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＜動物コメント＞
◎山階鳥類研究所　油田照秋

日本で一般的に見られるカモメ科カモメ属の鳥たちは10種以上います。多くのカモメ類は日本よりも北の海岸で繁殖しますが、ウミネコは日本で見られるカモメ類の中で唯一、北海道から九州までの広範囲で繁殖し、海岸などでは一年中見ることができる、とても一般的な鳥です。はい。また、カモメ類はカモメやセグロカモメなどのように、北半球全般に広く分布する種類が多いですが、ウミネコは日本の近海にしか分布しない極東アジアの固有種で、普通種にしてはとても特徴的な鳥でもあります。間近で見ると、成鳥は真っ白な頭に赤い縁取りのある目、黄色い嘴に赤と黒の斑があるとてもきれいな鳥です。鳴き声がネコのように聞こえることから、日本では海のネコとしてウミネコ、韓国ではネコカモメと名付けられました。

私はウミネコこそ日本最強の鳥ではないかと思います。バランスの取れた形態で飛行能力が高く、足も強くそして水かきがあるので空中でも陸地でも水面でも崖でも船の手すりでもどこでも不自由なく生活しているように見えます。食性は主に肉食の雑食で、魚類、甲殻類、昆虫、死肉、他の生き物の残飯、生ごみなど何でも食べるオポチュニスト(場当たり的：その時々発生する資源を活用する生き物)です。基本的には海鳥ですが、生息地も海岸、河川、陸地、都市部、農村地帯など様々で、近年は水を張った5〜6月の水田に群がってオタマジャクシや昆虫を探したり、本来は沿岸部の岩礁などで繁殖するところを都会のビルの屋上でも繁殖を始めたり、と新たな採餌場所や養殖地も開拓しています。

（２０２１年１０月公開）