▲694年2月における勢力図
リッドゾーンの戦いに大勝利を収めたこともあり、アル国主ザグルスは上機嫌であった。
戦勝の宴を開くと、捕虜を引き連れて、ラミア、メリアと共に処刑していく。
ベルザフィリス国の将というのは、そのほとんどが元々アル国の将や民だったこともあり、裏切り者という思いがあったのか、それとも生来の性癖か、彼らの処刑は凄惨を極め、アルシェも激しい責め苦を受けて落命、宴席に出席したレガードやフィッツ達は、密かに眉をひそめたという。
これまでの連敗を、たった1度の勝利で完全に逆転したのかと思ったのか、ザグルスはこのまま一気にベルザフィリス国を攻め落とすと豪語する。
しかし、彼の矛先は突如としてロッド国に向けられることになる。
先年、和睦を結んだばかりにも関わらず、突如として行われた方針転換には、裏事情があった。
リッドゾーンの戦い敗北の報告を聞くとほぼ同時に、ディルセアが水面下で動き出す。
彼は、ロッド国との国境に密かに向かうと、現地で雇った農民に、ロッド国の旗をもたせて国境で派手に動かせると、今度はアル国の旗をもたせて、ロッド国の領内で動かし、両国の国境守備隊をおびき寄せ、鉢合わせにさせる。
そして、自身は農民の恰好をしてロッド国の陣営にかけこみ、「アルが和睦を無視して襲い掛かってきた」と説き伏せ、両軍を戦わせる。
この報告を聞いたザグルスは、怒り狂ってフィッツに出陣を命じる。
智将であるフィッツは、この時期の不自然な遭遇戦に謀略の可能性を指摘するが、一度頭に血が上ったザグルスを説き伏せることは誰にもできず、結局出陣する。
一方、ロッド国においても、ギザイアが疑問をもつものの、現実的に攻め込まれた以上、防衛側としては出陣せざるを得ず、ロードレア対策に集結中の部隊の一部を裂くしかなかった。
この戦いは、本人たちは意識していたわけではないが、ギザイアが作り出した和睦をディルセアが打ち砕く、間接的な二人の智将の戦いでもあった。
ザグルスは、リッドゾーンの戦いから続く連勝に上機嫌となるが、この戦いそのものが、ルーディア包囲網を弱体させる遠謀だということに気付いていたフィッツは、勝利に喜ぶことは一切なかった。
事実、この頃から防衛に回っていたベルザフィリス国が、再び攻勢に向かうこととなる。
なお、フィッツ帰還後、ザグルスの腹心が後続部隊として到着し、ロッド国の首都を目指してフィッツの残したなるべく戦うなという伝言を無視して全軍を北上させるが、ロッド国のシーヴァスに退路を断たれ、敵中に孤立して壊滅する。
ひとまずの脅威を掃ったロッド国だが、本来ならロードレア国との決戦の為、全軍を集結させる筈が、アル国への警戒に戦力を裂かなければならなくなる。
ザグルスは、リッドゾーンの戦いから続く連勝に上機嫌となるが、この戦いそのものが、ルーディア包囲網を弱体させる遠謀だということに気付いていたフィッツは、勝利に喜ぶことは一切なかった。
事実、この頃から防衛に回っていたベルザフィリス国が、再び攻勢に向かうこととなる。
なお、フィッツ帰還後、ザグルスの腹心が後続部隊として到着し、ロッド国の首都を目指してフィッツの残したなるべく戦うなという伝言を無視して全軍を北上させるが、ロッド国のシーヴァスに退路を断たれ、敵中に孤立して壊滅する。
ひとまずの脅威を掃ったロッド国だが、本来ならロードレア国との決戦の為、全軍を集結させる筈が、アル国への警戒に戦力を裂かなければならなくなる。
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