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19年11月20日 合同分科会 議事録8

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○小野委員 私のペーパーをもとに簡潔にご報告申し上げます。まず最初に、知識基盤社会である21世紀に、やはり知の拠点として大学・大学院の役割は極めて重要である。今先進国はどこも国際競争力を強化するために大学・大学院に投資をしております。我が国もここで投資を怠っては人材育成の国際競争に負けてしまうということをまず最初に述べたいと思います。

 2番目に、よく言っている議論ですが、壊れた器に水を注ぐのは無駄だという説がございます。これは確かに一理はあるんですが、まず大学改革をすべきだということはその通りなんですけれども、しかし、では一たん大学の競争力が落ちてしまって、まだ今の大学はだめだからお金は入れないということで、競争力が落ちてしまってからでは回復が困難になります。やはり今こそ教育研究にしっかりとした投資が必要だと思いますので。壊れた器は徹底的に修理しながら、しかし水は注がなきゃいけない。そうしないと時代におくれてしまう。日本が先進国の中で落ちこぼれてしまうということを強く申し上げたいと思います。

 その上で、大学・大学院改革をぜひ推進したいということですが。まず一つは国立大学法人について、徹底したマネジメント改革が必要だと思います。これは野依座長の意見と少し近いと思いますが。まず、学部長選挙を廃止しないと、今の大学は学長が学長選考会議で選ばれてきても、各学部長は学部の自治のもとに選挙で選ばれてきておりますから、実質的にそれを排除することが難しゅうございます。したがって、まず学部長選挙をやめる。そして、学長がリーダーシップをもって学部長を選任するという本来のシステムに改めるべきだと私は強く思います。

 それからもう1点は、学部長選挙が行われているのはやはり学部の壁があるからなんですね。ここも野依座長の意見と近いんですけれども、教員は基本的に、例えば大学院に所属する国立大学法人についてのこととして、教員組織としての学部は廃止すべきではないかと私は思います。

 ただし、学生は法学部なのか理学部なのかというのは必要ですから、「第1学部の○○です」というのでは分かりにくいので学生は学部でいいと思うんですけれども。その学部に、大学院にいる先生が、例えば第1学部の先生が、例えば化学の先生であれば理学部に行っても教え、教育学部でも医学部でも農学部でも教えられるようにして合理化をはかるべき。学部の壁を取り払った上で、教育については全学的な視点から取り組むということを考えるべきではないかというふうに私は思います。

 それから2番目に、国立大学法人の徹底した規制緩和が必要だということでございます。せっかく法人化したわけですから、大学の敷地を民間に貸すことができるようにして、その民間企業がオフィスビルとともに留学生宿舎をつくるということもできるようにして、民間活力を活用して、しかも自分のオフィスもできるということで、土地を利用して教官宿舎や留学生宿舎をマンションと一緒に合築できるようにしていく。同じことが市町村や県にも言えるわけでございまして、例えば市や県がスポーツ施設や保育所や社会教育施設を大学の敷地を借りてできるように。そして学生と市民が共同で使えるようなそういう規制緩和をすべきではないかというふうに思います。法人化したメリットをもっともっと生かさなければいけない。

 それから、出資金の余裕金の運用方法ももっと道を広げるべきだというふうに思います。

 それから、大学教育の質の保証でございますけれども。大学で機能分化を促進してそれぞれの大学の特色を生かすべきだと私は思いますが。GPAの制度であるとか単位を厳格化していく、卒業認定を厳格化する、これも大事だと思うんでございますけれども、それ以上に、私は先ほどここで議論があったんですが、民間機関による大学の卒業程度の標準的な学力試験を民間が実施するようにしてはどうか、国ではなくてですね。

 それから、今OECD−PISAで大学について大学生の学力をPISAは調査をしようという動きがございますので、これは本当に世界で大競争になると思うんですが、これに対してしっかり日本の大学も積極的に参加して、各大学の国際的なレベルでの学力を競争していくということが学力の向上に私はつながるんじゃないかというふうに思います。

 それから、同じ大学の教育の面ですけれども、今文科省が現代GPとか特色GPとかいろいろな教育面で活躍しているところに対して資金を出すシステムがございますけれども、こういったものを競争的資金の研究資金とともに競争的資金の教育資金というのもきちっと支給していくことを通じて国公私を通じた大学改革を推進すべきではないかというふうに思います。

 それからもう1点ですが、これは国際化ということを考えればやはり大学の授業の30%程度は英語で授業されるようなシステムにすべきではないか。これを各国公私を通じて各大学に働きかけていくべきではないかというふうに私は思います。

 それから4番目に大学院教育の改革でございますが、イノベーションを起こしていくためには博士課程に優秀な学生が集まらなきゃいけないと思いますので、そこは博士課程の入学定員充足率で無理やりに入れさせるのではなくて優秀な学生だけ入ればいいわけで、定員充足はしなくてもいいと私は思うんです。しかし、優秀な学生は集める必要があると思います。そこでは確かな基礎学力を備えて専門分野で即戦力になるような人をぜひ育ててほしいというふうに思います。

 その意味からも大学院政策と留学生政策を抜本的に改善していく。先ほども議論がございましたが、インドや中国の優秀な大学院生に、日本に来てもらえるようにフェローシップであるとか奨学金であるとか授業料免除であるとかいろいろな支援をしっかり行いながら、我が国の大学院を世界の学生から見て魅力的なものにぜひしたい。そういうこともすべきではないかと思います。

 最後ですが、高等教育に対する投資について。やはり先ほどの「水が漏れる」などの議論ではありませんけれども、4ページのところに書いておきましたけれども、国立大学の運営費交付金であるとか私学の経常費補助金についても充実させる必要があると私は思っております。ただし、今財政が非常に悪うございますから、今年は仕方ないのですが少なくとも次期の中期目標、平成22年度からの6年間においては一律に減らすという施策は見直すべきだと私は思います。

 一方で競争的な資金、グローバルCOEだとかGPだとか科学研究費だとか、こういったものはやはり大幅に増やすということをしていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。特に運営費交付金については配分を一律配分ではもちろんなくて、研究面、教育面、地域への貢献、それから大学改革の実施状況など、客観的な評価に基づいた配分ルールをつくって配分をしていく必要があるのではないか。そのことで運営費交付金の傾斜配分によって大学改革を促していく必要があると思います。

 最後ですが、大学の施設を耐震補強あるいは諸外国と競争できる最低限の研究施設の整備が必要だということを強く申し上げたいと思います。 以上でございます。


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2008年01月25日(金) 11:45:53 Modified by nipponkamoshjka




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