東方キャラとウフフにイチャつくまとめ

 きょろきょろと、フランドールが図書館の中で何かを探していた。
 手に取って何かを読みふけり、そして軽く首を傾げて本を戻す。
 それを随分前から繰り返していることに、蔵書整理をしていた小悪魔は気がついていた。
 仕事中ずっとその姿を見ていたので、手が空いたところで声をかけてみる。

「妹様? 如何なされました? 何かお探しですか?」
「あ、小悪魔」

 ぱたぱたと、その七色の羽を羽ばたかせながらフランドールは小悪魔に近寄った。

「あの、こういう本って、もっとある?」
「恋愛小説……ですか?」

 フランドールが差し出したものを手に取って、ぱらぱらと読む。
 少し大人っぽい感じもしなくはないが、まあ許容範囲だろう。

「たぶんまだあると思いますけれど、どうしたのですか?」
「ちょっと、勉強」

 はあ、と小悪魔は曖昧に応える。恋愛小説で勉強というのも不思議な話だ。

「また、どうしました?」
「…………あの、ね」
「はい」
「……こういうのだと、恋人同士って、キスしたりとか、いろいろしたりする、よね」
「ああ……まあ、そういうのもありますが」

 小悪魔は首を傾げながらフランドールの言葉を聞き続ける。

「……あの人は、何もしてくれないの」
「え?」
「ぎゅってしてくれたりはするけど、でも、こういう、恋人みたいなことは何もしてくれないの」

 小悪魔はその青年を思い浮かべた。確かに少し奥手そうだが、フランドールのことを心底大事にしているのはわかる。
 そういうのはまだ早いんじゃないかな、と思いつつ、小悪魔は当たり障りなく告げた。

「まあ、そこはやっぱり、人間なりの分別なのでは」
「そうなのかな……」

 フランドールはしゅんとなったままだ。羽も、心なしかしょげているように見える。

「……でも、私のこと、そんなに好きじゃないのかなって」

 呟いた瞬間、フランドールの瞳から涙がこぼれ落ちた。泣きそうな声で、言葉を続ける。

「私は、こんなに大好きなのに、あの人はそうでもないのかなぁ……っ、て」

 耐えきれなかったのか、フランドールは静かに泣きだしてしまった。
 ぽろぽろと涙をこぼしながら、それを手で拭おうと目元に手を当てている。
 その姿は可愛らしく美しいと同時に、見る者の心を痛くするようなものがあった。

「あああ、泣かないでください妹様!」
「ん、うん……」

 頷きながらも、フランドールの涙が止まる気配はない。
 フランドールは元々そこまで活発な子ではないのだ、ということを小悪魔は聞き知っていた。
 本質は大人しく、本を読むなど静かにしていることを好むのだという。ただ、本人の狂気故に中々それはわからないが、と。
 だから、恋人を想って不安がるこの姿は、おそらく本質に近いものなのだろう。

(本当に、大好きなんだなあ)

 しゃっくりあげながら涙を拭うフランドールに、小悪魔は何とかしてあげたいと思考を巡らせる。
 それとともに、妹様を泣かせるなど、と彼に対する怒りのようなものがこみ上げてきた。
 何だかんだでこの館の者達は、館の主たる吸血鬼姉妹が好きなのだ。
 何かないかといろいろ考えた結果、彼女は一つの結論にたどり着いた。

「あ」
「どう、したの?」
「……最終手段ですけど、確実に想いを確かめられる方法がありますよ」

 とある解決策を、小悪魔はフランドールに告げた。非常に悪魔的で妖怪的で、ある意味直情的な解決策を。





 その夜、少し軋む音を立てて、とある一室の扉が開いた。
 七色に輝く羽が揺れて、その後にひょいと顔がのぞく。
 部屋は暗い。もう寝ているのだろうか。闇の中でも利く瞳で、フランドールは室内を伺う。
 はたして、フランドールの恋人はベッドに横になっていた。
 起きているのかどうかはわからないが、とにかく、そっと扉を閉じてベッドに近づく。
 寝息が聞こえる。どうやら寝てるようだと、フランドールは判断して、そっとベッドの上に上がろうとする。

「あ」

 慌てたためか、ことん、と脱いだ靴が床に当たる音がした。その音でか、彼がゆっくりと目を開ける。

「んー……んん」

 目を覚まして、彼は寝ぼけたまま枕元の明かりを点けた。ぼうっと、部屋がランプの明かりに照らされる。

「……フラン?」

 驚いた声に、フランドールは一瞬びくりとして、だが、意を決して彼に声をかける。

「……来ちゃった」
「来ちゃった、って」

 のそ、とベッドの上に乗ってきたフランドールに、彼は目を丸くしていた。
 こく、と一つ息をのんで、フランドールは彼の上に乗る。

「フラン……?」

 声が愛しくて、フランドールは彼の頬に自分の頬を近付け、甘えるようにすり寄った。
 普段、彼は人目のあるところではあくまでフランドール付きの従者のような扱いである。
 だが二人きりの時だけ、彼はフランドールのことをフランと呼んでくれる。敬語もなく話してくれる。
 想いを告げた時から、通じた時から、二人きりの時だけはそうしてほしいとフランドールが求めたのだ。
 けれども、それだけでは足りなくなってしまったのだ。

「……大好き」
「ん、うん、俺も、大好きだけど……どうしたの、急に?」

 動こうとした彼の手を、フランドールは押さえる。

「だめ」

 そう言いながらもフランドールはしばし迷っていたが、決心したように彼の服に手をかけた。

「こう、して」

 フランドールは彼の服のボタンをはずすと、露わになった胸板に口付けを落とす。
 凄く『いけないこと』をしているようで、フランドールは自身の胸が早鐘を打ち始めたのを感じていた。

「え、これは」
「じっと、しててね」

 そう言いながら、フランドールは再び彼を押さえて、少しずつ下に向かって口唇を滑らせていく。
 恥ずかしいのか、その耳は真っ赤になってしまっていたが、彼女自身は気が付いていない。

「フラン、どうして、こんな」

 彼の声は戸惑っていた。それはそうだろう、と思う。何も説明していないのだから。
 どうしようか迷って、それでも、やっぱり言わなきゃだめ、と決める。
 震えながら、フランドールは彼から手を離し、上に乗ったまま、彼を見下ろした。

「イヤなら、退けて」
「え」
「私がこうしたりするの、私にこうされたりするのがイヤなら、私を退かして」

 フランドールは、不安で心の中が押しつぶされそうになりながら告げた。

「わ、私は、貴方が大好きで、好きって、いろいろ伝えたくて、してほしくて。でも、貴方がイヤなら」

 拒絶されるのが怖かった。けれども、この想いもわかってほしかった。
 矛盾する想いを握りしめるかのようにぎゅうと自分の胸の前で手を合わせて、彼の言葉を、あるいは動作を待つ。
 そのフランドールの身体を、ふわりと温かい腕が包んだ。驚いて、彼女は目をぱちぱちさせる。

「え、あの」
「……嫌なわけ、ない」

 声は静かで、優しかった。どこまでも安心できる、大好きな声だった。

「ほんと?」
「ただその、フランにここまでさせてしまうほどだったのかって、ちょっと落ち込んではいるけれど」

 大きく息を吐いた彼の腕に、少し力がこもる。

「あー、うん、そうだな、結構へこむなあ」
「そう?」
「うん、フランがどれだけ辛かったのかとかわからなくて、ごめん」

 そう言いながら、彼はフランドールの背中を撫でてくれた。嬉しくて、知らず羽がパタパタと動く。
 羽の七色に明かりが反射して、きらきらと輝いていた。
 しばらく撫でてくれた後、彼は少し身を離し、フランドールの額に自分の額をつけた。

「お詫び、しないとね」
「お詫び?」
「うん。お詫びだけじゃない、俺の気持ちもこめて」

 そう言う彼の瞳に、フランドールはどきりとするものを感じて、少しだけ視線を彷徨わせる。
 それにそっと微笑んで、彼はフランドールの頬に手を当てた。

「フラン」
「あ、うん……」

 彼の方に顔を向けさせられて、フランドールはそっと瞼を伏せる。
 柔らかく、温かいものが口唇に触れた。優しく、撫でるように何度も、フランドールの口唇を彼はなぞる。

「ふ、あ……」

 幸せな気持ちが溢れでて、フランドールの口唇から吐息が漏れる。
 その様子を見て、彼が息を呑んだことに彼女は気が付かなかった。それが酷く艶めかしく、妖しく見えたなど。

「ふ、ぁ、んん、んぅ」

 次に下りてきた口付けは、少し乱暴なものだった。口の中に彼の舌が入ってきて、フランドールは目を見開く。
 それでもその感覚の心地よさに、瞼は勝手に閉じていった。

「ん、んんぅ、ん……」

 少し乱暴なはずのそれも、フランドールの何かを満たしてくれていた。心地よくて、思わずぼうっとなってしまう。
 口唇を離された後も、フランドールはしばらくその感覚に酔ってしまっていた。

「フラン、その」
「あ、ふ……」

 彼の言葉にようやく我に返り、少しぼんやりしてしまった頭をはっきりさせようと、フランドールはふるふると首を振った。

「大丈夫?」
「う、うん」

 少し驚いたけど、と、フランドールはまだ心の奥からの幸福感に酔っているような表情で頷いた。
 それを見て何故か顔を赤くしている彼に一つ首を傾げ、そして、フランドールは思い出したように声を上げた。

「あ」
「ん?」
「ううん、その」

 小悪魔に教えてもらったことを、まだ彼にしていない。
 とはいえ、ほとんど目的は達成できているのだが、フランドール自身はそれに気が付いていなかった。
 何より、彼に、何かをしたかった。

「あの、ね、お願いがあるの」
「何?」

 言いながら、フランドールは彼の服に再び手をかける。驚いた彼の耳元で、そっと囁いた。

「続きを、させて?」
「う、それは、その」
「だめ?」

 小首を傾げると、彼はしばらく唸った後、観念したように頷いた。
 理性弱いな俺、とか何とか呟いていたようだったが、生憎フランドールまでは届いていない。
 ごそごそと彼の寝着の、ズボンに手をかける。布を押し上げている何かが、フランドールの興味を引いた。

「ん、えと」

 少し鼓動を早くしながら、フランドールは下着ごとズボンを下ろす。
 その途端、解放された彼自身が、彼女の目の前に唐突に現れた。

「ひゃ!?」
「う、ご、ごめん」
「ちょっと、びっくりした」

 何故謝られるのかよく理解は出来ていないが、フランドールは露わになった彼自身を不思議そうに見つめた。

「……あまり見られると恥ずかしいんだが」
「ごめんなさい、でも」

 そう言いながら、興味津々にフランドールはそれに指を触れさせた。
 少し触れる度にびくりと震えるのを楽しそうに見て、彼女は指をつっと滑らせた。

「っ、その、フラン」
「ね、いろいろして、いい……?」

 その瞳がどれだけ楽しげな光を湛えていたか、彼女自身はやはり知らない。
 観念したように、彼は頷いた。その様子に満足したように微笑んで、フランドールは彼自身を見つめた。

「ん、と、こう、して……」

 そう、小さく呟きながら、フランドールは彼自身の先を舌でそっと舐めてみる。

「ふ、あ、大きい……あ、また、大きくなったみたい」

 言いながら、少し反り返ったところを丁寧に舐めて、裏に舌を滑らせる。
 付け根まで舐めて、そこから、はむと少しくわえるようにしながら先端まで戻ってくる。

「いひゃく、ない?」
「大丈夫、だから、そのまま喋らないで」

 彼の息が荒くて、けれども気持ちよさそうで、フランドールは嬉しくなった。
 上機嫌を表すように、その羽がパタパタと上下している。

「ところで、誰から、こんなこと」
「ん、とね、小悪魔に教えてもらったの。殿方を喜ばせる方法です、って」
「…………そうか…………」

 彼は諦めきった声でそう呟いた。フランドールは小首を傾げ、また、舌を添わせる。
 何か根本的にずれたことを教え込まれたということには、やはり気が付いていない。
 小さな手でそっと触れながら一生懸命舌で奉仕する姿そのものが、彼にとてつもない罪悪感と満足感を与えていることも。
 フランドールはそのまま、彼自身の先端を口に咥えた。途端、びくと彼が身を震わせる。

「ぐ……」
「だめ、だった?」
「いや、大丈夫。気持ちいい」

 その言葉を嬉しく思いながら、フランドールは先から滲んだものを舐めとる。
 変な味がしたが、不思議と気にならなかった。

「え、と、ごめんなさい」
「なんで、謝るの」
「全部咥えた方がいいって言ってたけど、大きくて、ちょっと無理かも……」

 そう言いながら、フランドールは先の方だけを口に咥えた。舌で懸命に奉仕しながら、少しずつ、口の中に含んでいく。

「ん、んん、ふ、うっ……」

 反り返った彼自身は、やはりフランドールの口には大きすぎた。
 それでも、出来るだけ喜んでもらえるように、咥えながら舌を動かし、入らなかったところはそっと手で擦りあげる。
 不意に頭に彼の手が降りてきて、撫でられるのが気持ちよくて、フランドールは目を細めた。

「く、それ、やば」
「ん、んんっ」

 口の中の彼自身がまた存在感を増して、少し苦しくなる。
 けれども、気持ちよくなってくれているのだろうことがわかって嬉しくもなった。
 もっとどうしたらいいかを考えて、フランドールは彼のものに手を当てたまま、そっと吸ってみた。

「ちょ、ちょっと、待った!」
「え、ふぇ?」

 その途端、慌てたような声と共にぐいと離されて、フランドールは目を瞬かせる。

「あ、その、いや、だった?」
「あ、いや、その、だな」

 彼はフランドールの肩に手をかけ、息を荒くしながら、言葉を探していた。

「……フランを、汚しちゃうところだったから」

 精一杯の誤魔化しに、フランドールは首を傾げる。

「……私は、貴方になら、汚されてもいいよ?」

 フランドールしてみれば、当然のことを口にしたつもりだった。
 汚す、ということがよくわかっていなかったのもあるし、それに、彼になら何をされてもかまわない、という想いがあった。
 それがどんな反応を呼び起こすか、など、考えの外にあった。

「……フラン」
「え……? あっ」

 大きく息をついた彼にぐっと抱き寄せられたと思った瞬間、フランドールの視界が反転する。
 気が付けば、背中に柔らかなシーツの感触がふれていた。
 そして、目の前には彼の、どこか切羽詰まったような表情がある。

「もう、我慢できない。今度は、俺から」

 荒い吐息が首筋に近づく。そこに口付けられて、フランドールは身体が自分の意志とは関係なく震えるのを感じた。
 目をぎゅっと閉じて、そうすることで心臓が破裂しそうなほど高鳴っているのを知る。
 それが、これから何をするのかわからない不安と、そして期待に満ちたものからだと言うことを、彼女はぼんやり悟っていた。





 フランドールが腕の中で微かに震えていることに、彼はもちろん気が付いていた。
 突発的な獣欲に支配されかけた自分を反省し、息を出来るだけ整えながら耳元で尋ねた。

「怖い?」
「う、ううん……あのね」

 言いながら、フランドールは彼の手を掴み、自分の胸に手を当てさせる。
 控えめながらも柔らかな感覚にどきりとしたこちらに構わず、彼女は続けた。

「すごく、どきどきしてて、胸の中がきゅってなって」

 フランドールの紅い瞳が、微かに潤んでいる。

「でも、全然嫌じゃなくて、わからなくて……おかしくなっちゃいそうなの」
「……!」

 あまりのいじらしさに、再び動悸が速くなる。荒くなりそうな息を無理矢理整えて、彼は囁いた。

「フラン」
「え……あ、ん、んんっ」

 片手をフランドールの頬に当ててこちらを向かせ、口唇を塞ぐ。
 口唇を舌で割り、そのまま口の中に侵入する。逃げようとする舌を絡め取り、思うがままに蹂躙した。

「ん、んん、はあ、あ……んん、ん」

 空気を求めるように喘いだフランドールの口唇をさらに求める。
 そうしながら、もう片方の手で彼女のブラウスのボタンを外していった。
 肌が少しずつ露わになるに従って、フランドールの身が震える。
 恥ずかしいのか、目の端に光るものが浮かんでいた。それでも、抵抗する様子はない。
 ブラウスを肌蹴させて、その白い肌に手を滑らせる。滑らかですべすべした感触が、掌から直に伝わってきた。

「綺麗だ」
「そ、う?」

 口唇を離して囁くと、フランドールは紅い顔のまま首を傾げた。

「うん、綺麗だ、可愛いよ」
「や、んん、恥ずかしい、よ……」

 実際恥ずかしいのか、フランドールは手で自身を隠して縮こまろうとする。

「駄目」

 そう言いながら、隠そうとするその手を取って、横に開かせた。
 少しだけ、泣きそうな顔でこちらを見上げてくる。
 何だか悪者になってしまった気がして、その気分を誤魔化すためにもう一度軽く口付けた。

「ん、ん」
「……キスは、気持ちいい?」

 囁くと、少し嬉しそうに目を細めてフランドールは頷いた。
 その様子に、ぞくりと情欲を煽られて、彼は思うままに胸に手を伸ばした。

「あ、んん」

 唐突で驚いたのか、フランドールは高い声を上げる。それに構わず、彼はなだらかな膨らみかけの胸を撫で回した。

「あ、やあっ……!」
「さっきまでさんざん、俺にしてた癖に」

 そう言いながら、フランドールの胸を揉みしだきつつ、その先端を口に含む。
 ちろ、と含んだまま舌で先を舐めると、フランドールは甘やかな声を上げた。

「や、あん、んんっ……」

 身体を震わせながらも、彼女は抵抗しなかった。むしろ、背を反らせてその快感を受け入れようとしているようにも見える。

「いや?」
「う、ふぁ、う……」

 確認するように胸元に口唇を寄せたまま尋ねると、フランドールは身体をびくりとさせつつ首を横に振った。

「気持ちいい?」
「え、あぅ……」

 問いに、フランドールは白い肌を胸元まで染めて、こくりと恥ずかしそうに頷いた。

「どきどきして、んん、でも、あなたにさわられてるのが」

 きもちいいの、と、小さな声でフランドールは告げた。
 恥ずかしいのか、その言葉を言った後、口をつぐんできゅっと目を閉じてしまう。

「……気持ちいいと、嬉しいよ」
「ほ、ほんと?」
「可愛い」

 そう言いながら、胸元から口を離し、首筋、耳元、頬と、好き放題に口付けを降らせる。

「や、ああ、んん、ふぁぁ……」

 そうしながらも、両の手は相変わらず胸を責め続けていた。
 乳房を優しく揉みあげ、堅くなっている先端をそっとつまみ、撫で回す。

「ん、んん、だめ、そこ、ぉ……っ」
「ここがいい?」
「や、んん、んぁ、ふ、ふぁ……!」

 びくびくとなるフランドールに、少しだけ嗜虐心が刺激される。
 しばらく苛め抜いて手を離すと、フランドールは荒い息のまま、こちらをぼんやりとした目で見つめていた。

「少し苛めすぎた、ごめん」
「ん、ううん……」

 ふるふると首を振って、フランドールはすがるように彼に抱きついた。

「ふわふわして、でも、幸せ」
「……なら、嬉しいけど」

 言いながら彼はフランドールに口付けし、その上半身の服を全て取り去る。
 羞恥からか少し震えたが、それでも彼女は抵抗しなかった。その背中を撫で回して、羽の辺りに触れる。

「ん、んん」

 少し甘えたような声が漏れる。普段羽の辺りに触れようとするとくすぐったいと嫌がられるのだが、今そんな様子はない。
 上気した頬をこちらの頬に付けてくる。少し頬は熱を持っていた。
 普段は冷えているフランドールの身体が火照っていて、そうさせているのが自分なのだという満足感や独占欲に似たものが沸き上がる。
 もっと先に、と思う自分を、彼はもう止められなかった。

「そろそろ、こちらかな」
「え、あっ」

 戸惑うフランドールに構わず、彼は掌を太股から足の付け根に向けて滑らせた。

「あ、う」

 下着の上からも濡れているのがわかって、彼は口元に笑みを浮かべる。

「気持ちいい?」
「よ、よく、わかんない、けど、んんっ……」

 感じてくれてはいるようで、フランドールは甘い声を上げながら、シーツをきゅっと掴んでいる。
 指で撫で回していて、彼はふと、もっと苛めたい欲求に駆られた。

「あ、やっ」

 下着に手をかけて脱がせようとした彼に、フランドールは少し抵抗しようとした。

「嫌?」
「だ、だっ、て」
「フランだって俺のを脱がしたんだから」

 そう言うと、フランドールの顔が耳まで紅くなった。

「だって、それは、その」
「俺ばかりだったら不公平だし」

 そう、耳元に囁き、頬に口付けをして誤魔化しながら、その衣服を剥いでいく。

「ふ、ううっ……」

 真っ赤になったまま、フランドールは彼の視線から自身を隠すように身を寄せてきた。

「恥ずかしい?」

 こくりと頷くフランドールを可愛らしくも思うが、同時に苛めたくなるのもまた男の性と言おうか。

「あ、ああっ」

 濡れ始めている秘部に指を直に触れさせる。くちゅ、と軽い水音が鳴って、彼の心をざわめかせた。

「フラン、もうだいぶ感じてる?」
「え、あっ、ふぁ、かん、じて……?」
「……ああ、気持ちいい? ってこと」
「ん、うん……あっ、ん、あ」

 彼の問いに素直に頷いて、フランドールは彼の愛撫に身を任せていた。
 彼の腕に手をかけて、抵抗せず縋るようにしながら口から甘い吐息を漏らす。
 それにぞくりとした満足感を感じたが、指だけでは物足りない気にもなって、彼は身体をずらしてフランの太股に手をかけた。

「え、え」

 戸惑うフランドールに構わず、顔を秘所に近付ける。もうすでに随分濡れているそこは、思わず生唾を飲み込む思いになる。

「やあ、そんな、はずかし……いっ!」
「綺麗だから」

 抵抗しようとする腕を両手で外し、シーツに押しつける。
 本気で振り解こうとするならば簡単に出来るはずなので、これも嫌がってはいない、ということなのだろう。

「あ、うう……」
「大丈夫だから」

 相当恥ずかしいのだろう、フランドールの身体は羞恥で微かに震え続けていた。

「ふ、あっ」

 その秘所に、舌を進める。触れるか触れないかのところで、フランドールはびくりと大きく震えた。
 反射的にだろうか閉じられた太股に顔を挟まれる。
 すべすべした感覚が気持ちいいが、怖がらせただろうかとも思って声をかけた。

「怖い?」
「だ、いじょうぶ……はずかし、だけ……だから……」

 微かに震え続けながら、フランドールはそっと足を開く。
 自分からそうするように仕向けているようで、自分が悪人のような気分になった。

「優しく、するから」

 その気分を誤魔化すように、彼はそう言って舌を再び触れさせた。
 そっとなぞるように優しく、感じるところを探っていく。

「あ、ん、あ、あっ……」

 フランドールは震えながらも、彼の責めを受け入れていた。
 感じるところを探り、舐めあげ、時にはかき回す。
 淫核を絡めとるように舌を動かしても、フランドールは嫌がる様子を見せなかった。

「ん、ふぁ、んんっ、あ」

 そのまま少し強くしても、身を捩るだけで、痛がるような様子はない。
 十分に感じてくれているのだろうか。そう思いながら、わざと音を立てつつ、溢れるものを舐めとる。

「ふ、ああん……」

 羞恥からか、少しだけいやいやをするようにフランドールを身体を動かした。
 それでも、腕を拘束している故に大きくは逃げられない。少し身動ぎした後、フランドールは大人しくなった。
 無理矢理組み敷いて責め立てているという背徳感が、彼の情欲をなおさらに駆り立てる。

「や、んん、あぅ、こわい……」
「大丈夫、任せて」

 堅くなっている淫核を舌で擦り、吸い上げ、快感に喘ぐフランドールの手首を拘束したまま、なおも責め立てる。

「や、やっ、なんか、へん、ふぁ、んん、あぅ……なにか、きちゃう……!」

 ぞくぞくとフランの背筋が震え、限界が近いことを教えてくれている。
 このまま達させてしまおうと、さらに責めを激しくした。
 舌で入り口をかき回し、淫核を執拗なほどに舐めあげる。
 寄せては引くような嬌声を楽しみながら、とどめとばかりに強く吸い上げた。

「あ、やああ、ん、んん! ん、ふぁ……んんっ!」

 一際高い声とと大きく身を震わせて、フランドールの身体から力が抜けた。とろみのある蜜が秘所からあふれ出す。
 それを確認し、少し満足な想いで口を離して拭うと、彼はぼうっとなった瞳でこちらを見上げるフランドールをのぞき込んだ。

「ん、はぁ……はあ……ん、あ」

 大きく息をしながら、フランドールは彼に手を伸ばす。

「大丈夫か、フラン」

 その手を取って、ぎゅっと抱きしめる。少しやりすぎただろうか。

「……ね」
「ん?」
「いまの、なに?」
「……え?」
「身体のなかが、きゅっとなって、きもちいいんだけど、ふわってなって……」

 茫然としたままのフランドールの言葉に、彼は目を丸くする。

「まさか、フラン、イくって知らなかった?」
「いく……?」
「いや、いいんだ」

 ということは、性的なことを何も知らない子を、強制的に絶頂まで責め立ててしまったとそう言うことか。しかも舌で。
 とてつもなく悪いことをしたような罪悪感と背徳感と、それと同時に満足感が自身の中に溢れたのを感じる。

「嫌だった?」
「ううん……きもち、よかったの」

 ぱたり、ぱたり、と、余韻に浸るように羽がゆっくりと揺れ、その表情は陶然とした、ある種の艶めかしさを漂わせている。
 吸血鬼という種族が持つ生来の妖艶さ、なのかもしれない。それに誘われるように、彼はフランドールの口唇を奪う。

「ん、んん……あ、ふ、ぁ……」

 何度も角度を変えて口付けて、その感覚に脳が痺れるようにもなりながら、彼は口唇を離した。

「フラン、その」
「うん……?」

 言いかけて、彼は口をつぐんだ。続きをしていいのかどうかが非常にはばかられる。
 何というか、予想以上に知識がないようで、これ以上進めていいのか迷わせた。

「……知ってる、よ」
「え」
「この後、何、するのか」

 そう、フランドールは、自分を抱いている彼の腕にそっと手をかけた。

「……ちょっと、こわい、けど」
 そう言うフランドールの手は、確かに少し震えている。
 けれどもその紅い瞳は、愛しげにこちらを見上げていた。

「貴方なら、だいじょうぶ、だから」

 だから、と言いながら、フランドールは彼の口唇に軽く自分の口唇を触れさせた。

「私に、教えて」

 そう言ったフランドールに、愛しさに似たものが心の底から沸き上がってくる。
 もう一度、優しく口付けて、彼女をシーツに横たえた。

「じゃあ、続けるよ」
「うん……あ、でも、その」

 フランドールの瞳が、少しだけ不安そうに揺れる。

「……優しくして、ね?」
「……頑張る」

 頬にキスをして、彼は残っていた服を手早く脱ぎ捨てると、フランドールの秘所に自分自身を当てる。

「ん、あ、う……」
「少し、慣らすから」

 そう、秘所の周りを擦りながら、彼はフランドールの胸を撫でた。
 心の中では貪ってしまいたい欲が多勢を占めているが、慣らさなければ痛いだけになってしまうだろう。
 痛いのを完全に抑えられはしないだろうが、少しでもマシになれば、という思いからだった。

「ふ、あ、ちょっと、変な感じ……」
「ん。その、いいか」

 濡れて滑らかになっている秘所の周りをなぞるだけで、達してしまいそうなほどの快感があった。
 正直、我慢もそろそろ限界、というところである。
 フランドールは少し身を強ばらせ、そして、こくりと頷いた。

「大丈夫だから、力抜いて」

 そう、手を重ねながら、彼はフランドールの中に、少しだけ推し進める。その途端、ひどい締め付けが彼を襲った。

「ぐ、お……っ」
「……っ!!」

 びくんと震えたのはフランドールも同様で、痛いのか怖いのか、震えるまま彼の手を握った。

「ぁ、う、あ……」
「フラン、もう少し、力抜けるか」
「ん、わ、かんない、けど」

 少しだけ強ばりが抜けるが、それでも、初めて侵入してくるものを拒むかのようにフランドールの中は彼を締め付ける。

「っ……!」

 唸り声を必死に押さえて、彼はフランドールを抱えるように体勢を整えた。
 脳髄に響くような快感と少しの痛みを感じながら、少しでもフランドールが楽に出来るような体勢を探す。
 それでもやはり痛みはどうしようもないのか、フランドールの目の端には涙が滲んでいた。

「ふ、ぁ、あう、いた、い……」
「辛い、なら」

 止めようか、と続けようとした言葉を遮るように、フランドールは首をふるふると横に振った。

「……つづ、けて」

 こちらの腕に手をかけて、涙が滲む瞳で彼女は請うた。ぐっと口唇を噛みしめ、慎重に中に進めていく。

「う、ふぁ、っ、った……」

 フランドールの声は、正直心に痛い。けれども、続けてと、続けていいと言ってくれるその想いに応えたかった。

「ふ、あ」
「フラン」

 奥まで入ったことを教えるために、彼はフランドールの身体を抱きしめて頭を撫でた。

「ん、んん……」
「痛い?」
「今は、そんなに、ん、でも、ちょっと、このまま」
「うん」

 大人しく抱きしめたまま、彼はフランの髪や額に口唇を落とした。
 本当は口唇にもキスしてやりたいが、生憎身長差で届かない。
 だからその分、身体を屈めて口付けが出来るところにしていくことにした。

「ふ、あ」
「フラン」
「ん……?」
「大好きだよ、フラン。愛してる」

 そう囁いた瞬間、フランドールの中の自身が強く締め付けられて、彼はくぐもった呻きを漏らした。

「わたしも、だいすき」

 それをわかってかわからずか――いや、おそらくわからないまま、フランは甘えるように彼に抱きついた。

「だいすき、だいすきなの……!」

 声は悲鳴じみていて、それがまた少し彼の心を痛くもしたが、それ以上に愛しさがこもっていた。
 包み込むようにように抱きしめて、そろそろいいだろうか、と、彼はそっとフランドールに囁いた。

「動くよ」
「ん、うん……!」

 頷きを見て、勝手に責め立てたくなる思いを抑えながら、彼はゆっくりと腰を引いた。

「あ、ああっ!」

 中はまだきついし、フランドールにも快感は薄いだろう。
 けれども、出来るだけ優しくしたかった。出来るだけ、フランドールにも感じてほしかった。

「ん、ふぁ、あ、ん、んん……」

 ゆっくりと慣らすように、自分で焦れそうなほどのゆったりとした動きで、フランドールの中をかき回す。

「あ、あぅ、ん、んん、は、あっ……」

 少しだけ、声にも甘いものがこもりはじめる。少しは感じてくれているのかもしれない。
 けれども、抱きついている腕の力は少し痛い。爪を立てられている背中にも傷が残るかもしれない。
 それでもよかった。彼女だけに痛い思いをさせるのは辛い。
 自分の限界が近いのもよくわかっていた。フランドールの中は熱く、強く、彼自身を包み込み、刺激し、締め付ける。
 ただでさえ、感じているような、蕩けているような彼女の表情だけでどうかなってしまいそうだというのに。
 目の前が眩むような快感を感じながら、彼はフランドールを強く抱きしめる。

「大好きだ」

 限界を迎える前に、もう一度、彼はそう、フランドールに囁いた。







 彼の声を聞きながら、フランドールはそれに応えようとしていた。
 だいすき。だいすきなの。
 伝えたかった言葉は、だが甘やかな喘ぎにしかならなかった。
 フランドールの中には痛みと圧迫感と異物感が未だ強くて、快感があるとは言えない。
 けれども、抱き寄せてくれる彼の腕が温かくて、優しくて。
 愛されるのが、こんなに嬉しいことだなんて知らなかった。
 抱かれるのが、こんなに温かいことだなんて知らなかった
 愛する人の腕の中にいるのが、こんなにも幸せなことだなんて知らなかった。
 そして、フランドールの意識は幸せに溶けていく。







 かくして半刻ほどの後。
 くたり、と力を失ったように、だが幸せそうな表情で、フランドールが彼の胸の中で寝ていた。

「……さて、どうしようか」

 ううむ、と唸って、これからのことを考える。咲夜にばれても一大事であるし、レミリアは言わずもがな。

「下手すれば殺されるなあ……」

 そのとき、悩む彼の唸りを聞いたわけではないのだろうが、不意にうっすらとフランドールが瞼を開けた。

「ん……」
「フラン?」
「……ぎゅー、して」

 起きてはいないのだろう。寝ぼけたような声と様子で、フランドールはさらにすり寄ってきた。

「ん」

 言われるままに抱きしめると、フランドールは安心したように微笑み、そしてまた眠りに落ちていった。

「……まあ、いいか」

 幸せそうに眠っているフランドールの表情だけで、全てが満たされる気ような想いになる。
 寒くないように上掛けを引き寄せて、彼もまた幸せな想いと共に目を閉じた。







 その翌日。

「随分仲がいいわねえ」
「あ、はい、その」

 レミリアの視線に、青年は身体を強ばらせる。
 果たして翌日早々に、彼はレミリアのところに呼び出されたのだった。フランドールが付いてくると言ったのは救いか否か。

「いいじゃない、お姉様。私のものなんだもの」
「それはそうだけど、ねえ」

 レミリアの表情は笑顔なのに、瞳の奥が笑っていない。
 フランドールはそれを知ってか知らずか、彼の膝の上で甘えている。

「……本当に懐いてるわね」
「え、ええ、まあ、フラン様は」
「だーめ。私と一緒の時は、ね?」

 うう、と唸って、彼はフランの耳元だけでその名前を呼び捨てにした。
 レミリアが見ているのはわかっているが、ここで断ればフランドールが哀しそうな顔をするだろう。
 そちらの方が、レミリアに睨まれるよりも辛かった。

「はあ、まったく、仕方ないわね」

 レミリアは大きくため息をつき、だが相変わらずどこか許していない微笑みで彼に告げた。

「とりあえず」
「は、はい」
「後でちょっとお話しましょうか。主に弾幕で」

 殺される。
 ほぼ直感に近いその感覚に、レミリアはくすりと笑みを浮かべた。

「安心なさい、命を取りはしないから」
「は、はあ」
「ただまあ、フランに手を出すんなら、それなりの力はないとねえ」

 その言葉に、がば、とフランドールは喜色を顔に現して、彼の膝から身体を起こした。

「お姉様、それって」
「さてね。さあ、そうと決まれば、場所を移しましょうか」
「うん! 行きましょ!」

 膝から降りたフランドールに手を取られて、彼は少し観念したように立ち上がる。
 だが、レミリアが認めるかどうかのチャンスをくれたということも理解していた。
 一回では無理かもしれないけれど、頑張ろうか。
 フランドールの楽しげな笑みを見ながら、彼は心にそう頷いた。







 ちなみに、この後レミリアが加減を間違え怪我をさせ、姉妹喧嘩にまで発展するのだが、これは余談である。


イチャネチョするロダicyanecyo_0373.txt

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