サイボーグ娘SSスレッドに保管されたSSの保管庫です。一応、18禁ということで。

 ミュータントの襲撃により、街の4分の1が被害を受けた。建物も全壊したもの、半壊まではいかないが、人が住むような機能を失った建物。
死者は5人、負傷者は80人と住民の約3分の1は被害を受けたと言える。
 シャルを含めた8人の駐在部隊が駆けつけたのだが、ミュータントの数が多いことから苦戦され、襲撃から2日かかってようやく鎮圧することができた。
「チスは大丈夫だろうか・・・」
 他の駐在部隊のメンバーと解散し、シャルは自宅に留守番しているチスを心配する。食料はシャル自身が食べないが、客人用のものがある。
襲撃の心配もしていたが、シャルの家と襲撃のあった地区はそれなりに遠いから問題はないはず。
「ただいま」
 シャルは自宅の扉を開ける。ただいまの一言を言ったら、チスが「おかえり」とかけてくれるはず。しかし、その言葉は返ってこず。シャルは静まり返った自宅で、黙ってチスの気配を探る。
「チス。いるのか? いるなら返事が欲しい」
 寝室。トイレ。メンテナンスルーム。まるで、自宅に迷い込んだ子猫を探すように、家の様々な場所を探すシャル。しかし、残念ながらチスの姿は無い。
「いたずらでもしているのか・・・」
 しかし、チスがするような性格ではないと思う。チスが自宅にいないことを認識すると、シャルはチスがいなくなった原因を考える。
 台所の食料はあまり減っていない。ということは、襲撃当日か翌日にチスは出て行ったのか。チスはシャルに会う前に、どこかの目的地に向かっていた。
なら、その目的地に向かったのか。しかし、それなら置手紙の一つくらい残しておくはず。
「ふむ・・・」
 椅子に座り、顎を白銀の手に乗せ、考え込むシャル。
「大変です! シャルさん! 女の子が一人攫われたそうです!」
 突然家に入り込んだのは、同じ駐在部隊のメンバー。機械化はしていないが、立派な帝国の兵士だ。
「な、何だと!」
 攫われたのは、チスではないことを祈るシャル。
「それで、その情報を詳しく聞きたい」
 焦る気持ちを抑えつつ、冷静になってシャルは仲間の話を聞く。
「はい。襲撃された翌日に街の南部で一人の女の子を攫ったミュータントの目撃がありました。女の子の特徴は、茶色のショートヘアで花の形をした髪留めをしていたそうです」
「・・・」
 最悪の予想が当たってしまった。仲間の情報はチスの特徴と完全に一致してしまった。シャルはチスを一人で留守番させたことを後悔する。
「分かった。急いで情報を集めてくれ。できれば、早めに女の子の救出に向かいたい。ミュータントも下等な獣よりは知識がある。すぐには殺さないだろう。ただ、油断は禁物だ。すぐに仲間にも伝えるように」
「分かりました」
 仲間は急いでシャルの自宅から出て行く。
「シャル・・・ 無事でいてくれ・・・」

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