概要

ラッツヘルトの戦いとは、ザールック3327年8月、アトレティア国とアヤクリス国の間で行われた戦いである。

戦闘に至るまでの背景

リゼルバを攻略し、更に奪還の為出陣したアトレティア国軍を、サルファーの遠謀によって、ほとんど損害を出すことなく防衛したアーズ国。
アトレティア国軍はすぐさま第二派攻撃を仕掛けたかったが、アーズ国軍が城壁の修理等、早急な地盤固めに成功した上に、ロザンドポルスといった各艦隊が、ガザデルーの配下になることをよしとしなかった為、全軍を配備したままにらみ合いとなる。

一方、リゼルバの戦略的価値を落とすため、ソートイントスレイアルの三国を速攻で孤立化させたセルカティーナだったが、彼女が戦果をあげることをよしとしないガザデルーは、その策を無駄と決めつけ後続部隊を送ることなく、ひたすらリゼルバ奪還に力を注ぎ込んだ。
三国としても、いつか現れると覚悟していた後続部隊が一向に姿を現さないことから、セルカティーナの制圧が空洞化していることに気づき始め、奪還の動きを見せていた。
元々時間稼ぎが目的だった為、その成果は十分残したものの、このままでは敵地に孤立してしまうため、セルカティーナは急ぎ次の手を打たねばならなかった。
それは、ロンド艦隊と合流し、アヤクリス国の北部を制圧することであった。
これに成功すればソートイントスレイアルに領土を奪還されても、鬼龍軍と合流を果たしたアトレティア国軍南方領土は、飛び地として孤立しているとはいえ、十分自立していくだけの国力を有することができる。
そして、セルカティーナの真なる目的も、寧ろそちらにあった。
しかし、ロンドは、セルカティーナの進言で出陣したものの、セルカティーナ艦隊を前面に出し、自分たちの盾とした上で、手柄だけはもらっていくという露骨な態度を見せた。

両軍の戦力

攻撃側守備側

アトレティア国軍
軍勢
アヤクリス国軍
総兵力不明兵力総兵力不明
ロンド総指揮
軍師
主要参戦者

ロンド

セルカティーナ

アスハ

ファリミス

キリィ

戦闘経緯



ラッツヘルト山地にて対陣した両軍。
セルカティーナ艦隊を最前線に配備し、その戦力を盾として利用しようとしていたロンド艦隊。
セルカティーナは自らの艦隊を、まるで薄い膜の様にロンド艦隊前方に横一列に展開させ、ロンドの期待通り、いや、それ以上に完璧な盾となった。
この日は、朝から視界を遮るほどの霧が戦場を覆っていたが、それらはすべてあらかじめ土地のことを調べていたセルカティーナの計算のうちであった。
決戦の火蓋をセルカティーナの手によって切って落とすと、開戦と同時にセルカティーナ艦隊は高度を下げ、あっという間に霧深い山岳地帯へ姿を消していく。
これによって、盾をなくしたロンド艦隊は、アヤクリス艦隊と真正面から打ち合う事を余儀なくされた。
これに驚いたロンドだが、アヤクリス艦隊からの攻撃は続き、自らの兵力で戦わざるを得なくなった。
両軍共に少しでも優位な陣形をとろうと、細かい移動を繰り返しながら正面から主砲を打ち合うが、肝心のロンドが、セルカティーナを探し出して、再び自分の盾にすることに固執したため、ロンド艦隊は混乱し、それぞれの部隊が独自の判断で動くしかなかった。
数で勝っていながら、連携を欠いたロンド艦隊は、アヤクリス艦隊の前に損害を重ねていく。
そこに、下降していたセルカティーナ艦隊が、高速艦のみの部隊を出陣させ、アヤクリス艦隊の下方向から攻撃を与えた。

霧に包まれた山岳地帯に艦隊を隠す事は困難であり、セルカティーナ艦隊の数隻は山に激突して戦わずして沈んでいったが、それでもこの行軍を可能としたのは、互いの艦の位置を知らせる発光信号の連携を、セルカティーナが日ごろから徹底して訓練していた為である。
結果的にロンド艦隊、アヤクリス艦隊はほぼ相殺に近い形で両軍壊滅状態となり、セルカティーナのみが無傷のまま勝利することとなった。

戦いの結末

ロンド艦隊は半壊、その残存部隊は、本国の意向によりセルカティーナ艦隊が吸収することとなった。
これは、今回の勝利の褒美として、ガザデルーが命令したものであり、それまでセルカティーナのことを眼中にいれていなかったガザデルーが、この時よりその実力を認めたこととなる。
セルカティーナ艦隊は、これ以後も遊撃部隊として自由な行動を許可され、ロンドが支配していた領地を引き継ぎ、アヤクリス国のいくつかの大都市占拠に成功する。

数日後、ソートイントスレイアルの三国が反撃作戦を行い、領土の奪還をはじめたが、セルカティーナは、三国連合軍の反攻より僅かに早く、南方領土の土台を固めることに成功した。


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