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19年11月20日 合同分科会 議事録7

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○野依座長 ありがとうございます。私は高等教育につきましては入口だけでなく、やはりあるべき出口からの検討が不可欠だろうと思っております。資料1に現状認識を書かせていただいておりますけれども、ご承知のように、20世紀の半ばから知の爆発があって、学問だけでなく技術、社会も大変革があったわけでありますけれども。これに対して多くの大学では依然として続いている学部の自治、講座制を基調とした煙突型の縦割り構造で運営しておりまして、こういった変革に対応が不可能だというふうに私は見ております。

 それに大学の閉鎖性があるべき教育への移行を阻害していると。そういった結果で学術動向だけでなくて、多様化した社会的な要請との乖離が大変著しいと思っております。

 学生のレベルでありますけれども、現在はグローバル社会ですから一定の割合で国の内外またはいずれのセクターでも活躍できるような国際水準のリーダーの育成が必要であります。そして、多くの中堅クラスの高等教育の修了者の養成が必要だということでありますけれども、いずれも国の内外、社会の評価は厳しいものがあります。

 その原因はさまざまですけれども、私は社会全般の精神性の衰退とも関連して、若者たちに知というものに対する憧れがない、畏敬の念が全くないということが大変大きいと思いますけれども、同時に大学教育の力量が欠如していると思っております。

 なぜ改革が進まないのかということでありますけれども、これは特に国公立の大学は教育の失墜感が大学経営上問われることが今まで乏しかったと。したがって、学長と部局を結ぶマネジメントの体制が全く不十分と思っております。それからまた、教育がしばしば各教員個人に委ねられておりまして、組織的な整合を欠いてきたと思っております。

 これまで何度も大学改革の試みがありましたけれども、これは主として大学と教員の権益、特に教育よりも研究の視点に立っておりまして、この教育再生会議ではぜひとも学生の立場に立った教育組織への変革を掲げていただきたいと、こう思っております。

 まず、どうすればいいかということですけれども、現行の硬直化した学部の枠を越えた教養教育、これを構築しなければなりませんが、さらに、修得主義に基づく基礎学力の確実な検証を行わなければいけない。その上で新たな学術動向を見すえて、多様な社会の要請に応える専門教育をしなければいけないと思います。そのためには、大学は学協会であるとか産業界などと連携して人文社会系、理工系のみならず、ぜひとも医療系についてもそれぞれの教育のあるべき姿をご検討いただきたいと思います。そして、第三者の意見も聴取した教育評価をもって教育の質を確保する必要があると思います。

 その際、先ほどから問題になっております大学全入時代を迎えておりまして、学生の能力はさまざま、それから研究者や高度の専門職のみならず多岐にわたる社会へ参画して卒業していくということであります。大学院が専門職学位と修士、博士と分かれたように、学士にもやはり人材養成機能に応じた区分があってしかるべきではないかと思います。

 まず、体系的な教育を行わなければいけないんですけれども、そのためには学術の動向に全くあわないような現行の学部・学科の壁はぜひ打破していただかなければいけない。その上で合理的かつ柔軟な教育組織への再編をするということが必要だろうと思います。不要であったりあるいは重複している分野の是正、あるいは新興分野の充実に向けて、学長はぜひリーダーシップを発揮して、個性に応じたアカデミックプランを再構築すべきだと思っております。

 私は高等教育再生の鍵は、全学的に整合性のある経営と教育のマネジメントの確立にあると思っております。国立大学は経営と教学の業務分担を明確にすべきだろうと思っております。教員は専門家として教育研究に本当に専心できるように、経営陣は教育研究の目標、教育課程の設定やさまざまな社会対応型の業務を責任と指導力を持って担うべきだと思います。

 そのためには、ここにいらっしゃるような大変力量のある学長の先生方を登用して、その学長の先生が責任を持ってすぐれた専門業務能力を持つ副学長、理事を任用するとともに、また当然でありますけれども、教育的な見識を持つ学部長の任命を行うべきだと思っております。

 また、先ほどからございますような事務体制の抜本的な強化が不可欠だと思っています。特に主要大学におきましては、学部と大学院の縦割り構造を打破して、やはり開かれた教育組織への改革のリーダーシップをとっていただきたいと思っています。国際的に第一級の教員と学生をひきつけるような待遇、環境を整えて学部課程、大学院課程、それぞれに重点化した世界最高水準の教育を目指すべきだと思っています。

 大学院につきましては、アメリカもヨーロッパも国際競争力の源と考えておりますので、資料2に私の考えるあるべき姿を書かせていただきましたので、ぜひご理解を賜ればと思います。

 今申し上げましたことにつきましては、学生や教員の多様性、流動性が鍵でありますけれども、この実現にはやはり公財政支出の充実が不可欠だろうと思っています。なぜその投資が必要なのかということにつきましては資料3に私の考えを書かせていただきました。特に大学院生等、すぐれた学生に対する経済支援、それから新興分野の充実、それから世界最高の拠点整備などに欧米最低水準の公財政支出の平均水準へ引き上げるということがぜひ必要だろうと思っておりますので、ぜひご支援賜りたい、こういうふうに思っております。

○川勝主査 野依座長、ありがとうございました。それでは、小野委員、お願いします。


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2008年01月25日(金) 11:45:05 Modified by nipponkamoshjka




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