91 名無しさんだよもん sage 2012/01/04(水) 22:43:10.20 ID:bl45m/6B0
懲りもせずまたSS投下しようと思う
結構長い上にさして萌え要素もなく、グダグダっぷりが酷いもんだから最初にスレ汚しを謝っとくわ
みんなすまん

100 名無しさんだよもん sage 2012/01/04(水) 22:51:07.82 ID:bl45m/6B0
分量配分を間違えて結末をこんな間抜けな形でしか入れられなかった、はずい…
あ、それと一応大正浪漫女給キューピットの続きということでよろしく


ある金曜の夜、馴染みの居酒屋で春希は珍しく一人で手持ち無沙汰に携帯を取り出してはしまったりを繰り返していた。

「あ、柳原さん。こっちこっち」
「そんなに手を振らなくても分かりますから。
 それより北原さん、あなたわたしと二人きりで会いたいなんて何トチ狂ったこと言ってるんです?」
「開口一番でそれかい。別に俺だってどうしても柳原さんと二人きりが良かったってわけじゃないよ。
 ただ他の連中とは都合が合わなかったし、だからってかずさに会うわけにもいかないだろう」
「あら、妻帯者がいまさら昔の女に会う程度のことを躊躇う必要がどこにあるのかしら?
 まさか未だに彼女への感情を引き摺ってるの?だったら雪菜に告げ口しますわよ!」
「俺の問題じゃないんだよ!必要によって、なんの後ろめたさもなくかずさに会っただけだとしても、
 雪菜の拗ね方が半端じゃないからさ。あの女のハウスがどうのこうのって責められるのは嫌過ぎる…」
「まぁいいですわ。どうしてもわたしに聞いて欲しいことがあると泣き付かれたんですから仕方なく聞いてあげましょう」
「くっ、ここは我慢だ北原春希。柳原がこんなやつだってのは高校の時から嫌というほど分かってたんだから」(ボソボソ)
「なんか言いました!?」(キリッ)


「最近、雪菜の様子がおかしいですって?」
「実はそうなんだよ。家でもなんだか上の空の時が多いし、料理も手を抜いてインスタントカレーとかで済ませるし…」
「それは体調が良くないだけなのでは?
 雪菜はSETSUNAとしての活動もありますから、いくら夫婦だからってあんまり無理させるのは許しませんわよ!?」
「いや、どうも違うんだよ。熱もなかったし、最近は退勤時間も早いからそんなに疲れてもいないはずなんだ。それに…」
「それに?」
「三日前は無断外泊までしでかした。どこで泊まったか聞いても春希くんは知らなくていいの一点張りで答えてくれないし、
 今日なんか出張とか言いながら出張先がどこなのかも教えてくれなかったんだよ」
「あなた、それは明らかに愛想を尽かされてますわね」
「やっぱり?ああああ、どうすればいいんだ俺」
「…まずは泣き止みなさいな。大の大人がみっともないったらありゃしませんわよ」

「冗談はともかく、これは由々しき事態ですわね。飯塚さんと水沢さんにも連絡しましょう」
「さっき誘ったけど断られた。こっちとしては不本意だけど、この前俺と雪菜に煮え湯を飲まされたと思ってるからなあ」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ?この状況を説明すればきっと二人だって…」
「いいんだ、それに今はあいつらにとっても重要な時期だから。
 今まであいつらには散々世話になったんだし、たまには自分の力で問題を解決しても罰は当たらないだろう」
「せっかくいいこと言っても、わたしに頼ってる時点で台無しですよ?」
「柳原さんは俺や雪菜に迷惑たくさんかけてるんだから、こういう形ででも恩返ししてください」


仕切り直しとばかりビールやつまみを適当に注文して、朋は気になることを聞き始めた
「心当たりがない?」
「少なくともここ一ヶ月は女性と二人きりになったことはないね。今柳原さんといるのを除けばだけど。
 家にも9時前には帰ってるし、家事はちゃんと分担してるし、小木曽家にもまめに連絡入れてるし、夜の相手だって…」
「スト〜ップ!誰が惚気ろと言いました?問題点を言いなさいよ!」
「だからそれらしいものは何もないんだって。なのに突然雪菜は変わっちまったんだ」
「でしたらもうここで話を聞いても埒があきませんわね。わたしが雪菜に電話してみましょう」
「そうしてくれると助かるよ。じゃあ早速お願いできるかな?」
「家に帰って落ち着いてからコールしてみます。明日連絡しますから今日はここで解散しましょう」
「そう?じゃあ送ってくよ。そろそろ夜も遅いし」
「結構です、そんな甲斐性は雪菜のためにとっておいてくださいな」
そう言い残して朋はあっさり席を立ち店を出てしまった

「結局俺の奢りってわけね。頼み聞いてもらう立場だし納得は出来るはずなのに、なんだろうこの言い知れぬ敗北感は…」

「もしもし、どうしたの朋?こんな夜遅くに」
「どうしたのじゃないでしょう?あなた北原さん放っといて今どこにいるの!?」
「広島だよ〜、実は今出張で来てるの。すごいでしょ?」
「そんなことどうでもいいわよ。北原さんに行き先も告げずにどうしたのよ」
「もしかして春希くん、朋に相談でも頼んだの?」
「相談どころじゃないわよ。居酒屋でいきなり泣き出した時は本当に焦ったんだから」
思い出しただけでまた頭が痛くなって来た。あのしっかりした北原さんがあんなに泣くなんて…


「あはは、春希くんてばカッコ悪いなぁ。でもなんだか嬉しいなぁ」
「全部あなたのせいだってこと、わかってる?」
「わかってるよ。だから嬉しいんじゃない」
「じゃあその出張も含めて一連の意味不明な行動に対する、納得のいく説明を聞かせてもらおうかしら?」
「いいよ、では問題です。わたしはなんでこうして春希くんを困らせているのでしょう?
 第1ヒント、広島の東隣の県は岡山で〜す」
「それってまさか…、じゃあ三日前の外泊も?」
「これだけでわかっちゃった?朋ってば鋭いなぁ。春希くんとは大違いだよ」
それからは2人とも明るい声で、他愛のない話に花を咲かせながら夜更かししていった

春希は必死に知恵を振り絞って、有休まで出して念入りに掃除や洗濯を完了した
そして今はボンゴレ雑炊の下準備に取り掛かっている
適当にやれば20分で済む簡単な料理だが、今日は是が非でも雪菜においしいと言わせねばならないのだ
そうして無我夢中に料理をしているとチャイムが鳴り始める

「おかえり、雪菜。久しぶりの出張で疲れただろう?晩ご飯もうすぐ出来るからちょっとだけ待ってて」
「ただいま、春希くん。なんか香ばしい匂いがすると思ったら、久しぶりの春希くんのご飯なんて嬉しいな」
「そ、そう?じゃあとにかく着替えて待ってて。すぐにできあがるから」
「は〜い」
(雪菜、随分機嫌がいいな。これならなんとか聞き出せるか…?)


しかしそんな春希の期待も虚しく、雪菜はものすごい勢いでボンゴレ雑炊を平らげるとさっさとベッドに寝転んだ
「あの、あのな、雪菜…」
「春希くん、わたし出張から帰ってきたばかりで疲れてるの。このまま寝るから後片付け頼んでいい?」
「え?あ、いや、それは別にいいんだけど」
「ありがと。じゃあお休みなさい春希くん」
「…うん、お休み。雪菜」
(今日は雪菜も疲れてるし無理に聞き出すことないや。明日こそきびしく問い質そう)
実は春希も、ここ数日間雪菜のことで気がになってほとんど睡眠をとっておらず、あっという間に眠りに落ちた…

春希は妙に穏やかな刺激によってゆっくり目を覚ました
朝の日差しはまだ深い眠りを妨げるほど強くはなく、自分がどうして目を覚ましたのかが一瞬わからなくなる
「あ、春希。起こしちゃった?こめんね」
その声はなぜか左側でしか拾えず、しかもそれすらはっきりとは聞こえてこない
それに頭はいつもの枕以上に柔らかい感触に包まれて、どこからともなく甘い香りがする
そんな弱々しい刺激一つ一つが重なって、春希を目覚めさせたのだろう
要するに、雪菜に膝枕されて耳かきされていたのである

「え?雪菜、なんで…」
「だって春希くん、膝枕で耳かきされるの好きでしょ?」
まだ眠気が抜けきっておらず、春希は酷く素直に答えてしまった
「うん、大好きだよ。それで雪菜、ちょっと聞いていいかな?」
「いいよ、なんでも答えてあげるからなんでも聞いて」
「最近なんか心配事でもある?ずっと上の空みたいだったけど」
「そんなに大したことじゃないんだけど、春希くんが頑固なのがちょっと心配だったかな」
「へぇ、そうなんだ。じゃあなんで最近カレーばっかりだったの?」
「それが昔の春希くんのお袋の味だって聞いたから」
「へぇ、そうなんだ。じゃあこの前外泊してたとき、どこで泊まってたの?」
「春希くんのお母さんの家」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ昨日はどこ行ってきたの?」
「広島だよ〜。そこで出張終わって、有休一日だけ取って、岡山にも行ってきたの」
「へぇ、そうな…。岡山だって!?」
やっと意識がはっきりしてきた春希の目の前には、太陽が霞んで見えるほど輝かしく微笑む雪菜がいた。

目が覚めてひと悶着あってから、春希は雪菜に手を引かれながら渋々有海インテグラルホテルに向かっていた
「もう、いつまでふてくされてるの?春希くんのご両親、もう来てるんだよ?」
「だって雪菜、酷いじゃないか。こんな不意打ちなんて」
「春希くん、事前に話してたら承諾してたの?」
「そんなわけないだろ」
「なら仕方ないじゃない。ほら、わたしと結婚したのが運の尽きだと思って、しゃっきりと歩く!」
「わかったよ。はぁ、気が重いなあ」

ぼやきながら春希は、確かに運の尽きだと思っていた
雪菜と結婚したからには、いい加減な幸せは許されないんだから
嫌なことにもきちんと向き合って、両手いっぱいの幸せを手に入れていかなくちゃいけないんだから…
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