概要

メファイザスの逆遠征とは、705年9月、ヴェリアの大遠征を撃退したロー・レアルス国軍が、逆にロードレア国へ進軍した戦いだが、当のメファイザス自身は、様々な理由から(後述)この遠征に乗り気ではなく、「対峙するだけで、決戦なく終了」という戦いになっている。

ヴェリアの堕落

ヴェリアの大遠征は、彼にとって生まれて始めての真の敗北であった。
大遠征に失敗したロードレア国軍は、軍としての統率も失ったまま本国へ戻ってゆく。
ロー・レアルス国軍の追撃、更には略奪が行われた占領地での民衆たちの反乱によって、撤退していくロードレア国軍のいくつかの部隊は壊滅したものの、それでもいくつかの部隊は1月26日に無事本国へ撤退することができた。(戦いそのものは704年12月に終わっているが、この帰国をもって遠征は705年1月までとしている)
帰国したヴェリアは、そこではじめてアレス戦死の報告を聞くが、呆然としたまま、しばらく諸将の呼びかけに答える事はなかったという。
こうして、一度は崩壊したロードレア国軍だが、遠征に参戦していない各部隊を再配置することで、層は薄くなったものの、各方面の国境がすぐに大崩れすることはなかった。
こうした冷静な処置を行う一方で、アレス戦死を聞いた日からヴェリアの酒量は目に見えて増えていた。

そんな中、2月7日に街角で一人の少女と出会う。
その少女こそ、皮肉にもヴェリアがかつてロードレア国主を巡って争ったデイズの娘で、ヴェリアの策により親を失い孤児となっていたルフィである。
驚くほどアレスに似た彼女とヴェリアの出会いが、単なる恋愛物語であれば、胸をときめかす運命の出会いとして美談で済んだであろう。
しかし、これこそが、ロードレア国を滅ぼす出会いと呼ばれる禁断の邂逅であった。
この後、ヴェリアは酒とルフィに溺れ、普段は冷静な判断が下せたが、酒に逃避した時だけは彼女の言うことを真に受け、どんな愚行でも疑うことなく実行することとなる。

この二人の出会いが本当に偶然だったのかは謎であり、後世になってまことしやかに囁かされたのが「復讐説」である。
ルフィは最初からデイズの旧臣、またはルフィ自身の意思により、一族を滅ぼした原因を作ったヴェリアを惑わすために意図的に近づいたという説である。
その説の真偽はわからないが、ルフィが稀代の悪女として歴史に名を残すことだけは紛れもない事実である。

メファイザスの逆遠征

一方で、ロードレア国軍を完全に撃退したロー・レアルス国軍。
今度はメファイザスが、ロードレア国への大規模な逆侵攻を行うため、連日軍議を重ねていた。
しかし、6月からはじまった軍議は、一向に結論の出ないまま夏を迎える。
理由としては、メファイザス自身が出兵に乗り気ではなかったためである。
何度話し合いを重ねても、これだけの大規模な遠征を実行に移すことはできなかった。
それは、自分が動けばベルザフィリス国も呼応して動くことがわかっていた為であるが、ヴェリアはそれを見据えて、ベルザフィリスに自分の力を見せつけ、留守に動けば真の罠が動くという疑心暗鬼にまで落とし、備えを万全にしてから大遠征を実行に移した。
しかし、今のメファイザスには、そこまでベルザフィリス国を封じ込める自信はなく、遠征を行う構想力、実行力、そしてベルザフィリス国に対する威圧において、自分がヴェリアに勝てないことをメファイザスは悟ったのである。

戦場においては勝利したものの、戦略構想においては自分はまだヴェリアに勝っていない事を自覚した彼は、勝利の余勢に乗る諸将の士気を挫かない為、一応遠征の決意はするが、その軍事目的は、ヴェリアの大遠征で奪われた都市の奪還と、国境の威圧に留まった。

9月に出陣したロー・レアルス国軍の遠征は、メファイザスゼノスガイアスガルダゾルデスクドゥバドルトンレザリア、そしてルーという錚々たる陣営で総兵力51200、対するロードレア国軍は国境に三方向から軍勢を集め、レイアスメネヴァノースイルの総兵力14800兵。
しかし、メファイザスの想像通り、ここでベルザフィリス国軍が横槍を入れて動き出す。



ロードレア国軍、ロー・レアルス国軍がにらみ合っている間にディルセアヴィルガスラゴベザスグレシアの総兵力50000の軍勢が一気にロー・レアルス国へ侵入するが、これを予見していたメファイザスは、11月18日にルーを総指揮官とした別働隊を裂いてベルザフィリス国軍にあたらせる。

ここでロードレア国軍が一気に本隊を投入すれば、ロー・レアルス国軍を撃退し、ベルザフィリス国軍と呼応しての再侵攻も可能な状況になると、バイアラスをはじめとする諸将がヴェリアに出陣を促す。
しかし、11月26日に行われた軍議でその案は却下された。
軍議の席に突如現れたルフィが「ベルザフィリス国とロー・レアルス国が戦い始めたのだから、相打ちして果てるまで見守りましょう」と言い、ヴェリアはもはや覇気を失い空ろとなった目で「アレスならそう言う、今は動かないことだ」と言い、軍議を終わらせた。
バイアラスは去っていく二人を見て、呆然としていた。
そして、アレスがそんなことを言うはずがないと洩らすと、静かに軍議の席を立ったという。
この時、ルフィの可愛がっていた愛鳥が風邪をひいていた為、ヴェリアを外へ出したくなかったルフィがその様な発言をしたと言われている。
ただし、この会話は後世の創作の可能性も高く、実際はメファイザスディルセアが内通させた反乱者の討伐で動けなかったという説が現在は有力である。
また、軍議の直前に酒を飲んだのもルフィの差し金であり、このことも前述の「復讐説」を裏付ける証拠としてよく取り上げられている。

こうして、好機を逃したロードレア国は、大遠征で奪った都市のほとんどを奪還されることとなる。
これらの都市は、遠征時の焦土作戦を受けている為、メファイザスケルスティンはすぐさま食料と報酬を配布し、更にこれらの都市を数年に渡り減税することで、「一連の戦いに勝利したのは君たちのおかげだ」という姿勢を見せ、民衆の怨嗟の声を避けさせた。

ベルザフィリス国軍は、ロー・レアルス国軍が思いのほか早く自分たちに軍勢を差し向けてきた事から、結局にらみ合いとなり大きな戦いはなく、この三つ巴の国境決戦は「対峙したまま決戦なく引き上げる」という、不思議な終わり方を迎えた。

戦いの結末

決戦なく終わった戦いだが、この後、一月の別離酒が起きる等、ロードレア国は、戦った結果ではなく、戦わなかった結果として、内部から崩壊していくこととなる。


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