東方キャラとウフフにイチャつくまとめ

「ふう……」

地霊殿中庭の片隅で、古明地さとりは悩んでいた。
恋人の○○に操を捧げてから、既に幾月かが経っている。
行為にだんだん慣れてきたさとりは、自らの能力を最大限に利用し、攻めに出始めていた。
心を読む程度の能力を用いれば、○○の快楽のツボを押さえることなど造作もない。
他のどんな女よりも、愛する○○を気持ちよくしてあげられる自信があった。
それなのに。
行為を終えた後の○○の心は、快感に埋め尽くされそうになりながらもどこか空虚なものを抱えている。
それが具体的になんなのか、柄にもなく怖くなったさとりには訊けなかった。

「○○は、私の身体が好きじゃないのかしら……」

白くすべらかな肌は自慢だったけれど、確かに旧都の鬼のようなナイスバディとはいかない。
特にそんな感情を読み取ったことはないが、もしかしたら心の奥で○○は、もっとメリハリのある身体の方がいいと思っているのかもしれない。
ようやく余裕が出てきたとはいえ、まだ行為の最中に能力をフル稼働できているわけではないから、
もっと心を読むのに集中すれば、深層にある○○の願望を満たしてあげられるのだろうか。
しかし、もしそれがさとりではどうしようもないことだったら……

「そこの貴女!お悩みですね?」
「―誰っ!?」

背後から突如聞こえた声に、振り返るさとり。
どこからともなく投げかけられたスポットライトが集まり、人影を照らし出す。

「空気が読めずに迷える子羊達のために!」

ちょっとパッツンパッツン気味な服。

「天の上から地の底まで、空気を読んで舞い降りる!」

ひらひらした羽衣。

「どこの誰かは知らないけれど、愛と正義に生きる人!」

そして、どこの舞踏会かと見紛うような、目元を覆う大きな仮面。

「龍宮仮面! ―参・上!」

天を指差すポーズと共に雷鳴が轟き、龍宮仮面のバックに稲光が炸裂した。
……やがてそれらがやむと、二人の間には沈黙が流れる。どちらかと言えば気まずいタイプの。

「―それで何の用ですか、龍宮の使いの永江衣玖さん」

努めて冷ややかな声で、相手の名を呼ぶさとり。もちろん、読み取った本名でだ。

「龍宮仮面です」

心を読まれているというのに少しも悪びれず、衣玖―いや、龍宮仮面は一言訂正を述べる。

「そこは心を読むついでに空気も読むところです。そんなだから彼とのえっちが上手くいかないんですよ」
「なっ!?」

さとりが驚愕の声を上げる。

「何故、貴女、さとりでもないのに何故私の考えていたことが」

震えるさとりの問いかけに、龍宮仮面は気の毒そうに答えた。

「それは、さっきから貴女が悩みを口に出してしゃべっているからですよ」
「のおおおおぉぉぉぉ!」

どうやらいつの間にか独り言になっていたらしい。全く気付いていなかったさとりはひどく赤面した。

「そんな貴女にワンポイントアドバイス。恋人同士の空気は、二人で育むものです。

心が読めるからって一方的に攻めていては、いくら身体が気持ちよくても本当に満たされることはできませんよ?」

そこまで言うと、龍宮仮面の身体はふわりと宙に浮いた。

「あっ、待ちなさい、貴女……」
「さらばです!」

止める間もあらばこそ、飛び去っていく龍宮仮面の背中を、さとりは呆然と眺めるのだった。

「さとり……」
「○○……」

その日の夜。いつものように○○と床を共にしながら、さとりは昼間受けたアドバイスを思い出していた。

「今日、は」
「え?」

アドバイスの主はおよそ信頼できるように見えなかったが、それでも今は、すがってみる気になっていた。

「ちょっと大人しくしてるわ」
「……どこか、具合悪い?」

心配してくれる○○の優しさが嬉しくて、さとりは少し微笑む。

「そうじゃないけど。最近、私ばっかり攻めすぎたかなって」
「うん、まあね……(確かに)」

二人は顔を見合わせ、少し苦笑いした。

「今日は、二人でゆっくり、しましょうか」
「そうだね」

唇がそっと重ねられた。 

「ん……」

背後から抱きしめたさとりの裸体を、○○の指が愛撫していく。
鎖骨を、薄い胸を、第三の眼を、柔らかな腹を、○○のペニスを収めた蜜花の入り口を。

(ああ、こんなにも○○は私のことを)

大きく動くことのないゆったりとした情交の中で、○○はわずかな反応を逃さず、的確にさとりの弱点を捉えていった。

(私のことを、愛してくれるんだ)

○○の一所懸命さが伝わってくる手つきは、さとりの心と身体両方に喜びを満たしていく。

「今にして、思うと」
「ん、はぁ……なあに?」
「これまでさとりに気持ちよくしてもらうばっかりだったけど、もっとさとりを気持ちよくしてあげられたら良かったなって」

ああ、○○の中にあった満たされない部分はこれだったのだなと、さとりは得心していた。
さとりが○○にそうしたいと思っていたのと同じくらい、○○もさとりに快感を与えてくれようとしていたのだ。

「……空気は二人で育むもの、ですか」
(…………?)

ふと口をついた言葉に、○○が首をかしげる気配が伝わってくる。

「何でもないわ。ただ、ちょっとしたことですごく幸せになれるものなんだな、って」

そう言ってさとりは○○に身体を預けると、彼の腕を優しく撫でた。

数日後。

「……ああ、いい天気だなあ」
「そうですね」

人間である○○には定期的に必要となる日光浴をしに、二人は地上へ出ていた。
さとりがついてくる理由として挙げた「たまには地上を見てみたいから」というのは半分以上建前で、
「○○に悪い虫がつかないように」という杞憂に等しい考えが、彼女の隠された目的であった。

「……あら?」
「あら」

道の向こうから歩いてくる人影に、さとりは目を留めた。
パッツンパッツン気味な服装、ひらひらした羽衣。
仮面を着けていないことを除けば、あの日出会った龍宮仮面と変わらない姿をした彼女は、
龍宮の使い、永江衣玖だった。

「地底の妖怪の方ですか?初めまして、永江衣玖と申します(アドバイスは役に立ったでしょうか?)」
「……古明地さとりです」

よくもまあ堂々と、という思いを隠しつつ、さとりは挨拶を返す。

「以前衣玖さんに良く似た人にお世話になったことがありまして。また会えたらお礼を言いたいと思っているのですが」
「そうですか……もしそんな人を見かけたら、伝えておきますね(ああ良かった、うまくいったようですね)」

軽く会釈して去っていく衣玖の背中を、さとりは見送った。

(まあ実際救われましたし)

彼女が龍宮仮面としてさとりと対面した短い時間でも、ある程度心の奥を読むことはできている。

(貴女の心から男性との実体験の記憶が全く読み取れなかったことは、私の心にしまっておきましょう)

さとりは龍宮仮面についての思考を打ち切ると、陽射しの下で○○に寄り添っての散歩を再開した。



2スレ>>459 ロダicyanecyo_0138.txt

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このページへのコメント

衣玖さん何やってんだwww

0
Posted by 9 2015年04月07日(火) 00:03:13 返信

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