この戦いの少し前、男装した兵士として小競り合いに参戦し、戦果をあげたアリスが、ミナの紹介で将軍に抜擢されている。
彼女こそ、後に勝利の女神と呼ばれる常勝将軍アリスである。
これまでの小競り合いとは違う、本当の戦いのはじまりに、両軍の総司令官は気安く攻撃開始の合図を出せず、にらみ合いと軍議を繰り返していた。
しかし、3周期14日目、ラグライナ帝国軍最前線のベルンハルトと、共和国軍最前線のキロールがついに激突。
この二人に明確な作戦や思惑は存在せず、いつまでもにらみ合っている情勢に限界を感じての、猪突によって開かれた戦端であった。
こうして、両軍総司令官がためらっていた開戦は、「戦馬鹿」に巻き込まれる形で始まりを告げる。
両軍の激闘は、昼前に始まり、夕刻まで続いた。
兵力で勝るラグライナ帝国軍を相手に、ガルデス共和国軍は互角以上に戦った。
しかし、アリスが初陣とは思えない駆け引きを見せ、共和国軍を翻弄し、全く互角だった戦局に動きをもたらす。
左翼の陣を突破したアリス将軍の突撃により、共和国軍は陣形を維持できなくなるが、カオスが一気に突撃を仕掛け、ラグライナ帝国軍はわずかながら浮き足立った。その瞬間を見逃さず、ガルデス共和国軍は撤退する。
ガルデス共和国軍は、あらかじめ想定していた防御に特化した第二陣形を組み、ラグライナ帝国軍と再び対峙した。
帝国軍にしても無傷ではなかった為、防御を固めた敵に積極的に攻め込むことができず、両軍は18日までにらみ合いとなった。
だが、その日の深夜、ガルデス共和国軍はこれ以上の対峙は限界と判断し、闇夜に乗じて撤退した。
殿軍として残った煌槍の彩音は、狭い街道を利用して帝国軍の突破を許さず、自らの部隊は壊滅したが、生還を果たした。
コメントをかく