第8話





5-9 春希 麻理宅 1/7 金曜日 17時30分頃





チキンライスの食欲をそそる香りがキッチンに充満する。
腹ぺこの俺だけではなく、麻理さんも臭いにつられて俺がふるうフライパンを
俺の邪魔をしないようと後ろから覗き込んでくる。
しかし、俺の両肩に手をのせるのはいいのだが、
背中に柔らかいふくらみを押しつけるのはやめてもらいたい。
ただでさえ俺の首元から覗き込む横顔にどぎまぎしてしうのに。
胡椒やケチャップを取ってほしいとお願いすれば、
喜んでサポートしてくれる。
でも、それが終わると麻理さんの定位置となった俺の背中に戻ってくるのは
もうどうしようもないのだろう・・・・。
揚げ物などをやるとなると危険なので注意する必要があるけど、
今回はそれほど邪魔にもならないので、強くは言えない。
どんな言い訳をしても、こんな状態を喜んでいる自分がいることは
否定などできやしないのだけれど。

春希「チキンライスをよそうお皿用意してくれませんか?」

麻理「これでいいのか?」

あらかじめ用意していたお皿をガス台の側に2つ並べる。
それに手際よく盛り付けると、今回の最難関、半熟玉子の制作に入らなければならない。

春希「さすがに半熟玉子は自信ないので、ちょっと離れていてくれませんか?」

麻理「あぁつ、そうか。そうだな」

麻理さんは、意識しないで俺の背中にへばりついていたことに初めて気が付き、頬を染める。
俺としては、背中から追い出したいわけではなかったのに、
結果的に追い出してしまったことを名残惜しく思えた。
麻理さんのことだから、意識してしまえば、
俺の背中に自分の意思でやってくることなんて皆無に等しいだろう。
なんて邪念を持っていると、本当に卵を失敗しそうなので意識をフライパンに
堅く結びつけた。

半熟オムライスの成績は、俺としては満足がいく1勝1分けであった。
最初のオムライスは我ながらうまくいったと思う。
だけど、気を良くした俺は2回目の盛り付けで、最後の最後で失敗してしまった。
半熟具合は申し分ないが、形が崩れて卵がやや右寄りになっている。
食べる分には問題ないので、半失敗作は俺の目の前に鎮座している。
麻理さんは、オムライスを並べるときに麻理さんの方に半失敗作を持っていこうとしたが、
それは丁重に遠慮してもらった。
味は問題ないけど、麻理さんには見た目でもオムライスを堪能してほしい気持ちが
あったから、押し問答の末、どうにか俺が半失敗作を手にすることができた。

麻理「北原は、料理もできるんだな。一家に一人欲しいくらいだよ」

春希「ちょっとは自炊するんじゃなかったんですか?」

麻理「そうだなあ、結局独りだと自炊しないくなる気も」

春希「それじゃあ、最初から駄目じゃないですか」

麻理「私に女の魅力が欠如しているっていいたいんだな。
   どうせ私には仕事しかないし・・・・・・」

春希「そんなこと言ってないじゃないですか。
   もし料理を始めるんでしたら、俺も手伝いますから。
   といっても、俺も人に教えるほどうまくないですけど」

麻理「本当か?」

忙しく表情を変える麻理さんであったが、そろそろ今の笑顔で定着させて
食事に移りたい。
考えてみれば、俺だけじゃなくて、麻理さんも昼食抜きだったはず。

春希「本当ですよ。俺ももっと料理覚えたいと思っていたので。
   それよりも、早く食べましょう」

麻理「そうだな。いただきます」

春希「いただきます」

昼食兼夕食となったオムライスは、空腹以上のスパイスが目の前にいてくれるおかげで
最高の味となった。

麻理「なかなか美味しいな」

春希「よかったぁ」

麻理「何度も味見してたじゃないか。そういう用心深いところは評価できるけど、
   もう少し大胆さも普段から持ち合わせたほうがいいわよ」

たしかに麻理さんの言うことは的を射ている。
普段は用心深すぎるくせに、なにか問題が起きれば、周りの迷惑など度外視して
行動にでてしまう。今までは致命的な失敗をしてきていないから
周りも強く責めはしてこなかったが、社会人となって、社の看板を背負っての
行動となると、そうもいかないだろう。
自分一人の責任ならいくらでも受け入れるが、会社の問題にまでなると
俺一人の問題ではすまなくなる。

春希「そうですね。麻理さんを見習って覚えていきます」

麻理「そうだな。もう少しお前の側にいたかったよ」

麻理さんが春からNYに転勤になることをすっかり忘れていた。
あまりにも今が楽しすぎて、あまりにも麻理さんがいることが当たり前すぎて
目の前にあったはずの現実を見ないようにしていた。

春希「これで会えなくなるわけじゃないですよ。
   いつか日本に戻ってくるんですよね?」

麻理「その予定だが。それでも、3年から5年くらいは向こうだと思う」

春希「だったら、休みをとって会いに行きます」

麻理「北原・・・・・・」

おだやかな頬笑みを浮かべる麻理さん。
年上の女の人だって思えないくらいの無邪気な姿は、
小さいころから隣にいる幼馴染とさえ思えてしまう。
その柔らかい瞳に吸い寄せられていくが、
突如として変化したきつい目つきに驚きを覚える。

麻理「そんな口説き文句は、一番大切な相手に言ってやれ」

春希「麻理・・・・さん」

目の前が鮮やかな色彩から灰色に変わっていく。
俺が選んだ選択肢だったはずなのに、俺が現実に追いついていけない。

麻理「お前は、冬馬かずさを選んだんだろ。
   だったら、これ以上私に優しくするな」

突き付けられる現実に、俺は何も言えないでいた。
かずさを傷つけたくないからって、一度は麻理さんの前から逃げ出しておきながら
今になって麻理さんにすり寄っているなんて、どうしようもない馬鹿男だ。
俺だけじゃなくて、麻理さんも傷つけてしまうってわかっていたのに。

春希「そんなつもりじゃ・・・・・・」

麻理「どんなつもりだったんだ? 
   お前は、私に嘘をつかせて会社を抜けさせたんだぞ。
   こんなこと前代未聞の出来事だ」

春希「すみませんでした。でも、俺は・・・・」

灰色となった世界は、今は何色になってるかさえ判断できない。
麻理さんらしき人が目の前にいるはずなのに、
今は別人がいるみたいだ。

麻理「すまない。嘘をついたのは私自身の判断だ。
   北原の責任は全くない。忘れてくれ」

春希「忘れらるわけないじゃないですか!
   こんなにも優しくされて、なかったことになんかできるわけないですよ」

麻理「だったら、どうすればいいんだ。
   お前は、冬馬かずさを愛しているんだろ?
   それなのに、私は、・・・・私がお前の側にいちゃ、駄目だろ・・・・・」

触れただけでも消え去りそうな麻理さんに、近づくことさえできなかった。
今まで作り上げてきた心地よい距離が、今やどう距離を取ればいいかさえ
わからなくなってしまっている。
一歩踏み込めば、離せなくなる。
一歩遠のけば、一生会えない気がした。
しかも、今のままでいることは許されないだろう。

春希「でも、・・・・・麻理さん!」

麻理「北原は、もう大丈夫。進むべき道が決まったから。
   ここにいちゃ駄目なのよ。
   これを食べたら、家に帰りなさい」

春希「帰りません」

麻理「帰れ」

春希「嫌です」

麻理「頼むから」

春希「麻理さんの側から離れません」

麻理さんが目を見開き悲しい喜びを受け取る。   
最悪な選択だってわかってる。麻理さんを傷つけるだけだって、わかってるのに。
俺の一方的な我儘で、その手を離せないでいた

麻理「お願いだから、私を喜ばせないでくれ。
   それとも、私を愛人にでもするつもりか?
   別に、私は構わないぞ。どうせ仕事ばかりで、家庭に割く時間なんて
   ほとんどとれないんだ。
   気が向いたときに会うなんて、素晴らしいじゃないか」

最低な自虐を披露する麻理さんだったが、一言つぶやくごとに自分を鋭くえぐる。
いつもの自虐ネタなどではない。
自分を傷つけるために言ってるとさえ思えた。

春希「そんなことできるわけないじゃないですか。
   麻理さんを傷つけることなんて、できやしない」

麻理「ふざけるな!
   北原が今していること自体が私を傷つけているのよ。
   散々私を喜ばせて起きながら、最後の最後で絶望に突き落としてるのが
   理解できないでいるつもり?」

全てを、俺のことさえも理解している麻理さんに何も言えない。
沈黙しか許されていなかった。

麻理「もういい」

そう小さく愚痴ると、俺の横まで歩み寄り、俺の肩に手を置く。

春希「麻理さん?」

麻理「もういいや。今夜だけでいい。今夜だけ、私のものになって。
   そうすれば、私が全てを抱えてNYまで行ってやる」

そういうと、麻理さんは、かがみこみながらキスをしようとせまってくる。
何も言えず、何も考えられなかった時間が動き出す。
3年前の光景が鮮明に脳裏に映し出す。
長い一日だったはずなのに、1秒で全てが再生され頭に叩き込まれる。
かずさの本当の想いを知らずに抱いたあの夜。
喜びをかみしめていた俺の横で、一夜限りの契りを胸にやってきたかずさのことなど
気が付きさえできなかった。
今度は、麻理さんがかずさと同じ道を行こうといいる。

春希「できません。麻理さんが一人で全て抱えてNYに行くっていうなら、
   キスなんてできません」

麻理「私は、それで満足だっていってるんだぞ」

春希「それだと、かずさと同じじゃないですか!」

先日の俺の身を切りさく告白を思い出し、麻理さんもショックを隠せない。

麻理「冬馬かずさが・・・・・そうだったな」

春希「ええ、そうですよ。俺は、かずさの気持ちに気が付きもせずに、
   他の女性と付き合っていたんです。
   かずさが俺のことなんて、好きになるわけないって自分で決めつけて
   結果的には、彼女もかずさも二人とも悲しませてしまったんですよ。
   そして、今、麻理さんがしようとしていることは
   3年前のかずさと全く同じことだったんです」

麻理「そうか。・・・・そうだよな。そうするしかないんだ」

焦点が定まらず、痛々しい笑いを洩らす麻理さん。
そんな麻理さんを、ほっとけるわけもなく・・・・。

麻理「北原・・・・・」

俺の腕の中にいる麻理さんが、顔を上に向け、俺を見つめてくる。
俺はついに麻理さんの手を掴んでしまった。
一度手にしたら、離すことなどできないって理解しているのに。
俺と視線が交わると、麻理さんは視線を外し、俺の胸に頬を擦りつけてきた。

麻理「もういいよ。わかったから。
   お前は、とってもひどい男だって理解してしまったよ。
   だから、お前は私を離してくれないんだな」

春希「そんなつもりじゃ・・・・・」

麻理「だから、もういいって。
   半分だけNYに持っていってやる。
   だから、お前は責任もって日本で半分管理しろよ」

春希「え?」

麻理「別にキスしろっていうんじゃないぞ。
   私に少しでも好意をもっていたことを忘れないでいてほしいんだ。
   私も、お前が好きな気持ちを忘れずにNYに行くからさ。
   一人で持つには、重すぎるだろ?」

一人で背負うには重すぎる荷物。
そんな荷物を作り出してしまった。
一人で担ぐには重すぎるけど、二人だったら・・・・・・。

春希「俺が責任をもって大切に持ってます」

麻理「確認だけどさ、私は冬馬かずさの代わりじゃないわよね?」

妙な強気でいた麻理さんであったが、今の発言だけは少女そのものだった。
震える瞳が、俺の返事を待っている。

春希「麻理さんは、麻理さんでしかないです。
   俺の腕の中にいる風岡麻理が全てですよ」

麻理「そうか。ならよし」

春希「はい」

麻理「もうこれ以上望まないから、今夜だけは側にいて。
   お願い」

春希「俺も、今日は、一人は嫌です」

他人からしたら、まやかしの幸せだっていうのかもしれない。
自分だって、そんなのわかりきっている。
だからといって、それを認めないなんていうのは、他人の都合でしかない。
げんに、俺達はまやかしであろうと、強く求めてしまったのだから。

体から力が抜けていく。
二人して、寄り添うように絡み合う。
もうハンカチ越しに手を触れる必要なんてない。
触れたいと思ったら、こう、自分の手で直接握りしめればいいんだ。
ほら、麻理さんも俺の手を握り返してくれる。
強く抱きしめなくても、麻理さんはいなくならない。
NYへ行くとしても、会えなくなるわけではなく、
会いたいと思えば、いつだって会いに行けるんだ。

緊張の糸がほどけると、脳は2番目の欲望を優先させる。
麻理さんにいたっては、朝から。
俺にいたっては、2日以上も食事をとっていない。
だから、俺達の腹の虫が大騒ぎしても、いたって自然なことで・・・・。

麻理「色気もロマンスもあったものじゃないな」

春希「はは・・・・、俺達らしいっていったら、らしいかもしれませんね」

麻理「せっかく北原が作ってくれたんだ。冷めないうちに、って、もう冷めてるかも。
   でも、食べよう」

春希「そうですね」

ぎくしゃくしながらも抱き合う手をほどきながら、自分たちの席に戻っていく。
食事を再開するものの、視線は絡み合うが、会話のとっかかりが見つからない。
俺は、沈黙したままでも、うれし恥ずかしい食事を楽しめていた。
しかし、麻理さんは、沈黙そのものに耐えきれず、

麻理「北原、なにか話す話題くらいないのか?」

春希「そんな器用な真似できましたら、苦労しませんよ。
   あいにくプライベートに関しては、つまらない人間なので」

麻理「それって、暗に私のことも仕事馬鹿だって揶揄ってるのか」

春希「前から思っていたんですが、仕事人間であることも、プライベート壊滅なことも、
   そして、年齢のことも、俺にとってはマイナスな面は一つもないですよ。
   むしろ、プラス評価でしかないです」

麻理「そ・・それは嬉しい評価だけど」

麻理さんの食事の手は止まり、スプーンを握る手が震えている。
次の言葉を紡ぎだそうとしてるようだが、口をパクパクするだけで
声を発することができないようだった。

春希「麻理さん?」

麻理「お前が心臓に悪いことを言うからだ。
   それに、年齢については、どう言い繕ってもかわりようがないだろ」

春希「年齢そのものは変えようがないですけど、麻理さんに関しては
   年齢なんか関係ないくらい綺麗じゃないですか」

麻理「お世辞を言っても信じないぞ」

疑う気満々の目を俺にぶつけてくる。
こんな子供っぽい表情さえも、魅力の一つだって、この人は気が付いていないんだ。
だったら、今から一つ一つ伝えていけばいい。

春希「今の表情なんか、とてもかわいらしいですよ。
   大人の魅力に無邪気さが相まって、破壊力抜群です」

麻理「な・ななな・・何を言ってるんだ」

顔から首まで朱に染まっている。
俺が麻理さんの魅力を全て伝え終わるころには、指先まで赤く染まるかもしれないと
思うと、少しおかしく思えた。

麻理「やっぱり冗談だったんだな。笑うなんてひどい奴だ」

春希「違いますよ。麻理さんが、かわいすぎて。
   仕事を誉められるのは慣れすぎているのに、
   プライベートの方では、全く耐性がないと思うと、愛らしくて、
   ほほえましく思えてきたんですよ」

麻理「そ・・・・そうか。だったら、いい」

俺達は、食事が終わっても、夜遅くまで語り合った。
仕事しか共通の話題がないって杞憂してたのは、たちまち霧散していく。
麻理さんの高校時代、大学時代、そしてこれから先のことだって、
話す話題は尽きることがなかった。








6-1 春希 麻理宅 1/8 土曜日 6時00分頃





昨夜、というか今朝何時に寝たかわからないが、体内時計が強制的に体を叩き起こす。
午前6時。
寝たのが、おそらく午前3時過ぎだと思うから、3時間も寝ていないはずだった。
寝不足状態で朝日を浴びるのはつらいが、冬の優しい朝日なら
ちょうどいい覚醒ツールとして使える。
ソファーで寝こけてしまったが、風邪を引いていないのは麻理さんが
毛布をかけてくれたからだろう。
窮屈な体制で寝てしまい、悲鳴を上げている節々をほぐす為に体を伸ばす。
それと同時に、近くにいるはずの麻理さんの様子を探ろうと見渡すが
いる気配がなかった。
といっても、麻理さんの消息はすぐに判明する。
置手紙によれば、すでに出社したとのこと。
昨日の仕事の遅れを取り戻す為に早く行くと書いてあるが、
それも真実だろうけど、俺と顔を合わせた時、どんな顔をしたらいいんだろうって
迷いに迷って逃げ出したんじゃないかって思えてしまう。
麻理さんは、気が付いていないのだろうか?
今顔を合わせるんなら、自宅だから、どんなに気まずくても二人しかいない。
でも、編集部でだったら、好奇の目にさらされてしまうのに。
って、あまりにも自信過剰な妄想をしてしまったけど、
あながち間違いではないんだろうな。

さてと、顔を洗ってから掃除でもしますか。
ながらくお世話になったこの部屋を本来の主に返さないとな。

顔を洗い、少しばかり冷蔵庫から拝借して腹ごしらえでもと思いキッチンに
行ってみると、テーブルにはサンドウィッチが用意されていた。
ざっと見たところ、昨日の余り物のトマトとハムとチーズが挟まれているようだ。
インスタントコーヒーをいれ、昨夜と同じテーブルの席に着く。
目の前には麻理さんはいないけど、料理を全くしない麻理さんが作ったサンドウィッチ
が目の前にあると思うと、顔が緩んでしまう。

春希「いただきます」

編集部にいる麻理さんに届くようにと、しっかりと手を合わす。
麻理さんが、料理をしないという危うさを忘れて、
ためらいもなく大きくサンドウィッチを頬張る。

春希「うっ!」

辛い!
食べられないわけじゃないけど、マスタードが効きすぎている。
パンをめくるとたっぷりとマスタードが塗られていた。
他のはどうかと確認したところ、マスタードが異常に塗られていたのは
最初の一つだけで、他のは適度の量しかぬられていない。

春希「あぁっ・・・・・、ははは・・・・」

もう笑うしかない。
朝だというのに、腹がよじれるほど笑えてしまう。

春希「子供かよっ」

麻理さんは、昨日のスーパーでのことを覚えていたんだ。
オムライスにマスタードを使えばなんて暴言への仕返しなんだろう。
しかも分かりやすいように、俺が座った席から一番取りやすい位置に
トラップサンドウィッチが置かれていた。
だから、これを食べて思い出せよ的な思考なのだろうな。
でも、俺がこの席に着くっていう麻理さんの根拠なき自信は、本当にありがたい。
その根拠なき自信は正解ですよって、今すぐ言ってあげたかった。
俺が昨夜の席に座って、麻理さんのことを思い出しながら
食べるんだろうって麻理さんは妄想して用意してくれたのだろうか。

あぁっ! 麻理さんのことばかり考えてしまってる。

俺は、マスタードがたっぷりのサンドウィッチを口に放り込み
麻理さんのことも押しこもうとした。

ぐふっ!

といいうものの、爆弾マスタードは俺の予想範疇を飛び越えていて、
俺の意図は見事に破られてしまう。
だから、俺が麻理さんのことを考えてしまってもいいんだって、
誰に言い訳するわけでもないのに取り繕おうとしてしまった。
そして、俺は、コーヒーを一口すすり、2個目のサンドウィッチに手を伸ばした。






第8話 終劇
第9話に続く

このページへのコメント

コミケや生天目さんの結婚など、夏なのに話題が出ていますね。
ミニアフターが予定通り出るかは、すごく心配なのですが・・・・・・・。
さて、今週から話の雰囲気が変わっていきます。
物語もラストに向けて加速していくはずです。

0
Posted by 黒猫 2014年08月05日(火) 04:25:35 返信

面白かったです
次回が楽しみです

0
Posted by 冬流 2014年07月30日(水) 11:05:55 返信

春希が風岡麻里とかつての様な誤ちをおかさずに踏みとどまれたのは、IC編での苦い経験のおかげでしょう、まだちょっとばかり未練がありそうですが。次回から立ち直った春希がどのような選択をするのか楽しみにしています。

0
Posted by tune 2014年07月29日(火) 18:33:09 返信

今回も楽しませて読ませてもらいました。
ここからの麻里さんルートへの分岐も読んでみたいと思うほど引き込まれました。

0
Posted by トンプソン 2014年07月29日(火) 11:09:35 返信

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