概要

ニィズ砦の戦いとは、アルファ686年、ゲーリー国、ゾリメック国連合軍とアゾル国軍の間に起きた戦いである。
パザルアンの戦いアゾル城の戦いもここに内包して「一連の戦い」として説明することが多い。

戦闘に至るまでの背景


▲686年1月における勢力図

バルディゴス討伐連合軍解散後にはじまった乱世は、各地で戦いを生んでいた。
仁君で知られるアゾル国の国主ゴルも、ゲーリー国のマラに領土を急襲されエルグライ城を奪われる。
まずは内政に力を入れようと、ルーズの戦いで受けた損害の回復を後回しにしたことが、皮肉にも裏目にでた形となる。
それでも、エルグライ城を橋頭堡に、ラディアキルレイツは再三国境を侵略してくるゲーリー国軍を撃退、この勝利には、国主の人柄から兵士たちの士気が高かったことも要因となっている。
これに業を煮やしたゲーリー国主マラは、軍師リディアニーグを使って本格的に動き始める。
リディアニーグがまず最初にうった手は、隣国ゾリメック国を巻き込むことであった。
ゾリメックの国主サリーアは争いを好まず、それまでも数度に渡ってマラの同盟要請を拒否してきたが、アゾル国の刺客に扮したリディアニーグの偽装兵に命を狙われた。
これに怒ったゾリメック国の武断派ナッシュグルディアは、リディアニーグの罠と見抜けず、アゾル国への攻撃を進言、サリーアもこの二人の威圧に押し切られ、ゾリメック国はゲーリー国と共にアゾル国へと攻め込むこととなる。
これまではかろうじて食い止めていた国境守備軍も、二ヶ国連合軍の数に押されてついに決壊、領内への侵入を許してしまう。
これに対してアゾル国主ゴルは、ラディアキルレイツ等主力部隊を最前線のニィズ砦へ派遣した。

パザルアンの戦い



既に三方向からアゾル領土へと攻め込んだ連合軍は、各地の砦を陥落させ、町を落としながら首都へと向かっていた。
この兵力差は、一連の戦いで名将として台頭したラディアをもってしても覆せるものではなく、彼女はなるべく他方面に兵力を与え、自らは僅かな兵を引き連れてニィズ砦へと到着した。
三方面軍の中で、最も精鋭を揃えた主力をたった4000の兵で待ち構えるラディアキルレイツ
誰もが砦に立て篭もると思われたが、キルレイツはバザルアン湖付近に布陣すると、ゾリメック国の先陣ナッシュに戦いを挑む。
まだ他部隊が到着していなかったナッシュ部隊は、砦に立て篭もると思われた敵軍の攻撃に戸惑うが、すぐに体勢を立て直すと反撃に出る。
この攻撃にキルレイツ部隊は後退、ナッシュはすぐさま追撃に入るが、キルレイツは囮であり、そこに火攻めの罠が待ち構える。
しかし、ナッシュも冷静に対処、付近のバザルアン湖にまで部隊を後退させるが、それは全てラディアの手の内にあり、湖に待ち構えたラディア率いる弓部隊の総攻撃を受けてナッシュ部隊は半壊する。

初戦で一定の戦果をあげると、連合軍の本隊が到着する前にラディアは素早くニィズ砦へと立て篭もる。
だが、この戦いで火攻めのタイミングを任されていたリンが、焦って予定より早くに火をつけたため、囮部隊のキルレイツは味方の炎により部隊が壊滅し、彼も行方不明となる。

ニィズ砦の戦い



1月15日夜半、この地に長い間住んでいた一兵卒の「今夜から吹雪がくる」という進言を受け入れたラディアは、兵士に一杯の酒を振舞って体を温めさせると、深夜をまって城外の2万を越す軍勢の中に切り込んだ。
なれない土地の吹雪で凍えていた連合軍は、まさか討って出てくるとは思わなかった奇襲によって混乱、リディアニーグは全軍をまとめて一時後退する。
数倍の兵数を擁しながら二度にわたって敗北した連合軍だが、総大将マラの部隊も到着して全軍が揃うと、ついに総攻撃を開始した。

マラは四本の架け橋を用意すると、既に橋を落とされた川に新たな橋をかけ、一斉に軍勢を送り込んだ。
軍師でありながらラディアに惨敗し、マラの不興をかっていたリディアニーグは、汚名返上のため自ら前線へと赴き指揮をとりアゾル国兵を打ち破っていく。
ところが、数時間たっても砦に軍勢が辿り着かず、業を煮やしたマラが最前線の様子を伺うと、そこには橋の上で鬼神の如く立ちはだかるラディアがいた。
鬼気迫るその迫力はもはや少女のものではなく、狭い場所で包囲されない利点があるとはいっても、わずかな兵で連合軍を撃退し続けていた。
先の敗戦の屈辱を晴らそうと、リディアニーグは自ら剣を抜いて、激情のまま挑みかかるが、彼も額に傷を負って後退する。
ラディアにのりうつった戦女神の気迫に後押しされ守備軍も息を吹き返し、連合軍はついに三度目の後退を余儀なくされた。

しかし、18日深夜、ラディアが最も恐れていた事態が起きた。
三路に別れていた連合軍の別部隊が、それぞれ守備陣を突破して、首都にまで肉薄したとの報告が届いたのだ。
砦の存在理由そのものを無効化されてしまった以上、ここに踏みとどまる意味はなく、ラディアは砦を捨てて首都であるアゾル城へと向かった。
その背後をマラ部隊が追撃するが、リン率いる200人の兵士が反転するとマラ部隊に突撃、これを食い止めてラディア脱出の時間を稼ぎ全員が戦死する。
現在もリンと200人を祀る忠魂碑が、ニィズ古戦場に残っている。

戦いの結末

1月23日、ラディアが首都アゾル城に辿り着いた時、すでに城は炎に包まれていた。(アゾル城の戦い
ラディアはそこで部隊を解散させ、皆に「生き延びよ」とだけ言い残し、自身は城に突入する。
国主ゴル、軍師リヴァと合流して必死に抵抗したが、数で押されてリヴァゴルは次々と力尽き、城は落城していく。
彼等と一緒に死ぬつもりだったラディアだが、リヴァの説得により、バルディゴス討伐連合軍時代に知己を得たロードレア国へと一人落ち延びた。

アゾル国の滅亡を伝えると、ラディアはそこで自害しようとするが、レイディックの妻サファリアに咎められ、ロードレア国将軍として生きる決意を固める。
一方、勝者の間にも亀裂が入っていた。
アゾル国の領土のほとんどがゲーリー国に奪われ、ゾリメック国は兵力だけ浪費して、何も得るものがなかった。
これに怒ったゾリメック国のナッシュグルディアリディアニーグに詰め寄るが相手にもされず、まるでゾリメック国はゲーリー国の属国の様な扱いを受けていた。


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