本編中でもたびたび「雀っぽい」と評される通り鳥の怪異であり、空を飛ぶことができる。
鳥なので体重がとても軽い。
人を襲うこともなく友好的で、基本的には無害な怪異であるが、騒音の苦情(特に朝方)はたびたび上がっているようだ。
主な活動時間は夜〜昼頃まで。午後〜夕方にかけて眠り、明け方から活発に騒ぎ始める。日課は早朝四時のモーニングコール。
が、本来夜行性の怪異であり、最も力が増すのは丑三つ時。
夜は怪異が出歩く時間であるため、霊感のない人間にも見える。
神森学園の土地に学園が立つ前から棲みついており、急に増えた蝙蝠を神森の平和を乱すものとして敵視するところから吸血鬼騒動に関わることになる。
古い怪異であるためか横文字に弱く、全般的に西洋文化に疎い。
びっくりさせると外見に似合わぬ汚い悲鳴を上げ、タチヨタカじみた顔になり大変かわいくない。
雪女の針子りりあとは怪異友達で、雪女編ではりりあのために奔走(迷走)する姿が見られる。
正体について
スズの正体は挽歌を唄う怪鳥、以津真天(いつまで)。
本来の姿は翼開長約5メートル、高さ約2メートルの巨大な鳥である。
タチヨタカに似た黄色い目と曲がった嘴、曲剣のような鉤爪を持ち、人を軽々と運んで飛ぶ。
とにかく体が大きいため、嘴や鉤爪で人を傷つけることは可能だが、自分からそうすることはない。
夜間に空を飛ぶことがあるが、基本的には人を脅かさないよう、昼間と同様姿を隠して飛ぶ。
神森の地に伝わる怪異伝承のひとつで、神森市の図書館や神森学園の図書室に所蔵されている文献に昔話として載っている。
その概要は以下の通りである。
「その昔、神森のとある貴族の屋敷で娘が死んだ夜、屋根の上に見慣れぬ巨大な鳥が止まった。
鳥とも人ともつかぬ顔をしたその奇妙な鳥は、身の毛もよだつような不気味な声で鳴いたという。この鳥を不吉のしるしと考えた貴族は矢を射かけたが、仕留めたかについては諸説ある」
―『神森民話全集』(若林月・著)
また、古くから神森を治めてきた邪道院家や怪異対策に特化した聖歌騎士団と接触すれば、以下の追加情報を得ることができる。
「以津真天についての目撃情報。
1300年代に神森の貴族屋敷で最初に目撃された後、疫病や戦火で多く人が死ぬ度に姿を現したとされているが、出現頻度は時代を追うごとに少なくなっている。
死体を啄むでもなく、ただ不気味な声で哭くだけの巨大な怪鳥。
死を呼ぶ不吉な怪異とする説もあるが、実際に死を招く力があるかどうかは不明である。
そして、最も新しい目撃情報はXX年前。
邪道院篤胤の死去の折である」
詳細な年齢は明かされていないが、上記の情報から七百歳は超えていると推測できる。
邪道院家との関わりについて
古い怪異であるため、邪道院家とも長く共存してきた経緯がある。
特に関係が深かったのは邪道院官の曽祖父・邪道院篤胤であり、"スズ"という名前も篤胤が「猫の首輪についた鈴のようなもの」と戯れのように名付けたものである。最もスズ本人は名前をつけた相手も経緯も忘れており、本編である条件を満たすと思い出す。
なお学園の正面玄関に寄りつかない理由は、邪道院篤胤が神森学園の校長だった頃、登校する生徒について教室に侵入し大騒ぎしたので出禁となり、邪道院家のありがたい猫お札を正面玄関に貼られたからである。効力は今も健在。
人と怪異の関わりについて
スズは人を襲わない怪異であるため、人と怪異の共存を望んでいる。
まだ怪異が堂々と跋扈していた時代には、鳴き声が不吉であると迫害されたこともあったが、反撃することもなく逃げ回るばかりで、徹底して争わない・人に害を為さない姿勢を貫いてきた。
ただ友好的な怪異とは言えやはり怪異であるので、人を喰わなければ生きていけない怪異の存在を否定する気もなく、「大きな騒ぎにならない程度にうまくやりなさいよ」くらいに思っている。
が、殺さずに済むならその方がいいと思っているのは確かであり、本編中の吸血鬼・九生屋シュウに対しての発言でもそのような考え方が垣間見える。
神森学園に棲みついている理由について
伝承でも言及されている、最初に目撃された神森の貴族屋敷があった場所、それが神森学園が現在立っている土地である。
その貴族屋敷で死んだ娘・沙耶はスズが最初に仲良くなった所謂「はじめての友達」で、そのため「ここにいなければならない」ような気がしている。
なお、記憶力が残念なため本人に何故神森学園にいるのか聞いても要領を得ない返事が返ってくるだけである。
猫について
苦手である。
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