「これが、わたしと二人との本当の出会い。今まで誰にも話したことなかったんだけどね、もちろん、春希くんにも…」
そこまで一気に話し終えると、雪菜は深く息を吐きながらかずさを見つめた。
「だから、かずさの事はずっと好きだった。それこそ1年の頃からずっと……。
かずさにとっては、最初わたしは突然春希くんの前に現れた邪魔者でしかなかったとしても。
……春希くんとのセッションに無理やり入り込んだ厄介者だったよね、わたし…」
雪菜はかずさに謝りたかった。二人だけの時間を奪ってしまった事を。

「ふっ……は…ははは…、そうだったんだ、あはは……」
突然笑い出したかずさに雪菜は驚いた。
「そうか…そんなに前から、あたしのピアノを聞いててくれたんだ…。
でも、あの時の雪菜の歌声は、あたしにとって決して邪魔なんかじゃなかったよ」
かずさの言葉に雪菜は納得できないような顔をした。
「その顔は、信じてないな?」
「だって……」
「考えてみて、雪菜。もし、あたしが二人での演奏を邪魔されたとあの時感じたなら、春希が突然演奏を止めて屋上に駆け上がって行った時に、ピアノ弾くの止めてるはずだろ?」
「あ……」
―確かに、いつも「ギターさん」がミスしたりして演奏を止めたら、すぐに「ピアノさん」も弾くのを止めてたっけ……。
「それでもあたしはピアノを弾き続けた。あの歌声に合わせて引くのが最高に気持ち良かったからさ」
そう言うと、かずさは雪菜の頭を自分の胸に抱え込んだ。
「……かずさぁ…」
雪菜はそのまま顔をかずさの胸に埋めた。

「あたしも、初めてあの歌声を聞いた時から雪菜のこと好きだったよ」


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雪菜のICの過去のSSは無かったと思うのでとても新鮮でした。この作品のこの後の展開を楽しみにしています。

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Posted by tune 2014年03月15日(土) 16:13:03 返信

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