19年5月11日 合同分科会 議事録１３
議事録１ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ １０ １１ １２ ＞１３ １４ １５
○義家委員 学校教育について、まず10％の受け皿としての議論の問題ですけれども、ここで10％増やして、何を与えながら基礎学力を上げるかということを議論するときに、教科の再編を考えていかなければならないと私自身は思います。例えば一例で、今多くの土曜スクールをやっていますけれども、土曜スクールの実態を見ると総合学習の時間の延長なんですね。一方で、総合学習の時間は平日にやられていると。その総合学習の扱いはどうするのか。
それから、同じ総合学習を例にすると、技術家庭科という教科がありますけれども、この技術家庭科の内容の多くも総合学習と重なる部分があるんですね。さらに、技術の教科書をひもとくと、中学校などだと約半分がコンピュータの勉強、情報の授業と重なる分野なんですね。それから、家庭科をひもとくと、公民の社会分野などとかなり重なる部分があったりする。逆に技術家庭科というのは親学だと思うんですけれども、家庭科の中で親、家庭について扱っているページは50ページほどしかないという形で、この10％を単に教えなければいけない教科に割り振っていくと、ハッピーマンデーホリディで月曜日の休日も増えており、週休２日以上に実際の所なっている。他方で教える教科が増えているので、結果的に基礎学力を保証するに足りない時間、10％では全く足りない時間なわけですよね。
だから、土曜日の扱いをどうするかということを議論する一方で、教科再編についても知恵を出し合いながら、重なっているところは排除して、効率化・合理化を図っていく努力が必要だと思います。
それから、学力向上の部分で抜けているところの一点ですけれども、いかにいい制度をつくろうとも、いい授業が行われなかったら、子供の学力は向上しないわけです。その中で、今大変な時代、特に小学校が大変な時代に入ってきています。教員の大量採用時代です。横浜では今年度800人以上の若い先生方が新たに教壇に立っていますが、多くの特に小学校教師の繁忙感の理由は当然なんです。新人の先生は全教科を教えますから、１年目から全学年を経験するまでの間はすべての教科の教案、教材をつくらなければいけないんです、日々の中で。その上で雑務もこなさなくてはいけない。
今、それだけ多くの新人が、ノウハウがないまま入ってきて、現実つぶれそうになっています。４月に入った若い教師たちがたくさん相談にきますけれども、眠れない、土日もない、このままでは教員を続けていけないと悲鳴をあげているわけですね。教材の共有が今まで行われてこなかった、現実の小学校の問題を振り返った上で、よりダイナミックに、例えば京都でもやり、横浜でもそれを参考にスタートしているわけですけれども、国ですばらしい優秀教材をライブラリーして、みんながコンピュータ、パソコンでダウンロードできる。そうしたら自分自身で探求していく。それをベースにして探求して、いい授業をつくっていけばいいわけです。
多くの新人教員が入ってくるこの時代だからこそ、教育院の中でやって。でも、教育院をゆっくりやっていたら遅いんです。目の前の若い教師たち、もう限界です。睡眠時間がかなり少ない状態で全教科の教案をつくっている段階なんですね。これはいち早く出して大量採用時代の若い教師たちを安心させること。それから、すべての教師に一定のクオリティの授業ができるんだという保証をしていくことを早急に進めていかなければいけない。これは第２報告に入れるべきだと私は思います。
○野依座長 川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 運営会議のときに、徳育の充実がトップに書かれていたのではないかと思います。学力の向上を持ってこられたというのは、それなりのお考えがあったんだと思いますけれども、その辺もう一回きっちり考えた方がいいと。徳育の充実の３ページ冒頭のところに、「知、徳、体の調和のとれた人間形成」と書かれていますね。これは知と徳と体とが一見同じレベルに理解されているということなんでしょうけれども、実際は知育は何のためにするかというと、「学徳」という言葉もありますように、徳を磨くためにあるんですね。体育も一緒です。身体教育を通して、スポーツを通して人格が形成されると。これは小谷委員が実例でありますけれども、そういう徳を磨くということとともにあるわけです。本来、学力と徳育というのは矛盾するものではない。あるいは、別置するものではないと思うわけです。
そういう意味では、３つのバランスということであれば、知的教育と情操教育と身体教育、この３つであって、全体として人間力を上げる、あるいは、人間の徳性を高めていくということで、徳というものを理解するべきだと思うわけです。ただ、徳という言葉が旧来の道徳ということで反発するものがあるとすれば、「人間力」あるいは「人格」という言葉に言い換えていいかと存じますけれども、今回の学校教育の再生は、前回は授業時間を上げるということで10％とありましたが、今回は心というところで学校教育再生のもう一つの基本は、徳育の充実にあるということです。
そうしますと、（２）のふるさとのところは、心を教えると。これは宗教ですね。それから、��の体育・スポーツ、文化・芸術というのは並べてありますけれども、体育・スポーツはそれとして、文化・芸術もそれとして別置するべきではないかと思うわけです。昔、「健全な精神は健全な身体に宿る」というのがありました。これもいろいろ議論のあるところでありましょうけれども、心身のバランスが大事だということを言っているわけで、徳育の充実のところはむしろ心身のバランスというふうに言って、心の方は文化・芸術、それからもう１つ、学力というものがあるんだと。
それからもう１つ、体育というとすぐにスポーツというふうに考えられがちですけれども、学力の中に「早寝、早起き、朝ごはん」というのがありますね。これも実際は身体教育というふうに議論できるところであります。そうすると学力も上がっていくということで、給食は授業であると。つまり、食育というのは身体をバランスよく発達させるために重要だということですね。この辺は、これだと学力偏重というふうにとられかねない。学力はいかに上がっても悪賢い人をつくったら全く意味がないわけで、全体としては、学校教育の再生は徳育の充実ということ、直截に言えばそういうことだと思います。
そして、知的教育は学徳を上げると。情操教育はいわば心徳を上げると。授業を通じて豊かなところを通じて豊かな心を磨くということで、「心徳」という言葉もありますね。
それから、身体教育というのは、食育とか給食を通して人格形成をしていくんだと。それを書くべきで、従来の道徳とか修身というふうに理解されるのではなくて、全人的教育を公教育について保証していくと。そこにおいては、知的教育も情操教育も身体教育も皆重要だということを、少なくとも今回の学校教育のときには言うべきだと。
前回はどちらかというと学力に偏した、それは落ちているから仕方なかったと思いますけれども、今回第２次報告ではそれを出すべきだと思います。だから、徳育を一つの項目に挙げるのではなくて、全体項目に挙げる。徳育の充実のところは心身のバランスというふうに書き換えて、徳育の方を上に出した方がいいと思います。
○野依座長 では、門川委員、どうぞ。
○門川委員 義家委員から言われたことと共通するんですけれども、京都市では、新人の先生でも最低限の道徳の授業ができるように、小学校１年から６年までの各学年ごとに指導計画と教材を用意して、豊富な教材の中から選択しながら活用できるシステムを作りました。この教材は４回目の改訂となった小学校１年生用の教材です。中学校でも作っています。そういうことをずっと積み上げてやってきたわけです。
そこで、道徳の教科化ということであります。教科というのは何かというと、評価をすること、それから教科書を使った授業をするということと、専門の先生がいるということが教科の３要素だと思うんです。しかし、ここに居る皆さんはそういうことを考えておられないと思うんです。だから、評価はしないということがはっきりしてきました。次に、文部科学省の検定教科書を使おうという議論がありましたが、全国一律にはできないと思います。地域の豊富な教材を使うべきです。それから、教師も道徳の専門の免許をもった先生というのは無理だと思います。担任を中心に地域の人や校長先生なども含め、いろいろな人が教えたらいいと思います。
したがって、これは従前の教科ではないんだということを明確にしなければならない。
また、一つの教科書を使って北海道から沖縄まで地域色のない道徳をやるということではない。ただし、モデルはつくって、すばらしい教材、これは教育院構想と重なるわけですけれども、どんどんいいモデルをつくって、例えば中学校で生徒が感動した教材があれば、それを教育委員会が集約して、学校へ提供していくんです。これをいずれはデジタル化していこうと。それで学校が豊富な教材、子供の心をゆさぶるような教材をどんどん活用していく。京都レベルでやっているのを全国ネットでやっていったらいいと、そういうことではないか。
つまり、評価はしない、国定教科書はつくらない、つくれないと思います。そして、道徳の先生という専門の先生に特化しない。そういう新しい概念の教科であると明確にすべき。このことをはっきりとメッセージにしておかなかったら、従前の国語を教えるような教科にするのかという誤解を与えて、せっかく積み上げてきた道徳の授業までがおかしくなってしまったらもったいない。京都市では、ことし、30校で親子がともに学ぶ道徳の授業を行いますが、地域力、地域の人材や親の参画も得て、創造的に取り組むことができる道徳を目指してほしい。以上です。
○野依座長 では、渡邉委員、どうぞ。
○渡邉委員 この骨子案について一言言わせてください。骨子案の初めに「子供には機会均等であること」、それから、「教育の格差を生み出さない」と書いてあるわけですが、全体の１、２、３、４で、教育の機会均等もしくは教育の格差というところにあまり触れられていないのではないかということが気になります。
特に教育の格差ということで言いますと、今現在、奨学金というのが大変騒がれておりまして、教育の格差における最も大きな格差は公立と私立だと思っております。私はいつもバウチャー制度ということを言うんですが、それは公立しか行けない子も私立に行けると。家庭が豊かではない子も私立に行けるという、最低限の公立、私立の選択ができる制度を何とか持ち込みたいということで、バウチャーということを言っているわけですが、私としましては、奨学金制度の充実というものを何らかの形で組み入れていただけたらありがたいと思います。また、学校の格差というのは公立の中で一番大きくあります。私、教育委員をやっているからよくわかっているんですが、教育委員会がしっかり経営力を発揮し、人とお金をコントロールしないと、教育の格差が公立で起きてしまっているということがあります。
ですから、私立と公立の問題、それから、公立自体の問題、これを教育委員会、学校選択制、もしくはバウチャーというところまで含めて、どこかに組み入れていただければ、この「はじめに」の機会均等、もしくは格差というところがカバーできるのではないかなと、そんな気がいたします。
○野依座長 では、小野委員、どうぞ。
○小野委員 学力の向上のためには、授業の充実と言いますか、本当にわかる授業で、子供たちが楽しい授業、さらにもっと学んでみたい授業にしなければいけないので、授業の充実が一番大事だと思います。そのためには教科書の改善が必要なので、今のように薄い教科書ではなくて、発展学習、補充学習ができるような教科書にしてほしいということがございます。
もう一点、徳育の教科化の問題でございますけれども、門川委員のおっしゃることは正しいと私も思います。評価とか免許は必要ないと思うんですけれども、教科書については、１種類でなくてもいい、いろいろな教科書があっていいので、今の教材では必ずしも十分ではないと私は思いますので、もっと充実した教材が使えるようなシステムを考えるべきではないか。そのことで教科として、例えば小学校などで徳育をきっちり教えていくということは非常に大事ではないかと思っております。
○野依座長 では、陰山委員、どうぞ。
議事録１ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ １０ １１ １２ ＞１３ １４ １５
○義家委員 学校教育について、まず10％の受け皿としての議論の問題ですけれども、ここで10％増やして、何を与えながら基礎学力を上げるかということを議論するときに、教科の再編を考えていかなければならないと私自身は思います。例えば一例で、今多くの土曜スクールをやっていますけれども、土曜スクールの実態を見ると総合学習の時間の延長なんですね。一方で、総合学習の時間は平日にやられていると。その総合学習の扱いはどうするのか。
それから、同じ総合学習を例にすると、技術家庭科という教科がありますけれども、この技術家庭科の内容の多くも総合学習と重なる部分があるんですね。さらに、技術の教科書をひもとくと、中学校などだと約半分がコンピュータの勉強、情報の授業と重なる分野なんですね。それから、家庭科をひもとくと、公民の社会分野などとかなり重なる部分があったりする。逆に技術家庭科というのは親学だと思うんですけれども、家庭科の中で親、家庭について扱っているページは50ページほどしかないという形で、この10％を単に教えなければいけない教科に割り振っていくと、ハッピーマンデーホリディで月曜日の休日も増えており、週休２日以上に実際の所なっている。他方で教える教科が増えているので、結果的に基礎学力を保証するに足りない時間、10％では全く足りない時間なわけですよね。
だから、土曜日の扱いをどうするかということを議論する一方で、教科再編についても知恵を出し合いながら、重なっているところは排除して、効率化・合理化を図っていく努力が必要だと思います。
それから、学力向上の部分で抜けているところの一点ですけれども、いかにいい制度をつくろうとも、いい授業が行われなかったら、子供の学力は向上しないわけです。その中で、今大変な時代、特に小学校が大変な時代に入ってきています。教員の大量採用時代です。横浜では今年度800人以上の若い先生方が新たに教壇に立っていますが、多くの特に小学校教師の繁忙感の理由は当然なんです。新人の先生は全教科を教えますから、１年目から全学年を経験するまでの間はすべての教科の教案、教材をつくらなければいけないんです、日々の中で。その上で雑務もこなさなくてはいけない。
今、それだけ多くの新人が、ノウハウがないまま入ってきて、現実つぶれそうになっています。４月に入った若い教師たちがたくさん相談にきますけれども、眠れない、土日もない、このままでは教員を続けていけないと悲鳴をあげているわけですね。教材の共有が今まで行われてこなかった、現実の小学校の問題を振り返った上で、よりダイナミックに、例えば京都でもやり、横浜でもそれを参考にスタートしているわけですけれども、国ですばらしい優秀教材をライブラリーして、みんながコンピュータ、パソコンでダウンロードできる。そうしたら自分自身で探求していく。それをベースにして探求して、いい授業をつくっていけばいいわけです。
多くの新人教員が入ってくるこの時代だからこそ、教育院の中でやって。でも、教育院をゆっくりやっていたら遅いんです。目の前の若い教師たち、もう限界です。睡眠時間がかなり少ない状態で全教科の教案をつくっている段階なんですね。これはいち早く出して大量採用時代の若い教師たちを安心させること。それから、すべての教師に一定のクオリティの授業ができるんだという保証をしていくことを早急に進めていかなければいけない。これは第２報告に入れるべきだと私は思います。
○野依座長 川勝委員、どうぞ。
○川勝委員 運営会議のときに、徳育の充実がトップに書かれていたのではないかと思います。学力の向上を持ってこられたというのは、それなりのお考えがあったんだと思いますけれども、その辺もう一回きっちり考えた方がいいと。徳育の充実の３ページ冒頭のところに、「知、徳、体の調和のとれた人間形成」と書かれていますね。これは知と徳と体とが一見同じレベルに理解されているということなんでしょうけれども、実際は知育は何のためにするかというと、「学徳」という言葉もありますように、徳を磨くためにあるんですね。体育も一緒です。身体教育を通して、スポーツを通して人格が形成されると。これは小谷委員が実例でありますけれども、そういう徳を磨くということとともにあるわけです。本来、学力と徳育というのは矛盾するものではない。あるいは、別置するものではないと思うわけです。
そういう意味では、３つのバランスということであれば、知的教育と情操教育と身体教育、この３つであって、全体として人間力を上げる、あるいは、人間の徳性を高めていくということで、徳というものを理解するべきだと思うわけです。ただ、徳という言葉が旧来の道徳ということで反発するものがあるとすれば、「人間力」あるいは「人格」という言葉に言い換えていいかと存じますけれども、今回の学校教育の再生は、前回は授業時間を上げるということで10％とありましたが、今回は心というところで学校教育再生のもう一つの基本は、徳育の充実にあるということです。
そうしますと、（２）のふるさとのところは、心を教えると。これは宗教ですね。それから、��の体育・スポーツ、文化・芸術というのは並べてありますけれども、体育・スポーツはそれとして、文化・芸術もそれとして別置するべきではないかと思うわけです。昔、「健全な精神は健全な身体に宿る」というのがありました。これもいろいろ議論のあるところでありましょうけれども、心身のバランスが大事だということを言っているわけで、徳育の充実のところはむしろ心身のバランスというふうに言って、心の方は文化・芸術、それからもう１つ、学力というものがあるんだと。
それからもう１つ、体育というとすぐにスポーツというふうに考えられがちですけれども、学力の中に「早寝、早起き、朝ごはん」というのがありますね。これも実際は身体教育というふうに議論できるところであります。そうすると学力も上がっていくということで、給食は授業であると。つまり、食育というのは身体をバランスよく発達させるために重要だということですね。この辺は、これだと学力偏重というふうにとられかねない。学力はいかに上がっても悪賢い人をつくったら全く意味がないわけで、全体としては、学校教育の再生は徳育の充実ということ、直截に言えばそういうことだと思います。
そして、知的教育は学徳を上げると。情操教育はいわば心徳を上げると。授業を通じて豊かなところを通じて豊かな心を磨くということで、「心徳」という言葉もありますね。
それから、身体教育というのは、食育とか給食を通して人格形成をしていくんだと。それを書くべきで、従来の道徳とか修身というふうに理解されるのではなくて、全人的教育を公教育について保証していくと。そこにおいては、知的教育も情操教育も身体教育も皆重要だということを、少なくとも今回の学校教育のときには言うべきだと。
前回はどちらかというと学力に偏した、それは落ちているから仕方なかったと思いますけれども、今回第２次報告ではそれを出すべきだと思います。だから、徳育を一つの項目に挙げるのではなくて、全体項目に挙げる。徳育の充実のところは心身のバランスというふうに書き換えて、徳育の方を上に出した方がいいと思います。
○野依座長 では、門川委員、どうぞ。
○門川委員 義家委員から言われたことと共通するんですけれども、京都市では、新人の先生でも最低限の道徳の授業ができるように、小学校１年から６年までの各学年ごとに指導計画と教材を用意して、豊富な教材の中から選択しながら活用できるシステムを作りました。この教材は４回目の改訂となった小学校１年生用の教材です。中学校でも作っています。そういうことをずっと積み上げてやってきたわけです。
そこで、道徳の教科化ということであります。教科というのは何かというと、評価をすること、それから教科書を使った授業をするということと、専門の先生がいるということが教科の３要素だと思うんです。しかし、ここに居る皆さんはそういうことを考えておられないと思うんです。だから、評価はしないということがはっきりしてきました。次に、文部科学省の検定教科書を使おうという議論がありましたが、全国一律にはできないと思います。地域の豊富な教材を使うべきです。それから、教師も道徳の専門の免許をもった先生というのは無理だと思います。担任を中心に地域の人や校長先生なども含め、いろいろな人が教えたらいいと思います。
したがって、これは従前の教科ではないんだということを明確にしなければならない。
また、一つの教科書を使って北海道から沖縄まで地域色のない道徳をやるということではない。ただし、モデルはつくって、すばらしい教材、これは教育院構想と重なるわけですけれども、どんどんいいモデルをつくって、例えば中学校で生徒が感動した教材があれば、それを教育委員会が集約して、学校へ提供していくんです。これをいずれはデジタル化していこうと。それで学校が豊富な教材、子供の心をゆさぶるような教材をどんどん活用していく。京都レベルでやっているのを全国ネットでやっていったらいいと、そういうことではないか。
つまり、評価はしない、国定教科書はつくらない、つくれないと思います。そして、道徳の先生という専門の先生に特化しない。そういう新しい概念の教科であると明確にすべき。このことをはっきりとメッセージにしておかなかったら、従前の国語を教えるような教科にするのかという誤解を与えて、せっかく積み上げてきた道徳の授業までがおかしくなってしまったらもったいない。京都市では、ことし、30校で親子がともに学ぶ道徳の授業を行いますが、地域力、地域の人材や親の参画も得て、創造的に取り組むことができる道徳を目指してほしい。以上です。
○野依座長 では、渡邉委員、どうぞ。
○渡邉委員 この骨子案について一言言わせてください。骨子案の初めに「子供には機会均等であること」、それから、「教育の格差を生み出さない」と書いてあるわけですが、全体の１、２、３、４で、教育の機会均等もしくは教育の格差というところにあまり触れられていないのではないかということが気になります。
特に教育の格差ということで言いますと、今現在、奨学金というのが大変騒がれておりまして、教育の格差における最も大きな格差は公立と私立だと思っております。私はいつもバウチャー制度ということを言うんですが、それは公立しか行けない子も私立に行けると。家庭が豊かではない子も私立に行けるという、最低限の公立、私立の選択ができる制度を何とか持ち込みたいということで、バウチャーということを言っているわけですが、私としましては、奨学金制度の充実というものを何らかの形で組み入れていただけたらありがたいと思います。また、学校の格差というのは公立の中で一番大きくあります。私、教育委員をやっているからよくわかっているんですが、教育委員会がしっかり経営力を発揮し、人とお金をコントロールしないと、教育の格差が公立で起きてしまっているということがあります。
ですから、私立と公立の問題、それから、公立自体の問題、これを教育委員会、学校選択制、もしくはバウチャーというところまで含めて、どこかに組み入れていただければ、この「はじめに」の機会均等、もしくは格差というところがカバーできるのではないかなと、そんな気がいたします。
○野依座長 では、小野委員、どうぞ。
○小野委員 学力の向上のためには、授業の充実と言いますか、本当にわかる授業で、子供たちが楽しい授業、さらにもっと学んでみたい授業にしなければいけないので、授業の充実が一番大事だと思います。そのためには教科書の改善が必要なので、今のように薄い教科書ではなくて、発展学習、補充学習ができるような教科書にしてほしいということがございます。
もう一点、徳育の教科化の問題でございますけれども、門川委員のおっしゃることは正しいと私も思います。評価とか免許は必要ないと思うんですけれども、教科書については、１種類でなくてもいい、いろいろな教科書があっていいので、今の教材では必ずしも十分ではないと私は思いますので、もっと充実した教材が使えるようなシステムを考えるべきではないか。そのことで教科として、例えば小学校などで徳育をきっちり教えていくということは非常に大事ではないかと思っております。
○野依座長 では、陰山委員、どうぞ。
議事録１ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ １０ １１ １２ ＞１３ １４ １５
2007年06月18日(月) 06:19:27 Modified by nipponkamoshjka