作者：祭屋・イズミヤクモ・kemo 
皆さん、こんにちは。
今回は、R-18G文章界隈における先輩クリエイター様である祭屋様、イズミヤクモ様との合作企画となっております！
お二方の素晴らしい創作アイデアによって、14000字を超える大作が完成いたしました！
祭屋様、イズミヤクモ様、当企画をご快諾いただきありがとうございます。
※この小説はフィクションであり、実在の人物･団体･事件とは一切関係ありません。また、特定の社会的立場の人々を揶揄する意図は一切ございません。
本編
「せんせー、もうすっかり元気だよ、ありがとー！！」
「先生、本当にお世話になりました」 「ありがとうございます、ありがとうございます」
「ああ。また来いよ……いや、来ない方がいいんだけどな」
とある町はずれの診療所。ひとりの男の子が、両親に連れられて退院の日を迎えたようだった。
それを見送るのは、変な格好をした背の高い男。
ひときわ目を引くのは、メッシュの入った長い前髪と、生足をむき出しにした短パン姿の下半身。
まったく、医療従事者には見えない。
その風貌は、まさしく『謎の男』と呼ぶにふさわしい。
「ふあぁ」
謎の男は、診療所を離れていく家族がまだこちらを見て手を振っているにも関わらず、大きなあくびをして、その体を伸ばす。
まともなオトナなら、こんな謎の男に、我が子を預けようとはしないだろう。
……しかし、この町では、謎の男の地位は最低限保障されていると言って良い。
医者が彼以外にいないからである。
「コウタ！！ 退院祝いに、カメパンを買って来たぞ！」
「カメパン！？ やったー！！」
父親が小さなパン屋に入り、カメのカタチをした美味しそうなパンを買って戻ってきた。
「ずっと食べたいって言ってたもんな！」
「コウタ、よく噛んで食べるのよ」
「パパ、ママ、ありがとう！！ いっただっきまーす！」
無邪気な笑みで、男の子が「カメパン」にかじりつこうとした次の瞬間。
びゅっ！！
「のだのだのだのだ！ ごはんさん、ごはんさん！！」
「うわぁっ！？」
突如、どこからか1匹の妖精が突進してきた。男の子は、驚いてカメパンを取り落としてしまう。
「ばいばい、くちょにんげん！ ごはんさんもってきてくれて、ごくろーさまなのだあああああああ！」
その隙を逃さず、地面に落ちたカメパンを抱えて、飛んで逃げ出す妖精。
「えっ……う………ううぅ……」
男の子は、突然の出来事にしばし固まっていたが、やがて、自分が楽しみにしていたカメパンが盗まれたことに気が付くと、顔をくしゃくしゃにして泣きだした。
「うわーん！！ うわーん！！ カメパンがあああああ！！ ぼくの食べたかった、カメパンがあああああああああああああ！！ うわああああああん……」
「コ、コウタ……ま、待てええええええええええええっ！ ずんだ虫いいいいいいいいいいいいいいっ！！」
父親も、目の前で何が起こったかわからずに呆然としていたが、愛しい我が子の泣き声を聞くや否や状況を瞬時に理解、その顔に怒りの表情を浮かべ、走って妖精を追いかけ始める。
「うわーんうわーん！！ 酷いよ、酷いよおおおおおお！！ ぼく、まだ、ひと口も食べてなかったのに！ 楽しみにしてたのに！ うわーんうわーん！！」
「私たちがパン屋さんから出てくるのを待ち構えていたのね……ほらコウタ、もう泣かないの……新しいの、買ってあげるから………………」
「うわああああああん！！ うわああああああああああん！！ ママあああああ！！ 悲しいよおおおおおおお！！ 悔しいよおおおおおお……」
母親は必死で我が子をなだめるが、泣き声は激しさを増すばかりだった。
楽しかったはずの退院記念日が、あっという間に崩れ去ってしまった………………
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ！！ 待て、待て、待てええええっ！ 絶対に、絶対に逃がさないぞ………ずんだ虫っ！！」
「くしょ……あのくちょにんげん、しぶといのだ！ さっさときえるちゃ！」
それでも、父親は諦めなかった。上空5メートルほどの高さを飛んで逃げる妖精を真っすぐ見据え、必死に追いかけ続ける。
「はあっ……はあっ……ずんだ虫！！ 降りてこい！ 叩きのめしてやる！！」
「のーだのだのだ！ のーだのだのだ！ おそらさんもとべないくちょにんげんめ！ 悔しかったらここまできてみるちゃ！ ふーりふーり、ふーりふーり！」
上空で1回転して停止した妖精は、お尻を振って父親を嘲り笑う。
「く……と、年はとりたくないな……情けない……あんなずんだ虫にすら、満足に追いつけなくなってるなんて」
かつて陸上部に所属していた父親は、肩で息をつきながら己の不甲斐なさを嘆いた。
「もうあきらめるちゃ、くちょにんげん。このごはんさんは、ぼくのものになったのだ！」
「いいや諦めんぞ！！ お前が今持っているそのカメパンは、俺がコウタのために買ったものだ！ お前が盗んでいいようなものじゃないっ！！」
「だったら、とりかえしてみるちゃ？ それでも、これはもう、ぼくのごはんさんになったという“じじつ”には、かわりないのだ！」
確かに、地面に落ちたり、どれだけ汚れているかわからない野良の妖精が触れたりした以上、もはやこのカメパンは、人間が食べられる状態ではないかもしれない。
それでも、父親は、この妖精を見逃すわけにはいかなかった。
「おらっ！」 びゅっ、びゅっ！！
「い、いちゃいっ！」
父親は、足元にいくつか転がっていた石を拾い、妖精めがけて投げつけた。そのうちの1個が額へと命中し、妖精はカメパンを取り落としそうになる。
「あ、あぶないちゃ！ に、にげるのだ！ のだのだのだ！！」
「ああっ、こらっ！ 待てええええっ！！」
再び、逃げ出す妖精。
逃げる1匹と追う1人はいつの間にか、人でにぎわう商店街にやってきていた。
「しめちゃ！ ここでくちょにんげんどもにまぎれて、にげてやるのだ！」
「うわっ！？ 妖精だ！！」 「きゃあっ、汚いっ！！」
妖精が急降下し、数人が悲鳴を上げた。
「すみません、すみません！ 通してください！！ だ、誰か、そのずんだ虫を、捕まえてくださいっ！！」
「くちょ、まだついてきやがるちゃ……どれだけ、ぼくのごはんさんがほしいのだ！！ どこまでもいやしい、くちょにんげんめ！」
妖精は、後ろから追ってくる父親を警戒しすぎて、前方の確認を怠っていた………………
「ああああああああああああああああああああああ」 がしゃあん！ ぱりいん！！
妖精は、小さな宝石店のガラス窓に突っ込んだ。派手にガラスが飛び散る。
「いちゃい、いちゃいっ！」 どかんどごん！ がらがらどしゃん！
突っ込んだ勢いのまま、妖精は店内をゴロゴロと転がり、棚に陳列されていた宝石類を床にまき散らした。
「ああ何てこと……アタクシのお店があああっ！？」
「おっ奥様っ！ 危のうございますっ！」
大きな音を聞きつけて奥から出てきた店主が、店内の惨状に目を見開いて卒倒しかける。
「いちゃい………のだぁ？ こ、これは、ずんだもちなのだ？！」
あれだけの衝撃を受けながらも、カメパンを手放さずに起き上がった妖精は、目の前に転がる大きな緑色の宝石を見て、目を輝かせる。
「ま、まちがいないちゃ！！ こ、これこそは、ゆめにまでみた、ずんだもちのなかのずんだもち、“きらきらずんだもち”なのだ！ こんなところに、おちていたなんちぇ！」
………………
「奥様っ！ 奥様っ！！ 妖精が、妖精が、エメラルドをっ！！」
「は、早く捕まえるザマスっ！？ 盗まれる、盗まれる！！ アタクシのエメラルドおおおおおおっ！？」
「おっ奥様っ！ 危のうございますっ！」
店主が再び卒倒しそうになっている間に、妖精はエメラルドを口に咥えて、ガラスに開いた穴から飛び出していったのだった………………
「くちょにんげんめ！ “きらきらずんだもち”をかくしてひとりじめするなんて、なんてやばんないきものちゃ！！ ぼくたちが、ありがたくもらってやるのだ！ かんしゃするがいいのだ！ のーだのだのだ！ のーだのだのだ！」
飛んで逃げながら、妖精は、満足そうにお尻を震わせるのだった。
妖精の侵入で、めちゃくちゃになった店内。父親は、店主に何度も頭を下げる。
「ずんだ虫を追いかけたばっかりに、本当に、申し訳ございませんでした…………」
「いえ、気にすることはないザマス。悪いのは、あの盗ッ人妖精なんザマスから……アタクシは最初から、貴方を怒っていないザマスよ」
店内の片づけがひと段落し、セレブとしての落ち着きを取り戻した店主は、ここだけの話、と前置きし、父親に耳打ちした。
「妖精が盗んだのは、緑色の宝石……“エメラルド”ザマス。どうか、あのエメラルドを取り戻して欲しいザマス」
「えっ……」
「勿論、タダでとは言わないザマス。もし妖精から取り戻してくれたならば、そのエメラルドを貴方にそのまま進呈するザマス」
「なっ！？ えっ、えっ、えええええええええええええっ！？」
激しく狼狽する父親に、ニコッと笑って店主は言った。
「アタクシにも、プライドというものがあるザマス。あんな妖精にまんまとエメラルドを盗まれたなんて、あんまり知られたくないザマス」
だが悲しいかな、小さな町の宿命として、そのようなウワサ話は、どこからかあっという間に広まるものである。
“エメラルドを見つければ、それがまるまる自分のものになる”
エメラルドを見つけるだけでいい。こんなに簡単な人生大逆転のチャンスが今までにあっただろうか（いや、ない）
ウワサを信じ込んだ町の人々は血眼になって、まるでエサをついばむハトのように常に下を向き、エメラルドを探しながら歩いた。そのため、あちこちで人々が前方不注意でぶつかっていた。
妖精がエメラルドを持っていったという事実は広まっていなかったため、人々は、この町の地面のどこかに、エメラルドがあると信じていた。
「日本人、下を向きすぎデ〜ス。もっと、自分に自信持ったらいいのになァ……」
偶然、この町に観光に来た外国人は、ほぼ全員が下を向いて歩くという、その異質な光景に絶句したという。
あの「謎の男」も、エメラルドのウワサを聞いていた。診療所にやってきた患者が、そのことを謎の男に伝えたのである。
「みんなエメラルドを探してるんです！ 絶対に、自分が最初に手に入れるんだって！」
「くだらん……おおかた、カラスが持っていっちゃいました、ちゃんちゃん…………だろうが」
そうは言いながらも、普段よりも落ち着かない様子で、診察室を行ったり来たりする謎の男。
無理もない。自分がここでくすぶっている間にも、誰かがエメラルドを見つけてしまうかもしれなかった。
「私も今日の治療が終わったら、すぐにでも探しますよ……だから、なるはやでお願いしますね、先生♡」
「フザケんな」
本日の患者は、経過観察も含め、最低でも10時間の診療が必要であった。
その間、患者とともに、謎の男は拘束されることになった………………
「ままずん！ おちびちゃん！ きょうも、くちょにんげんがごはんさんをもってきてくれたのだ！ おいち、おいち！」
「ごはんしゃん、ごはんしゃん！！ おいち、おいち！！」
「おいち、おいち！ おちびちゃん、いっぱいおたべ……のだぁ？ ぱぱずん、そのずんだもちは、なんなのだぁ？」
森にある自分の巣穴に帰った妖精………「ぱぱずん」は、盗んだカメパンを分け合って食べ始める。
早速「ままずん」と呼ばれたメス妖精が、エメラルドに気づいた。
「よくぞきいてくれたのだ、ままずん！！ これは、“きらきらずんだもち”とよばれる、ちんみなのだ！ いっしょうのうちにいちどたべれるかわからないほどの、ごちそうなのだ！」
「「きらきらずんだもち！ いいひびき！！」」
「そろそろ、あたらしいおちびちゃんたちがほしいのだ！ だから、ままずんにぷれぜんとするのだ！」
「え、いいのだ？ ぱぱずん……こんなめずらしいごはんさん、くろうしたんじゃないちゃ？」
「くちょにんげんどもが、きらきらずんだもちをかくしてやがったのだ！ “もりのけんじゃ”のぼくにとっては、それをうばいかえすなんて、かんたんなことちゃ！」
「きらきらずんだもち」等という食べ物は、この世には存在しないのにも関わらず、ぱぱずんはふんぞり返る。カメパンを食べ終えた子ずんが、目をキラキラさせて叫んだ。
「おとーちゃ、すごいにょだ！ ずんちゃも、おとーちゃみたいな、“もりのけんじゃ”になりたいにょだ！！」
「あんしんするちゃ、おちびちゃん！！ ぼくたちようせいは、うまれたときから“もりのけんじゃ”ちゃ！！ しぜんかいの、“かちぐみ”ちゃ！！」
「かちぐみ！ いいひびき！！」 「きゃちぐみ！ きゃちぐみ！ きゃちぐみ！ きゃちぐみ！」
調子に乗った妖精たちの甲高い声が、森の中に響き渡った。
………………
ざすっ、ざすっ、ざすっ！
そんな妖精たちの元へ近づいてくる、足音。
「なっ、なにかくるのだ……えっ……」
簡易的な巣穴から、恐る恐る顔を覗かせたぱぱずんは、言葉を失って青ざめた。
「くちょ……くちょにんげん………こんなところまで………………」
「どうしたのだ、ぱぱずん！」 「おとーちゃ、きょわいにょだ！ はやく、おいはらうにょだ！」
ガタガタと震えだすぱぱずん。いつもなら勇敢に飛び出していくはずであったが………………
「ずんだ虫……きっと、この森に逃げ込んだに違いない……さっき、このあたりで声が聞こえたぞ……」
やってきたのは、あの父親だった。エメラルドのことよりも、カメパンを盗んだぱぱずんを追い続けているようだった。
「きっと、きらきらずんだもちをねらっているのだ！ くちょにんげんがうばいにくるまえに、たべるちゃ！ ままずん！」
「え？……の、のだ！ んぐぐぐっ！」
大口を開けたままずんは、ごきゅりっ、と音を立ててエメラルドを丸呑みした。
……それが、終わりの始まりであった。
「くっ……見つからなかった……明日こそ、絶対に見つけ出してやるぞ、ずんだ虫……」
日も暮れてきた。歯噛みした父親は、妖精たちの隠れた巣穴から離れていく。
「……もうだいじょうぶちゃ、おちびちゃん、ままずん！！………………ままずん？」
「んががっが、ががんっがががが、んがんがあ…………」
ままずんは、狭い巣穴の中でひっくり返って激しく痙攣していた。
「おぎゃーおぎゃー！！ おかーちゃ、おかーちゃ！！」
「ま、ままずん………きらきらずんだもちが、つまっちゃったのだ！？」
ぱぱずんは、その小さな脳みそをフル回転させ、どうすればままずんが助かるか考えた。
「そ、そうちゃ！ くちょにんげんのまちには、“おいしゃしゃん”がいるって、きいたことあるのだ！ “おいしゃしゃん”なら、きっと、ままずんをなおせるのだ……で、でも……」
ぱぱずんは、激しく躊躇する様子を見せる。
「“もりのけんじゃ”たるこのぼくが、くちょにんげんをたよるなんて……くつじょくちゃ……」
「あががぐ、あががぐ、あががぐが！」
ぱぱずんが逡巡している間にも、ままずんの苦しむ声は止まない。
この際、背に腹は代えられなかった。
ままずんを背負ったぱぱずんは、フラフラとした飛び方で巣穴を出発した。
「おぎゃーおぎゃー！！ おぎゃーおぎゃー！！ おとーちゃ、おかーちゃ、どこいきゅにょだ！ ずんちゃも、ずんちゃもいきゅにょだあああああああ！！」
「わがままいっちゃだめちゃ、おちびちゃん！ そんなんじゃ、“もりのけんじゃ”には、なれないちゃ！」
「おぎゃーおぎゃー！！ きょわいにょだああああ！！ ずんちゃ、くらいの、きょわい、きょわいにょだあああああああああああああ！！」
暗闇に恐怖して泣き喚く子ずんは、置いて行かれたのであった。
「ふう……やっと行ったか…………これでようやく、宝石を探せる」
その日の夜。退院した患者を見送った謎の男は、忌々しいとばかりに吐き捨てる。そうは言いつつも、この10時間で、彼のエメラルドに対する熱は冷めてしまっていた。
一向にエメラルドを見つけた人物は現れなかったからである。
がんっ、がんっ、がんっ！！
「あ？ 何だ、こんな時間に」
つまらなさそうにソファーに横になった彼を起こすように、乱暴に窓ガラスが叩かれた。
がちゃっ！！
「のだのだのだのだ！！ お、おいしゃしゃん！ どうか、どうか、ままずんを、たしゅけてほしいのだああああああああああ！！」
「うわ、よりにもよって害獣だったか、開けて損した」
窓を開けると、診療所に転がり込んでくる妖精。森から飛んで来た、ぱぱずんだった。
「帰った帰った。私は、金にならない仕事はやらないんだ」
「おかねしゃんなら、あとでかならずよういするちゃ！ だから、ままずんを……」
「……どうやって？ 人間から金を盗んで、それを持ってくるんだったら、私は受け取らないね」
「の、のだぁ……しょんな……ぼくが、そんなに、“しんよう”なりませんかのだ？」
信じられないとばかりに、目をうるませて媚びる妖精。
「んぎぎぎぎ、ぬぶうううううっ、んぐぐぐうぅっ……」
ままずんは、相変わらずうるさく苦しみ続ける。
謎の男は、どこまでも迷惑そうに顔をしかめた。
「害獣であるキミらのことだ、盗んだメシを食べすぎただけじゃないのか」
「ち、ちがうちゃ！ ぼくたちは、いままでいちども、くちょに………にんげんしゃんから、ごはんさんをぬすんだことは、ありませんちゃ！」
悪びれもせず、妖精はウソをついた。謎の男は眉を顰める。
「……信用出来ん。キミら害獣はすぐウソをつくからな」
「ち、ちかってほんとちゃ！ ぼくたち、なにも、わるいことしてませんちゃ！」
「“くちょにんげん”って言いかけたのは、どういうわけだ」
「そ、そんなこといってないちゃ！ と、とにかく、ぼくもままずんも、なにもしてないちゃ！ はやく、なおすちゃ！」
妖精は、ウソにウソを重ねた。謎の男は、大きくため息をつく。
「何もせずに、こんな状態になることはないだろう……こいつは何を食べたんだ」
「うぶ、ぉのだ……」
「どうした？ 何か、言えない理由でもあるのか？」
露骨に汗をかいて狼狽する妖精だったが、やがて、口を開いた。
「き、“きらきらずんだもち”ちゃ……ままずんは、きらきらずんだもちをたべたのだ……」
「何だそりゃ」
「きらきらずんだもちは、きらきらずんだもちちゃ！ ほら、はやく、ままずんをなおすちゃ！」
次の瞬間、謎の男の頭に、天才的な閃きがよぎった。
こいつらは、「ずんだもち」を好む。ずんだもちに対する執着は恐ろしく、緑色で丸いものなら、たとえ信号機であっても、ずんだもちと認識することがあると聞く。
もしかして………………！！
「……問診だけはしてやろう。患者はこいつだろうが……まともに受け答え出来なさそうだから、キミでいい」
「おいしゃしゃん！ なに、ぼさっとしてるちゃ！ はやく、ままずんを、なおせえええええええええええええええええええええ！！」
「キミねえ、立場わかってる？ 命令すれば、何でも自分の思い通りになると思ってんのか？」
「うぐうううう……おいしゃしゃん、おねがいちゃ……はやく、ままずんを、なおしてくださいのだ……」
謎の男は、宝石が手に入るかもしれないという喜びで、口元に歪んだ笑みを浮かべながら妖精を諭した。
「あのね、いきなり来られても、急には治せないわけ。わかる？ 問診っていって、何の病気か診断するための手がかりが必要なんだよ」
「そんなことどうでもいいちゃああああああああああ！！ きらきらずんだもちをたべてから、ままずんは、くるちくるちなっちゃったのだあああああああああ！！」
「どうでも良くない。本当に食べたんだな？ 変なところを切開して、傷をつけてはいけないだろう？」
「ま、ままずんになにするきちゃ！ やさしくしなきゃ、だめちゃ……」
「本当に、こいつはその“きらきらずんだもち”とやらを食べたのか？…………私 の 質 問 に 答 え ろ 」
「た、たべたのだ、たべたのだ！ まちがいないちゃ！ ままずんに、ひどいことしないで……」
「“ひどいこと”も何も……切開しないと取り出せないだろうが。食べたなら、いい感じに取り出せそうだ」
「ほ、ほんとうなのだ！？ さすが、おいしゃしゃんちゃ！」
………………
20分後。妖精は、処置室の外で待つように言われた。
長い問診であったが、その所要時間は、人間と妖精との知能指数の差が生むものであった。
「くちょにんげんをたよるのは、くつじょくだけど、これでままずんがたすかるなら、くちょにんげんをりようする“かち”は、あるちゃ！！ おいしゃしゃんなら、ぼくのどれーにしてやっても、いいのだ！」
妖精は、不釣り合いに大きい椅子の上で、満足そうにお尻を震わせるのであった。
さらに20分後。妖精は、処置室に入っても良いと言われた。
謎の男は、ワイングラスを片手に、ソファーの上でくつろいでいた。
「おいしゃしゃん！ ままずんは？」
「………………すべて片付いた。“手術（オペ）”は成功だよ！！」
その言葉を聞くや否や、妖精は処置室の奥へと突進する。
そこにあったのは、白い布。
「ままずん！！」
妖精は、白い布の端を掴んで、グイっと引っ張る。
………………
中には、苦悶の表情で目を見開き、腹を掻っ捌かれて死んでいるままずんの姿！
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！」
妖精はあまりの衝撃に後ずさり、後ろの手術道具に衝突する。
「いやァ〜〜、実に難しい“手術（オペ）”だったよ、何せ胃と完全に融合しかけていたからねェ」
ゆらっ、と現れた謎の男は、まばゆく光るエメラルドを掲げて見せた。
「“きらきらずんだもち”は、無事だっ☆」
妖精は、愕然とした表情を浮かべた。
「おいしゃしゃん……おまえは……ままずんをたすけるって、いったああああああああああああああああああ！！」
「ただ、いい感じに取り出せそうだ、と言っただけだが……………………というか、なんで私の言葉を鵜呑みにしちゃうかな」
謎の男は、笑いをこらえきれずに、言った。
「町じゅうの人間がこの宝石を狙っていることは、キミも知ってたろうに」
ここで、初めて妖精は、男の持つ物体が、「きらきらずんだもち」なんかではないことに気が付いたようだった。
「ほ、ほうせき……ちゃ……？ しょんな………………ぼくは……ぐすっ……えふっ………………いっしょうけんめい、やったのに…………」
「その“ままずん”を助けるために私を利用しようとか、そういう………っ、思惑だったんだろうねェ〜………ふっふっふっふっ……」
くずおれる妖精を見ながらさも愉快そうに、謎の男は笑う。
「きさまあああああああああああっ！！」 ばしっ！ 「あぐっ！？ げえっげぇっ！」
絶望の表情を浮かべる妖精が、怒り狂って突進するが、男に殴り飛ばされ、未消化のカメパンを吐き出してしまう。
それを見た謎の男は、満足そうにうんうんとうなずいた。
「やはりカメパンを盗んだのはキミか……あのお父さん、悔しがっていたよ………………それに、キミみたいなクズ妖精が、いずれまた人里に降りてくることはわかりきってた…………だからあえて受け入れたんだ」
「う、うぐううっ！」
男の言葉は、妖精を絶望させるにじゅうぶんなものだった。
勝ち誇った謎の男は、床に転がる妖精に向かって歩く。
「それにしてもキミは本当に害獣だなァ！ 人間の“手口”というものをまったくわかっていない！！」
「うわああああああああああああああああああああああああ！！」
激昂した妖精は、前足をぐるぐると振り回して再び突進するが、男に容赦なく蹴り飛ばされてしまう。
「はっ…………なァ、“森の害獣”っ！！ “おとーちゃ”にっ、教わらなかったのかっ？」 ばきっ！ どごおん！！
「いぢゃああああああああああああ！！」
「なぜ“悪い妖精”に育っちゃいけないかっ、そ の 理 由 を っ ！」
ぎりぎりぎりぎり………
何発も蹴りを浴びせていた男は、妖精の首根っこを掴み上げると、柱めがけて叩きつけた。
「いぎぎぎぎぎいいいいいっ……くちょ……にんげんんんん！！」
「“ウソつき”…………“卑怯者”………………そういう“悪い妖精”こそっ…………本 当 に “ 悪 い 人 間 ” の 格 好 の 餌 食 に な る か ら さ あ ァ ！ ！ 」
ガンギマった目をした謎の男は、妖精に向かって言い放つ。
「んふふふふはははははははっ！！」
そして、ままずんの体液したたるメスを取り出し、妖精の四肢と耳のような器官を、高笑いしながらあっという間に切り取った。
どしゅどしゅどしゅどしゅっ！！
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！」
ずびゅしゅっ！ ばちゃあっ！！
「ぐび°ゃっ！！」
最後に尻尾を切り取ると、妖精は「たりない」と呼ばれる姿に変貌した。
「ぐごおああああああ……いぢゃい……いぢゃいよおおお……く、くちょにんげん！！ いまならまだゆるしてやるのだ！ おくすりさん、だせえええええええええええええ！！」
「……バカに付ける薬はない」
謎の男は、喚き続ける妖精を乱暴に拾い上げると、裏口から外へ放り投げた。
「じゃあね。次は、“悪い人間”に騙されないようにね」
そう言い残すと、謎の男はドアを閉めたのだった。
「くちょ…！ くちょぅ…！ くちょぉ！！ くちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！」
悔しさと絶望から、涙を流す妖精。「たりない」となってしまった今、何が出来るだろうか（いや、何も出来ない）
………………………
「はぅ……くちょ、くちょにんげんめえええ！ ぜったいに、ぜったいにころしてやるううううう！」
翌日。妖精は、まだ死んでいなかった。
その場から全く動けないでいながら、威勢だけは立派であった。
やがて、裏口のドアが開き、謎の男が出てくる。
「お父さん、こいつだ、“ずんちゃにカメパン盗まれた”事件の犯人は」
「先生！ ああ、何とお礼を申し上げたら良いか……」
「私は何もしてないが……こいつが、都合の悪い時だけ人間を頼ろうとして、私のとこまでのこのこやってきたんだ」
「のだっ！？ く、くちょにんげん……」
謎の男に声を掛けられていたのは、あの父親。
この体では、もはや、飛んで逃げることは叶わない。
「……お前にはお似合いの姿だな、ずんだ虫」
「ど、どうしてちゃ、どうしてちゃ！！ どうして、ぼくが“たりない”なんかにされないといけないちゃあああ！！ ぼくはただ、ままずんとおちびちゃんのために……」
「“ままずんとおちびちゃん”……そうか、お前も、守るべき家族を持つ、父親なんだな」
「そ、そうちゃ！ ぼくは“りっぱなちちおや”ちゃ！ ままずんとおちびちゃんを、しあわせにしないといけないちゃあああああ！！ なにもわるいことしてないのに、どうして……」
また、ウソを重ねる妖精。
というより、罪の意識がないというべきか………
「黙れっ！！ お前は、カメパンを奪っただけじゃない！！ カメパンを奪うと同時に、俺のコウタから、“笑顔”を奪ったんだっ！！」
父親が、激しく言葉を投げかける。
「お前も“父親”なんだろう！？ なら、盗んだ食べ物で、家族を笑顔にしたいか！？ 子どもを笑顔に出来ると、本当にそう思っているのかあああっ！？」
「おまえがだまるのだくちょにんげん！ ぼくのおちびちゃんは、“りっぱなちちおや”であるぼくがてにいれたごはんさんをたべて、にこにこしているのだ！ どんなごはんさんでも、いつもにこにこで、おいちおいちしてくれるちゃ！！」
だが、妖精には、全く響かない。
「それでも……それでも、自分たちだけの幸せのために、自分たち以外の存在から、笑顔を奪っていいのかっ！？ それが、“立派な父親”のすることなのかっ！？」
「ぼくたちようせいがしあわせになるのは、このせかいの“とうぜんのるーる”ちゃ！ まずは、ぼくたちがしあわせにならないことには、はじまらないちゃ！ だからこそ、“りっぱなちちおや”であるぼくが、おちびちゃんやままずん、ようせいのしあわせのために、がんばるんちゃ！」
どこまでも自分勝手な言い分に、父親は軽蔑のまなざしを向ける。
「……最低だ、お前の言っていることは」
「お父さん、こんな害獣とは話すだけ無駄ですよ……“制裁”あるのみだ」
後ろから飄々とした口調で、謎の男が声をかける。
「わかりました、先生……俺が言いたいことはただひとつだ、ずんだ虫………………嘘をついて、騙して………そんな生き方を、子どもに見せられるのか、ということだ」
「はっ……なにがいいたいちゃ、くちょにんげん！」
「少なくとも、ひとりの人間として、俺は……コウタには、お前のような生き方をして欲しくない！」
「く、くちょにんげん！ くるな、くるなああああ！！
「だから、お前みたいな害獣がこれ以上コウタの視界に入らないように、俺は今、お前を潰す！！」
父親は、制裁の覚悟を決めたようだった。妖精を踏み潰そうと、大股で近づく。
「ああ〜っ、と、お父さん！！ 殺す前に、これを……」
それまで動かなかった謎の男が、スマホを妖精の前にかざす。
「死ぬ前に、これだけ観て死んでくれ」
『ひゅぶっ、ひゅぶっ、ひゅぶっ……』 どしゅっ！ ぶっしゃあああ！ 『ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！』
「ま、ままずううううううん！！」
画面の中では、短い呼吸を繰り返す生前のままずんが、腹をメスで大胆に掻っ捌かれて、体液のシャワーを噴出させていた。
妖精を完膚なきまでに絶望させるため、謎の男はあらかじめビデオ撮影をしていたのであった。
「しょん……な…………ころ……ころち……ぐぴょうっ！」 ぐちゅっ！！
男の思惑通り、絶望して無抵抗になった妖精は父親に踏みつけられ、そのどうしようもない命を散らしたのであった。
「先生、ずんだ虫を捕まえてくれてありがとうございました……これで、復讐は果たせました」
「……先ほどの言葉、胸を打たれたよ、お父さん。あなたは、私なんかとは比べ物にならない、“良い人間”だ」
大げさに手を広げる男は、白衣のポケットに手を突っ込むと、例のエメラルドを取り出す。
「せ、先生、それは……！？」
「その妖精の伴侶が、これを“きらきらずんだもち”等と決めつけて、体内に取り込んでいたんだ……どうりで、町には落ちていないわけだよ、そしてこれを、お父さんに」
「えっ！？ じ、自分は、受け取れません……御自分で見つけた先生が………………うわっ！？」
激しく狼狽する父親に、エメラルドを放る謎の男。
自身の強運でせっかく手元に引き寄せた、このエメラルドを手放すことを惜しむ気持ちは、あった。
しかし、“悪い人間”を自負する己より、これからの世代を育てるという確固たる使命感を持った“良い人間”にこそ、この宝石を所有する価値があると思った。
「お父さん。私は、好き勝手にふるまう“悪い人間”だよ……だからせめて、こんな時だけでもカッコつけさせてくれ」
「せ、先生が……そんな、“悪い人間”だなんて……」
「個体こそ違えど、妖精はまた人間の食べ物を狙いにやってくる。いくら盗まれてもお子さんを泣かせないくらい、カメパンを買っておくといい」
そして、有無を言わせず、診療所のドアを閉めたのであった。
「せ、先生……先生は、“悪い人間”なんかじゃない…………先生は、俺にとっての、ヒーローなんだ！ コウタを治してくれただけじゃない、ずんだ虫への復讐を果たさせてくれた、ヒーローなんだっ……！！」
「ままずん」が腹を掻っ捌かれて死ぬ映像を観せられた「ぱぱずん」が踏み潰されて死んだのと、ほぼ同時刻。
森の巣穴でも、ひとつの命が消えようとしていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……にょだ………にょだ………………」
1匹だけで取り残された子ずんだった。
怖いからといってずっと巣穴の中で震え続けていた結果、餓死寸前になっていたのである。
「おとーちゃ、おかーちゃ……にゃんで、かえってこないにょだ……？ もちかちて、ずんちゃ、すてられちゃったにょだ？ ずんちゃ、“いりゃないこ”だったにょだ……？」
子ずんの周りには、フンや吐瀉物が広がっていた。
少しでも空腹を紛らわすために自身のフンを口に含んだ結果、嘔吐したということが容易に想像出来る。
自分で巣穴を出て食物を探せば良いものを、頑なにそれをしなかったのは、外界への恐怖は勿論、親ずんの帰りを信じて疑わなかったからである。
「はあ、はあ、はあ！ にょだーにょだああああ！！ くちょ、くちょおおおおおおおおおお！！」
死の間際。子ずんの恐怖や絶望感は、両親への怒りへと変わる。
「ずんちゃ、きょんなところで、ちにたくないにょだああああああああああああ！！ ずんちゃ、“かちぐみ”として、いっぱい、ごはんしゃんたべちゃかったにょだ、いっぱい、へこへこしちゃかったにょだ……それなのに、それなのに！ あのくちょおやのせいで、だいなし、ちゃ………………………………」
誰からも看取られることのないまま、子ずんは息絶えた。
最期に子ずんは、親ずんのことを「くちょおや」と呼んだ。
結局、あの妖精は、「りっぱなちちおや」にはなり得なかったのである。
〜終〜
ここまで読んでいただきありがとうございます。
祭屋様、イズミヤクモ様、重ねてお礼申し上げます。
またの機会がありましたら、何卒よろしくお願い申し上げます！
けも
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このページへのコメント
コウタ君には奪われるな、騙されるな、ずんだ虫は必ず殺せと教え導かないといけませんねぇ
大事なものを奪い、汚し、傷つける
そんなゴミに泣いているだけでは無力なのです
親ずんが足りないになったと嘆いていましたが存在するだけで「余分」なんですからいくら毟っても死ぬまでは足りないって事はないんですよ
親すん、君はたくさん毟られていいんだ
火〇鳥「子ずんよ、ずんだ虫に勝ち組と負け組は存在しません。忌々しく生まれ、惨めに死んでいくのです。どんなに生まれ変わってもずんだ虫です。ぶっちゃけ茜丸より悲惨です。あっち虫ですから」
コメントありがとうございます。少し厳しいようですが、その教えは的を射ていますね！自分の身は自分で守らないといけないですからね！
その「相手」が、話が通じる相手とは限らないわけですから…………
「かちぐみ」という表現も、死の間際になってはただ虚しく響くだけでした！
愛する我が子にすら憎悪されたまま死なれ、何も残せないまま死ぬ実に妖精らしい惨めな最期。
睡蓮も合作したい……
コメントありがとうございます。最期に親子愛を捨て、自分の存在理由に疑問を抱きながら命を落とす展開は、睡蓮様の表現される妖精の最期にも通じるものがあるような気がしています！
是非！やりましょう！ また詳しくお話させてください！
投稿お疲れ様でした！
ちょっとアイデアを言わせてもらっただけで何もご協力できていませんが、素晴らしい作品をありがとうございます！
妖精は悪、人間は善というのが感じられてとても満足できる作品でしたぁ…！
しかしこの先生は原作と違って優しいですね…
(人助けは)私の趣味だ、良いだろう？
コメントありがとうございます。イズミヤクモ様、このたびは合作企画にご参加くださりありがとうございました！
いえいえ、無力な妖精の呪詛等、様々な部分でお助けいただきましたよ！自分にはなかった表現でしたので、ありがたい限りです！
（性格改変は）全部私のせいだ！！
クズ野郎の家族が制裁されて散るのは最高
鬼威惨としては腑抜けな自分は､罪無きずんだもんへの制裁は心傷んでしまいますが､今回みたいな反吐が出る糞ずんだ虫は寧ろ俺が直接引き千切ってみたいです
コメントありがとうございます。クズであればあるほど、自分の所業を悔いて散ってほしいものですが、なかなかそれを「悪事」と思っていない部分も胸糞ポイントですね！
色々な思想を持ったおにゐさんが居て、良いと思うんです！私も制裁には何某かの理由が欲しい民ですので……すべての人に刺さらなくとも、この表現、何か好きだな！ と思っていただける方がいて下さるだけで私は嬉しいです！
読み応えたっぷりの作品ありがとうございます
登場人物みんなが笑顔でおわれる素晴らしい結末
宝石店のマダム、登場時間は少なかったけどなんか好きなのでどこかで再登場してくれると嬉しいです
コメントありがとうございます。文字数が多いと、それだけ読者様にはご負担かと思案する日々ですが、そう言っていただけて嬉しいです！
たまには、ハッピーエンドも良いものですね！
宝石店のマダム！？ 予想外のキャラが人気を博してしまいました() 承知いたしました。いずれ、必ず別の機会に！！