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小春が好きになった春希

「小春ちゃん、こっちこっち!」 美穂子の弾んだ声がカフェテリアに響き渡った。でもそれを気にする者は一人もいなかった。 皆、それぞれの話題に夢中になっていた。どこの大学も同じなんだな、と小春は思った。 自分の通う大学も、そして、ここ峰城大も、人の集まる場所の喧騒は同じ、周りなどお構いなしだ。 「お待たせ、美穂子。久しぶりだね」 週末に会おうという話になって、講義が早く終わる小春がこっちへ来る事になっていた。本来なら自分が通うはずだった峰城大。 こうしてここに来るのももう5回目。最初の頃よりは薄れたとはいえ…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%be%ae%bd%... - 2014年04月15日更新

取材場所は…

結局、鈴木には小春との関係を話すしか無かった。 曜子と雪菜が帰った後、誰にも聞かれないように気をつけて説明した。 「ほかの人には黙ってて下さいよ」 という春希の言葉に 「えぇー…どうしよっかなぁー、ってウソウソ、話したりしないって。でもさぁ、元カノさんの事は?それもダメ?」 「わざわざ話すことでもないでしょう?もう、終わったことなんだし…」 「そうかなぁ……」 横にいた小春がつぶやいた。 「小木曽先輩、きっとまだ春希先輩のこと好きなんだと思う。それに冬馬先輩だって……」 小春はストラスブールでかずさと出…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%bc%e8%ba%... - 2014年04月13日更新

露見した事実

曜子が編集部に来たのは、アンサンブルに載せるかずさの特集記事の為だった。 大筋の話が終わると、吉松編集長と浜田は後を春希に任せて退室した。 「久しぶりだね、春希くん。元気だった?」 二人が出ていくとすぐに雪菜が春希に話しかけて来た。 「あ…ああ。雪菜も元気そうだな」 「ん……まぁ…実はこの間まではそうでもなかったんだけどね。かずさのおかげで元気出たかな…」 「それはそうと、曜子さん、雪菜がかずさのマネージャーですか?」 「だってぇー、かずさがこのコがいいって連れてきちゃうんだもん。私としてはギター君の方…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%cf%aa%b8%... - 2014年04月11日更新

春希は元カレ

翌日、春希は憂鬱な気分で出社した。 別に小春が一緒に働いているぐらいは問題は無かった。 けれど、小春はあの日ずっと春希に猛アピールをしていた……ように周りからは見えたらしい。 小春のかわいさもあってか、特に独身男性社員からは無言の反感を感じていた。誰とは言わないが、すぐ上の先輩なんかは特に… 「おはようございまーす」 編集部に入ると周りからの視線が集中した。え…?と動揺した春希に 「おはよう、元カレ君!」 「…鈴木さん……えっと…俺、誰の元彼なんですか……?」 「何言ってんの、あんな……すっごくカッコ良…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%bd%d5%b4%... - 2014年04月06日更新

小春のアルバイト

新年早々から、開桜社は相変わらずあわただしかった。 「北原くーん、昨日頼んでおいた資料、出来てるー?」 「はーい、サーバーにアップしてあります」 「北原、俺が頼んだ校正は?」 「それはもう少し…えぇと……昼までには!」 そんな中、浜田から春希に声がかかった。 「北原、今日から一人学生アルバイトが入るんだか、そいつをお前に付けるから面倒見てやってくれ」 「え?俺に…ですか?」 春希は戸惑った。なにしろ入社1年目の自分にそんな他人の面倒なんて… 「俺に出来るかどうか、分かりませんよ、浜田さん」 春希の不安げ…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%be%ae%bd%... - 2014年04月06日更新

二人の想い

「これが、わたしと二人との本当の出会い。今まで誰にも話したことなかったんだけどね、もちろん、春希くんにも…」 そこまで一気に話し終えると、雪菜は深く息を吐きながらかずさを見つめた。 「だから、かずさの事はずっと好きだった。それこそ1年の頃からずっと……。 かずさにとっては、最初わたしは突然春希くんの前に現れた邪魔者でしかなかったとしても。 ……春希くんとのセッションに無理やり入り込んだ厄介者だったよね、わたし…」 雪菜はかずさに謝りたかった。二人だけの時間を奪ってしまった事を。 「ふっ……は…ははは…、…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c6%f3%bf%... - 2014年03月15日更新

ピアノさんの正体

 翌日、雪菜は春希に連れられて第一音楽室へ行った。 突然のボーカル決定に喜ぶ武也をよそに、雪菜は考えていた。 このまま、隣の『ピアノさん』も紹介してもらおうと。 だから、会話の途中でさりげなく 「今日はピアノの人はお休み?」 と、聞いてみた。 もちろんここに居ないのは知っている。 そして、飯塚くんは恐らくその存在を知らない。 ―多分、北原くんだけが知っているはず。ここで教えてもらおう。どんな人なのかを…… 「あ、ああ…ピアノの奴ね」 ―あぁ…どんな人なんだろう…… 「悪い!言ってなかったな。今日は具合…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%a5%d4%a5%... - 2014年03月15日更新

カミングアウト

 「そっか、そっか… そういうことだったんだ…」 「…何が?」 「初めて北原くんとお話ししたときのこと、ちょっと引っかかってたんだ」 そう、不思議な感じだった。他の人たちとはわたしに対する認識が違ってた。 「知ってたんだ…このわたし」 実はちょっと嬉しかった。 「いつから?」 「2年の夏頃かな?その先に小さな中古楽器屋があって、よく武也に連れてこられてて…」 ―う……うそ!…そんなに前なのぉ? 内心びっくりしたが、それを悟られないように雪菜は 「そんなに前から…北原くん、わたしのこと知ってたんだ…」 でも…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%a5%ab%a5%... - 2014年03月15日更新

秘めた想い

 その日の授業は全く頭に入ってこなかった。 「あぁ…、どうしてあんなこと言っちゃったんだろう…」 雪菜は今日何度目かの深い溜息を吐いた。 『これからも、話しかけていいかな?』 これは、予定通りの台詞。これからも、友達でいてほしいから。 でも、その後のもう一言は、実は予定していなかった。 でも、彼の教室へ入って行った依緒が、彼に話しかける直前に彼が話をしていた女の子が気になったから。 すごくきれいな黒髪のロングヘア。まさに美人と言うしかない顔立ちにすらっとしたスタイル。 依緒が話しかけている間も、彼はその子…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c8%eb%a4%... - 2014年03月15日更新

雪菜の決意

 夕食後、入浴も済ませた雪菜は、自室でようやく落ち着いてきた。 本当にびっくりした。初めは何が起こったか分からなかった。 屋上に現れたのは「実行委員さんのお手伝いさん」…そして、ほぼ間違いなく「ギターさん」。 あろうことか、同一人物だったとは、全くの予想外だった。 その彼が、自分たちのバンドのボーカルにならないかと言ってくれた。一緒に学園祭に出ようと…。 学園祭なんてどうでも良かった。 正直、たくさんの人の前で歌うなんて考えられなかった。出来ないと思った。 これまでの『小木曽 雪菜』のイメージとも違う。…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c0%e3%ba%... - 2014年03月15日更新

実行委員のお手伝いさん

 秋になり、学園祭が近づくと回りの空気も少しずつ浮ついた感じになってきた。 そんな中で、雪菜には今年もやっぱり「ミス峰城大附」の話が来た。雪菜は今年こそ参加を断ろうと思っていたのに、実行委員の 「小木曽さんは、去年、一昨年と連続優勝。当然今年は三連覇の期待がかかるわけだけど、その辺りの意気込みは?」 という、いきなりの畳み掛けるようなインタビューに 「あ、あの…」 と、口ごもっていると、雪菜の戸惑いなど無視するかのように、インタビュー内容が捏造されていく。 さらに喋り続ける実行委員にこのままではうやむやの…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%bc%c2%b9%... - 2014年03月15日更新

想像すらできなかった事実

 明日から夏休み。 今日の『ホワイトアルバム』は、かなり聞きやすかった。 「ギターさん、ずいぶん上手くなったよねぇ」 雪菜はまるで自分のことのように喜んでいた。 でも、明日からは暫く「ギターさん」とも「ピアノさん」ともお別れ。夏休みだから。おそらく今年はこれまでで1番辛い夏休みになるだろう。 大好きな二人の演奏を1ヶ月以上も聴く事が出来ない。もしかして休み中でも練習しているかもしれない。それは考えた。 でも、だからといって、雪菜が突然補習も何も無い日に登校してきたら、それだけで注目されてしまう。きっと、屋…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c1%db%c1%... - 2014年03月15日更新

ギターさん

 ある日、いつものように『ピアノさん』の演奏に耳を傾けて浸っていたら、突然、下手なギターの音が割り込んできた。 「あれ?、おっかしいなぁ…」 これまで雪菜が少ない情報源から集めた情報によれば、第一音楽室は火曜と木曜の午後に軽音楽同好会が使用していて、けれど彼らの練習は午後5時まで。 今はもう5時半。いつもなら、これから暫くはピアノの音しか聞こえてこないはずだった。 「誰よ、もぅ…。せっかくのピアノさんの演奏が台無し…」 その日はそれ以上聞いているとイライラしてきそうだったから、諦めて帰ることにした。そのと…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%a5%ae%a5%... - 2014年03月15日更新

屋上の美少女とピアノさん

「…ふぅ」  春の温かい陽射しが傾き、徐々に前の季節が冬だったことを思い出させる冷ための空気が辺りを覆う頃、雪菜は一人、屋上にいた。 ベンチがあるわけでもない、ただ、転落防止のためのフェンスがあるだけの屋上は、人気が無いのかあまり立ち入る生徒はいなかった。 それが、雪菜がここにいられる理由。 『見られたくない』というと少々語弊があるかもしれないが、周りの視線を感じずにいられる場所は彼女にとって貴重だった。  入学したての頃はまだ良かったが、秋になって学園祭のミス峰城大付属で優勝してからは、常に注目され…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%b2%b0%be%... - 2014年03月15日更新

雪菜とかずさ

大晦日直前で『冬馬かずさ凱旋帰国公演』が発表され、直後にチケット発売、即日、というよりは瞬時に完売となった。 そして、あまりの人気にすぐに追加公演が発表された。 「姉ちゃんも冬馬先輩と親友だったんだろ?チケット何とかならなかったのかよ」 小木曽家では誰もチケットを手に入れる事は出来なかった。この不満を孝宏は雪菜にぶつけた。 「だってぇー、発表してすぐに発売なんて思わなかったんだもん。……それにかずさとはもう…」 後半の部分は聞き取れなくなっていた。 「まったくもう、そんなんだから、杉浦に北原先輩取られち…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c0%e3%ba%... - 2014年03月06日更新

小春の想い

ヨーロッパから帰国して数日。 仕事納めのこの日、春希は珍しく…というか、入社以来初めて定時で仕事を強引に終え、駅に向かった。 今日は、小春がマンションで待ってくれている。 帰国してから今日まで、連日深夜まで残業だったため、小春とは電話で話すだけで会えなかった。 たかが数日会えないだけでこんなに不安になるとは、自分自身信じられなかった。 原因は分かっている。あの日、かずさと小春が会ってしまったから。 あの後、小春は春希の不安を一掃する言葉をくれた。 その事は、正直嬉しかったし、小春の本心だということも疑い…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%be%ae%bd%... - 2014年03月05日更新

インタビューと宣言

「開桜社の北原と申します。今日はどうかよろしくお願いします」 「……」 曜子は無言で春希を見つめた。 「このたびはお忙しいところ、こちらの無理を聞いたいただきありがとうございました。 編集長の吉松からも、冬馬さんにくれぐれもよろしくと」 「………ギター君?」 「…北原です。お久しぶりです」 「………」 曜子はまたも無言になった。 「それで、かずさ…さんは?」 「ちょ、ちょっと待って!中に入るの、少しだけ待ってちょうだい!」 やっとのことでそう言うと、曜子は考え込んだ。 「冬馬さん?」 「ここでこ…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%a5%a4%a5%... - 2014年03月04日更新

出会いと再会

「インタビュー…だって?」 「25日の10時から。先方からこちらのホテルに来てくれるって」 「そういうのはしないって言っただろ?授賞式とか、最低限に留めてくれって何度も」 冬馬かずさは母親の冬馬曜子に不満をぶちまけていた。 母の気まぐれで急にストラスブールのクリスマスミサに行く事になったばかりだっていうのに、しかもそこに向かう列車内でさらに、だからである。 「ったく…」 相変わらず、自分の都合だけで物事を決めるんだから… 「それから、かずさ。これ使いなさい」 曜子が手渡したのは、帽子とマフラーと……眼鏡…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%bd%d0%b2%... - 2014年03月03日更新

第七十六話「しばしの別れ(4)」

 やがてディナーが終わりに近づき、冬馬曜子オフィス側から事前に提案のあったクリスマスプレゼント交換の時間となった。 「では、メインイベントにしましょうか。  皆様、今年一年いい子にしていたかずさにプレゼントをよろしくお願いします」 「子供扱いすんな。  あー。みんな、こんな日に呼び出してゴメン。  メリークリスマスということで、こちらからもプレゼントがあります。これからもよろしく」  皆が色とりどりのプレゼント袋をかずさに渡した 「メリークリスマス。かずさ。これ、雪菜と一緒に選んだよ」 「メリークリスマス…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%bc%... - 2015年04月28日更新

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