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19年5月11日 合同分科会 議事録9

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○品川委員 お手元にカラーの資料がございますので、そちらをご覧ください。図を見ていただくと少しややこしいかもしれないので簡単に説明させてくださいませ。

 これから申し上げますことはみなさまからしましたら荒唐無稽と思われるようなことかもしれませんけれども、現在の学校の課題と現状、それから、すべての子供の教育権、成長発達権の保障、それから、問題親とか問題教師、未履修問題といった色々な教育現場にまつわる課題、さらにはいじめなどを含む反社会的行動について、そういった子どもたちの学びの場について、学校を巡るさまざまな課題や紛争を解決していかなければ、いくら教科書を厚くしようが、授業時間数を増やそうが、徳育を教科にしようが対処療法にすぎないのではないかと私は考えております。そういったこと、すなわちすべての子供が安心して学べる学校、先生がその能力を十分発揮して教育に携われる環境、すべての親・地域が責任を持って子育てできる社会実現のため、文科省を中心に各省庁の少年・家庭部局を再編成いたしまして、21世紀を担う子供たち、美しい国日本を生きる日本人たちに見合う新しい教育、福祉、保護行政を展開していく必要があると考えまして、ここに提案させていただきます。

 これまで私は何度も省庁連携が必要だということを申し上げてまいりました。すでに市町村レベルの自治体によっては子供課というところを作り、福祉行政と教育行政を一本化しているところもございます。それでもニッチに落ち込んでくる子供たちはいるんですね。先ほど申し上げましたように、親も追い詰められているし、教師も追い詰められている、そういった現状を踏まえたときに、今一番求められているのは、実は子供を中心にその出生から就労までを一貫して指導支援できるシステムを再構築することではないかと考えます。

 詳しくは配布させていただきました資料をお読みいただけましたらお分かりいただけると思っておりますが、この中には、先ほどから小宮山委員がご提案なさっておられます教育院構想も含まれます。また1次報告で出席停止について言及いたしましたが、その間のその子どもの教育権はどうやって保障するのかについてはいまだ議論されていません。その点につきましてもご提言させていただいております。

 文部科学省だけでも十分対応は可能ではないかというご意見もあるかと思っておりますが、なぜそれでは不十分なのか。それは取材するたびに痛感することがあるからでございます。私のこの省庁再編案は、少年家庭審判所の設置の必要性を痛感しておりますところからスタートしております。今申し上げましたように、教育院や出席停止になりました子供の教育権保障、成人学校等第二の教育機関等の設置も視野に入れますと、やはりここは子供を中心にした監督官庁が必要だろうと考えるわけでございます。手短にご説明申し上げます。

 そもそもなぜ少年家庭審判所、つまりなんらかの行政審判所が必要だと考えるかと申しますと、すべては日ごろ申し上げておりますようにすべての子供の成長発達権、教育権を保障するためでございます。たとえば今、教師は未払い分の給食費を保護者の下に取りに行きます。夜の10時、11時に保護者のもとに行き「給食費をください」と言う。これはあきらかに教師の本来の仕事ではございませんよね。あるいはクレームを言い続けたり、ストーカーのようになってしまう保護者もおられます。そういう問題のある親に現実的に対応しているのは教育委員会ではなく現場の先生方です。教育委員会に相談しても、先生頑張ってくださいといわれるだけですし、ストーカー等の行為や学校に夕方から深夜まで居座って抗議し続け業務妨害しても、公的機関である学校は個人である保護者を訴えることはできません。そこで教育委員会は訴えるなら先生個人でお願いしますということになります。つまり、学校側は法的根拠がないため行政指導を行えず、教育委員会とともに「お願いします」というしかなく、問題親に対しては素手で戦っている状態でございます。

 そういった状況で果たして子供の教育権や成長発達権は保障されるのでしょうか。実際、保護者が過剰に要求してくるため学校側が身動き取れなくなり、子供がお客さん状態になっていて学ぶべきときに学ぶ機会を逸しているというようなケースを私はいくつも見てまいりました。つまり、子供自身が不利益を被っているわけでございます。

 こういった状態を何とか変えていくためには、行政審判所、日本にも戦前、少年審判所がございましたが、そういったものが必要であろうと思うわけです。でも、少年問題だけではなくて、家庭問題、学校問題など子供をめぐる環境はすべて監督審判指導していけるようなものをつくる必要があるのではないか。少年家庭審判所をつくれば、虐待からニートまで、一人の人間の出生から就労まで、ライフステージに応じた指導ができ、支援ができていくと考えます。確かに現行では家裁がその役目を担っているのかもしれませんが、家裁は司法機関ゆえいい悪いの判断は下せましても、実行機能はございません。行政機関ではないのであたりまえですが、現場に任されているわけでございます。

 一方、LD等があると分かっても指導しないなど教育権を学校が侵害する場合もございます。未履修問題もその一例かもしれません。いじめなどの問題もあります。現状ではこういう場合ですと、保護者や子供本人が訴える相手は教育委員会しかないわけです。でも、その教育委員会が学校側と密接だったり、学校に強くいえなかったりします。教育委員会が何もしてくれませんと、保護者や本人は司法にいくしかないわけですよね。でも、それには手間とお金がかかりますし、子供は日々成長していっているわけです。そういうときに裁判にするメリットデメリットを考えますと、たいていの親は今目の前にいる子供をなんとかしよう、せめてこれ以上傷口が広がらないように、せめて不登校にはさせたくないからフリースクールなどに転校させるなど、第三の道を選ぶことも少なくないと思います。これまた不利益を被るのは子供です。

 あるいは虐待親から子供を引き離すという場合もあります。ですが引き離された保護者に対してエビデンスベースの効果的な指導はなされているかといえばそれはない。だから家族を再統合するときに課題が常に残ります。行政審判所があれば、子供を保護している間、保護者に対してペアレントトレーニングを受けさせるなど行政指導も可能になります。そういったトレーニング内容は教育院で、省庁を越えた知見を投入しエビデンスベースのものを開発すればいい。でも現状はどうかというとこういうことはいずれもできていない。それで制度疲労を起こしているのではないかと申し上げるわけでございます。

 そこで、こういった行政審判所を作りますときにどこに所属するかと考えますと、文科でもなければ厚労でもない、法務でもない。そうしたときに各省庁が持っているものを一つにして新しい省庁を作りますことによって、今問題になっているニートや、最近話題になっています若年のホームレス、ネットカフェ難民ともいっておりますが、それから養育力が低下している家庭等国を根底から揺るがすような問題に直結して対応できるのではないかと考えるわけです。もはや一人の人間のライフステージに応じた指導や支援を行う省庁が必要とされている時代だと考えます。

 ご批判もあるのは重々承知しておりますが、それでもなぜこれを出したのかと申しますと、教育問題というのは学力低下と規範意識だけではなくその背後に踏み込んでいきませんとおそらく何も解決しないであろうと考えるからでございます。

 どれだけ学力向上を視野に入れて教科書を厚くし、10%授業時間を増やし徳育を教科にしても、結局、不登校になったり、いじめ問題があったり、非行に走ったり、うつになったりしましたら、何の発展的な話にはつながっていきません。そこまで視野に入れた構想だということを申し上げたいと思います。詳しくは読んでいただければお分かりいただけると思いますが、分断されている組織を一元化することで、情報も戦略も共有でき、かつコスト合理化にもつながります。犯罪の予防効果も高まり、結果的に社会保障費も下がります。繰り返しますが、教育再生は学力だけの問題ではありませんし、文科行政だけの問題と矮小化してもいけないと思っております。

 これについて、今日この場ですぐに議論していただきたいなどとは思っておりませんが、是非第3次報告までに一度皆さんのご意見を伺いたいと存じます。

 また、別途時間をとっていただいてちゃんとお話させていただければと思います。ありがとうございました。

○野依座長 時間がなくて申しわけありません。

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2007年06月16日(土) 08:49:28 Modified by nipponkamoshjka




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