東方キャラとウフフにイチャつくまとめ

「うぅ、さむっ……」

ぶるりと身体を震わせ、男――○○は独りごちた。
微かに唇が震え、その隙間から白い吐息が漏れ出る。
陽は既に沈んでいて、微かに雪もちらついている。
寒さに身を震わせるのも仕方が無かった。

「早く風呂に入りてぇ……」

○○の家の風呂は薪風呂である。
その為、入浴する前には今○○がしている様に薪をくべる必要があった。
火で水を沸かすという単純明快で分かりやすい手順にて水を沸かす構造ではあるが、同時に難点もある。
それは外で誰かが火の勢いがある程度安定するまで、薪をくべ続けなければならないという事だ。
という訳で、その任を○○が担ったのだが――。

「もっと燃えてくれぇ……」

先程から丸めた古新聞を突っ込んだり、燃え尽きた炭を掻き出したり、空気が入りやすい様に薪を積んでみたりしている。
だが、どうにも火の勢いが強くならない。
ずっとしゃがんでいたからか、足先の感覚が無くなってきているような気がした。
いや、足先だけではなく手先も悴んできている。
息を吹きかけて暖を取ろうとするが、焼け石に水と言った感じだ。
そこに追い打ちをかけるかのように、風が先程までより更に強くなった。

「〜〜〜!!」

思わず声にならない悲鳴が漏れた。
身体を震わせ、垂れてきた鼻水をすする。
その冷たさたるや、寒いを通り越して痛みを覚える程である。
だが、それが功を奏した。
投入口から吹き込んだ風で煽られ、火の勢いが強まったのだ。
これ幸いと○○は少し大きめの薪を何本か火の中へと投げ入れる。

「……うし、こんなもんか」

少ししてから○○は納得したのか、一人頷いた。
この勢いならば大き目の薪を投入してもしばらくは問題無く燃え続けてくれるだろう。
このまま四半刻ほど待てば問題無く入れる温度になるはずだ。
火の勢いを見届けたので投入口の扉を閉め、玄関の方へと足を進める。
そのまま玄関の戸を開けると、暖かい空気が頬を撫でた。

「はぁ〜あったけぇ……」

思わずしみじみとした声が漏れた。
囲炉裏の火によって暖められた室内の空気は、外と比べればまるで天国の様に暖かい。
暖かさによって身体から力が抜け、弛緩する。
同時に今まで無意識の内に力が入って強張っていたからか、仄かな疲労感が襲って来た。

「お湯の準備出来たぞー。もうちょい待てば入れるはずだ」
「ありがとうございます〜。今お茶を持って行くので少し待っててくださいね〜」

○○が台所の方に声を掛けると、可愛らしい声での返答があった。
その言葉に従い、蓑を脱ぎながら○○は囲炉裏の側へと腰を下ろした。

「○○さ〜ん、お待たせしました〜」

しばらくすると、台所の方から一人の可愛らしい少女がお盆を持って現れた。
腰まで伸びる金糸のように煌めく金髪。
着ている白い服の裾や袖には赤い線が描かれ、胸元には同じ赤色のリボンが可愛らしく揺れている。
背中には桜の花弁の様な薄い羽が生えており、彼女が人間では無い事を主張していた。
リリーホワイト――それが彼女の名前である。
幻想郷に春を運んでくる春告精であり、○○の愛しい恋人でもあった。
お盆を持ったリリーは○○の近くまで来ると、ゆっくりと座った。
お盆に載っていたのは湯のみが二つと急須が一つ。

「淹れるからちょっと待ってくださいね〜」

リリーは急須を持つと中の湯を回す様に軽く振り、湯のみに緑茶を注ぎ始めた。
こぽこぽと小気味の良い水音を立てながら、湯気が立つ緑茶が注がれていく。
気温が低いせいか、白い湯気は長く揺蕩った後に霧散していった。

「はい、どうぞ〜」
「おう、サンキュ」

緑茶を注ぎ終わったリリーが、湯のみを差し出してきた。
それを受け取った時、○○は妙な違和感を覚えた。
湯のみを受け取る時に触れた彼女の指先が、あまり温かく感じられなかったのだ。
今、自分の手は外の寒さのせいで冷え切っている。
つまり大体の物に触れれば暖かく感じられるはずなのに、だ。

「……? どうかしましたか〜?」

その様子を少し変に思ったのか、リリーが声を掛けて来た。
変に押し黙ってしまっていたからだろうか。
○○は湯のみを床に置くと、ちょっと悪いとひと声かけてからリリーの手を取った。
やはり、その手からはあまり温もりを感じられない。

「……ん?」

ふと、彼女の手が普段よりも赤い事に気が付いた。
そして僅かにだが、湿り気を感じられる。

「ああ、実はさっきまで洗い物をしていたんですよ〜」

リリーが少し困ったような笑みを浮かべながら言った。
洗い物というのは、夕食で使った食器の片付けの事だろう。
そうなると当然水を使って、水に手を浸す事になる。
手が赤かったり、手に湿り気を感じられたのはそのためだろう。
外より暖かい屋内といっても、この時期の水仕事は辛いだろう。
特に水に浸る手の部分に関しては外で作業をしていた○○と同じくらい、いやそれ以上に冷たさを感じていたのかもしれない。
そう思った○○は、リリーの手を自身の両手で包むように優しく掴んだ。

「そっか、お疲れ様。ありがとうな」

そう言いながら掴んだ手を擦る。
冷えた手を温めるように、苦労を労わるように。

「えへへ……」

リリーは嬉しそうに頬を緩ませ笑った。
若干の照れくささもあるのかもしれない。
今はあまり寒くないというのに、頬が少しだけ紅くなっていた。

「さて、折角淹れてもらったんだから冷めない内に頂きますかね」

そう言って床に置いていた湯のみを再び手に取った。
両手で掴むように持ち、陶器越しに伝わってくる湯の熱を享受する。
温石代わりにして血行が良くなったからか、チリチリと痒みにも似た感覚が指先に走る。
だが、この感覚は嫌いでは無かった。
手で湯の温かさを楽しみながら、ゆっくりと湯のみを口へと運んで緑茶を啜る。

「はぁ……あったけぇ」

冷え切った身体に温かい緑茶が染み渡る。
温かい温度と緑茶の渋味を楽しんでいると、リリーが手に持っていた湯のみを床に置いてこちらへ近寄って来た。

「どうしたんだリリー……ってうぉ!?」

突然○○が驚いた声を上げた。
何故ならば、リリーが突然抱き着いてきたからだ。
思わず○○の手に持った湯のみから緑茶が零れそうになったが、何とかこらえる。

「な、なんだよ?茶が零れるかと思ったぞ」
「こうした方がもっとあったかくなりますよ〜」
「それにしてもだなぁ……」

思わず文句を言いそうになるが、二の句が継ぐ事は無かった。

「えへへ〜」
「ハァ……ったく」

嬉しそうに笑いながら身体に顔を擦り付けてくるリリーを見ていたら、いつの間にか毒気を抜かれてしまっていた。
女子のそんな顔を見せられて、文句を言える男など居ないだろう。
それが愛しい恋人のものなら尚更だ。
呆れた声を出しながらも、○○の顔もどこか満更でもなさそうに見える。
持っていた湯のみを床に置き、両手で優しくリリーの身体を抱き返した。

「まあ、確かに温かいな……」

衣服の布越しに彼女の温もりが伝わってくる。
今この寒い冬において、身体を寄せ合うというのはあながち間違いではないのかもしれない。
○○は少しだけ力を入れて抱きしめながら、頭を優しく撫でてやる。

「んんぅ……ふふ、○○さんの身体あったかい……」

リリーが心地良さそうな吐息を漏らして笑った。
彼女も嬉しいのかもしれない。
もっとしてと言わんばかりに、身体を密着させてくる。

「○○さんの心臓、ドキドキ鳴ってます」
「……それはお前もだろ」
「ふふ、そうかもしれないですね〜」

気恥ずかしくて茶化したが、○○の心臓の鼓動は確かに早くなっていた。
リリーを抱きしめているというのもそうだが、彼女の体温やどこか艶っぽい吐息や胸元に押し付けられる柔らかい感触が彼の胸を高鳴らせていた。
だが、○○の異変はそれだけでは無かった。

(なんか熱い、な……)

今、○○の身体は火照りを感じていた。
理由は言うまでも無いだろう。
男としての欲求――本能と言っていい物が彼の内側で目覚めつつあった。
このままではいずれその本能に身を委ねてしまうだろう。

「あの、○○さん」

不意にリリーが声を掛けてきた。
彼女に声を掛けられたことで、暴走しかけていた意識が何とか引き戻される。

「な、なんだ?」
「そろそろお風呂入れると思いますよ〜」
「……そうか、もうその位時間が経ったのか」

いつの間にかその位の時が経っていたらしい。
過ぎた時間の割には濃密な時間を過ごしていたように思えた。
とにかく、風呂に入れるようであるのならば話は早い。

「風呂先に入るか? お前は寒いの辛そうだし」

リリーに先に風呂に入るよう促す。
春告精である彼女にとっては、冬の寒さというものは何度経験しても慣れないものだろう。
正直自分も早く入りたい所ではあったが、ここは男の甲斐性を見せるべき所だと思った。

「そうですね〜、それじゃあ先に……あっ、そうだ!」

突然、リリーは何かを思い付いたかの様に声を弾ませた。
上げた顔は楽し気な笑みを浮かべている。

「良い事思い付いちゃいました。○○さん、お風呂一緒に入りましょう〜」
「……え?」

思わず呆けた声が出た。
言葉の意味自体は勿論分かる。
だが、人間は突拍子も無い事を言われると思考が停止してしまうものらしい。
一瞬の間の後、○○はなんとか思考の平静を取り戻した。

「い、いきなり何言ってんだよ」
「だって今日とっても寒いから、一緒に入ればあったかいと思うんですよ〜」

ついでに時間が短くなるから薪も節約出来るから、とも。
何を言い出しているんだと、○○は少し戸惑っていた。
そもそも一緒に風呂に入ったからといって、より温かくなるという道理など無い。
だが、同時に心のどこかでそれを期待していた感情が全く無い訳では無かった。
一緒に風呂に入る――それがどういう状況なのかは言うまでも無い。
そして先程までの抱擁で、○○の中の欲求は未だ消えず残り続けていた。
期待してしまっているのか、無意識に口角が上がりそうになる。
それを必死に抑えながら、○○は口を開いた。

「ああ、そうだな……じゃあ、一緒に入るか」
「ハイ!」

リリーの顔に笑顔が弾ける。
結局、一緒に風呂に入るという甘い誘惑に抗う事は出来なかった。

「それじゃあ、行きましょう〜」

そう言うとリリーは立ち上がり、手を差し出してきた。

「はいはい、分かったよ」

○○は彼女の手を取り、立ち上がる。
そして、彼女の手に引かれる様に風呂場へと向かうのだった――。

―――
――


風呂場隣の脱衣所、そこで○○は衣服を脱ごうとしていた。
だが、その手際は妙に緩慢である。
その理由は彼の心中がどこか悶々としていたからだ。

(いざ脱ごうとすると、妙に気恥ずかしいな……)

○○の隣にはリリーが言うまでも無く居る。
今までに彼女とは一緒に入浴する機会もあったし、もっと言えば愛し合う事も幾度となくあった。
つまり、互いに裸体を晒し合う云々で今更どぎまぎするものでも無い。
だが、『入浴の為に一緒に脱衣をする』という状況は今回が初めてだった。
先程までの居間で行われていた事もあり、どうにも落ち着かない。
彼女の方はどうなのかと横目で様子を伺うと、特に何事も無かったような様子で服を脱いでいた。
むしろどこか楽しげな様子にも見える。
鼻歌を口ずさみながら胸元の赤いリボンを解き、肩に掛かっていたケープを外す。
そして、上衣のボタンを一つずつ外し始めた。

「…………」

その光景から、目を離す事が出来なかった。
一つボタンが外れる度に衣服が緩み、胸部が少しずつ肌蹴る。
不意に衣服の間から薄い桜色の下着が垣間見えた。
瞬間、○○の胸が僅かに高鳴る。
それは乙女の秘めている綺麗なものを見てしまった事に、背徳感に近いものを覚えたからかもしれない。

「んしょっと……」

見惚れている○○にも気付かず、リリーはボタンを全て外して惜しげもなく上半身を晒した。
露わになったのは薄い桜色のブラジャー。
縁や肩紐には白いフリルが施され、中央には赤いリボンの装飾があしらわれていた。
そして、その下着が包み込む豊かな双丘。
人間より小柄な妖精という事を差し引いても、男を夢中にさせるには十分過ぎる程の大きさである。
ブラジャーによって理想的な形に整えられた豊かな膨らみは、魅惑的な谷間を作り出している。
こんな光景を見せられて、視線が釘付けにされない男など居ないだろう。
上衣を脱衣籠に入れたリリーは、そのままスカートの留め具も外し始めた。
そしてある程度外したところで、重力に引かれて床へ落ちる。
露わになったのはブラジャーとお揃いのショーツ。
こちらも同じ様に白いフリルが施されている。

「じゃ、じゃあ俺は先に行ってるからな」

突然○○がそんな事を言った。
脱ぎかけだった衣服を素早く脱ぎ捨て、腰回りをタオルで隠しながらそそくさと風呂場へと向かう。
正直、危なかった。
あのまま見続けていたら理性の関係上、風呂に入る前に脱衣所で何か起こってしまっていたかもしれない。
それが無いにしても、股間の状態がマズイ事になりつつあったというのもあるのだが。

「さむっ……!」

戸を開けた○○を襲ったのは、風呂場に立ち込めた冷気だった。
流石に外の寒さ程ではないが、こちらは一糸纏わぬ状態である。
思わず身体が縮こまり、肌が粟立つ。

「うぅ、これはキツイな……」

とにかく少しでも寒さを和らげようとして、○○は湯船の風呂蓋を開けた。
開けた瞬間、湯船から湯気が勢いよく舞い上がる。
どうやら湛えられた湯の加減は丁度良いようだ。
その湯の中に風呂桶を入れて湯を掬い、自分の身体に掛ける。

「くあぁ……あったけぇ……」

寒さに晒された身体にその温かさは、あまりにも素晴らしいものだった。
思わず感激の声が漏れる。
何回か湯を浴びると、今度は床へとまき散らす。
しばらくすると風呂場の中は湯気が立ち込め始めた。
床は僅かだが温まり、立ち込めた湯気で多少は寒さが和らぐだろう。

「さて、じゃあまず身体でも洗うか……」

入浴する前に身体の汚れを落とそうと、石鹸に手を伸ばそうとした瞬間――

「うぅ……やっぱりお風呂場は寒いですね〜」

身体をタオルで巻いたリリーが入って来た。
当然と言えば当然だが、タオルは胸元から太もも辺りまでを覆い隠している。
つまり、その部分以外は素肌が露わになっている訳だ。
胸を覆い隠してなお豊かな膨らみが見える胸元と谷間、うっすらと見える鎖骨、華奢な肩口、白い首筋。
湯に浸からない様に撫で上げられた髪の毛。
普段と違う髪型の新鮮さと、どこか扇情的な躰の部位によって○○は思わず生唾を飲み込んだ。

「あ、ああそうだな……というか二人一緒に入って来てどうするんだよ?片方が身体洗っている間、もう片方は寒い中待っていないといけないぞ?」

○○の家の風呂場はお世辞にも広いとは言えない。
浴槽の方はまだ二人で入っても何とか問題無い大きさなのだが、洗い場の方は二人が並んで身体を洗うには少し狭い面積である。
強いて言うのならば、立ったままで身体を洗うというのなら何とかなりそうなのだが――。

「だったら洗いっこすれば良いんですよ〜」
「あ、洗いっこ……?」

リリーは事も無げにその解決法を笑顔で話した。
もっとも、○○としては思わずオウム返しをしてしまうくらい想定外の回答だったのだが。
未だに混乱で動きが止まっている○○も気にせず、リリーは彼の横を通り過ぎる。
そのまま石鹸と手拭いを手に取り、桶に湯を注ぐと泡立て始めた。

「すぐに泡を作っちゃうのでちょっと待ってくださいね〜」
「お、おう……」

さも当然の事の様に言われてしまい、気の抜けたような返答しか出来なかった。

(洗いっこ、ねぇ……)

先程彼女に言われた提案を脳内で反芻する。
確かに互いの身体を洗い合うという事ならば、立ちながらという事になるので広さの問題は無くなる。
だがそれならばただ立って洗えば良いだけなのではないか、という疑問も少なからず浮かぶ。

「ふんふんふふ〜ん、あわあわ〜」
「……まあ、いいか」

だが、楽しげに泡を立てている彼女の姿を見ていたらそんな事はどうでもよくなってきてしまった。
ふと、泡を作っているリリーを覗き込んでみる。
髪が撫で上げられている為に見える白いうなじ。
そして僅かに見える白い背中。
これから彼女の身体を洗う上で触る事が出来ると考えると、少しだけ興奮を覚えた。

「はい、出来ましたよ〜」

泡が出来上がったのか、リリーが桶を持ち上げて○○へ差し出してきた。
桶の中には空気をたっぷりと含んでふっくらと膨らんだ濃密な泡が山盛りになっている。

「うお、凄い泡だな」
「えへへ、泡立てる時にちょっとコツがあるんですよ〜。さあ、手で掬ってください〜」
「え、手で?タオルとかに付けないのか?」
「タオルより手で洗った方がお肌が傷つかないんですよ〜」
「そ、そうなのか……」

言われた通りに○○は手で泡を掬う。
手がふわふわとした柔らかい感触で包まれる。
手で触れても泡はへたれて水っぽくなる様子も無い。
そのまま掬った泡を自分の胸元辺りに塗りたくろうとした時――。

「あ、違いますよ〜。リリーの身体に塗ってくださいね〜」
「え……えっ?」
「洗いっこなんですから、互いに泡を塗り合わないとダメですよ〜」

リリーは笑いながらさも当然の事の様に言っているが、○○の方は困惑していた。

(コイツの身体に塗るって言ったって……)

彼女の身体には胸元までを覆うようにタオルが巻かれている。
当然、泡を塗れる肌が露出している面積は少ない。
肌が露出している箇所は肩回り、首回り、腕、そして――胸元。
仕方なしに、まずは彼女の手首辺りから腕へと泡を塗っていく。
そのまま二の腕から肩周りへ。

「んっ……ちょっとくすぐったいです〜」

首回りに泡を塗っている所でリリーがくすぐったかったのか声を出した。
そこはかとなく艶っぽい吐息に○○の手が一瞬だけ止まった。
一瞬の静止の後、再び手を動かし始める。
残る部位は谷間が出来ている胸元のみ。
その時○○は気付いた。
身体を覆うタオル、それを留めているタオルの織り込みが緩んでいる事に。
少しでも触れたら織り込みが外れてしまう――そう思わせる程の危うい緩さだ。
もし――もし泡を塗る際に誤って手がこの部分に触れてしまったらどうなるのだろうか?
そんな邪念が○○の中で渦巻く。
泡を塗っている手が『偶然』滑り、タオルに手を引かっけようとした時――。

「じゃあ今度はリリーが泡を塗ってあげますね〜」
「あ、ああ……」

リリーによって泡の入った桶を受け渡されてしまった。
どこか悶々とした気分が○○の胸中で燻ぶる。
そんな○○の苦悩など知る由も無しに、リリーが彼の身体に泡を塗り始めた。

「○○さんもあわあわ〜ふふっ」

楽しげに○○の身体に泡を付けて塗っていく。
彼女と違って○○の方はタオルで隠している部分が腰回りだけの為、泡を塗れる箇所が多い。
なのであっという間に彼女より身体が泡塗れになった。

「こんな感じですかね〜。じゃあそろそろ洗いましょう〜」

十分泡が濡れたと判断したのか、リリーが桶を再び受け取ると脇の床に置きながら言った。

(洗うって言ったってなぁ……)

○○は少し困惑した様に、泡に塗れた手を彷徨わせる。
泡を塗る時にも思った事だが、リリーの肌が露出している箇所は少ない。
当然洗うとしても、それが出来る範囲は限られてしまう。
その身体を覆っているタオルを剥ぎ取る事が出来れば話はまた変わってくるのだが――。
勿論そんな不躾な事を出来る訳もなく、仕方なく彼女の肩周りを洗い始めた。
グチュグチュと、泡が潰れる微かな音と粘ついた音が風呂場に響く。
だが、やはりと言うべきか他に洗うべき場所がもう無くなってしまった。
一方のリリーはと言うと、まだまだ洗える箇所が残っていそうである。

「なあリリー、このままだと洗える場所が、あぅっ……!」

突然○○が情けない声を上げた。
その理由はリリーの指が彼の乳首を弾いたからだ。
始めは腰や腹回りを洗っていた彼女の手は、いつの間にか胸元辺りまで上がってきていたらしい。
だが胸元を洗っていたから偶然、と言う訳でも無いようだ。
その身体を洗う手と指は明らかに、そして執拗に乳首に這わされる。
乳首――男にとっては退化し生き物としては不要になった部位。
だが男であっても快感をより感じられる敏感な部位である事は女と同じだった。
滑る指先で乳首を擦り、転がし、捏ね繰り回される。
時折摘まもうとするが、泡で滑って弾かれる。
そんな様々な刺激を与えられ、○○は快感に耐える事しか出来ない。
だが声は辛うじて抑えられるが、身体が無意識の内に震えてしまうのはどうしようもなかった。

「どうしたんですか○○さん?洗っているだけなのに身体がビクビクしてますよ〜?」
「分かってんだろう、がっ……」

リリーはニヤニヤした笑顔を浮かべながらこちらを見上げてくる。
どうやら意図的なのは間違いなさそうだった。

(く、そ……)

強い口調で言い返してみたつもりだったが、思いのほか言葉に力が篭らない。
このままではいいようにされ続けてしまうだろう。

(こうなったら……)

もう手段は選んでいられなかった。
相手がそういう手で来るのなら、こちらも同じ手を使うだけだ。
○○は緩慢になってしまっていた手をリリーの肩辺りまで移動させる。
そして――。

「あっ、手が滑った」

自分でも分かる程のわざとらしい間の抜けた声。
同時に手は滑るように下に向かい、彼女の身体を覆うタオルの縁に当たる。
ある程度の速さで織り込みが緩いタオルに手が当たってしまったらどうなるか?
答えは火を見るよりも明らかだった。

「ひゃっ……!?」

リリーの驚くような声と、タオルが床に落ちるのはほぼ同時だった。
突然の出来事に彼女の手の動きも止まる。
そしてタオルによって覆い隠されていた豊かな双丘が露わになった。
たわわに実った、白く柔らかそうな乳房。
桜色の乳首は今までの行為で少し興奮していたのか、僅かに隆起していた。

「あはは、タオル取れちゃいましたね〜……」

リリーが困ったような笑みを浮かべる。
心なしか頬がほんの少しだけ紅くなっている様に見えた。
ただ、あの留め方はどう考えても「敢えてしていた」としか思えない。
つまり、このような展開になる事を考えていたという事だ。
ならばその考えに乗ってやる事にした。
泡に塗れた手を動かし、二つの膨らみをむんずと鷲掴みにした。

「ひゃんっ!?〇、○○さん……?」
「ここもしっかりと洗わないとな」

先程までタオルに覆われていた部分は当然ながら泡が付いていない。
ならば、身体を洗う為には泡を塗る必要があった。
つまりこれは身体を洗う為に必要な行為で、決して厭やらしい行為ではないのだ。
一度胸部に泡を塗りつけた○○は、そのまま彼女の腹部や脇腹辺りにも泡を塗り付ける。
だが、それもそこそこに泡を塗りつける手は再び双丘へと這い戻って行った。
この部分は特に入念に洗う必要があると○○が判断をしたからである。
それ以外に他意など、無かった。

「あっ、んんっ……!」

胸を掴む指に力を入れると、泡でぬるりと滑り抜ける。
膨らみを覆う掌もぬるぬると滑り、素手で触る時とまた違った感触だ。
普段以上によく滑るので、硬くなっている乳首も普段以上に擦れて刺激される。
その度にリリーの身体はビクリと震え、艶めかしい吐息を漏らした。

「○○さ、ん……洗い方がやらしいですよ〜……んぁっ……!」
「何のことだよ?俺はただ丁寧に洗っているだけだぞ?」

先程までのお返しと言わんばかりに、露骨にニヤついた笑みを浮かべながら○○は返す。
表情を隠すつもりは微塵も無いようだ。
リリーの扇情的な姿を見つつ、手に広がる柔らかな感触を楽しむ。
泡で滑ってすぐ手から抜け出してしまうとは言え、やはりその柔らかい感触は格別だ。
むしろいつもとは違う滑るのも相まって、普段とはまた違った感触に夢中になる。
男を虜にする魔性の柔らかさ、それに中てられて興奮が高まる。
そして興奮は、冷静さと注意深さを失わせる。
快感に身体を震わせながらも、リリーの手が○○の身体のある部分に伸ばされている事に気が付かなかった。

「それじゃあお礼に……んんっ、○○さんのココも洗ってあげますね〜」
「……え?あ、おい!」

リリー言われて○○はようやく気が付いた。
彼女の手が、自身の腰に巻かれているタオルを掴んでいた事に。

「それじゃあ、それ〜!」
「おわ、馬鹿お前!」

○○が手で抑えるよりも早くタオルは剥ぎ取られてしまった。
露わになったのは先程までの行為と興奮で怒張し、浅ましく反り返っている肉棒だった。
獲物を求める蛇のように鎌首をもたげた肉棒は、脈動に合わせて僅かに震えている。

「ここは特に丁寧に洗わないといけませんね〜……」
「あぐっ……!」

リリーはその幼げな顔に見合わぬねっとりとした目つきでこちらを見上げながら、○○の肉棒を両手で掴んだ。
敏感な部位を他人に掴まれ、彼の口からは呻きにも似た声が漏れる。
そんな様子を楽しげに見つめながら、リリーはゆっくりと手を動かし始めた。
泡に塗れた手によって、洗うように扱かれる。
塗せられた泡は手と肉棒の間の摩擦を奪い、普段以上の勢いで滑るように擦る事を可能にする。
つまりそれは普段以上の快感を生み出される事を意味していた。

「ふっ、うっ……!」

早い手の動きにグチュグチュと粘ついた音が立つ。
更に肉棒だけでなく陰嚢にも手が伸ばされた。
柔らかな陰嚢を撫で擦り、優しく揉み解してくる。
乳首を弄られている時とは比べ物にならない快感に、思わず○○の腰が引けそうになる。
だが、無意識に身体が震えてしまうはどうしようも無い。

「ふふ……○○さんのおちんちん、とっても洗いやすくて助かりますよ〜……」

そんな様子を見て、リリーは再びニヤニヤとした笑みを浮かべた。
怒張した肉棒は確かに掴みやすく、洗いやすいのだろう。
容赦の無い勢いで肉棒のみを洗浄され続ける。

(こい、つ……)

ここまでされてもう容赦するつもりは無かった。
○○も自身の手をリリーと同じように彼女の下腹部辺りへと伸ばす。
そして、一切の躊躇無く指を突き挿れた。
女性の最も神聖で重要な箇所――秘所に。

「ひんっ!?」

直後、甲高い悲鳴が浴室に響いた。
リリーは身体を大きく震わせ、目を大きく見開く。
刺激が強すぎたのか○○の肉棒を洗う手の動きが止まった。
○○はその瞬間を見逃さなかった。
秘所に突き挿れた指を曲げ、小刻みに動かし始める。

「ひっ、あっ、あぁっ……!」

突き入れた指の動きに合わせて、リリーの身体がビクビクと震える。
次第にクチュクチュと粘ついた音が立ち始めた。
ただ、その音は泡によって立つ音とは少し違う様だった。
リリーの太ももを液体が滴り垂れ始める。
その液体は、少なくとも泡が液化したものではなさそうだ。

「やっ、○○さんっ、止め、ぇ……」
「なんだよ、お前のココもこんなに洗いやすくなってるじゃねぇか……!」

興奮と征服感からか無意識の内に口角が上がり、引き攣るような笑い声が漏れる。
下卑た笑みを浮かべている自分が安易に想像出来た。
暫く○○による攻めの快感に翻弄されるリリーだが、それでも懸命に手を再び動かし始めた。

「あっ、ふっ、ぅ、んぅ……」

互いに互いの最も敏感な箇所を弄り、慰め合う。
泡によるものではない淫らな水音と、二人の艶っぽい吐息が浴槽内に響き始めるのに時間は掛からなかった。

「○○さ、ん……」

リリーが蒼い瞳を潤ませながら見上げてくる。
快感のせいか頬は紅潮し、緩く開かれた口から熱っぽい吐息が漏れる。
そんな時、リリーが不意に身体を密着させてきた。
何かをねだる様にか細い喘ぎ声を出し、身体を僅かに捩らせる。
今の○○には彼女が何を求めているのか分かった気がした。
何故なら、自分自身も『それ』を欲していたからだ。
無意識の内に自分の唇を舐め、咥内に溜まった唾を飲み込む。
リリーは目をゆっくりと閉じ、背伸びをして顔を近づけて来た。
○○も彼女の身長に合せるように身体を少し屈め、自身の顔を近づける。
そして、ゆっくりと唇を重ねた。

「ん、ちゅ、ちゅぷ、じゅる、ちゅる……」

二人が舌を絡ませ始めるのに時間は掛からなかった。
だが、口付けをしながらも二人は互いの性器を愛撫するのを止めない。
口付けをし合う口元からも、互いに愛撫し合う下腹部からも粘ついた淫らな水音が響き始めた。
やがて愛撫が激しくなっていくのに合わせて、二人の口付けも濃厚で激しいものへとなっていく。
それは与えられる快感に中てられたからなのか、性器に与えられる快感を紛らわす為なのか、あるいは与えられる快感を相手に伝える為なのか――。
いずれにせよ、二人の性感は少しずつ高まっていく。

「ちゅ、んんぅ……!○○さ…私、もう……!」

先に変化があったのはリリーの方だった。
不意に顔を振り、切羽詰まった声を上げる。
もうすぐ限界が近いのだろう。
彼女の手も震えて、動きもほとんど止まってしまっている。
ならばとばかりに、○○はリリーの秘所に突き入れていた指の動きをより激しく動かし始めた。
同時に彼女の反応が最も良かった箇所を執拗に責める。

「あっ、あっ、あぁっ……!」

リリーは身体をガクガクと震わし、秘所を責める○○の手の手首を両手で掴む。
もはや四肢に力が上手く入らず、掴んだ部分を支えに辛うじて立っているといった状態だった。
そして――。

「あっ、ひっ、んんぅ――!!」

身体を慄かせ、彼女は達した。
力が抜け、身体が崩れ落ちそうになるリリーを○○はしっかりと抱き留める。
彼の身体に縋り付く様に抱き着き、荒い呼吸を繰り返す。

「……大丈夫か?」
「は、はぃ……」

リリーの身体を優しく撫でながら聞くと、彼女は答えた。
まだ泡が残る身体を擦ってみると、少し冷えてきている様だった。
互いに身体を洗い合い始めて、それなりの時間が経っていたようだ。
このままだと身体全体が冷え切ってしまうかもしれない。

「身体も洗えたし、そろそろ風呂に入るか……一緒に」
「そうですね……えへへ……」

ふにゃりと顔を蕩けさせ、彼女は笑うのだった――。

―――
――


「んん、ちゅ、ちゅぷ、れる、じゅる……」

水が跳ねる音と共に、粘ついた水音も浴室に響く。
共に湯で泡を流した二人は、湯に浸かりながら再び濃厚な口付けを交わしていた。
湯に浸かる○○に対して、リリーは彼の首に腕を回し抱き着くようにして唇を重ねている。
やがて口付けを十分に堪能したのか、彼女はゆっくりと顔を離した。
二人の口の間に銀色の糸が掛かり、重力に引かれて途切れる。

「ん……ふふ、今度はリリーが○○さんを気持ち良くしてあげますね〜……」

目を細め、婀娜っぽいな笑みを浮かべながら彼女は言った。
その妖艶な姿を見て、○○の背筋にゾクリとした物が走る。
リリーは再び顔を近づけてくる。
だが今度は自身の唇を○○のそれにではなく、頬に口付けた。

「ちゅっ、ちゅう、じゅぷ、ぴちゅ……」

僅かに音を立て、舌先で舐りながら彼の肌を吸い立てる。
そのまま頬からゆっくりと下に降りて行き、首筋へ。
むず痒い快感に、○○は少しもどかしげな吐息を漏らす。
口付けをし続けながら、リリーはゆっくりと身体を動かし始めた。
○○の両脚の間に身体を入れ、正座の様な体勢のまま膝を彼の身体の下へと潜り込ませる。
○○は腰を浮かせる形になり、水面から身体の前面が浮かび上がった。
その水面から新たに現れた身体にも唇を這わし、啄み続ける。
首筋から胸板、そして乳首へ。

「……っ」

敏感な箇所を啄まれ、○○の身体が思わず跳ねる。
その様子を見てリリーは小さく笑った。
なおも乳首を唇と舌先で弄びながら、視線をこちらに向けてくる。
目を細めながら向けてくるその視線は、どこか嗜虐的な光が宿っていた。
与えられ続ける快楽に曝され、心地良い加減の湯に浸かる事で彼の反抗心は蕩けていく。
妖しい目の光に中てられたのもあるのか、○○は観念したかの様に身体から力を抜いた。
楽しそうに笑みを零しながら、リリーは乳首への責めを続ける。
更にもう片方の乳首へと指を這わせ、愛撫を開始した。

「ふふ……ちゅぷ、じゅ、れる、ちゅう……」

指先で○○の乳首を転がし、引っ掻き、摘まむ。
二か所に与えられる快感をただ受け入れるしかない。
無意識の内に身体は震え、口から悩まし気な吐息が漏れた。
そんな○○の様子をある程度楽しんだのか、リリーは再び唇を彼の身体に這わしていく。
乳首から腹部、鼠蹊部を経て更に身体の下の方へ向かって行く。
そして、ある箇所へと到達した。

「ふふ、○○さんのおちんちん元気になっていますね〜……」

与えられる快感によって怒張した肉棒。
先程まで身体を洗われていた時と同じように鎌首をもたげ、反り返っている。
肉棒を掴んで弄ぶように軽く扱いていたリリーは、顔をゆっくりとそれに近づけていく。
そして、肉棒の付け根辺りに口付けた。
そのまま先端の方へと唇をゆっくり移動させていく。
音を立てて啄み吸い立てながら、舌を這わせる。
先端に向かうにつれ、それらによる快感の度合いが大きくなっていく。
そして遂に、その度合いが最も大きくなる部位へと到達した。
肉棒の先端、赤黒く膨張した亀頭へと。
そのグロテスクと言っても差し支えない亀頭を、躊躇無く口に含んだ。

「あぁむ……じゅ、じゅる、れる、じゅるる……」

咥内で亀頭に舌を絡ませ、唾液を塗す。
吸い立てながら顔を上下させると、唇の間からじゅるじゅると厭らしい水音が響く。
肉棒を舐られる快感に合わせ、その厭らしい水音を聞かされて○○の興奮は更に昂り、吐息が漏れる。
リリーは亀頭だけでなく、更にその先まで咥内へ飲み込み始めた。
少し苦し気な息を漏らしながらも、ゆっくりと小さな咥内に咥え込んでいく。
やがて限界まで咥え込んだ所で顔を上げ、今度は咥内から抜き出し始めた。
そして雁首の辺りまで戻った所で再び咥え込み始める。

「じゅぷ、じゅる、じゅるる、ぐぷ、んぐ、んんぅ……」

始めはゆっくりだった口淫の動き。
だが、その動きは徐々に速くなり始めた。
顔が上下する度に肉棒が舐られ、しゃぶられ、吸い立てられる。
ゆっくりでも思わず吐息が漏れてしまうほどの快楽が与えられるにもかかわらず、その動きが速くなるとどうなってしまうのか。
答えは、言うまでも無いだろう。

「あっ、ぐっ、ふ、ぅ……!」

もはや吐息どころか呻きに近い声すら抑える事が出来なくなっていた。
浴槽の縁を掴んで抑えようとするが、焼け石に水である。
腰もリリーに腕を回され掴まれてしまっている為、身を捩って快感を逃がす事も出来ない。
為す術も無く快楽に曝され、○○の性感は徐々に高められていく。
このままならばそこまで時間も掛からない内に絶頂に至る事になるだろう。

「ちゅ、ちゅう、じゅる……ぷはぁ……ふふ」

だがリリーはその前に口から肉棒を離した。
亀頭と彼女の唇の間に粘ついた唾液が糸を引き、目を細めて婀娜っぽい笑みを浮かべる。。
その淫猥な光景に、刺激を与えられていないにもかかわらずビクビクと震える。
――実は彼女は妖精では無く淫魔の類ではないだろうか?
ぼんやりとそんな考えが蕩けた思考の中で浮かんだ。

「○○さん、リリーが服を脱いでいる時ずっとおっぱい見てましたよね〜?」
「え?いや、それは……」

思考が蕩けていたのもあるかもしれない、突然のリリーからの問いかけに○○は狼狽した。
バレない様に盗み見ていたつもりだったのだが、見事に露見していたらしい。

「ダメですよ〜気を付けないと。女の子はああいう視線には敏感なんですから〜」
「う、うぅ……」

バレてしまった気恥ずかしさといたたまれなさからか○○の視線は泳ぎ、口からは意味を為さない情けない呻き声しか出せない。

「くすくす……しょうがないですよね〜、○○さんおっぱい大好きですもんね〜」

そんな彼の様子が可笑しかったのか、リリーは淫魔の様に艶っぽい笑みを浮かべた。
上目づかいで○○を見つめながら、身体をゆっくりと動かし始める。
湯から身体を少しだけ出し、彼の両脚の間に更に身体を入れる。
少し身体を動かした所である程度良い位置が見つかったらしい。
その場所とは○○の肉棒の位置がリリーの胸付近へ来るような場所。

「それじゃあ、○○さんの大好きなおっぱいで気持ち良くしてあげますね〜……」

そう言うとリリーは、彼の肉棒を挟んだ。
――自身の胸の双丘で。

「く、ふぁ……」

思わず声が出た。
掌や咥内で扱かれる時とは全く違う、柔らかな感触。
手で揉みしだいていた時と同じ魅惑の柔らかさを、肉棒全体で感じる。
双丘の谷間で、○○の肉棒はビクビクと震える。

「ふふ……○○さんのおちんちん、ビクビクしてますよ〜……」

リリーは小さく笑うと、両手で双丘を左右から搾るように押し動かし始めた。
谷間の肉棒は左右から挟まれ、押し潰される形になる。
柔らかい感触に包まれ、揉みくちゃにされる。

「んん、んしょ、んんぅ……どうですか?気持ち良いですか〜?」

動かす度に双丘が水面を叩き、パチャパチャと水音が鳴る。
正直快感の度合いで言うのならば手で扱かれたり、咥内でしゃぶられる方が大きいだろう。
だが、醜悪な男の象徴を神聖な女性の象徴で献身的に刺激される。
その光景を間近で見せられる事による視覚的・精神的興奮は計り知れないものがあった。

「ああ……メッチャ、気持ち良い……」

放心したかのように○○は呟く。
身も心も蕩けさせられ、心で思っている言葉が無意識の内に出てしまっていた。

「えへへ……じゃあ、こういうのはどうですか〜?」

リリーは笑いながらそう言うと、首を下に向けた。
そして、二つの膨らみから顔を出している亀頭に舌先を這わせ始めた。

「ん、れる、ぴちゃ、ちゅる……」
「うっ、ぐ、ぅ」

肉棒全体を柔らかな膨らみで扱きながら、亀頭や鈴口を舌先で舐り責める。
精神的な快感に加え、肉体的な快感も与えられて○○は一気に追い詰められる。
ここまでに至るまでに与えられた快感によって、彼の性感は既に限界に近かった。
あと数分もしない内に絶頂まで押し上げられてしまうだろう。

「リ、リリー……俺、もう……!」
「良いですよ〜、我慢しないでいっぱい出してください〜」

○○が切羽詰まったような声を上げる。
股間の辺りに何かゾクゾクとした物が走る感覚を覚えたからだ。
それが何を示しているのか、彼には分かっていた。
下腹部から肉棒の根元に何かが昇ってくる。

「も、出っ……!」

瞬間、リリーは亀頭全体を口に含む。
そして、トドメとばかりに音を立てて吸い立てた。
もう、耐える事は出来なかった。

「あっ、ぐうぅぅ……!」

全身を駆け抜ける極上の快楽。
精が尿道を通って放出される度に脳髄を駆け巡る快感にただただ情けなく身体を震わし、引き攣ったような呻き声を漏らす事しか出来ない。
その吐き出される精を、リリーは咥内で受け止める。
同時に肉棒を挟んでいる双丘を、射精を促す様にゆっくりと押し揉む。
柔らかで温かい感触に揉みしだかれ、肉棒は脈動する度にさらに精を吐き出した。
やがて快楽の波も引き、精を吐き出し切った事を確認すると、リリーはゆっくりと顔を上げる。
亀頭から口を離した彼女の口は閉じられたままだ。
咥内に何かを溜めているようにもどこか見える。
するとリリーは口を閉じたまま、ゆっくりと顔を○○のそれに近づけて来た。

「んあぁ……」

そして彼女は見せつけるかのように口を開いた。
咥内は粘ついた白濁液で溢れていた。
先程○○が彼女の咥内に放出した欲望そのものである。
その白濁液の中で、何か蠢く物があった。
紅くぬらぬらと光る物――彼女の舌である。
己の欲望に塗れた咥内、白濁液を纏った小さな紅い舌。
幼げな少女が見せる淫靡な光景に、○○の興奮が再び昂る。

「んふふ……ん、んく……」

咥内を見せつけたリリーは再び口を閉じ、精液を嚥下し始めた。
目を閉じ、喉を○○に見せるかのように少しだけ上を向いた。
そして、精液を嚥下する度にその白い喉が妖しく蠢く。
扇情的でありながら、どこか神秘的なその姿から○○は目を離す事が出来なかった。
あの喉が蠢く度に、子を成す為に放たれた精が無駄に消化されていく。
○○はどこか背徳的な興奮を覚えてしまっていた。

「ん……はあぁ……○○さんの春、美味しい……」

やがて全ての精液を嚥下し切ったのか、リリーは艶めかしい吐息と共にうっとりと呟いた。
身体を時折震わせ、どこか恍惚な表情を浮かべ笑っている。
するとリリーは○○の身体の下から脚を抜き、再び彼の身体に抱き着くようにして近づき始めた。

「リリーのおっぱい、気持ち良かったですか〜?」
「……ああ」
「ふふ、良かった……でも、まだ元気そうですね〜……」

そう言うとリリーは○○の肉棒を優しく掴んだ。
一度精を放ったというのに、未だ硬さを保っており萎えていない。
まだ敏感になっている肉棒を掴まれ身体を震わせていると、リリーがゆっくりと顔を近づけてきた。
○○の耳元に唇を近づけると、彼女は呟いた。

「今度は、リリーのナカに、春をいっぱいください……」

殆ど吐息の様な囁き。
だが、○○にははっきりと聞こえた。
心なしか肉棒の硬さがより増した気がした。

「ああ、そうだな……」

○○はそう言うとリリーの身体を抱きしめ、腰と尻に手を添えた。

「今度は一緒に気持ち良くなろうな……」
「はい……」

リリーは○○の肉棒を握ったまま少しだけ腰を浮かせた。
そして自らの秘所に肉棒の先――亀頭を宛がう。
二人は興奮で呼吸を少し荒げながらも見つめ合う。

「それじゃあ、ん……挿れますね〜……」

リリーはゆっくりと腰を下ろし始めた。
彼女の秘所が彼の亀頭を飲み込んでいく。

「は、あ、あぁぁ……」

リリーは身体を震わせ、艶めかしい喘ぎ声を漏らす。
あまりの快感の為か、腰を下ろすのが緩慢になってしまっていた。
だが、○○にしてはもどかしいだけの快感。
まだ肉棒の先端部分が挿入されたに過ぎないからだ。

「悪いリリー、もう我慢出来ない……」
「ふぇ……○○さん……?」

リリーが不思議そうに力の抜けた声を出す。
そして彼女が何かを理解するよりも前に、○○は自身の腰を思い切り突き上げた。

「あっ、ひぁ――」

リリーの口から言葉にならない声が漏れ出る。
何が起こったのか分からないと言った感じに目を見開き、口をパクパクとさせる。
思わず身を捩り快感から逃れようとするが、○○がそれを許さない。
腕に力を込め、ひしと抱きすくめる。

「〇、○○さ、待って……」
「やだ、待てない」

リリーの懇願を一蹴し、○○は腰を動かし始めた。
同時に腰と尻に回した手と腕を使って、その動きがより効果的になるよう補助をする。
自身の腰を思い切り彼女のそれへと打ち付ける。

「あっ、あっ、〇〇さ、激し……!」

腰を打ち付ける度にリリーの口から可愛らしい嬌声が零れ落ちる。
だが皮肉な事に、その嬌声は○○の野性をますます昂らせる事となった。
腰を打ち付け、肉棒がリリーの膣内を抉り擦る度に彼女の全身に目が眩むような快感が走っていた。
身動きすら出来ない彼女は、もはや○○の身体に縋り付いて耐える事しか出来ない。
しかし快楽に翻弄されているのはリリーだけではなかった。
○○もまた、肉棒を彼女の膣内に抜差しする度に身体が慄く程の快感に襲われていた。
歯を食いしばり、荒い呼吸を繰り返してそれに耐える。
リリーの膣内は狭く、そして温かい。
だが狭いからと言って○○の肉棒を受け入れられない訳では無い。
むしろ生き物の様に蠢き、難なく飲み込んでいた。
挿れる時は膣壁の襞が肉棒に早く精を放てと催促するように刺激をしてくる。
逆に抜き出す時は膣内が締め付けられ、襞が肉棒を逃がすまいと絡みついてくる。
快楽の坩堝――そんな表現が合いそうだった。

「はっ、くっ、ぐぅ……!」

そんな快楽の坩堝に挿入していて、長く持つはずが無かった。
だが、限界が近づいているのは○○だけでは無かった。

「あんっ、あぁっ、○○さ、○○さぁん……!」

ほとんど悲鳴の方な嬌声を上げながら、リリーが必死に○○の名を呼ぶ。
身体も動かせない彼女は、声を上げて快感を逃さなければあっという間に絶頂に押し上げられてしまうだろう。
――その効果は微々たるもののようだが。

「○○さん、わた、し……もう……あぁっ」
「くっ、俺も、だ……!」

リリーは切羽詰まったような声を漏らし、顔を上げた。
こちらを見つめてくる蒼い瞳は潤み、目には涙が溜まっていた。
もう間もなく、彼女は限界を越え絶頂に至るだろう。
だが、限界が近いのは彼女だけでは無い。
悶える様な快感を与えられ、間近で嬌声を聞かせられる。
○○の心身の興奮と性感もまた限界を迎えようとしていた。
バシャバシャと水面が波打ち、浴槽から湯が溢れる。
浴室に響くのは波立つ水音と○○の荒い呼吸、そしてリリーの嬌声。
彼女を追い詰めるかのように、○○の腰の動きを速くした。
それが止めだった。

「ひ、あっ……ああぁぁ――!!」

絶叫の様な啼き声。
リリーの全身が引き攣る。
○○の胸元に顔を埋め、ただ身体を震わせる事しか出来ない。
同時に膣内は今まで以上の強さで○○の肉棒を締め付ける。
まるでこちらの精を搾り取らんとするかのように。
そして、今の○○はその搾精を耐えられるほどの余裕も無かった。

「あっ、ぐっ、ぐう、ぁ……!」

リリーの膣内に精を放つ。
再び訪れる雄として最高の快楽に満ちた瞬間。
だが、今回のそれは先程の絶頂よりも遥かに心地良いものだった。
雄としての征服感と、愛しい恋人の膣内に精を放ったという幸福感によって心地良さが増していたのかもしれない。
聖が放たれた事が切っ掛けになったのか、リリーの膣内が意思を持った生き物の様に蠢き始めた。
もっと性を吐き出せと催促しているようである。

「がっ、あくっ……!?」

絶頂したばかりの敏感な肉棒をそんな風に責め立てられるともうどうしようもない。
あえなく二発、三発と再び精を放つ事となった。

「あぁ、ん……○○さんの春、いっぱい出てます……」

その精を搾り取ったリリーは嬉しそうに呟いた。
荒い息を吐きながらも、どこか幸せそうに喉を鳴らす。
そんな様子のリリーを見て、まだ残り続けている快楽に息を詰まらせながらも○○は苦笑を浮かべた。
強く抱きしめていた腕から力を抜き、彼女の身体を優しく撫でてやる。
リリーは心地良さそうな吐息を漏らした。

「○○さん……」
「ん、なんだ?」
「とっても気持ち良かったです〜……」
「そうか……俺もだよ。メッチャ気持ち良かった」
「えへへ……良かった……」

リリーは嬉しそうに顔を綻ばせると、ゆっくりと顔を近づけて来た。
そして、○○の唇と自身のそれを重ねた。
先程までとは打って変わって静かになった浴室。
響く音は時折水面が跳ねる水音と、二人が舌を絡ませ合う音だけだった――。

―――
――


暗く、しんと静まり返った部屋。
その中を、囲炉裏の僅かな残り火が仄かに照らしていた。
時折薪が鳴る音と、どこからか吹き込む隙間風の風切り音が聞こえる。
そんな部屋の中に敷かれた一組の布団。
寝ているのは○○――と、リリーの二人だった。
浴室での情事の後、二人は速やかに床に就いていた。
冬の寒い夜に起きていても得にする事も無く、むやみに起きていても寒さで体が強張って疲れるだけだからだ。
それ自体は非常に合理的な判断なのだが、では何故二人は同じ布団で寝ているのか。
言うまでも無く、その理由は彼女にあった。

「一緒のお布団で寝ればすぐにあったかくなりますよ〜」

笑顔を浮かべながら、彼女はそう言い出した。
○○としては「もう好きにしてくれ」という心境だったので、なあなあに承諾した結果がこの状況だった。
だが、その提案は案外悪くなかったのかもしれない。

「こうやって二人でお布団に入れば、冷たいのもあまり気になりませんね〜」
「まあ、そうだな……」

冬の就寝時に苦心する事、それは布団が自身の体温で温まるまで冷たさに耐えなければならない事だ。
だが、それも二人が同じ布団に入ればその時間も短くなる。
何より、相手の体温のお陰で冷たさもあまり気にならないという事もあった。

「んぅ……○○さんの身体、やっぱりあったかいです〜……」
「それは風呂上がりだからだろ」

入浴前にしていたのと同じように、リリーが抱き着いてくる。
そんな彼女を苦笑を浮かべつつも優しく抱き返す。
何だかんだ言いつつ○○も彼女の温もりを享受していた。

「……ふふ」
「どうしたんですか〜?何か変な事ありましたか〜?」
「ああいや、ちょっとな……」

無意識の内に笑っていたらしい。
リリーが不思議そうに見上げてくる。
そんな彼女を抱き寄せ、身体を密着させた。

「この寒い冬の幻想郷で、俺はこの温かい春を独り占め出来ているんだなぁって」

今この両腕に抱いているのは春告精。
幻想郷の春の風物詩である彼女を抱きしめている今、それは幻想郷の春を独り占めにしている――そう言えるのではないだろうか?
ふとそんな風に考えると、自然と笑みが零れてしまっていた。
それを聞いたリリーも可笑しそうに笑った。

「あはは。そうですよ〜、○○さんはとっても幸せ者なんですよ〜。だからもっといっぱいリリーを労ってくださいね〜」
「はいはい……」

リリーの調子の良さに苦笑を浮かべつつ、ご希望通り彼女を労う様に頭を優しく撫でてやった。
嬉しかったのかリリーは鼻を鳴らし、心地良さそうな吐息を漏らす。

「でも、リリーも今とっても幸せなんですよ〜。リリーにとっては○○さんの温もりが春の温かさなんです」
「……そうか」

正直言っている意味はよく分からなかったが、嬉しい事を言われている様ではあった。
自然と口元が緩み、口角が上がるのを抑えられない。
もっとも、抑えるつもりも無かったのだが。

「それじゃあそろそろ寝るか、お互い幸せを噛み締めながらさ」
「そうですね〜……あ、ちょっとだけ良いですか〜?」

そう言うとリリーは僅かに身じろぎ始めた。
抱きしめていたのが苦しかったのかと思い、腕の力を緩めてやる。
顔を○○の胸元辺りに埋めていたリリーは、ゆっくりと身体を動かして○○と視線を合わせるように身体を動かす。
そして目を閉じ、ゆっくりと顔を近づけて来た。
彼女が何をしようとしているのか分からない○○では無かった。
彼もまた目を閉じる。
そして、二人の唇が重ねられた。

「んっ、ちゅっ……」

暫し二人は互いの唇の感触を味わい、そしてゆっくりと顔を離した。

「……えへへ、大好きですよ○○さん」

屈託の無い笑みを浮かべながらリリーは言った。
そんな事を言われてしまったらもう○○は観念した様に笑いを浮かべる事しか出来なかった。
だから、彼も同じ事をしてやることにした。

「ああ、俺も大好きだよ……リリー」

今度は○○の方から顔を近づけ、再び優しく唇を重ねた。
雪吹き荒ぶ寒い冬の幻想郷の夜。
その寒さの中、それぞれ春の温もりを抱きながら共に眠りに就くのだった――。


メガリス Date: 2020/02/13 00:20:57

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