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「"ここのホテルで出される食事は全てミシュランの元コックやフランス、イタリアで修行を積んだ経験豊富なプロが作っているんです。
 材料にも気を使っていて舌の肥えたグルメ家の方々からも評判いいんですよ"」
「どうでもよか。次」
「"どうです絵里さん。ご感想は"」

小春はクネクネしながら裏声で、

「"とても美味しいですぅ。絵里ぃこんな美味しいの初めて食べたかもぉですぅ〜んふっ♪"」
「・・・・・・」
「いだだ!ヒール!ヒールで踏まないでくださいよ田中さん!」
「でかい声で田中さん呼ぶなアホォ!今は黒田やろうが!」
「さっきからるっせーぞ新入り!黙って皿洗いせんかい木偶共!!」
「「はいっすみません!」」

くそっ小春のせいでまた怒られた。これで何度目だ。
股がムヒを塗った後のようにスースーして気持ち悪い。早く終わらせて着替えたい。皿の洗いすぎで手がふやけてきた。
れいながこんな惨めな思いしてるのも全部高橋のせいだ。早くあいつをコテンパンにのして絵里を奪還して家に帰りたい。
監視を始めてから30分弱。
さぁ、いつだ。いつ動き出す高橋愛。

とまぁいきなりなんだが、ここらで回想タイムとまいろうか。


*****


ご存知の通り、絵里の恋人(一応)である高橋愛がれいなの前で堂々と絵里にプロポーズすると宣言したのが1週間前。
もちろん、そんな痴漢行為をやると言われてれいなが黙っているはずもなく、未然に防いでやろうと意気込んだものの肝心の
場所も日にちも全く把握できていない状況にいきなり崖っぷちに立たされ、絶望していた時だった。

『絵里が有頂天LOVEホテルに高橋愛から誘われたらしいんだけどなんとかして』

さゆからのメールだった。
絵里本人から聞いた情報なのか、れいなにリークしてくれたのだ。
毎回毎回れいなのピンチに颯爽と助太刀してくれるさゆはさながら満月を背負った月光仮面のようで、れいなは本当に感謝している。
有頂天LOVEホテル。
名前でエロホテルなのかと誤解されがちだがれっきとしたシティホテルだ。
シアターやらゲームセンター、カジノ、スポーツクラブなど様々なレジャー施設が混在されており、中でも大展望台レストランは有名。
地上30階から見える都会の夜景を眺めながらの一流の食材、一流の料理人が織り成す西洋料理は味にうるさい美食家たちをうならせるほどのもの。
だがここのレストランはなにも料理や夜景で有名になったというわけではない。
他のシティホテルでも同じレベルのレストランは多々あるだろう。
あるジンクスがあるのだ。聞くところによると『展望台ホテルで愛を誓い合ったカップルは生涯幸せになれる』だとか。
まぁこういうのは捻くれたれいなから見ればただのホテル側のステルスマーケティングみたいなものだろうとしか思えないのだが、
世の恋に浮かれたアホなカップル共は例に漏れずこういうジンクスには滅法弱いもので、
有頂天LOVEホテルの売り上げに貢献し続けてくれていることは言うまでもない。

さて、話を戻すか。
そしてその有頂天LOVEホテルが、高橋が絵里にプロポーズをかます計画場所ということを知ったれいなは当然のごとく一日中入り口にて張り込みを開始した。
なにせ決行日がわからないのでずっと監視をしていないと、いつ高橋がコッソリ現れて絵里に迫るかわかったもんじゃない。
寒空の下、ホテル入り口前にブルーシートを引いて毛布に包まりながらの監視は上手くいくかに見えた。
が、1日目にしてホテルの運営に追い出されてしまったのである。なにも迷惑行為は働いていなかったはずなのだが。
だがそれでめげるれいなではない。今度は大金はたいて買った小型カメラを入り口に設置して監視をする方法を取った。
今度こそ上手くいくかに見えたが、結果は警察に通報されてしまう事態に。
サイレンが鳴り響くパトカーから警棒を持った警官達がサバンナのバッファローの群れのごとく集団で襲い掛かって来た日には、
さすがのれいなも股がスーっとする思いだったよ。
それが原因なんだろう、その日から有頂天LOVEホテルの正面玄関に警察が配置されたのだ。
これでは手も足も出ない。どうしようどうしよう。ああ万事休すか。

『なにをウンウン悩んでるんだよれいな』

吉澤さんだった。
神の思し召しだろうか、なんと吉澤さんは有頂天LOVEホテルの料理長と面識があるらしい。
その吉澤さんのツテで料理長と連絡を取り、かくかくしかじかで予約表を確認してほしいと頼み込むと二つ返事でOKをくれた。
本当はいけないことなんだろうがさすがはギリギリアウトな生活を送っている吉澤さんの知り合いだ、話がわかる。
苦労の末、ついに高橋のホテルの予約日を知ったれいなは乗り込むことを計画するのだが、

『まぁ待ちなって。ほんとおまえはよく考えもせず勝手に突っ走っちゃう悪癖があるな。それいい加減直せよ。
 バカ正直に乗り込んでも顔が割れてるおまえじゃ
 入り口に立ってる警官にひょいっとサルゲッチュされて終わるのが目に見えてるだろ?そこでだ』

と言って渡されたのが、

『そう。ウェイトレスだよ。それ着てあたかも従業員のフリして乗り込むのさ。社員用のIDカードがこれね。
 これがあれば裏口の社員用玄関から入れるよ。そこなら警官もいないから安心だろうし』

いやいやちょっと待ってくださいよ吉澤さん。れいなはウェイトレス(♀)じゃなくてウェイター(♂)の方なんですが。

『バッカだね〜。ウェイターの格好なんてしたらもしあの2人にバッタリ会っちゃったら即行でバレちゃうでしょ。
 れいなの外見ならウェイトレスの格好しても違和感全くないしむしろ似合うくらいだからこれで合ってんだよ。
 あ、ウェイトレスの格好だけじゃまだバレる可能性あるから化粧と、髪も真っ黒に染めてね。つかそんな茶ッパじゃおんだされるから』

てな具合で吉澤ひとみ総司令官殿の命令によりれいなは女装して潜入することになった。拒否権?んなもんない。
・・・長くなってきたしもう面倒くさいからいろいろハショってパパっと説明する。
いると便利だっつって小春も一緒に連れてけと言われ渋々承諾する。
あまり期待していなかった小春だったがなんと読唇術ができるとのこと。忍者かおまえは。
そして当日、吉澤さんの息のかかったホテルマンによる手引き等で無事潜入成功。向かった先はもちろん展望台レストラン。
そこにいたのはもちろん・・・


*****


「ここのホテルで出される食事は全てミシュランの元コックやフランス、イタリアで修行を積んだ経験豊富なプロが作っているんです。
 材料にも気を使っていて舌の肥えたグルメ家の方々からも評判いいんですよ。どうです絵里さん。ご感想は」
「とても美味しいです。絵里こんな美味しいの初めて食べたかも・・・」
「喜んでいただけたようでなによりです。何か飲みます?ワインとか、どうですか?」
「ワインよく知らないので高橋さんのオススメ選んじゃってください」
「オススメかぁ。やっぱりボルドーですかね・・・」

手を挙げるとすぐ側に控えていたウェイターが、
いや、それを遮って一人のウェイトレスがズカズカとこちらにやって来た。勢いに若干気圧される。

「ご注文は?」
「え、えっとシャトー・ラトゥールを・・・」
「・・・・・・」
「あのシャトー・ラトゥール・・・」
「シャトウラトウルですね。畏まりました。少々お待ちください」

ズカズカズカ。
ウェイトレスなのに大股歩き・・・。
それにやけに声の小さいウェイトレスさんだったなぁ。

「今の、随分愛想のない子でしたね。可愛かったけど」
「そうですね。目が据わってましたが可愛らしい方でした」
「なんかちょっと知り合いに似てる気がするな〜あの子」

と言ってグラスに入っていたシャンパンをグイーっと一気にあおる絵里さんはとても男らしかった。
こういうムーディな場所でも気取った感じを全く見せず、いつでも自分のペースでいく絵里さんに最初こそは戸惑ったものの、
今ではそれが絵里さんの味なんだと思っている。
心を許した人には素の自分を見せてくれる、そう考えると私にも少しは気をやってくれているんじゃないかと淡い期待すら抱いている。

「今までたくさんのお店に絵里さんを連れて行きましたがここは中でも特別な場所なんです。
 周りがカップルの客しかいないことに気付きましたか?」
「そういえば・・・、なんでだろ?なにかあるんですかここ?」
「有名なジンクスがあるのです」
「ジンクス?へ〜」

さてと、どういくかな。
少しペースが速いかもしれない。もう少し酔わせてから口説いた方がよさそうだ。
自分だけが頑張って雰囲気作りに勤しんでも肝心の絵里さんがさっきから食べることに気を向けていてあまりこちらに集中してくれていないのだ。
ここでいきなり『結婚してください!』なんて言っても食べることをやめてくれなさそうで、そんなことされたらショックで泣く。
と、思っている間にもパクパクと口が忙しい絵里さん。

「・・・・・・、ふぅ」
「ここ眺めいいですね。夜景がすっごい。・・・、この海老ぷりぷりだ・・・!」
「・・・・・・」

いや、これが絵里さんの味だってわかってたじゃないか。酔った絵里さんを口説くなんて卑怯な真似できるか。
今を逃したら、もう二度と言えないかもしれないんだぞ。

「絵里さん」

はい?と無垢な少女のような笑顔で応える。その綺麗な瞳をじっと見つめながら、

「私はあなたに伝えたいことがあって、今日ここに誘いました」
「・・・」

さすがの絵里さんも、私の今までにない真剣な雰囲気に気付いたようで、やっとフォークを置いてくれた。

「伝えたいこと?」
「・・・・・・・・・私と、」
「お待たせしましたーシャトルライスワイン・・・だっけ?です。お注ぎしますねー」
「・・・・・・」

こんな最悪のタイミングでさっきのウェイトレスがラトゥールを運んできた。
やっと絵里さんをこっちのペースに引き込めたと思ったのに・・・もうワインとウェイトレスの方が気になるのか目がそっちにばかりいっている。
ウェイトレスの方はというと明らかに慣れていなさそうな手使いで危なっかしくて仕方が無い。

「あの、自分でやりますので別にいいで」
「あっ手が滑ったですわ」
「うわっ」

バシャッ!

ワインが一張羅にぶち撒けられ、気が長い方だと自負する自分でもさすがにイライラしてきた。
おしぼりで拭こうとするも背後から肩を叩かれ、なんだと振り返る。
そこにはこの展開がまるで計画通りの犯行だったかのような優雅さで待機していた、
タレ目が特徴的なスマートなウェイターがニコっと微笑みながら、

「お客様、お召し物のクリーニングは私にお任せください。ささ、こちらへ」
「いやいいですよわざわざそんなことしなくても」
「まぁまぁそう言わずに。粗相をしてしまったお詫びですので受け取ってくださいな」
「ちょっ、」


*****


行ったか。
全く、本当に油断も隙もあったもんじゃない。やつは早々に勝負をかける気のようだ。
小春が上手く立ち回ってくれてよかった。やつが消えてる隙に絵里に注意を促さないといけない。
慌しい光景に全くついていけず一人取り残され、キョトンとしている絵里に、

「失礼ですがお客様、当レストランの"ジンクス"をご存知でしょうか?」
「え? あ、いいえ。ジンクスって、高橋さんも言ってたなぁそれ・・・。一体なんなんですか?」

予想通り、絵里は知らなかったか。

「これはスタッフ内だけの秘密なんですがね。ここで婚約を交わすと不幸になっちゃうんです。女性の方が」
「えーそうなんですか!?」

こんな簡単に騙されるとは・・・もしかして絵里は未だにサンタクロースやムー大陸を信じているのでは?
目をまんまるに見開いてすっかり信じきっている絵里に追撃をかける。

「だからくれぐれも、プロポーズはお受けにならないようにしてくださいね」
「あ、それは大丈夫ですよ。結婚なんて全く考えていないので。私も彼も」
「・・・。油断大敵ですよ。男って生き物は羊の皮を被った狼なんですから。例外なく、ね」
「うーん・・・高橋さんは狼というよりワンコっぽいけど・・・」
「いや〜わかりませんよ?」

コホン。咳払いを一つしてから真っ直ぐに絵里を見つめた。
そして、

「結婚してください」

「・・・・・・え?」
「俺と結婚してくれなきゃ今すぐここで死にます」
「えっえっ?どうしたんですかいきなり」
「とまぁこのように。脅しにかかる手口もございますので。あの男にはあまり隙を見せないようにお気をつけください」
「・・・あ、冗談だったんですか。なんか真剣な顔で言うもんだからマジなのかと思っちゃった。女の子同士なんだからそんなわけないのにね」

マジだよ。
こんな格好で言っても全く格好つかないが、今言いたかった。
ただの自己満足だけど高橋に先に言わせるのは嫌だったから。

「そろそろ戻ってくる頃ですね。くれぐれもプロポーズには気をつけてください。それでは失礼します」

と言って絵里に背を向けたところだった。

「お待たせしました絵里さん。すみません、お恥ずかしいところをお見せしてしまって」
「あ、高橋さん。おかえりなさい」
「あの、いきなりで申し訳ないのですが、部屋を取ってあるんです。そっちの方が落ち着いて話ができるので移動しませんか?」
「え、部屋?」
「!!」

そう来たか高橋・・・!
そうはさせるかと声をかけようとしたのだが何者かに肩を掴まれる。

「おい新入り!いつまでサボってる気だおまえ!そろそろ皿洗いに戻れ!」
「そんな場合じゃ、」
「さぁ早く、絵里さん。ここに長居するとなにかしら邪魔が入りますので」
「は、はい」
「あっテメーこのやろ!」

無理矢理部屋まで連れてく気かよ!
レストランから出ようとする2人を追いたいのだが肩をがっちりホールドされていて身動きが取れない。
せめて声だけでもと、行くなと叫ぼうとしたのだが、

「・・・」

出口の大扉から出る瞬間、高橋がれいなの方を振り向き、ニヤリと微笑むのが見えた。
あの野朗、気付いてやがる・・・!
叫ぶことも走って追いかけることもできないまま扉が閉まり、完全に2人が見えなくなる。
早く追いかけるべきなのだがさっきからしつこく絡んでくるこのオッサンの力が強すぎて暴れてもビクともしない。

「くっそ、離せ!」
「おとなしくしろ新入り!」
「・・・・・・、おとなしくするけん離してほしいっちゃけど」
「だめだ、またサボる気だろう」
「・・・・・・」

こいつ、まさか・・・?
昔の嫌な感覚が一瞬だけ蘇り、この男の手が、指先からジワジワとなめくじに変化していくような幻を見た。

「・・・ちっ」

さっさとどっか行ってくれんかなと思いながら黙ってその場でおとなしくしていると突然、肩にあった気持ち悪い感覚が消えた。
後ろを振り向くと、

「田中さーん、あの人ら行っちゃいましたね。早く追いかけましょうよ」
「どこ行っとーたと小春!?・・・つか、このおっさん白目向いとぅっちゃけど・・・」
「気にしなーい気にしない。そんなことより、なんか注目浴びてるし逃げるのも兼ねて早く出た方がいいですよマジで」
「そやね。でも高橋がどこ行ったかわからんけん」
「部屋ですよ。さっきキーの番号チラ見したんですけど40階の1号室でした。行きましょう」

40階・・・最上階じゃねーかあのキザ男が。
予想外の小春の優秀っぷりに内心驚きつつも全速力でレストランから出るとエレベーターへ急いだ。


*****


「あの、高橋さん。部屋ってなんのことですか・・?」
「部屋は部屋ですよ。ここはホテルですからね。これがどういう意味なのか絵里さんもわかるでしょう」
「それって・・・」

絵里さんの歩くペースが遅くなった。俯いていて、なにかと葛藤するような表情が見える。

「"恋人"になるまでは・・・そういうことしないって約束じゃ・・・なかったんですか?」
「・・・。それの答えはですね・・・」

言って、上へのボタンを押してから絵里さんの真正面に立った。
そして・・・

「結婚しましょう絵里さん。恋人には、今日ここでなればいいんです」
「えっ!?」

本当はあの場で言いたかったのだが、"彼"がいたのだから仕方がない、ムードもなにもないが今は急ぎだ。

「これが言いたくて・・・今日、ここに絵里さんを誘ったんです」
「・・・・・・」
「指輪も買ってあります」
「!」

本人の前で値段を言うような無粋な真似はしないが、ぼかして言うなら普通車1台まるっと買えるくらい。
絵里さんが切れ長の目を見開いて、目の前でUMAを見つけた冒険者かのような驚愕の表情で私を見ている。
私は悠々とそれを受け止め、口の開いたエレベーターに身を滑り込ませる。もちろん絵里さんの肩を抱きながら。
絵里さんは下を向いていたが何かに気付いたのか突然、顔をあげた。

「えええええええええええええええええりいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「、ウェイトレスさん・・・?」
「早いですねーもう来ましたか。しかし」

絵里さんにあなたと会話させるわけにはいかないんですよ。

「あと一歩ってところでしたね田中君。安心して家に帰ってバラエティ番組でも見ていてください。
 絵里さんは私が幸せにしますので」
「行くなあああああああああああ!!!!」
「Adios」

田中君の努力むなしく無常にも閉まる扉に笑みが止まらない私と、困惑する絵里さんを乗せてエレベーターが上昇する。
これじゃまるでヒール役だな。意識してやっているわけではないのだが人間、優位に立っているとどうしても格好をつけたくなるもの。
とは、ただの言い訳なのだが。

「田中君・・・?高橋さん、今、田中君って・・・、どういうことですか?」
「なんとなく気付いているのでは?あのウェイトレスは女装した田中れいな君本人ですよ。
 髪が真っ黒だったので最初は私も気付きませんでしたがね」
「!! ・・・・・・やっぱり・・・」
「気になりますか?彼が」
「・・・・・・」
「私が忘れさせます」
「え・・・?」
「あなたから」

絵里さんの顎を持ち上げ、親指で唇をなぞった。

「田中れいなを」

何をされるのか悟った絵里さんが制止の言葉を発しようとするがそれを無視して唇を重ねた。


*****


「あのヤサ男が〜〜〜・・・・!!カッコつけすぎてシベリア以上に寒くなっとうっちゃろが〜〜!」
「エレベーターなんて待ってられませんね〜・・・。階段でいきますかぁ?10階上ることになりますけど」
「10階ぐらいで怯んでられん。急ごう」

ヒールなので走りにくいったらありゃしないがモタモタしてる間に絵里が高橋にあんなことやこんなことされたりしたらたまったもんじゃない。
今も走りながらかかとがつりそうな程痛いのだ。それでも走れてるんだから愛の成せる技だよ。

「ところで田中さん、突入すること前提で話しますが鍵とかどうすんすか?マスターキーなんて持ってないでしょ?」
「それはちゃーんと考えてあるっちゃん。心配せんでもよか」
「おーすごい。けどなんか犯罪のニオイがするのは気のせい?」
「なりふりかまってられんけんね」

もうここまできたらパクられるのも覚悟の内だ。
れいなが行くまで高橋が絵里に手出ししてませんように。
神に祈った。





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