そう、なんだって物事の発端というのは、とても些細なこと、ということは往々にしてある。
今回だって、ごく普通の、一般的な女子大生が年末に、今まで住んでいた大学近くのコーポから、
内定をもらい、春から勤務する職場に近いマンションに引っ越してきた。
ただそれだけのこと。
だから、本当に、キッカケというものは些細なんだ、――――。



去年の暮れの出来事だった。
れーなたち一家の部屋に、フクちゃんとその息子遥が遊びに来ていた、昼を少し過ぎた時刻。
みんなでコタツに入りながら、優樹と遥が一緒にブロックで遊んでいるところを、女性陣は微笑ましく見つめ、れーなはなんだか面白くない気持ちで眺めていると。
ピン・ポーン♪ と玄関のチャイムが鳴った。
誰やと? 宅配便の人っちゃろか、そう思いながら、れーながコタツから出て玄関へと向かう。
ドアを開けた先にいた人物は…………誰?
大学生くらいの見かけで、冬なのに小麦色の肌をしたスレンダー体型の女性。れなは見覚えないっちゃ、さゆの友だちとか?
れーなが脳内を疑問符でいっぱいにしながら、

「えーと、どちらさんと?」

と尋ねると、女性は深々と頭を下げて、

「私、今日608号室に引っ越してきた飯窪と申します。あ・こちらつまらないものですが」

そう言って手に掲げていた『引っ越し蕎麦』と書かれた紙袋を渡してくる。拒む理由もないので素直に受け取った。

「えーっと、いい、くぼさん? 引っ越し挨拶は普通両隣と階下の部屋だけにするもんじゃなかと?」

疑問に思ったことを、そのまま口に出してみる。
飯窪さんとやらは、笑顔で、

「はい、普通はそうなのですが、大家さんにお会いした時に
 『このマンションのボス的存在である1105号室の田中さゆみさんにも挨拶しておいて』
 と教えられましたので」

ハキハキと答える。

さゆ……いつかられなの妻は大家に認められるほどのボス格になったと?

軽い頭痛を覚えつつも、それならさゆにも会わせたほうが良か、と思って、玄関からリビングに向かって声を出す。

「さゆ〜! 新しく引っ越してきた人がさゆに挨拶したいんやと」

しばらくしてから、パタパタとスリッパを鳴らせて、優樹を抱っこしてさゆがやって来た。

「はじめまして、飯窪と申します。これから宜しくお願いします!」
「あ、こちらこそ……」

さゆも恐縮しつつも軽く頭を下げる。
そんな中、ニコニコと大人のやり取りを見ていた優樹だったが、飯窪さんが頭を上げて、目と目が合った、その時。

「あ! はるなん!」

と大声を出した。
その声に飯窪さんもマジマジと優樹を見つめ、

「……まーちゃん?」

と呼びかける。
優樹がさゆの腕からジタバタと動いて『下ろして』とねだる。
さゆは素直に下ろすと、トテトテとした足取りで飯窪さんに近づく。飯窪さんもしゃがんで優樹を軽くハグした。

「まーちゃん夏以来だね。はるなんのこと、覚えててくれて嬉しい」
「はるなん、はるなん」

優樹はキャッキャと飯窪さんのホッペをつねったりしている。ニコニコとされるがままの飯窪さん。
れーなとさゆは二人の関係が分からず唖然と見ていると、優樹は体を捻って、

「どぅー!」

と大声で遥を呼んだ。
そうしたら、フクちゃんが遥を抱いて玄関までやって来る。
フクちゃんなら何か知っているかも、と思ったものの、飯窪さんの顔を見て、キョトンとしている。

「おーはるなん!」

遥も騒ぎ出してフクちゃんの腕から下りると、飯窪さんに近付いて優樹と一緒にキャッキャ・キャッキャとしている。

「どぅーも久しぶり。元気だった?」

遥の頭を撫でながら三人ではしゃぎ出す。
……訳が分からんと。
大人三人の不思議そうな顔に気付いて、飯窪さんは察したらしい。
両腕に優樹と遥をぶら下げながら、説明し出した。

「あの私、夏に浜茶屋で保育士見習いとして、お子さまをお預かりするアルバイトをしていたんです。
 その時に受け持ったのが、まーちゃんとどぅー……じゃなくて優樹ちゃんと遥君でして」

夏……浜茶屋……。……あ・吉澤さん命令で海水浴に行った時のことっちゃね!

ようやく合点がいって、さゆやフクちゃんは、

「あのときはお世話になりました」

と頭を下げている。

「そんな田中さん、譜久村さん頭を上げてください。私もすごく勉強になりましたし、優樹ちゃんと遥君もとても良い子で楽しかったです」
「で・今はもう保育士の資格は取ったと?」

れなが聞くと、花が咲いたかのように明るい顔をして、

「はい! おかげさまで合格しました! それと内定も無事に取れまして、4月からこの近くの保育園で働きます!」
「お、それはめでたいっちゃ」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
「おめー」
「でとー」

それぞれの言葉で新しい保育士の誕生を祝う。
みんなからの祝福にしばらく照れていた飯窪さんは、なにか閃いたような顔をする。

「あの、大掃除やお正月の準備などの年末年始のご用意はお済みですか?」

この言葉に。
れなは肩をすくめ。
さゆは苦く笑って。
フクちゃんは首を横に振る。

「全然できてないっちゃ」
「聖の家もですわ」

そこで飯窪さん、ポンと手を叩いて。

「お子さまがいらっしゃると、危険なこととかありますよね。もし宜しければ、私の部屋で優樹ちゃんと遥君を預かりますよ」

この言葉に。
大人三人食いつく。

「え、それホント!?」
「正直優樹が歩いてたら危ないなぁ、とか思ってたの」
「えりぽんが明日帰国するので、明日から大掃除を始めようと思っていたところなんです」

飯窪さん、ニコニコしながら、

「優樹ちゃんと遥君なら、知らない仲でもありませんし。
 もしなにかあっても同じマンション内ですから色々と不都合もないですから。
 私も楽しいですし勉強になりますので一石二鳥かと。もちろんボランティアでお預かりさせていただきます」

優樹と遥の懐き具合を見ていると、この人が悪い人じゃないことは一目瞭然だ。
れなたちは顔を見合わせて、ゆっくりと全員一緒に頷く。

「お言葉に甘えてもよかと?」
「はい、もちろんです!」

――――こうして。年末年始、優樹と遥は飯窪の(本人が「飯窪さん、なんて水臭いです。飯窪とお呼びください」と言った)ところで預かってもらうこととなった、――――。





[if生聖の場合]

「そっか、だから遥は昼からおらんのちゃね〜」

俺はベッドの上であぐらをかきながら、のんびりとした声で言う。
帰国早々に聖が笑顔で洗剤とスポンジを持って、

「じゃあえりぽん。換気扇の掃除からね」

と言って力仕事を主に、普段やらないような掃除を聖が監督の下、行われたのだ。

「うんっ、んっ、やっぱりソファとか動かすときに遥がいたら危ないじゃない。だから、はるなんに預かってもらったの。……ふぁ、ちゅっ」

俺は聖の長い髪を手で梳いたり頭を優しく撫でたりしている。――――そして聖は俺の股間に顔を埋めている。
聖の舌技は相変わらずのテクニックで。なにか別のことを考えていないと、すぐに俺の股間は肥大化して一刻一秒でも聖のナカに入りたくて疼きだす。
聖の形の良い頭を撫でることに神経を集中させながら、あれ、なんで聖はコンナコトがこんなにも上手いんちゃろ? なんて考えた。
確か……あれは……学生時代か。
まだ遥が産まれておらず、俺も漠然と「将来は世界一の格闘家になりたい」と考えていたころだ。
いつものように俺の安アパートで何度も身体を重ねた後に、聖がゆっくりと起きて俺の下半身へと移動したんだ。

「聖ぃ、どうしたとー?」

俺が尋ねても、

「うー? うん」

と曖昧な返事がされるだけで。
なんとなく動いてはいけないような気がして、聖がすることを黙って見ていた。
きゅ、と男根を優しく握られ。そのまま軽く揉まれたかと思うと、聖が長い髪を耳にかけながら、顔を近づけてきた。

「ちょっ!? みず……っ」

言い終わらないうちに、チュル、と男根は聖の口に吸い込まれた。
モゴモゴと舌をぎこちなく動かして竿に這わせたりする。

「み、みずき……っ」
「えひぽん、ひもちいい?」
「あ・そこで喋らんでほしいと」

冷静に言うと、聖は素直に頷いて、舌でカリをぐるりと舐めたり、ゆっくりと首を上下に動かす。
やば、気持ち良かぁ〜……。
……じゃなくて!

「聖、突然どうしたと?」

快楽に流されそうになる意識をなんとか留めさせて、優しく尋ねる。
すると、ようやく聖は男根を口から出して、楽しそうな瞳で俺を見る。

「うん。教えてほしいの、えりぽんの気持ち良いトコ、全部」
「教えてほしい、って……」

俺は少し呆れた声を出す。すると聖は少し困ったような表情をして、

「だって、えりぽんがハジメテの人なんだもの。えりぽんの気持ち良いトコ、全部知りたいの。聖で気持ち良くなってほしいの」
「……俺は聖がしてくれることなら、なんだって気持ち良いっちゃけど」
「そうやって聖を甘やかさないで。――――ね、教えてよぉ」

聖は官能的な表情でねだる。
その表情で。
俺の理性はあっさりと陥落した。

「ん……分かったっちゃ、まずはいきなり口に入れるやなくて……」

――――結果として。
聖に俺好みの技を取得させてしまった。
聖、学校の勉強はあんまりなのに、こういうコトは飲み込みがすごく早くて。
俺が翻弄されて、まるで聖に搾り取られるようにまでなった……。

「えりぽん、今すごく我慢してるでしょ?」

聖の声で我に返る。

「だって透明な糸がすごく出てるんだもの……」

嬉しそうに言いながら竿を擦り、尿道を舌先でつつかれる。
メキメキと音を立てながら、男根が大きくなるのが分かる。それを目の前で見ている聖はとても嬉しそうだった。

「我慢しなくていいのにぃ……」

そう言って横に舌を這わす聖。両唇と舌を使ってリズミカルに舐める。

「うっ……はっ、……聖が、どうしてこんなにエッチになったか考えとったと」

やられっぱなしは性に合わないので、手を伸ばして聖の秘部に触れる。――――ソコはもうぐちゃぐちゃに泉を湧き立たせていた。

「聖もエッチなお汁がすごか。……どうしてこうなっとると?」

言いながら聖のナカに指を入れてみる。
俺の股間から「あんっ」とくぐもっているがエロい声が聞こえてくる。
指を抜き差ししながら、

「なあ、教えてほしか」

少し意地悪声で聞いてみる。
指はグチュグチュと卑猥な音を立てながら抜き差しする。聖の男根を握っている手がふるふると震える。
そろそろ聖の限界も近いのだろう、――――俺はある提案をしてみる。

「な……シックスナインすると?」

聖はゆっくりと顔を上げて。……そして首を横に振った。

「指じゃなくて、えりぽんが直接欲しい……っ」

涙目の上目遣いでそんなこと言われたら。俺だって堪らなくなる。
――――実は俺らは、あまりシックスナインをやらない。
お互い、相手の顔が見えないことが嫌だったし、なにより、お互いがお互い自身でフィニッシュしたいから、という理由にほかならない。
聖の両脇をヒョイと抱えてヒザ立ちにさせる。
俺があぐらの姿勢だから、もう対面座位で、というか一刻一秒も早く聖のナカに入りたくて、俺の男根はメキメキと膨張して、ヒクヒクと動いている。
聖もシーツに大きな水溜りを作っていて。
俺は片方の腕を聖の腰に回す。聖は両腕を俺の首に回す。
見つめ合って。チュッと軽いキスをする、それが合図。
男根の先と秘部の入り口がクチャクチャと粘った水音を立てる。
俺はグッ! とナカに押し込んだ。

「あああっ!」

聖の口から上がる熱い声。
俺は聖を深く貫く。
根元まで入ると、聖は上気した顔で呼吸が荒い。俺も呼吸が荒いし、顔も熱いから、同じくらい顔が赤くなっているのだろう。
しばらく呼吸を整えていると。
聖がなにも言わずに腰を動かし始めた。快感を貪るかのような妖艶な腰の動きに、俺も誘われたかのように、腰を動かし始める。
パシュ・パシュ、と最初はゆっくりで。

「聖ぃ、なに一人だけ気持ち良くなろうとしとると?」
「あ・ごめん……でも、だって……っ」

俺の目の前で揺れる大きなオッパイの頂をねっとりと舐める。

「はぁんあん……えりぽんが、帰ってくるの……二週間振りじゃない……」

言いながら、少しずつ腰の動きを速める聖。

「ばってん、聖はエッチやけん、一人でシてたっちゃろ?」

俺も下から突き上げる速度を上げる。

「あっぁぁん! そ、そうだけど……」
「だけど?」
「ふあぁぁっ、えりぽんがいいの! えりぽんじゃないと聖、本当に気持ち良くなれないから……っ!」

俺は。頂を舐めるのを止めて、両手で聖の腰を掴む。
ぱん! と強く突き上げる。

「あんっ!」
「……そんな可愛いこと言うんじゃなかと。止まれなくなってしまうけん」

ぱん! ぱん! ぱん! と連打する。

「はぁぁぁぁんっ! 止めないでっ、すごくイイのぉっ!」

天を仰いで、啼いて悦ぶ聖。ナカはキュ・キュ、と俺を心地良く締めつける。

「聖……俺を見てほしか」

全身を悦びで震えさせながらも聖は従う。
俺は首を伸ばして、聖に深く口付ける。
舌と舌を絡ませながらも、下から突き上げることは止めない。聖の甘い声が俺の口腔へと吸い込まれていく。
聖は酸素を求めて唇を離す。ぼんやりとした視線で俺を見るので、耳に口を寄せる。

「煩悩の数よりイカせてやると」

そう囁いて。耳朶をしゃぶりながら、一層強く腰を打ち付けた、――――。





[if鞘香の場合]

正直、香音は呆れていた。

「ねえ里保ちゃん」
「なんじゃ?」
「新年早々、あたしが陥っている今の状況、説明してほしいんだろうね」

香音の言葉に、鞘師クンは不思議そうに首を傾げて、

「パジャマ姿で両腕をモコモコ手錠で拘束されてワシらのベッドに寝転がっているのぉ」

素直に状況説明する。
あまりにも冷静だから、香音は余計に頭がクラクラした。

「うん、そうだね。で・あたしがこうなってるのは誰のせい?」
「……香音ちゃんのせい?」

疑問形で答えられた言葉に、香音はイラッとする。

「なんであたしのせいなのさ!? どう考えても里保ちゃんのせいじゃない!」

――――そう。
元旦なのに、ベッドに寝転がされているのも。
更に、モコモコ手錠という大人のオモチャで拘束されているのも。
香音の趣味、ということは微塵も無く。世界で一番愛している旦那さま、のハズの鞘師クンが、朝一番にしたことなのである。
里保ちゃんのせい、と言われ、鞘師クンは唇を尖らせる。

「元を辿れば香音ちゃんが悪いんじゃけぇ」
「……だから、なんであたしなのさ」
「じゃって……」
「だって?」
「単身渡米する荷物を一人で纏めるまで、エッチは無し、なんていうからじゃ」
「いやいやいや。荷物くらい自分で纏められるでしょ。里保ちゃんだっていい大人なんだから」
「香音ちゃん、何年ワシと一緒にいるんじゃ。何ヶ月分もの荷物をワシ一人だけで出来ると本気で思っとるんか?」
「…………。里保ちゃんには無理だね」
「じゃろ?」
「うん。そこはあたしの読みが甘かった、ごめんね」

香音は素直に謝る。
そして手錠で繋がれた腕を鞘師クンの前に突き出し、

「だから荷物は手伝うから、これ解いてほしいんだろうね」
「嫌じゃ」
「……はい?」

香音のお願いを一蹴して、鞘師クンはそっぽを向く。

「香音ちゃんからエッチ禁止を言い渡されて一週間。ワシもう限界じゃ。それにもう単身渡米も近いからの。今日は丸一日、香音ちゃんを抱く」

そこまで言って、ベッドに乗る鞘師クン。香音は反射的に後ずさる。

「それにほら、昔から言うじゃろ? 『一年の性は元旦にあり』って。予定日まであと一ヶ月のお腹の娘にもパパの愛情を注ぐんじゃ」
「……『性』じゃなくて『計』ね。元日は卑猥な日じゃないんだろうね」
「とにかく。今日はずっと香音ちゃんを抱く。……嫌か?」

細い目を寂しそうに向けられて、香音の中の常識が揺らぐ。
今、朝だよ、とか、今日は新年最初の日だよ、とか、恥ずかしいから嫌だ、とか。拒否する言葉は色々あるはずなのに。
鞘師クンは四つん這いで近付いてくる。香音は今度は逃げない。
頬を優しく包み込まれる。近付いてくる鞘師クンの顔。
――――結局あたしも里保ちゃんにベタ惚れなんだ。
そう結論が出た香音は、静かに目を閉じて口付けを受け入れた……。
チュ・チュ、と顔じゅうにキスの雨が降る。

「ん……」

小さく声が出て、薄く唇を開くと、スルリと入ってくる鞘師クンの舌。躊躇うことなく、自分のと絡ませる。

「んっ……」
「ふぅ……ん」

ピチャピチャという水音と共に、甘い声が二人から漏れ出る。
香音は鞘師クンの首に腕を回そうとして、ジャラ、と音が鳴る手錠に気付く。
あー、これ邪魔だなぁ、と深いキスをしながらも頭の隅で考える。
しばらくして唇が離れてキスが終わる。二人を太い唾液の糸が繋いでいる。

「ねえ里保ちゃん、」

香音が話すと糸はプッツリと切れて離れた。

「……なんじゃ?」

鞘師クンは熱い視線を注ぎながらプチ・プチ、と香音のパジャマのボタンを外していく。

「いい加減これ、外してよ」

手錠を前に突き出す。鞘師クンは少し考えてから。

「嫌じゃ」

あっさり拒否した。

「手錠姿の香音ちゃんは、可愛いしそそられるしエロいし興奮するしのぉ。外すのが勿体ないんじゃ」

とんでもない理由に香音は軽く言葉を失う。
その間にパジャマのボタンは全て外され、素肌を直に触られる。
声が出そうになるものの、手錠を外そうとしない鞘師クンに何か言ってやりたくて。
ゆっくり胸を揉まれ、息を上げながら言えた科白は。

「……里保ちゃんの変態」

それだけだった。
香音の科白に、鞘師クンは面白そうに口角を上げて、

「なんじゃ今ごろ気付いたんか?」

と、あっさりと肯定する。

「まあ……前から気付いてたけれど……。はあぁ……」

胸の頂を指の腹で優しく擦られて熱い息が出る。

「変態なワシも嫌いじゃないんじゃろ」

キュ、と頂を摘まれる。

「んっ! ……自惚れないでよ、バカ」
「やっぱり香音ちゃんは威勢が良いほうが可愛いのぉ」

悪口雑言を並べても、鞘師クンは立て板に水で、ニヤけながら香音の身体を優しく押し倒す。
パジャマは手錠のところまでしか脱げないし、素肌に触れる鎖は冷たいしで、やっぱり最悪だわ、コレ。
――――香音がそう結論を出したところで、鞘師クンが手錠を外してくれるわけでもなく。
鞘師クンは愛おしそうに香音のお腹を触る。

「なあ香音ちゃん。お腹の子の名前じゃが、候補はあるんじゃよ」
「……どんな?」
「んー。世界にも共通する名前で、みんなに愛される子に育ってほしい、と考えてとるんじゃ。まあ、ちゃんと決まったら言うけぇの」
「……期待、してるね」
「大船に乗ったつもりでおってくれぃ」

そこまで言って、香音のお腹を触っていた手はワキ腹へと滑り、そのまま身体を登っていく。
鞘師クンの手に余るほどの香音の胸を存分に愛撫し、起ち上りかけた頂をパクッと口に含む。そしてコロコロと転がす。
ねっとりと舐めたり、優しく吸い上げたりして、完全に起立させる。

「あん、はぁん……」

香音は堪えきれないように声を上げて、鞘師クンの髪に手を入れる。甘噛みされた瞬間、

「うぅんっ」

と甘く啼いて、髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き混ぜた。
鞘師クンは胸から顔を上げ、

「香音ちゃんは本当に良い声で啼くのぉ」

うっとり陶酔したように言う。

「ワシだけが……聞ける声じゃの、ワシだけのモンじゃ」

言いながら首筋を舐め始める。
その行為にゾクゾクと感じながら、

「あ……当たり前じゃん、里保ちゃん以外に聞かせられないし……聞かせるつもりもないし」

強がりを言ってみても、身体が悦びで震えることが抑えられない。
既に香音は、無意識に股を擦り合わせていた。ご無沙汰だったのは鞘師クンだけではない、香音もなのだ。
鞘師クンが身体を離す。そしてもどかしそうに自分の着ているパジャマを脱ぎ始めた。荒々しく脱いで、ベッドの下に落とす。
パジャマ上下、そしてボクサーブリーフもずり下ろして脱いで、これもベッドの下へ。
全裸の鞘師クンの肉体はとても綺麗だった。野球選手をしている為に引き締まりつつも鍛えらえた身体。
香音はぼんやりと、こんな明るいところで里保ちゃんの裸を見たのはいつ以来だっけ、と意味なく考えた。
鞘師クンの男根は既に腹に付くほど天を向いており、切なげにヒクヒクと動いている。

「香音ちゃんのも、脱がせるけぇの……」

声を少し震わせながら、香音のパジャマズボンに手をかける。
脱がせやすいよう、腰を浮かせると、ショーツごと足から抜き取られた。
下半身が晒されると、自然と両脚を閉じてしまう。――――本当は、既に鞘師クンを待ち望んでいるはずなのに。
鞘師クンは宝物庫の扉のように、ゆっくり、香音の脚を割り開く。
秘部が鞘師クンの眼に映った瞬間、コポリと泉が湧き上がり、蜜をシーツに零した。
鞘師クンがゴクリと大きな音を立てて唾を飲む。その瞳は、まさに飢えた獣のように紅く光っていて。――――どれだけ香音に飢えていたのかが分かる。
はあ、と大きく熱い息を吐いて鞘師クンは香音に覆い被さる。ピタッと肌を密着させて、頬に一つキスをする。それから、

「……入れていいかの」

と囁いた。
香音が赤い顔で頷くのを確認してから、ズププ……と入ってきた。

「は、ぁん……」
「ふうっ……」

二人とも、久しぶりの感覚に、快楽の混ざった熱い声が出る。
ヌチヌチ、粘着な音を立てながら鞘師クンは香音のナカを進む。
全て入ったところで、鞘師クンは香音を一際強く抱き締めた。

「動いてええかの?」

これにも、香音は赤い顔で頷く。
始めは、グヌリ・ヌプ、と緩慢な動きだった。
鞘師クンは徐々に腰のスピードを上げながら、香音のイイトコロを擦ったり、奥を突いたり、グルリとナカを抉ったり、強く打ち込んだりする。

「はぁぁっ、うんっ! ふあっ、あん!」

鞘師クンが動く度に、香音の口から嬌声が上がる。その声も、鞘師クンの動きを加速させる原因となる。
パンパンパン! と強く肌と肌をぶつけ合い、お互いに昇りつめていく。

「好きじゃ、大好きじゃよ香音ちゃん……」

熱に浮かされたような声音で、愛を囁く。

「あぁ……里保ちゃん、里保ちゃぁんっ!」

香音は啼きながら、鞘師クンの背中に手を回そうとしたが、手錠がジャラリと音を鳴らして、それを阻む。
仕方ないから鞘師クンの頬を包み込んで引き寄せて、キスをねだる。

「ちゅ……ん、好き、里保ちゃん……あたしも大好き……ふぅん」

キスをしながら愛を囁く香音の姿に。
鞘師クンの胸は締め付けられ、そしてラストスパートと言わんばかりにバコバコと腰を打ち込む。

「あっ、あぁぁんっ!」

一際高く啼く香音の唇を自分ので塞ぐ。
ウエもシタも塞ぎ、香音を自分でいっぱいに満たしたかった。
溢れる出るほどの愛情を、香音に注ぐ。

「ん、ちゅるっ、ふあ……」

蕩けた顔で鞘師クンを受け入れる香音。
酸素を求めて、唇を離す。そのタイミングで、鞘師クンは香音のイイトコロをグンと突いて擦る。

「はあっん! 里保ちゃぁん!!」

啼いて、身体を震わせる香音。
香音の限界が近いことに気付きつつも、鞘師クンは自分もそろそろであることを悟る。

「里保ちゃんっ、里保ちゃん!」
「香音ちゃん……イキそうか?」

香音は激しく何度も頷く。

「ワシももう……っ! 香音ちゃん、ナカに出していいかの?」

鞘師クンとしては、お腹の子にも、愛情のシャワーを注ぎたかったのだ。
香音は涙目で、

「いいよ……出して、ナカに。いっぱい……」

鞘師クンの気持ちが理解できたから、そう答える。
香音の表情と言葉に、身体の奥からグッとこみ上げてくるものを感じた。

「香音ちゃんも、お腹の子も……両方愛しとるんじゃ!」

叫んで香音の最奥を突く。

「ああああんっ!」

香音も大きく啼く。足指の先が丸まる。
ギュウ、とナカが締まってキュウキュウと鞘師クンを奥へ奥へと飲み込むような動きをする。

「出るっ」

収斂するナカで数瞬だけ膨張して、白くて熱いシャワーを吐き出す。
ドックドックと注がれる精液は、まるで終わりが来ないかのように大量に出た。
鞘師クンは強く香音を抱き締め、二人一緒にゼーゼーと荒い息と快楽の波が収まるのを静かに待った……。





[ifたなさゆの場合]

お正月。互いの実家にも挨拶に行き、そろそろ『おせちもいいけどカレーもね』な声があちこちから聞こえなそうな日。
れいなが嬉々と「優樹を飯窪のとこへ預けてくるっちゃ」と言って出て行き。
さゆみも、もうれいなの行動パターンが読めるので、覚悟を決めて昼風呂としゃれこんでドライヤーで髪を乾かしていた。
髪をしっかり乾かしてから、寝室のドアを開ける。――――そして絶句した。
ドアを開けたまま硬直していると。れいなが速攻で帰ってきて、

「お・さゆ、風呂に入ったとね♪」

言いながら後ろから抱き締めてくる。
さゆみはギギギと首だけ動かしてれいなを見る。
れいなはさゆみの首に顔を埋めて匂いを嗅いだり、後ろから服の上からやわやわと胸を揉んだりしていたが。
さゆみの視線に気付き、「なん?」と不思議そうに聞いてくる。

「ねえ、れーな。この寝室に昨日まで無くて、そして今あるこれは、なに?」

二人のベッド近くに置いてあるものを言っているのだろう、れいなは、

「三脚っちゃ」

あっけらかんと答える。

「うん……そうね、三脚ね……。……その三脚の上にあるものは?」
「高画質家庭用ビデオカメラ」
「……聞きたくないんだけれど、なぜこれらが寝室にあるのか聞いていい?」
「聞きたくないんやったら、聞かんくてよかと」
「いいから教えなさい」

ギロリと睨んでみても、れいなは飄々とした態度を崩さず、

「そりゃ、これからの営みを撮るためっちゃ」

サラリと言い放った。
その瞬間だった。
ゴッ! と痛い音を立てて、さゆみの拳がれいなのアゴを突き上げる。

「ぐあっ」

堪らずれいなは抱き締めていたさゆみから離れ、アゴを抑えて後ずさる。
涙目で、本気の痛みのせいでアゴを手で押さえるれいなに。
さゆみは顔を真っ赤にして激昂した。

「なにサラリと変態発言しているのよっ、このエロれーな!」
「ぐおお……」

まだアゴを押さえて蹲るれいなに、さゆみは言葉を続ける。

「だいたい、こんなもの買うお金、どこにあったのよ!?」

怒鳴るさゆみを上目遣いで見ながら、れいなは言葉を紡ぐ。

「さゆママから、れーなへとお年玉もらったけん、それで買ったと」

思いも寄らない人物の名前が出てきて、絶句するさゆみ。れいなは気にせず言葉を続ける。

「三人で元日に福岡のれーなの家と山口のさゆの家に行って挨拶したっちゃろ? さゆの家で、さゆママと二人きりになった時に言われたっちゃ」
「……なんて?」
「『さゆみの相手をするのは大変でしょう』って。せやから『全然そんなことはなかとーですたい』と答えたと」
「……それで?」
「そしたら『れいなクンは本当に良い旦那さまねぇ、あの子には勿体ないくらいだわ』と言って、お年玉をくれたと」
「…………普通、そういう時にもらったお金は娘の優樹へと回そうと思わないの?」
「優樹には、れなの親父が充分すぎるほどのお年玉をあげたと。だから、れながもらったお年玉は、さゆと楽しむために使うことにしたけん」

やっとアゴの痛みが引いたのか、ゆっくりと立ち上がるれいな。
さゆみは顔を真っ赤にして、

「れーなが楽しくても、さゆみは楽しくないから……」

そう早口で言って、寝室から出て行こうとする。
その手首を掴み、スルリと身体を回転させて、自分の腕の中へと、れいなはさゆみを閉じ込める。
なにか言おうとするさゆみの口を、自分のそれで塞ぐ。
最初から貪るような激しいキスをして、さゆみが自分のことしか考えられないように、と願う。
さゆみの強張っていた身体から力が抜け、激しく口付けを交わしているうちに、徐々にれいなに身体を預けてくる。
れいながゆっくりと唇を離したときには、さゆみはへんにゃりと身体の力が抜けていた。

「さゆ。今回だけでよかと、絶対に楽しいけん後悔はさせんばい。……だから、な」

耳元で優しく囁く。
さゆみは耳も顔も全身も真っ赤にさせて、

「こ、今回だけだからね」

と、弱々しく了承した、――――。


さゆみの腰に腕を回して、ベッドへと向かう。移動するついでにカメラの電源を入れて録画モードにする。
優しくさゆみをベッドに組み伏せる。首筋に唇を滑らせると、

「んうっ」

と小さく声を上げて顔を逸らす。れいなはそのまま唇をうなじへと移動させ、そこで大きく息を吸い込んだ。

「風呂の匂いとさゆの香りが混ざって、れなは好きっちゃ」
「……さゆみの香りってどんなのよ?」

赤い顔で弱く尋ねる。れいなは少しだけ考えて、

「んー。ミルクのように甘くて、れなの脳みそをクラクラさせて……とにかく蠱惑な香り」
「わけ分かんないから、それ」

減らず口を叩くさゆみを、後ろから抱き締めて手を胸へと這わす。

「あっ……」

きっとさゆみ本人よりもどこがイイのか知っているれいなの手は、的確に気持ちイイところを触り、さゆみの口から甘い声を出させる。
チュッチュッ、と音を立ててうなじにキスをして、片手は胸を這い、もう片手はさゆみの太ももを撫でる。
さゆみは、はあ・はあ、と熱い息を上げ、時折、

「うぅん……っ」

と堪え切れないように高い声で啼く。
さゆみの瞳がトロンと蕩け出したところで。

「……っしょ、と」

れいなが不意にさゆみの身体を起こしてベッドに座らせ、自分も後ろから抱き締めながら座る体勢を取る。

「……れーな?」

れいなの行動の意味が読み取れないさゆみは、少しだけ振り返って名前を呼ぶ。
れいなは「いひひ」とだけ笑って、自分たちの真正面にあるものを指差す。
――――そこにあるものはビデオカメラ。

「さゆのエロい顔、しっかり撮らんといけんからね」

それだけ言って。後ろからさゆみのシャツのボタンを外していく。
ぷち・ぷち、と外す音がやけに大きく聞こえて。さゆみは顔を赤くして俯く。すると。

「さゆ。前を見て」

決して強い語気じゃないのに、何故か逆らえない力を持った声に、恐る恐る前、――――ビデオカメラを見る。
カメラに自分はどう映っているのだろう、とぼんやり考えたが、もし上映会でもしようなら、れいなをグーで殴ることも辞さない。
ボタンを全て外し終えたれいなの手は、スルリとシャツの隙間から身体を直接触りだし、ブラをしていなかった胸を、直接揉む。
コリコリに硬くなった胸の頂を、れいなは遊ぶように軽く引っ張ったり転がしている。

「ふう……はあっ、れーなぁ……」
「さゆ……可愛いっちゃよ」

片手でさゆみの胸を愛撫して、もう片手で厚地のスカートのジッパーを下ろす、れいなの手。
ジッパーとホックを外し、ゆっくりとスカートは脱がされていく。さゆみは羞恥心から顔を赤くさせ、ぷるり、と小さく震えた。
そんなさゆみの心中を見透かし、慰めるように、れいなは耳の後ろにキスをして、腹と太ももを優しく撫でる。
シャツも両腕から脱がされてベッドの下に落とされる。自然と胸を隠してしまう。

「さゆ、隠さんで。全部見せてほしか……」

優しく腕を解かれて、日光が照る部屋でショーツ一枚だけの自分。
恥ずかしさや苛立ちも混ざって、

「……れーなも脱いでよぉ」

と言ったものの、なんだかおねだりしているような声音になってしまった。
そんなさゆみの思いには気付かず、れいなは「よかよ」とあっさり承諾して、パーカーとカーゴパンツを脱ぎ捨てる。
さゆみとれいな、互いに向き合って、二人とも下着一枚という姿になる。
さゆみは自分のショーツがビッショリと濡れていることは自覚していたし、
れいなを見ると、パンツの布地が遠目でも分かるくらい持ち上がっており、先端は既にパンツからはみだしてヒクヒク動いている。
それが恥ずかしくて目を逸らすと、れいなはさゆみの片手を取る。れいなの顔を見ると、エロ親父な様子でニヤけている。

「さゆ、なんで目を背けると?」

言いながら、自分の股間にさゆみの手を持って行く。

「ちょ、れーな……」

触らされたそれは、薄い布地越しでも分かるくらい、とても硬くて熱い。

「分かると? 早くさゆのナカに入りたくて、れな、こうなってると」
「う、うん……」

口籠っていると、れいなの手が伸びて、

「さゆは? どうなっていると?」

唐突に秘部へと触れるれいなの手。

「あっ」

批難の声を上げる前に触られ、ビクンと身体が揺れる。

「ばり湿っとるちゃね」

布越しに触られ、スジをなぞられる。

「はあぁ……」

出すつもりのなかった声が出る。

「もっと触ってよかと?」

それだけ言って、さゆみがなにか言う前に、れいなはショーツの隙間から指を入れて直に触る。

「んぅぅっ!」
「うわービチャビチャたい」

言いながら、花弁を撫で、秘部の入り口を少し開けて、ピチュピチュと蜜を掻き出す。
さゆみは無意識に、触らされていたれいなの男根を握る。――――れいなは身体をピク、と動かし。それから意地悪そうな表情で、更にさゆみの秘部を弄る。

「あっ、あっ……」

さゆみがピクン・ピクンと身体を動かす。――――ショーツの隙間からというのがもどかしい。
触るのならちゃんと触ってほしい。
そう言いたいけれど。プライドが邪魔をして、そう言えない。
少しの意思表示も含めて、れいなのパンツをずり下ろし、男根を全て外に出させる。それから、シュッシュッと上下に擦り始めた。
これには、れいなも少し驚いた表情をする。

「どうしたと? 珍しく積極的っちゃね」
「……うるさいの」

正直になれず、憎まれ口だけ叩いて、擦り続ける。手の中でどんどんと膨張していく男根。

「……さゆ、」

れいなが熱い声で囁き、さゆみのショーツに指をかける。

「これ、脱がせてよかと?」

さゆみは静かに頷く。
ベッドの縁に座らされ、れいなは床にヒザ立ちになって、スルスルと下ろされていく。
湿って使い物にならなくなったそれは、床に投げ捨てられる。
床にヒザ立ちになったれいなは、そのままさゆみの脚を割り開く。
れいなの眼前には、こんこんと蜜を湛えた秘部が飛び込んでくる。
そこに、れいなは躊躇いもなく顔を埋め、舌を出して舐め始める。

「ああぁっ」

突然の快楽に、さゆみは思わず大きな声を上げるが、れいなは意に介さず舐め続け、ときには蜜を啜り上げる。

「あっ。れー……、」

ガチガチと奥歯を鳴らしながら、なんとかれいなの頭を掴むさゆみ。
そのとき、肉芽をヂュッと吸われ、「あんっ!」と一際高く啼いてれいなの頭を抱える。
ガクガクと身体が震える。
足の指がキュッと丸くなる。

「イッちゃう……っ」

そう小さく叫んだ瞬間。

「え……?」

れいなの行為が全て止まった。
顔を上げ、自分の口の周りについた蜜を舌で舐めるれいな。その姿をさゆみは呆然と見ていた。

「……れーな?」
「なん?」
「えっと……その……」

上手く説明出来ないさゆみを余所に、れいなはまるでアリスのチシャ猫のように笑う。

「一人でイクなんてズルいと。一緒に、やけん」

それだけ言って、れいなはさゆみをベッドの上で四つん這いにさせる。
れいなはさゆみの背骨に唇を一つ落としてから、

「一緒に、気持ち良くなると」

そう優しく言った。
すっかりドラゴン化した男根をヌチャヌチャとさゆみの秘部に擦り付ける。

「はあ、あ……」

さゆみが震えた声を出すと、ズプ、と挿入してきた。
ヒザとヒジがガクガク震える。れいなはさゆみの腰をしっかり固定して、どんどんと奥へと飲み込ませていく。

「はあっ、さゆ……っ」
「れーな……っ」

互いが互いの名前を呼んだところで、男根はコツンと最奥に当たる。
さゆみが荒い呼吸をなんとか整えているのを見計らってから、れいなは、

「動いてよかと?」

優しく尋ねる。
さゆみは、ゆっくり振り返り、涙目で、

「……うん」

それだけ言う。
ズ……ズプ……と最初はさゆみの身体を労わってゆっくり動く。

「あん……あぁぁん……」

艶かしい声になってきたところで、少しずつ腰の動きを速める。

「はぁんっ……ぁぁっ、ん!」
「さゆ……さゆ!」
「あはんっ、はぁっ! れ、れーなぁ……っ!」

今ではバチン・バチンと激しく腰をぶつけ合っている。

「さゆっ、世界で一番愛しとぉっ!」
「ああん! さ、さゆみもっ、れーなのこと……っ!」

ギュ・ギュと締まり始めるナカ。――――そろそろ限界が近い。

「さゆ……ばり可愛かよ」

偽りのない言葉とともに、渾身の力で奥へと叩き込む。

「あああぁぁぁぁあんっ!」

大きく啼いて、さゆみはギュウッとれいなを締め付ける。
その心地良さにれいなは我慢せずにさゆみのナカへ白い欲望を吐き出す。
さゆみがガクガクと震え、れいなの男根が脈打っている間。
れいなは強く優しく、愛しい人を抱き締めていた、――――。



その後も2ラウンド立て続けにしてから。
さゆみは物憂げにシーツの中に入っていた。れいなは、ゆっくりと髪を撫で続ける。

「ね、れーなぁ」

れいなの胸板に顔を埋めていたさゆみが顔を上げて、れいなを見上げる。

「なん?」
「……あれ、ちょっと持って来て」

ちょこんと指差したものは、先ほどまでの二人をバッチリ映し続けたビデオカメラ。
れいなは疑問に思いながらもシーツから出て、言われた通りビデオカメラを三脚から外してベッドのさゆみに手渡す。

「操作の仕方とか、分かると?」
「れーなよりさゆみのほうが機械には強いからね」

減らず口を叩きながら、あれこれと操作するさゆみ。
しばらくしてから、『ピーッ』と音を鳴らしたビデオカメラ。そうして満足そうに、さゆみはれいなにビデオカメラを返した。

「で、今なんしたと?」

何気なく尋ねてみると、

「メモリー全消去」

と言う言葉がサラリと返ってきた。

「へー。全消去……、…………しょうきょぉぉぉぉっ!?」

驚愕するれいなに向かって不機嫌を露わに、

「あんっな恥ずかしいもの、残す馬鹿はいないの!」

さゆみは言う。
れいなは床にヘナヘナと崩れ落ちる。

「さゆニーのオカズにしようと思っとったのに……」

それはそれは悲しい声を出すれいなに。
さゆみはその顔面に向かって、思い切り枕を投げつけた、――――。





迎春肉欲まみれ 終われ。
 


[エロッキTVニュース]

……犯人は「仕事で疲れていたからムラムラしたかった。
ストーリー性もへったくれもないドエロが書きたかった」と供述しており、
また「後悔している、もう二度と書かない」などの反省の言葉は一切見られません。
それどころか「『けしからん!もっとやれ』と言われたら、また書くかもしれない」
という再犯をほのめかす発言をしている、とのことです。
……それでは次のニュースです、――――。
  

ノノ*^ー^) 検索

メンバーのみ編集できます