クレアムーンが建国された時、水鏡莉奈の引き連れた流民の中には、ガルデス共和国からの亡命者も多く含まれていた。それらの返還を求めたガルデス共和国との間で、クレアムーンは何度も戦っている。
ラグライナ帝国という巨大すぎる共通の敵が現れたこともあり、一時は手を結んでいた二国だが、あくまでも「個々に帝国と戦う」だけで、連合を組んでいたわけではなかった。
そして、セルレディカ崩御により、帝国内乱戦争がはじまると、ルディとセリーナは、後方の脅威をなくすため、それぞれクレアムーン、ガルデス共和国と和議を結んだ。
これにより、ガルデス共和国とクレアムーンの間にくすぶっていた火種が再発火、更に、帝国内乱戦争が終わったとき、帝国と互角に戦える地盤が欲しいと思っていた両国の間で国境断絶事件が勃発する。
これにより、ガルデス共和国軍は、クレアムーンに電撃侵攻を開始する。
この頃、ガルデス共和国の議長はレディスであり、それを補佐したのがエヴェリーナであったが、ゴゥドが急激に力をつけ、派閥を強めていた。
これまでラヴェリアという巨大な存在が居た時は、決して抗うことなく、水面下で派閥を広め続けていた彼は、帝国内乱戦争勃発と同時に、露骨に動き出し、クレアムーン侵攻案も可決させた。
ラヴェリア事件以後、彼の知己であったゲイル、リナ、カオスは完全に疎んじられ、最前線はゴゥドの息のかかった軍人によって指揮することとなり、彼らは第二陣として配置される。
しかも、この時彼らに与えられた任務は「湾を奪取した後本土へ攻め込むための船を生産する」というものであり、戦いではなく雑用として使われるものであった。
ガルデス共和国からクレアムーンに攻め込むには、天然の要塞クレアの長城を抜かなければならなかった。
だが、それとは別に、サイザーン西部にあるレッド・ゲアル湾から、水路で直接ヒモロギへ攻め込むというルートも存在していた。
この頃、レッド・ゲアル湾は無人の地で、存在自体ほとんど知られていなかったため、ガルデス共和国軍は、この水路から奇襲を仕掛けるべく、密かにレッド・ゲアル湾へ行軍する。
だが、その作戦を見抜いていた柊飛鳥と成瀬風華は、レッド・ゲアルに到達した共和国軍に、伏兵部隊による奇襲を仕掛けた。
元々、レッド・ゲアル湾は、水鏡莉奈がクレアムーンを建国するときに、流民を引き連れて通ったルートであり、ガルデスにおいては未知の地でも、クレアムーンにとってはこのルートからの進軍は想定の範囲内であった。
隠密行動がすべて露見していたことから、ガルデス軍の前衛部隊は壊滅。
更に、勢いに乗って一気に追撃を開始、コーデルス付近に密かにガルデス共和国が建築していた砦を目指す。
ゲイルは、撤退する共和国軍を救出すると、このまま戦っても砦が奪われると判断し、建築中の砦に火をつけて、本国へと帰還した。
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