄越したり怒って帰っちゃったりしないかな?
でもそいつは黙って腕組んで怒ったフリしながらもずっと絵里を信じて待っててくれたんだ。
必ず来るって。

「絵里さん」
「あ、高橋さん。おはようございます」
「すみません、待たせてしまって・・・いつも申し訳ないです・・・」
「いえ。待つの好きですから」

なかなか誰かを待つっていうのも悪くないかもしれない、なんて最近は思いはじめている。
あいつもそうだったのかな?

「あの、じゃあ、行きましょうか」
「はい」

ぎこちなく差し出される手をキュっと握ってあげる。
本当に、どちらが男役なのかわからない。
あいつもそうだった。絵里が握ってあげないと絶対自分からは繋いでこない。
絵里が引っ張ってあげないと何もできないような情けない男だった。

「在来線に乗ってまずは水族館から行きましょうか。ランチもそこでよろしいですか絵里さん?」

久しぶりに見たあいつはちょっとだけ中身が逞しくなってて、その時は随分戸惑ったものだ。今でもまだ慣れない。
昔は困った顔ばっかりしてたんだけどな。外見ヤンキーでも中身はヘタレだったから。
男のくせに男からモテるもんだから絵里がよく守ってた。
ケンカも弱いし運動もダメダメで生まれてくる性別を間違えたんじゃないかなってくらいなよなよしい。
でも、いざという時はやるやつで、そういうところも大好きだった。
ずっと情けないままってわけでもなく成長してちょっとずつだけど頼れる?男になっていって・・・。

「絵里さん?・・・どうしたんです」
「・・・・・・」
「泣いてますよ・・・」

友達、なんだ。もう。
絵里からの一方的なものじゃない、お互いが納得したうえでの"友達"。
完全に、終わったんだ。

「・・・ごめんなさぃ・・・」
「なにがあったかはわからないですが・・・私に至らない点があればなんなりとご指摘ください」
「高橋さんのせいじゃないです・・・違うんです・・・」


『友達になろ?』

自分から言ったくせにどこかで期待していた、れいなが嫌だって言うのを。
結果は、あっさり肯定。あれだけ悩んだのに、笑っちゃう。こんな簡単に終わっちゃった。
泣き虫じゃないのに、何回泣いちゃってるんだか・・・。

「・・・元気出してください。絵里さんが泣いてると、私は悲しいです・・・」
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

せっかく高橋さんとのデートなのに・・・
れいなのことばっかり考えちゃって・・・
最低だ。絵里は。


*****


「きっと絵里はれいなが絵里のことを諦めよぅ思っとぅだろうけど・・・」
「さっきからいったい何をブツクサ独り言言ってんですかー。ふわぁ〜あ。あーお腹減った」
「だーれが諦めるかって、の!ガッデム!」

ざくざくざく。
このキャベツを絵里を横取りした野朗に見立てて切るの楽しー。

「そいつを選んだこと、絶対に、後悔、させて、やる、っちゃん!」

絵里。れいなをそんな甘く見るんじゃなかよ。
こうだと決めたら絶対譲らないけんね。
れいなは絵里を幸せにはできんかもしれん。
けど、絵里を幸せにできるのもれいなしかおらん。

今はまだ友達でいい。
けどきっと取り返す。きっとじゃない、絶対。
それまでは顔も知らないおまえに預けておくからせいぜい大事に扱えよ。





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