サイボーグ娘SSスレッドに保管されたSSの保管庫です。一応、18禁ということで。

 データの確認が終わる頃に、身体検査が終わったと言う報告が届いた。肉体的な異常は認められず健康体であることは間違いない、との事だ。
 やらなければならない事は山積みなので一刻も惜しい。素体を覚醒させる様に命じ、メディカルルームへと向かった。

 先程の少女、秋月麻衣が椅子に拘束されたまま眠っていた。
「薬品を投与しましたので、5分以内には目を覚まします。事前の指示通り、服装は確保時点のままにしてあります」
 部下が指示通りに実行しているのを確認し、対面の席に着くと彼女の首に見覚えのある首輪が嵌っているのが分かる。
「行動制限区域の設定は?」
「この部屋の中のみです。機能は確認済みで、コントローラーはこちらに」
 しぼりとボタンが付いただけの簡単なコントローラーが手渡される。
 とりあえず、最低値に設定しポケットにしまう。

「ん…」
 そんなやり取りをしていると少女の口から声が漏れる。どうやら、目を覚ましたようだ。 過度の興奮を避ける為、部下達を部屋から下がらせる。不自由そうに身体を揺すったあと、ゆっくりと目が開く。
 ぼうっとした様に視線が泳いだ後、手を持ち上げようとした時点で拘束されていることに気づいたようだ。私の方へ怯えたような視線を送りながら、話しかけてきた。
「ここは何処なんですか? 貴方は誰なんですか?」
「ここは国防軍特殊技術研究所所、第三開発局特殊兵装開発室、第3開発班専用の開発用メディカルルームだ」
 予想通りの質問に流暢に答える。
「私は第3開発班班長の村上だ」
「国防軍? 軍人さんですか?」
 急な展開に着いていけていない、そう言う表情のまま質問が続く。
「そのとおり、私は軍人ということになる。ただし、技術職なので銃を持って敵と撃ち合ったりはしないがね」
 落ち着いた声で答えると、少しは安心したようだ。
「それじゃあ、私誘拐されたとかじゃ無いんですね? 私のうちはあんまりお金が無いので身代金なんて払えないんです」
 資料の内容を思い出す。確かにそれほど高額の身代金を支払えるほどの財産は無かったはずだ。だが、そんなことは最早彼女には関係無い。
「ああ、誘拐ではないよ」
「えっと、じゃあどうして私はこちらにお邪魔しているんでしょうか…」
 一度は安心した様だが、やはり現在の自分の置かれている状況が理解できないらしく、再び怯えた様に質問してくる。
「君は第三期機械化歩兵開発計画の試作機素体として徴発されたんだよ」
 何も珍しいものではないように、彼女に現在の状況を伝える。

 しばらくの間、2人とも声を出す事も無く見つめ合った。
「第三期機械…試作機… って何なんですか?」
 その言葉の意味は通じなくとも、禍々しさから自分に碌な運命が待っていないことを感じ取ったのであろう、声に今まで以上に緊張が現れている。
「第三期機械化歩兵開発計画の試作機素体。これから私たちの命令に従って機械化手術を受けて人型兵器になってもらう」
「機械化って、なんで? 私身体が悪い所なんて無いですよ」
「君が健康体なのは確認済みだよ。まあ、そんな事は関係無い。君が選ばれた理由は、今回我々が設定した要件に適した人物の中で君が偶然選ばれただけだよ」
 淡々と事実だけを突きつける。見る見るうちに彼女の表情が怯えから恐怖へと変化していく。
「嫌です。それに兵器ってなんですか?」
「残念だけど、拒否権は認められないよ。それから兵器というのは戦争のための道具だよ。戦車、大砲、銃などと同じ物だ。君はこれからそういった物へと改造される。命令に逆らう事は認めれら無い。もう君は人間じゃない。機械仕掛けの戦闘兵器の素材でしかないんだよ」
 金切り声に近い声で否定の意思を示すが、それをばっさりと切り捨てる。
「嫌…、そんなの嫌です…」
「拒否権は認められないと言った筈だ。今日は初日だから勘弁しようと思ったが、罰を与えよう」
 ポケットから先程のスイッチを取り出すと、目盛りが最低値を指しているのを確認して、ボタンを押す。
 バチッ、と小さな音が彼女の首輪からして身体が跳ねる。
「これは懲罰用のショック機能だ。今のは最低出力でやった。命令拒否や反抗的な態度をとったり逃亡を図った場合、有無を言わせず罰を与える。出力はその都度決定するが痛みは今の比じゃないぞ」
「そんな…」
 完全に怯えた表情でこちらを見る。
 恐怖のみで機械化兵を支配するのは危険とされている。戦場の恐怖が与えられる罰の恐怖を上回った場合や、恐怖が麻痺した場合に支配が出来なくなるからだ。
 だが、初期は仕方ない。徐々に立場を受け入れるようにしていけば良い。
「今はこの部屋を出ようとすればショックを与えるように設定してある。これからは許可が無い場所へ移動するとそうなるので気をつけるように」
「分かりました…」
 完全に理解できているかは分からないが、とりあえず従う気にはなったようだ。
「最後に着替えたら君の格納場所へ移送する。今すぐこれに着替えるように」
 拘束を解除し、デスクの上の包みを放る。
「わかりました… あの何処で着替えれば良いんですか?」
「もちろんここでだ。裸になる事を恥ずかしがっても仕方ないぞ。これからは私たちは君の脳味噌まで見ることになるんだから。どうせしばらくすればその生身の身体ではなく、機械仕掛けの身体になるんだ。それに空けてみれば、意味の無いことぐらい分かるぞ」
 包みに手をかけ、中身を取り出すと絶句する。
「透明度80%以上の素材製のボディースーツだ。素体の健康状態の確認が容易なようにするのと、素体が自分の身体の状態を常に意識するようにするのが目的だ」
 それをしばらく眺めていたが懲罰用のスイッチを取り出すと、観念したように服を脱ぎ始めた。
「あの…、下着はないんですか?」
 最もな疑問を口にする。
「下着は着なくていい。今着ている物を脱いだらそのままそれを着るんだ」
 短く断定するように言い放つ。
 下着を脱ぐのに抵抗があったようだが、一瞬の間のあと意を決めたように脱ぎ捨て与えられたボディースーツを身につけた。恥ずかしそうに、胸と股間を手で押さえているが透け透けの下着が全く隠さない事から、手の下には赤く火照った恥丘が見え隠れしていた。
 脱いで放り出されていた制服をダストシュートに放り込む。
「あ…」
 ダストシュートを悲しげに眺めている彼女に、再度追い討ちをかける。
「もう二度と学校に通うような事はないんだ。それにこれからはそのボディースーツ以外の服は着る事はないぞ」
 その言葉にうなだれる彼女を確認し、移動の準備に掛かる。デスクに備え付けのPCでメディカルルームから試作機格納室までの移動を許可する。
「それじゃあ、行くぞ」
「はっ、はい」
 声をかけられたことに驚きつつ、私の後について扉へと向かう。周囲に人の目が無いか確認している姿を見て、思わず笑いがこみ上げる。
「ここにいるのはお前の改造スタッフだ。私と変わらないから隠すだけ無駄だ」
 それでも恥ずかしそうにしていたが、我慢をする気になったようでしきりに周囲を気にしながらついて来た。
 格納室には大きなカプセルが一つ鎮座しているだけだった。キーコードを入力するとカプセルが開いた。カプセルの内側は柔軟性のある素材で出来ており、ヘッドセットが置かれていた。
「それじゃあ、ここに横になって」
 彼女が指示に従い横になると、ヘッドセットを装着させる。
「明日は座学でどのような改造を行うか詳しく説明するぞ」
 そう声を掛けるとカプセルの蓋を閉じた。カプセル内に弱い睡眠ガスが噴霧されるのを確認し私は部屋を出た。
1.搬入 2.5 宣告・裏

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