夢を見ていた。

薄暗い音楽室に、椅子に座って寝ている俺とピアノを弾いている冬馬がいる。

あれ?この光景は、さっきまでの俺たちか?

やがて、冬馬はピアノを弾くのをやめて俺のところで歩み寄ってきた。
寝ている俺の顔に向かって、少し指で突っついたかと思うと、唐突に俺の唇に向かってキスをした。

え…?

その光景を入り口付近で見ていた人影があった。
学園際のステージ衣装の上から赤いコートを羽織った雪菜だった。
雪菜は驚いた表情をしながら、そっと音楽室の入り口から去った。

俺の唇から離れると、何故か慌てた様子になった冬馬は、要領の得ない言葉を口にして、音楽室から走り去っていった。
寝ている俺がそのまま音楽室に一人取り残される。

少し経った後、雪菜が音楽室に戻ってきた。
寝ている俺に、赤いコートを着せ、ひたすら俺の寝顔をじっと見つめていた。
その表情は、悩み、思いつめたものだった。
しばらく経ってから、俺は目を覚ます。

いなくなった冬馬のことを気にしつつも、雪菜と学園祭の成功を語り合う俺。
そして、雪菜から告白され、

「よけてもいいんだよ?」

目前に迫った雪菜の唇を

俺は

冬馬のことが頭によぎりながらも

受け入れた


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