優樹を寝かしつけた後、ベランダに出て夜風に当たる二人。

「さゆ、5連勤お疲れ。」
「ありがと。」

互いに持っていたグラスをチンッと鳴らして乾杯する。
二人ともお酒が苦手なので中身はアイスカフェラテではあったが。

「復帰してから仕事は慣れとぉ?」
「うん。もう休む前と変わらないの。疲れはあるけどやりがいあるし。」
「それは良かったと。」
「完全に慣れるまでは少し時間かかったけどね。でも馴染みのパートさんとか、常連のお客さんの顔を見たら『あぁこの感じ!』って。」
「働いてるさゆが楽しそうでれーなも嬉しか。」
「嬉しいからって1時間おきに店来なくて良いからね?少し恥ずかしいの。」
「んじゃあ今後は1時間半おきにするとw」
「あんまり変わんないじゃないw」

ニシシ、ンフフと笑いあって同時にグラスに口をつける。
我ながらコーヒーの苦味と濃厚なミルクのバランスが抜群だなとさゆみは感心していると、
れいなは早くも飲みきったのかグラスの中の氷がカラッと音を立てた。

「なぁさゆ。」
「なに?」

星空を眺めながられいなは続ける。

「れーな達だけの七夕、やり直さん?」
「なによそれ。」
「いや七夕の日はハル坊預かったり、屋上でBBQして生田の誕生日祝ったり忙しかったやろ?」
「そうね。」
「だから…さゆみ織姫とれいな彦星でさ…」
「タンマ。」
「え〜。」

熱い視線を送ってくるれいなを制すさゆみ。

「まだもう少しここで風に当たりたいから。」
「じゃあもう少し待つと…」

頬を膨らませ不満そうなれいなに、たしかに1週間してないもんねと心の中のさゆみさん。

「それにさゆみあんまり七夕のお話好きじゃないの。」
「へー意外やね。」
「だって織姫は彦星に1年に1度しか会えないんでしょ?よく我慢できるなぁって。」
「そこがロマンチックなんやないの?」
「そうかも知れないけど、好きな人にはもっと会いたいじゃない。」
「たしかに…でもれいな彦星は、さゆみ織姫に意地でも毎日会いに行くとよ?w」
「そうなったらただの夫婦でしょ。」
「違う違う。 "ラブラブ夫婦" っちゃん。」

れいながさゆみとの距離を詰めると、まるでそうなる事が運命づけられていたかのように自然と唇が触れ合う。
当たり前だがカフェラテの味がするキスだった。

「…待てないの?」
「うん。もうさゆを抱きたくて仕方ないっちゃ。」

ヤレヤレといった感じで一つ溜め息をついたさゆみさんはカフェラテを一気に流し込み、
「行きましょ?」と言って手を差し出す。
それが何を意味するかすぐに分かったれいなは差し出された手の甲に一つキスを落としてからさゆみをお姫様抱っこをする。

「ところでさゆみ姫?」
「なにれーな星?プッwなんか梅干しみたいなのw」
「梅干しってそりゃないやろぉ…w」
「ごめんねw で、何?」
「明日起きたら短冊書かん?優樹のしか笹に吊るしとらんやん。」
「そうね〜。あっでも、」
「ん?」
「さゆみ達 "ラブラブ夫婦" みたいだから全く一緒のこと書くかもよ?ンフフw」
「ニシシw たしかに言えとぉw」

笑いあって、見つめあって、キスしあいながらベッドルームに消えたラブラブ夫婦。
二人が明日短冊に書く願い事は、わざわざ言わなくてもご想像がつくかと思うので割愛させて頂きます。





田中家の日常 七夕と夫婦愛と編 おわり
 

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