東方キャラとウフフにイチャつくまとめ

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 紅魔館、図書館の奥。

「はいこれ、頼まれてた薬」

 パチュリーは引き出しから取り出した小瓶を机の上に置いた。

「わあ、ありがとうございます!」

 深青の髪をふわりと揺らし、依頼主が小瓶を手に取る。
 身体を包むフリルたっぷりの和服風のドレスと、その裾から覗くきらきらした鱗、そして尾ひれ。
 館のすぐ傍にある湖で暮らす淡水人魚のわかさぎ姫だ。

「効果は服んでから3日しか続かないけど、歩くたびに痛んだりはしないはずよ。
 代償に声を取ったりもしないし」

 数日前にわかさぎ姫から依頼を受けてパチュリーが作ったのは、人魚の下半身を人間のそれに変える魔法薬。
 一時的でいいので人並みに動かせる脚ができれば、ということで、
 その手の魔法が比較的得意でないパチュリーにとってもさほど難しくない調合だった。

「もちろん、先に伝えたとおりタダではないけれど――持ってきてる?」
「はい、ちゃんと持ってきました。これ、お約束の御代。私のウロコです」
「確かに。やっぱり魔法の触媒としては新鮮な方が強力でね。
 ……差し支えなければ聞きたいのだけど、なんでこんな薬が欲しいのかしら?」

 問いかけに対して、わかさぎ姫は少し頬を染めた。

「…………そのう、彼のために」
「彼?」

 湖の人魚に人間の恋人がいる、というのは美鈴から聞いたことがあった。

「……ないものねだりする相手と付き合うと身を滅ぼすわよ」
「ち、違います! 彼が脚を生やしてくれって言ったわけじゃなくて、
 私が彼に一度、その、――――してあげたいなって思ったから」
「? なんですって? よく聞こえなかったわ」
「えと…………」

 問い詰めるパチュリーに、わかさぎ姫がうつむきながらか細い声で答える。

「…………だいしゅきホールド」

 "だいしゅきホールド"。
 正面から抱き合って性交する際に、挿入されている女性が挿入している男性の腰に両脚を巻きつける行為である。
 わかさぎ姫がそれについて知ったのは、何かの参考になればと人間の男女の交わりを描いた本を見ていたときだったという。

 恋人と深い仲になり、既に何度も身体を重ねているわかさぎ姫だったが、
 彼女にとっての最大限である二本の腕だけでなく、さらに二本の脚も使って抱きつく様子に感銘を受けたらしい。
 「二倍ですよ、二倍!」と彼女はパチュリーに興奮気味に語った。

「――それで、一度でいいから彼にしてあげたいな、って思ったんです。
 こんなに愛してるんだよ、って伝えたくって」



 何度も頭を下げながら帰っていく人魚を見送りながら、パチュリーはぼんやりと物思いにふけっていた。
 パチュリーにも、○○という恋人がいる。
 あけすけな話に花を咲かせるつもりもなかったので黙っていたが、
 わかさぎ姫達と同じように、これまでに数えきれないほどベッドを共にし、愛し合ってきた。

(愛し合って……きたかしら?)

 一方的に求められて渋々、というわけでは決してない。
 ○○を愛しているし、交わりは心にも身体にも喜びを与えてくれる。
 ただ、主に動くのはいつも○○で、パチュリーはほぼ完全な受け身。
 ぜんそくや貧血のせいもあるとはいえ、ベッドの上でも動かない大図書館だった。
 だからなのだろう。
 パートナーのために、直接かつ積極的に何かをしてあげようというわかさぎ姫が、パチュリーには少しだけまぶしかった。



「今日はその……顔を見ながら」

 前戯で高まった熱に喘ぎながら、パチュリーが○○に告げる。 
 
「うん、それじゃあ」

 ○○がベッドの端に腰かけ、パチュリーは魔法でわずかに身体を浮き上がらせる。
 普段館の中を動き回るときにも使っている浮遊の魔法だ。
 重力から解き放たれたパチュリーの肢体を、○○が手慣れた様子で膝の上に迎え入れた。
 自分の重みも含めて負担をかけないように、という○○の配慮で、
 正面から抱き合いたいときは対面座位が二人の基本的なスタイルだ。

「んっ――」

 身体の奥へ○○が入ってくる充足感を味わいながら、パチュリーは魔法を解いて○○に体重を預けた。
 首筋に顔をうずめ、○○の匂いを吸い込む。
 自分に付き合って長く図書館で過ごすせいで染みついた、古書と埃の匂い。
 長く図書館で過ごしていても消えない、人間の男らしい生命力に満ちた匂い。

「はぁ、あっ……あっ」

 ○○の動きはゆっくりと穏やかだが、膣内の弱い所を抉ってくる的確さに、思わず声が漏れた。
 パチュリーの半分も生きていない○○は、パチュリーの身体をすっかり知り尽くしている。
 そうしてなお一心に求めてくれる彼の愛に、パチュリーも応えたいと思った。

「ん……パチュリー?」

 快感で抜けそうになる両脚に力を込めて、○○の腰に絡める。

「○○っ……愛して、るっ……」

 普段は見せないパチュリーの行動に驚いたのか、一瞬○○の動きが止まった。
 が、すぐにパチュリーを抱きしめている腕に一層の力が込められる。
 
「俺も愛してる。大好きだよ、パチュリー」

 腰のグラインドが速まり、ラストスパートに向かう。
 粘り気のある水音が一際大きく響き始めた。

「パチュリーっ、パチュリーっ!!」
「あっ、んっ、○○、あっ、あああ、あああああぁっ!!!」

 膣奥で熱い迸りを受け止めながら、同時にパチュリーも達していた。



 二人で絶頂の余韻に浸る一瞬とも永遠とも思える時間が過ぎた後。
 力が抜けて身体が弛むのに従って、パチュリーも巻きつけていた脚を解こうとする。

「――いたっ」

 不意に、ふくらはぎにじわりと痛みが湧きあがってきた。
 気のせいかとも思ったが、確かな痛みが徐々に鋭くなってくる。

「いたたたたた」
「パチュリー!?」

 髪を梳いていた○○の手が止まる。 

「どうした、どこが痛いの? もしかして発作!?」
「…………あしが、つった」

 ほんの少しとは言え、慣れないことをしたせいか。
 思わず歯を食いしばり○○にしがみつくも、痛みは引かない。

「パチュリー、大丈夫?」
「だいじょうぶ、だけど……いたたたた」

 知識人として、脚が攣ったときは痛みをこらえつつゆっくりと伸ばすことで緩和できる、
 という対処法を読んだことはある。
 が、実際冷静にそうすることができるかはまた別の問題だ。

「どっちの脚? 右、左?」
「……左」
「左だと、えーとこっちか」

 残った左腕でパチュリーの腰を支えながら、○○が後ろに手を回してふくらはぎをさすってくれる。
 とりあえず挿さっているものを抜いて横になる、ということに二人が思い至るのは、もう少し後だった。


メガリス Data: 2019/01/20 02:09:17

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