概要

アニスの戦いとは、アルファ686年、シーザルス国が、陸路からヴァーグリア国を、海路からラディオロス国を同時に攻めた戦いである。
本来なら、別々の戦いであるが、ここでは一緒に表記する。

戦闘に至るまでの背景


▲686年10月における勢力図

バルディゴス討伐連合軍解散後、レイディックカルディスとは違う場所でその武勇を轟かしている第三の男がいた。
シーザルス国の国主ディアルである。
周囲の諸国も彼には一目置き、ディアルに領土や人質を差し出すことで庇護される事を選んでいた。
そんな中、ラディオロス国とグルソ国が、それぞれディアルに書状を送ってきた。
中央から離れた島国に存在するラディオロス国からは、「メルシーダ国に攻め込まれ、国主は逃避行の末一族そろって洞窟で自爆、仇を討ち、メルシーダ国を攻めて欲しい」という書状。
ヴァーグリア国とシーザルス国に挟まれた小国グルソからは「今後シーザルス国に忠誠を誓うことを引き換えに、共にヴァーグリア国へ侵攻してほしい」と、進軍を促す書状であった。
ラディオロス国とシーザルス国は同盟関係にあった為、敵討ちと称してディアルは水軍指揮官レイヴァインと、腹心のオルリアに艦隊を預けて東へ向かわせ、自らは軍師ルーディアを伴って西へと向かう。
小国グルソ国は、ヴァーグリアシーザルスを両天秤にかけ、自らが威を借りるべき国をシーザルスと見定めたのである。


戦闘経緯

軍師ルーディアだけは、この遠征に反対していた。
その不安は的中し、10月16日、アニス平原にてシーザルス国軍は敗北する。
このアニスの戦いにおける詳細な資料はヴァーグリア国、シーザルス国共にほとんど残されておらず、グルソ国にわずかに残る資料によると、両軍が本格的な戦いをはじめる直前に、グルソ国から派遣された将軍が突如としてシーザルス国軍に背後から襲い掛かり、ヴァーグリア国軍との挟撃によって壊滅させたとある。

グルソ国突然の裏切りについては、ヴァーグリア国から内応工作があったという説と、ヴァーグリア国軍の威光に恐れをなした将軍が独断で裏切ったという説が存在するが、どちらにしても、自分たちから援軍を呼んでおきながら、ディアルが敗れたとの情報を知ったグルソ本国では、瞬時にしてディアルとの間で交わした書状を燃やすと、ディアルシーザルス国に戻れない様に追撃隊を派遣、同時にヴァーグリア国に恭順の意を示した。

このあまりにも露骨な身代わりにより、ディアルルーディアと共に行方不明となる。
また、ヴァーグリア国においても、グルソ国の決断を歓迎する者はほとんどおらず、敵対こそしなかったものの、以後この国との交流を避けることとなる。

戦いの結末

一方その頃、東へ向かっていたシーザルス国艦隊は、メルシーダ国艦隊との戦いに勝利し、今まさに上陸しようとしていた。
しかし、そこでディアル敗北と行方不明の報告が届き、オルリアは艦隊を反転させて急ぎ帰国する。
混乱していたシーザルス国だが、オルリアが国主となることで、かろうじて内乱を食い止めた。
その為、一時期グルソ国の裏切りはオルリアによる謀略説もあったが、この段階でオルリアが確実に国主になれる可能性はかなり低いため、無理があると現在では否定されている。ただし、一部の後世の小説や演劇においては、オルリアを悪人に仕立てている物も多く、そこでは積極的にこの説が用いられている。

ディアルの行方

行方不明となったディアルルーディアの逃避行については、いくつかの諸説があるが、ここでは最も有名な物語を抜粋する。
二人は森を彷徨うが、山賊との戦いでディアルを庇ったルーディアは右目を負傷、ディアルがかろうじて山賊を撃破する。
その後、森に住む狩人の少女エリナに助けられて傷の手当てをするが、エリナが森の仲間をあつめてもてなそうとしているところを、ディアルは自分たちを売ろうとしていると早合点して彼女を殺害してしまう。
それが自らの誤解だったという事に気付き、後悔と懺悔に包まれながらも、意識を取り戻したルーディアを連れて更に西へと向かう。
後に、暴君によって統治されていたアル国に流れ着き、そこで義賊を名乗る山賊頭ベヌロゥズとの一騎打ちに勝利して彼らを配下とすると、西の果てのベルス城を奪うこととなる。
これらのことは、ベルザフィリス建国記で語られている。


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