19年5月11日 合同分科会 議事録１４
議事録１ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ １０ １１ １２ １３ １４ １５
○陰山委員 三点申し上げます。１つは、先ほどからの議論なんですけれども、徳育の教科化という言葉は、現状の教科というのは免許制があったり、評価の問題がありますので、特設教科という形で別途、別枠を設ける方がわかりやすくなると思います。そのことによって、前にも話をしましたけれども、理科の中で生命尊重だから栽培が増えるということで、物理的な学習時間が大幅に削られているという問題がありますので、義家委員もおっしゃった、教科の目的をはっきりさせるという、教科の再構築ですね。これが中教審にもかかわって骨子をしっかりしたものにしていただくということもあろうかと思います。
それから、これも義家委員がおっしゃったＩＣＴとか校内ＬＡＮの設置、こういうふうなものも地方によってものすごい差があるんですね。これについても、世界的に見るとものすごく遅れています。ＮＴＴの線は世界最高レベルなのに、そこから先は世界で最も貧しいレベルという、ものすごい不均衡が起きてきているわけです。ですから、そこのところはきちんと、先ほどの話ではないですが、お金を入れてしっかりとやっていくということで、効率的なお金の使い方をするということを前提にして、戦略的な教育投資をここで行っていただきたいと思います。以上です。
○野依座長 それでは、葛西委員、どうぞ。
○葛西委員 非常に身近なところからいくと、徳育というのは学校における、一に規律、二に礼節というのを、体得させることから始まると思うんですね。今私が携わっている学校では、例えば、朝、授業を受けるときに起立して先生に「お願いします」と号令をかけて言います。終わった後は「ありがとうございました」と言わせており、これは非常に基礎的なことです。それができた後にはじめて、今、皆さんが言われたように教科書をきちんと与えて、その教科書は歴史とか文学、あるいは、伝記とか、これまでいろいろな人たちがなし遂げてきたものをわかりやすく読ませることによって、空想力とか想像力を発揮させるという形が大事なんだと思うんですね。
これが一番基礎的なやり方で、その基礎をきちんとしておかないと、その他さまざまなソフィストケートされたツールを与えても、あまり役に立たない。私は学校においては規律、礼節、先生に対しては尊敬心を持って接するのだということを子供に教えないと、何を教えても身につかないのではないかなという気がいたします。
○野依座長 では、小谷委員、どうぞ。
○小谷委員 �Δ陵鳥�教育の充実という部分がとてもひっかかるんです。幼児教育というと、小学校受験に向けた徹底したお勉強を押しつけ、マナー教室のようなものがはびこっていて、そういうものを受けろということではないわけですよね、この幼児教育の充実は。例えば「年齢や段階に応じた早期からの教育」というふうにした方が、後半の「社会総がかりで教育再生」のところで、脳科学の知見の活用とありますけれども、それによると０歳から３歳というのは、動作の模倣だったり反復だったりという内容に基づいた提言が後半にありますので、この�Δ陵鳥�教育という言葉を考え直した方がいいと思います。
○野依座長 それでは、海老名委員、どうぞ。
○海老名委員 徳育問題ですけれども、学校ばかりではないと思います。保育園、幼稚園から徳育は必要だろうと思います。先ほどおっしゃったように、ごあいさつの仕方からでございますね、そういうことをきちっと教えていかなくてはいけないかなと思います。学校からではないということを強調したいと思います。
○野依座長 ありがとうございます。では、品川委員、どうぞ。
○品川委員 渡邉委員がおっしゃったことと若干重なる部分がございますが、全般的にすべての子供に機会均等を保障するという印象が弱いような気がいたします。それから、先ほど言ったダイナミズム、骨太な感も弱いのではないか、と思うわけでございます。学校教育再生のところで、一番上にあってもいいのは教育院構想ではないかと考えます。教育院の構想につきましては、先ほど私と門川委員がお渡しした資料にも書いてございますが、教育院の設置目的のところに「経験則からの教育から、さまざまな分野にわたる最先端の知を教育に取り込み、教育とともに科学的根拠に基づく教育への転換を図る国家ベースの拠点をつくる」ということですね。それを作るというのを打ち出して、その中に例えば義家委員がおっしゃったようなＩＴの情報も全部集める。それが機会均等につながっていくのではないかなと思います。こういう構想を打ち出すことで、中教審との違いもまた鮮明になってくるのではないでしょうか。それから、その次に来るのは徳育ではないかと考えます。以上のような点をご検討いただけますと幸いです。
全体的に現在ある文科行政の枠組みの中の言語が使われていると感じます。この間、第二分科会で特別支援教育についてお話をさせていただきましたが、特別支援教育というふうに新たに項目をこのように作ってしまいますと、障害児教育の言い換えになってしまいませんでしょうか。そういたしますと、急速に教育現場に広がりつつある「障害があるかないか」の二項対立の枠組みに取りこまれてしまい、診断があれば支援する、診断がなければ本人の問題、あるいは、親のしつけという流れを助長することにはならないかと危惧いたします。それで本当にすべての子供の教育権・成長発達権が保障されるのでございましょうか。そもそも専門医も少ないわけでございます。診断が必要なくても指導できるような研修を自治体では進めておられるはずです。障害があるかないかという視点で受ける教育が変わってくるのであれば、それは発達障害者支援法の精神にも沿わないと思われますし、文科行政が目指す通常学級内にいる個々の子供のニーズに応じた指導という特別支援教育の趣旨ともずれてくるのではないかと危惧するわけでございます。しつこく繰り返して申し訳ないのですが、子供たちが不利益にならないように、教育権の侵害だったりいじめ等排除につながりませんようにしていただきたいと存じます。それでここの表現をもう少しご考慮いただけないかなと存じます。以上です。
○野依座長 では、小宮山委員、どうぞ。
○小宮山委員 今、大変重要な指摘が幾つか出ていると思います。教材は大事ですよね、門川委員がどんどんいろいろな所の良いものを集めていると。義家委員も同じようなことを、そして、今、品川委員も教科書の問題、小野委員も教科書の問題を言われていますね。教科書は厚くというんだけれども、アメリカの教科書は厚すぎて学校に置いておくんです。
それから、高くて買えない子供達がいます。そこで、今、どういう流れにあるかというと、例えば、クリッキーという、今後伸びていく可能性があるＮＰＯに社会の篤志家が投資して、教科書をWikiで適切なものをつくって、それをサイバースペースで共有できるようなシステムをつくろうというような動きがあるんですよ。東京大学ではそれを今大学の中でやろうとしております。今の話だと、初等中等教育でも、早く全国に広げてやらないと。
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○陰山委員 三点申し上げます。１つは、先ほどからの議論なんですけれども、徳育の教科化という言葉は、現状の教科というのは免許制があったり、評価の問題がありますので、特設教科という形で別途、別枠を設ける方がわかりやすくなると思います。そのことによって、前にも話をしましたけれども、理科の中で生命尊重だから栽培が増えるということで、物理的な学習時間が大幅に削られているという問題がありますので、義家委員もおっしゃった、教科の目的をはっきりさせるという、教科の再構築ですね。これが中教審にもかかわって骨子をしっかりしたものにしていただくということもあろうかと思います。
それから、これも義家委員がおっしゃったＩＣＴとか校内ＬＡＮの設置、こういうふうなものも地方によってものすごい差があるんですね。これについても、世界的に見るとものすごく遅れています。ＮＴＴの線は世界最高レベルなのに、そこから先は世界で最も貧しいレベルという、ものすごい不均衡が起きてきているわけです。ですから、そこのところはきちんと、先ほどの話ではないですが、お金を入れてしっかりとやっていくということで、効率的なお金の使い方をするということを前提にして、戦略的な教育投資をここで行っていただきたいと思います。以上です。
○野依座長 それでは、葛西委員、どうぞ。
○葛西委員 非常に身近なところからいくと、徳育というのは学校における、一に規律、二に礼節というのを、体得させることから始まると思うんですね。今私が携わっている学校では、例えば、朝、授業を受けるときに起立して先生に「お願いします」と号令をかけて言います。終わった後は「ありがとうございました」と言わせており、これは非常に基礎的なことです。それができた後にはじめて、今、皆さんが言われたように教科書をきちんと与えて、その教科書は歴史とか文学、あるいは、伝記とか、これまでいろいろな人たちがなし遂げてきたものをわかりやすく読ませることによって、空想力とか想像力を発揮させるという形が大事なんだと思うんですね。
これが一番基礎的なやり方で、その基礎をきちんとしておかないと、その他さまざまなソフィストケートされたツールを与えても、あまり役に立たない。私は学校においては規律、礼節、先生に対しては尊敬心を持って接するのだということを子供に教えないと、何を教えても身につかないのではないかなという気がいたします。
○野依座長 では、小谷委員、どうぞ。
○小谷委員 �Δ陵鳥�教育の充実という部分がとてもひっかかるんです。幼児教育というと、小学校受験に向けた徹底したお勉強を押しつけ、マナー教室のようなものがはびこっていて、そういうものを受けろということではないわけですよね、この幼児教育の充実は。例えば「年齢や段階に応じた早期からの教育」というふうにした方が、後半の「社会総がかりで教育再生」のところで、脳科学の知見の活用とありますけれども、それによると０歳から３歳というのは、動作の模倣だったり反復だったりという内容に基づいた提言が後半にありますので、この�Δ陵鳥�教育という言葉を考え直した方がいいと思います。
○野依座長 それでは、海老名委員、どうぞ。
○海老名委員 徳育問題ですけれども、学校ばかりではないと思います。保育園、幼稚園から徳育は必要だろうと思います。先ほどおっしゃったように、ごあいさつの仕方からでございますね、そういうことをきちっと教えていかなくてはいけないかなと思います。学校からではないということを強調したいと思います。
○野依座長 ありがとうございます。では、品川委員、どうぞ。
○品川委員 渡邉委員がおっしゃったことと若干重なる部分がございますが、全般的にすべての子供に機会均等を保障するという印象が弱いような気がいたします。それから、先ほど言ったダイナミズム、骨太な感も弱いのではないか、と思うわけでございます。学校教育再生のところで、一番上にあってもいいのは教育院構想ではないかと考えます。教育院の構想につきましては、先ほど私と門川委員がお渡しした資料にも書いてございますが、教育院の設置目的のところに「経験則からの教育から、さまざまな分野にわたる最先端の知を教育に取り込み、教育とともに科学的根拠に基づく教育への転換を図る国家ベースの拠点をつくる」ということですね。それを作るというのを打ち出して、その中に例えば義家委員がおっしゃったようなＩＴの情報も全部集める。それが機会均等につながっていくのではないかなと思います。こういう構想を打ち出すことで、中教審との違いもまた鮮明になってくるのではないでしょうか。それから、その次に来るのは徳育ではないかと考えます。以上のような点をご検討いただけますと幸いです。
全体的に現在ある文科行政の枠組みの中の言語が使われていると感じます。この間、第二分科会で特別支援教育についてお話をさせていただきましたが、特別支援教育というふうに新たに項目をこのように作ってしまいますと、障害児教育の言い換えになってしまいませんでしょうか。そういたしますと、急速に教育現場に広がりつつある「障害があるかないか」の二項対立の枠組みに取りこまれてしまい、診断があれば支援する、診断がなければ本人の問題、あるいは、親のしつけという流れを助長することにはならないかと危惧いたします。それで本当にすべての子供の教育権・成長発達権が保障されるのでございましょうか。そもそも専門医も少ないわけでございます。診断が必要なくても指導できるような研修を自治体では進めておられるはずです。障害があるかないかという視点で受ける教育が変わってくるのであれば、それは発達障害者支援法の精神にも沿わないと思われますし、文科行政が目指す通常学級内にいる個々の子供のニーズに応じた指導という特別支援教育の趣旨ともずれてくるのではないかと危惧するわけでございます。しつこく繰り返して申し訳ないのですが、子供たちが不利益にならないように、教育権の侵害だったりいじめ等排除につながりませんようにしていただきたいと存じます。それでここの表現をもう少しご考慮いただけないかなと存じます。以上です。
○野依座長 では、小宮山委員、どうぞ。
○小宮山委員 今、大変重要な指摘が幾つか出ていると思います。教材は大事ですよね、門川委員がどんどんいろいろな所の良いものを集めていると。義家委員も同じようなことを、そして、今、品川委員も教科書の問題、小野委員も教科書の問題を言われていますね。教科書は厚くというんだけれども、アメリカの教科書は厚すぎて学校に置いておくんです。
それから、高くて買えない子供達がいます。そこで、今、どういう流れにあるかというと、例えば、クリッキーという、今後伸びていく可能性があるＮＰＯに社会の篤志家が投資して、教科書をWikiで適切なものをつくって、それをサイバースペースで共有できるようなシステムをつくろうというような動きがあるんですよ。東京大学ではそれを今大学の中でやろうとしております。今の話だと、初等中等教育でも、早く全国に広げてやらないと。
議事録１ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ １０ １１ １２ １３ １４ １５
2007年06月18日(月) 06:20:10 Modified by nipponkamoshjka