創造論とインテリジェントデザインをめぐる米国を中心とする論争・情勢など

インテリジェントデザイン概説>シミュレーション・アーギュメントとID

インテリジェントデザインとラット


SFアンソロジー"Intelligent Design"所収の短編"The Year of the Rat"にこんなセリフがある:
(Von Hastings:) "God created the rat so that we could understand human beings. He gave the rat the power to spread disease, so that we would notice the rat, and He then made certain that the rat would also give us the answers to those diseases, if we only knew how to look."

「我々が人間を理解できるように神はラットを創造した。神はラットに病気を伝搬させる力を与えて、我々にラットの存在を気づけるようにした。そして、神は、我々が見方を知りさえすれば、これらの病気に対する答えを出せるように、ラットを作った。」

[Kristine Kathryn Rusch: "The Year of The Rat" in "Intelligent Design" edited by Denise Little]
ラットが媒介する病気の数と、ラットを実験材料とすることによって見つかる治療法の数がバランスしているならば、まさにインテリジェントデザインの証明ではないかというアイデアだ:
"He means," Luke said, "that the rat would cause as many diseases as it cured."
"That's the simplistic way to look at it," John said.
"Intelligent Design is simplistic," Sarah said.

ルーク:「彼はラットが起こす病気と、ラットによって見つかる治療法の数が同じだという意味のことを言った」
ジョン:「それは単純な方法だ」
サラ:「インテリジェントデザインは単純」
"ここ"がシミュレーションであることを示す方法は、"ここ"が自然な世界ではありえないもの(いかに仕掛けられたゲームのイベントのようなもの)を見つけるしかない

実際には、引き起こす病気の数と、見つかる治療法の数を、未来の数値を含めて、すべて数え切るのは不可能。だが、長いめの時間スケールで見て、常にその数がバランスしていたら、"ここ"がシミュレーションである間接的な証拠になるかもしれない。

インテリジェントデザインは、形式的には「"ここ"がシミュレーションであることを経験的事実によって示そう」としていて、その意味では、シミュレーションアーギュメントのサブセットに位置づけることができる。そして、その実例としてのラットは、少しは有効な例になるかも。

ただ、実際のインテリジェントデザイン支持者たちはこういった主張をしそうにない。Discovery InstituteのサイトやDiscovery Institute公式ブログがシミュレーションアーギュメントに触れたのは1度だけ





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