夢現(ゆめうつつ)1


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初夏春の日差しが降り注ぐ冬馬邸に、美味しそうな朝食が用意されていた。

洗い物を済ませた春希は水道の蛇口を閉めるとかずさの寝室へと向かった。

「朝ごはん出来たぞ。そろそろ起きないと遅刻するぞかずさ。」

「………すぅ……。」

かずさは一向に起きる気配がなく気持ちよさそうに眠っていた。

毎日、毎晩、毎朝、何度見ても春希はかずさの寝顔を見るたびに顔がほころんでしまう。

優しく頭を撫でると、春希はかずさの耳元で囁いた。

「今日の朝食は、かずさの大好きなあま〜いフレンチトーストなんだけどなぁ。焼きたてでホカホカのうちに食べるのが美味しいんだけどなぁ。」

「……………。」

かずさはもぞもぞと布団をかぶった。

「仕方ないな…。」

春希は諦めてかずさの元から離れようとするが、かずさにシャツの背中の部分を掴まれていて離れることが出来なかった。

「…………フレンチトーストより甘いモノがほしい。」

ようやく起きたかずさは不満そうな顔で春希を見ていた。

「………はいはい。」


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春希がかずさと一緒に暮らしはじめて2年になる。

高校卒業と同時に春希は自立のために家を出て一人暮らしを始めた。

そのため、バイトを2つ掛け持ちしていた。

ある日、春希が夜遅くにバイトから帰るとかずさはアパートの部屋の前で春希の帰りをずっと待っていた。

春希は驚き、こういうことがもうないようにかずさに合鍵を渡した。

そして、合鍵を渡した日からもはや同棲と何も変わりない状態になっていた。

たまには家に帰ったほうがいいのではと言うと、バイトのせいで春希になかなか会えないからだとかずさに言われ春希は何も言えなくなってしまった。

しかし、生活のために春希はバイトを辞めることは出来ない。

お互い譲りあった結果が、冬馬邸で一緒に暮らすということだった。



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あれから2年。

春希とかずさの朝は、毎日甘いキスで始まっていた。



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春希のバイトは塾の講師とグッディーズというファミレスだった。

塾の講師は給料がよかったのと、人に教えるのが得意になっていたからだ。

高校3年の時、隣の席の不良少女に勉強を教えていたことによって。

そしてファミレスは単純に時間の融通がきくのと学校から近いからという理由だった。



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大学のキャンバスで、偶然春希を見かけた武也は声をかけた。

「春希〜今日も忙しそうだな。」

「武也久しぶりだな、今日はファミレスのバイトだよ。」

「それより春希、いつの間に学部変えたんだ?オレも依緒も雪菜ちゃんも寝耳に水だったぞ。」

「オレ、もともとマスコミ系の仕事に興味があったからな。今の学部の方が向いてるから。」

「だとしても…オレたちと今まで以上に会えないだろ。バイトが忙しいのに…ただでさえ春希は彼女が厳しいからな。」

「はいはい、わかったから、今度時間作るから。」

「春希の今度はあんまりあてにならないけど、期待しておくよ。」

「ああ、じゃあな。」

春希は大学3年目に学部を変えていたため武也や依緒、そして雪菜と会う機会が減っていた。

武也はそれが不満のようだったが依緒や雪菜は仕方ないと笑っていた。

春希は雪菜とあのキスの出来事から、何もなかったかのように接してはいたが言葉に出来ない距離感をお互いに抱えていた。

かずさにばれないように。


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グッディーズに着いて制服に着替えると春希は店長に新しく入ったバイトを紹介された。

そして、指導係になってほしいと頼まれた。

「杉浦小春です。よろしくおねがいします。」

「よろしく杉浦さん。北原といいます。」

黒い髪の毛をポニーテールにした小柄で可愛らしい女子高生だった。

卒業旅行のためにバイトを始めた小春に春希は熱心に仕事の指導をした。

最悪な出会い方でも春希に惹かれた小春が、特に悪い印象もなく、むしろ頼れるバイトの先輩として映る春希に惹かれないわけがなかった。


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2週間もした頃には、小春は春希に夢中になっていた。

その日も春希はバイトの帰りに、小春を駅まで送っていた。

「それでですね、結構前の話なんですが、私の友達が塾の先生に彼女がいるって知ってショック受けてたんですよ。なんでも一度塾に彼女が来た時にみんなにバレたみたいで。でも早い段階で知ったこともあってあまりダメージは多くなかったのが救いです。」

「そっかぁ…塾の講師ねぇ。」

塾の講師をしている春希は一度だけかずさが春希の仕事ぶりを見に来たことがあったことがあり、まさかな…と思った。

「でも、もしその塾の先生に友達が告白して酷い振られ方なんてしたら、私塾まで乗り込んだかもしれないです。」

「あはは、それは怖いな。でも友達思いなんだな、杉浦は。」

「………そういうわけじゃ…ただ…ほっとけないっていうか…。」

小春は赤くなった。

その時、春希のケータイがなった。

「もしもし。」

「春希!まだ帰ってこないのか?」

恨みのこもったかずさの声だった。

おそらくお腹が空いているのだろうと春希は思った。

「買い物して帰るから。もうちょっと待ってて。」

「プリンも忘れるなよ!」

「わかったわかった。」

春希はなだめるように言うと電話を切った。

「先輩?今の…女性の声でしたよね。」

「………彼女なんだ。一緒に暮らしていて。」

「…彼女いたんですね。」

「みんなには黙っててくれよな。知られると中川さんとかうるさいから。適当に濁していたらいつの間にかいないと思われててそういうことにしておいたけど。」

「………今の電話の感じだと、先輩は彼女にご飯作ってるんですか?」

「ああ、そうだけど。彼女は不器用だからな……一方ではすごい器用なんだけど。」

「もしかしてご飯支度以外もしてるんじゃないんですか?先輩は面倒見がいいですから。」

「うーん、だいたいのことはそうかも。」

「それっておかしくないですか?先輩は大学行ってバイトまでして、それなのに帰ってからも家事をしないといけないなんて。ましてや男なのに。」

「あはは、そうだな。杉浦の言う通りオレの彼女は確かに普通の人がすることはしないな。人として当たり前なことが全然出来なかったりする。」

「やっぱり…なんでそんな人が先輩と…。」

「でも…あいつは………誰もがするようなことが出来なくても…誰にも出来ないようなことをしてのけるんだよ。」

「…誰にも…出来ないようなことですか?」

春希はうなずいた。

そして思い出していた。

春希がかずさを好きになったキッカケは一目惚れだった。

そして雪菜が現れて、多少気持ちが揺らいだりしたのも事実だった。

でも…それでもかずさのことをずっと一番に好きで…あの時、雪菜にキスをされてもハッキリとした気持ちで春希がかずさのことを選ぶことが出来たのは、かずさが他の誰にもできないことを春希にしたから…。

『お前をカッコイイ男にしてやるよ。』

かずさは春希が書いた詩に曲をつけた。

そして、毎晩ギターを教えた。

春希が思い描いていた夢をかずさは叶えてくれた。

もし…逆だったら…もし、春希が雪菜と付き合ったあと、かずさが春希を好きだと言ったら…春希はハッキリと雪菜を選ぶことが出来なかったのではないかと、春希は思うほどだった。

「よくわからないです…そういうの。」

小春はまだ不満が残っていた。

小さな失恋に対して、やりきれない気持ちを抱えていた。


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翌日、学校の机に顔をふせていた小春に矢田が心配して声をかけた。

「小春、昨日誰かと一緒にいなかった?」

「え?」

「私見ちゃったんだよね…。」

「見たって…?」

「小春が一緒にいた人…私が前いいなって言っていた塾の先生なんだよね…。」

矢田は眉間にしわを寄せ、小春を睨んでいた。

「うそ?先輩が?」

「……うん。小春は先生と何を話していたの?」

「えっと…それはその……彼女の話かな…先輩の…。」

「彼女?」

小春は矢田の様子がおかしくてドギマギしていた。

「えっと…何かまずかったかな?」

「なぁんだ、彼女のこと知ってたんだ?」

矢田はクスっと笑った。

「え?」

「小春、バイトの先輩のこと気になるって言ってたから先生と一緒にいたの見て、きっと先生だろうなって思ったの。でも彼女いるのしら

なかったらどうしようかと思ったんだけど、知ってたんだね。」

「うん、昨日たまたま…。」

「先生の彼女が塾に来た時の先生の慌てっぷりすごかったなぁ。」

「どんな彼女なの?」

「とっても美人だったよ。それに二人のやりとり見てたら先生は彼女に敵わないんだなって思ったなあ。」

「結局惚れた弱みってことなのかな?」

「そうかも、すごく綺麗だし。」

「私だったら好きな人には尽くして幸せにしてあげたいって思って色々しちゃうな。」

「小春らしいね。そういうところ。」

「それにしても世間って狭いよね。同じ人を別のところで出会って好きになっちゃうなんて。」

「ほんと狭いよね。」

二人は笑いあった。

春希に彼女がいなかったら矢田とどうなっていたのかなんて、小春は考えたくなかった。


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夕方、冬馬邸で、春希は玄関先でかずさに詰め寄られていた。

「今日もこれからバイトか?」

「ああ。急にシフトが変わったんだ。」

「というか最近、バイトの帰りが遅くないか?」

春希はドキッとした。

「別にいつも通りだろ。」

「いつもより30分くらい遅い!」

「新しくバイトの子が入って、いろいろ教えてあげているんだよ。」

「その子は女の子か?可愛いのか?」

「何言ってんだよ、それとこれとは関係ないだろ。」

「可愛いのは否定しないんだな。」

「だからそうじゃなくて…それにもう独り立ちできるほど成長してるし今日は早く帰れるよ。」

「本当か?」

「本当だよ。」

「約束だぞ。明日は…。」

「え?」

「なんでもない。」

かずさはぷいっとそっぽを向いた。

「じゃあバイト行ってくるねかずさ。」

「………。」

かずさは無言のまま見送った。



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「北原さん、プリンとパフェとホットケーキを3番テーブルに運んでください。」

夜のピークが過ぎ、落ち着いた頃、春希は厨房で注文を運ぶようにコックから頼まれた。

「わかりました!」

ずいぶん甘いものばかりだなと春希は思った。

「おまたせしまし……って…えぇ!?」

「…………待たせすぎだ春希。」

かずさはグッティーズに一人来て砂糖たっぷりのコーヒーを飲んでいた。

「かずさ!?どうして?」

「どうしてって言われても、元々ここのプリンは以前から食べに来てる。」

「でも……一言オレに言ってくれても…。」

「あれ〜北原くんの知り合いかな?」

中川が興味津々にかずさを見て春希をからかった。

「いや…その…。」

「そのあわってぷり、もしかして彼女かな?」

春希が赤くなり慌てふためく様子を小春は遠目に見ていた。

「先輩の彼女…本当にきれいな人…。」

「……あれ?あの子どこかで…。」

準社員の佐藤が小春の隣でかずさを見ながらうーむと考えた。

「お客さんとして見たことあるんじゃないんですか?」

「いや〜それだけじゃないんだと思うんだよねぇ。」

その時、中川さんの叫び声が聞こえた。

「北原くんの彼女、どこかで見たことあると思ったら冬馬かずさじゃないですか!冬馬曜子の娘の!」

「ちょっと中川さん静かに!!」

春希はうろたえた。

「大丈夫ですよ、もう閉店間際だから他に客はいません。」

「だいたいどうして中川さんは娘のかずさまで知ってるんですか?」

「こう見えて私、ピアノ習ってたんです学生時代に。ピアノ習ってたら冬馬親子のことはだいたいの人が知ってますよ。」

興奮する中川に比べかずさは冷静だった。

「ずいぶん騒がしい店だな。食べたらすぐ帰らせてもらう。」

「かずさ、もう遅いし一緒に帰ったほうが。」

「いい、タクシー使うから。」

「わかった。オレは仕事終わったらすぐに帰るから。」

「早く帰って来いよ。」

「もちろん。」

その時、ガッシャーンという音がした。

どうやら小春が持っていたお皿を落として割ってしまったようだった。

「いたた…。」

「杉浦?どうしたんだ?」

小春のもとに春希は駆け寄った。

「申し訳ございません…。」

「ここはオレがやるから。怪我はしてないか?杉浦。」

「………はい。」


「可愛い新しいバイト……あの子かな。」

かずさはぽつりとつぶやいた。


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「いや〜まさか北原くんの彼女が冬馬曜子の娘とはね。」

バックヤードで中川は驚きながら小春に言った。

「そんなにすごい人なんですか?」

「そりゃそうよ〜北原くんそのまま冬馬かずさと結婚したら逆玉よ〜羨ましい。」

「逆玉って…すごいお金持ちなんですね。」

「一生遊んで暮らせるよ。少なくとも3代目くらいまでは。私だったら彼氏にこんなところでバイトさせないでお金出すのにな。そしたらもっと一緒にいられるし。」

「先輩はそんなヒモみたいなことはしたりしません。そんなの先輩じゃないです。」

「なるほどねー。」

中川はニヤニヤしながら小春を見た。

「な…なんですか?」

「きっと同じ部分があると思うな。彼女が…冬馬かずさが北原くんを好きな理由と、小春っちが北原くんを好きな理由。」

「え?何言ってるんですか!?」

小春は意表を突かれて真っ赤になった。

「北原くんらしさ…ってやつ?」

「もう!!意味わからない信じらんない!」

小春は恥ずかしくなってその場を離れた。

中川はそんな小春を見て笑っていた。



でも小春は本当は少しだけわかっていた。

ワガママばかり言ってる彼女が、自分と会う時間が減るのにバイトを辞めろと言わないことが。

それは決してお金のためだけじゃない。

春希という人物を尊重するため。

大好きな春希が春希らしくいてほしいから。





「先輩…何しているんですか?」

厨房で怪しい動きをしている春希に小春は声をかけた。

「ああ…ちょっと…プリンを、持って帰ろうと。もちろん買い取りで。」

「プリン?」

「彼女の好物だから。」

「………好物とはいえ、さっき食べにきてたんじゃ?」

「あいつはプリンならなんぼでも行けるからな。そうそう杉浦、もうオレがいなくても一人で仕事できるくらい成長したから、オレは指導係から卒業だな。おめでとう。」

「……え?」

「嬉しくないのか?もうオレにガミガミ言われなくてすむんだぞ。オレも安心して店を任せられるよ。」

「…どういうことですか?」

「実は…ここをやめようと思ってるんだ。新しく別のバイトをするために。」

「そんな…。」

「でも最後に杉浦と出会えてよかったよ。」

「…私に出会えて?」

「ああ。初心の気持ちを思い出させてくれた。杉浦の一生懸命さはオレにとってとても刺激のあるものだったよ。ありがとうな。」

「…先輩…。」

小春は涙を流した。

「杉浦?どうしたんだ?」

「……なんでもないです。私はもう先輩がいなくても大丈夫です。」

「そうか。」

「先輩、最後にいいこと教えてあげます。」

「え?いいこと?」





「かずさ、起きてる?」

深夜、家に着いた春希はかずさの寝室のドアを開けた。

「…………寝てる。」

「起きてるなかずさ、ちょっとリビングに来れないかな?」

「今何時だと思ってるんだ?もう12時過ぎている。」

「ごめんって。」

「今日は早く帰ってくるって言ってただろ!春希の嘘つき!」

「遅くなったのは悪かった。でもちょっとでいいからリビングに来てくれないか。お願いだから。」

「…………わっ!」

春希はかずさをお姫様抱っこし、リビングへ連行した。

「かずさ、ハッピーバースデー。」

「………春希?」

「かずさにプレゼント。」

リビングの真ん中に、リボンに巻かれた大きなバケツがおいてあった。

「これは…プリン?バケツの?」

「うん。約束しただろ、昔。」

かずさが春希にカレーを作った日、お返しにカレーを作ると春希が言ったらボウルいっぱいのプリンが食べたいとかずさは言っていた。

「よくそんなの覚えてたな。しかもボウルよりもでっかいバケツだ。」

「しかもただのバケツプリンじゃない。グッティーズのバケツプリンだ。」

「それは本当か?」

かずさは目を輝かせた。

「うん、食べてみて。」

春希はかずさを降ろすとスプーンでプリンをすくってかずさの口にいれた。

「…………。」

「うまいか?」

「甘すぎる。」

「え?グッディーズのプリンそのままだけど…。」

「…うまいに決まってるだろ、言わないとわからないのか?」

かずさは顔を赤くして目をうるませていた。

「喜んでくれてよかったよ、かずさ。」

「ああ、食べても食べてもなくならないな。さすがバケツだな!もしかして…これを作っていたから今日遅かったのか?」

「まぁな。本当は…バケツにする予定じゃなかったんだけど…なんだかかずさをむちゃくちゃ喜ばせたくなった。」

「むちゃくちゃ?」

「うん…。あんな話し聞いちゃったらな。」

「??」

かずさはキョトンとした顔で春希を見た。

小春に教えてもらったいいことを思い出して、春希はニヤけた。


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「え?いいこと?」

「はい。3年くらい前にグッディーズに血相を変えて落とした参考書を探しに来た女子高生がいたそうです。その女子高生が先輩の彼女だと。さっき思い出して佐藤さんが教えてくれました。」

「かずさが?」

「はい。あの時すごい怖かったって。」

「怖いって…。」

「それだけ必死だったみたいです。なんだか誰かのプレゼントだったみたいで…夕方に一度来たかと思えば深夜の閉店間際にまた来て…いったいどれだけ長い間探していたのやら…。」

「………かずさ…。」

「なんとなく思いました。それってきっと先輩からのプレゼントだったんですよね。参考書なんていかにも面倒見のいい先輩のあげそうなものです。」

「確かに…あげたけど…。」

むしろボロボロになった参考書をかずさの家で見かけた時は、ぞんざいに扱っていたからだとすら春希は思った。

「そこまでして…ただの参考書を長い間探してたなんて…よっぽど嬉しかったんでしょうね。そして…大好き…なんですね。先輩が。」

春希の言うとおりだと小春は思った。

冬馬かずさは本当に普通の人が出来ないことをしてのけるのだと。

そしてそれは、かずさだけではなく、春希もかずさのためなら想像もつかないようなことをしてしまうのではと思うほどだった。

二人は決して依存しあうだけの甘えあった関係じゃない。

それどころか、一緒にいるだけでお互いが最高の自分でいられる関係なのだと小春は思った。




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「あ…あれは…その…。」

かずさはスプーンを噛み締めて真っ赤になっていた。

「その話しを聞いたら、かずさの誕生日、むちゃくちゃ喜ばしてやりたくなった。今まで以上に。そしたらふとあの時の会話のこと思い出して、作り始めたら帰りが遅くなっちゃったけど、かずさを驚かせれたし大成功かな。」

「……でも…よくすぐに思い立って実行できたな。」

「まぁそれはバイトの後輩も手伝ってくれてな。プリン溶かしたりするの。」

「あの可愛いバイトか。」

「え?いや…その…。」

春希はしどろもどろした。

「お皿割ったらすぐに春希が駆け寄ってちょっとムカついたけど…でも…カッコ良かったよ。お前らしかった。」

「かずさ…。」

春希はかずさを抱きしめた。

「ちょっと…今食べてるんだから。」

「かずさ…来年も、再来年も、ずっとずっと誕生日お祝いさせてほしいな。オレに。」

「他に誰が祝うっていうんだ?」

「そうだな。」

春希は微笑むとかずさにキスをした。





「ところで、かずさに相談なんだけど。」

「なんだ?」

「バイト、グッディーズを辞めて新しく別の始めたいんだ。」

「会う時間がこれ以上減らないならいいけど…どんなバイトなんだ?」

「…開桜社っていうんだ。」


to be continued…












あとがき

ここまで読んでくださった方ありがとうござます。
夢想の続きという感じで執筆いたしました。
この先麻理さん、千晶そしてラスボス雪菜さんと出てくる予定です。

夢現でかずさTに対しての後ろ暗さ?とかが
少しでも解消されるような作品にしたいと思ってます。
自分自身かずさTは希望も救いもちゃんとあると思ってるので
それを別のルートや視点から証明できたらなと。
かなり持論が入ってしまいますがw


例えば雪菜Tで雪菜は春希の母親との和解に一役買います。
私はお節介焼きの小春もそういうことしそうだなと思いました。
麻理さんもなんだかんだしそうです。
千晶はそういう意図なくともいつの間にか
春希の母親と茶飲み友達になってそうw
じゃあかずさは?直接的にはなにもしないと思います。
でも春希は自分で歩み寄って解決させる強さを手に入れられる、
そういう男にさせてくれるのがかずさじゃないかなと思います。
かずさTの春希が一番カッコイイと言われてるように。
だから与えなくともかずさの見返りのない無限の愛は
与える愛に負けないくらい無敵だということ。
春希の無限の愛でかずさはかずさTで
春希がいなくてもコンサートを大成功させたように。

事実、夢想で春希はかずさのカレーを食べて母親のことを思い出してました。
だから春希はかずさと一緒にいることで自分の足で解決していくんじゃないかなと。

つまり今回の話で伝えたかったことは
かずさの強い愛は雪菜みたいに直接的な働きはしなくても
問題解決へと繋がることもあるんじゃないかなということです。

小春が雪解けの話しを聞いて
春希のことを泥沼化せずに潔く諦められたこととかもそうですね。


ママゴトなんて言わせないぜw


以上です



初投稿なので何か投稿の仕方とか
アドバイスなどあればお願い致します

このページへのコメント

春樹らしさ、が、自分には、完全にかけていて、本当、ソレが色々な不幸を招いた、な、と、思う自分ですが、学ぶ意味でも、この作品。。。カズサが幸せになれる?作品、、、(カズサが1番感情輸入しやすい自分として)楽しく読まさせて貰います。

0
Posted by のむら。 2017年04月10日(月) 04:40:56 返信

名無しさん

コメントありがとうございます。
大変嬉しいです。次も頑張ります!!



Nさん

小春のことも褒めていただき嬉しいです。
ありがとうございます!!

0
Posted by だつじ(作者) 2014年07月13日(日) 18:12:01 返信

かずさの魅力も小春の可愛さもこの二人の春希への想いの純粋さも良く表現されている、良SSだと思います。
雪解けでの忠犬の頑張りを春希が知るところとか、本編のように孤独な振りをしてないのに結局春希に惹かれている小春の描写などが特に良い感じですね。

0
Posted by N 2014年06月12日(木) 00:52:16 返信

文章も読みやすく、すごく面白かったです!
次回の更新楽しみに待ってますー。

0
Posted by 名無し 2014年06月07日(土) 15:02:15 返信

tuneさん

コメントありがとうございます。
春希と結ばれる公式の話がかずさTと
夢想だけなので夢想の続きもありかなと思いました
ピアノを捨てようとしたシーンはかずさが考えぬいた
間違ってても不器用な償いであると同時に
愛の証明でもあるのに脅迫いう考察をみて
びっくりしたことがありましたw

0
Posted by だつじ(作者) 2014年05月31日(土) 03:20:32 返信

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